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変身ロワイアルその6

417HEART GOES ON ◆gry038wOvE:2015/07/21(火) 00:58:56 ID:RKdo8Dag0

 彼らは、つぼみの両脇を固めるようにして捕える。
 軽く捻るような動作も入れたため、つぼみの神経に痛みが走った。
 人の正しい捕え方を知っているようである。

「くっ……!」

 慌てて、自力で振りほどこうとするが、二人の屈強な成人男性に両腕を捕えられて抵抗する力はつぼみにはなく、抵抗すれば腕に痛みが走るような形になっている。だいたい、それを振りほどいたところで、視界に入っている残り十名ほどの財団Xの連中に対処する方法はつぼみにはない。
 彼らはすべて、無感情に任務を遂行しようとしているようだ。──たとえ、目の前にいるのが年端もいかない少女であっても。

「離してください……っ!!」
「大人しくしろっ! 花咲つぼみだな……? 我々と来てもらう!」

 ここは大人しく捕えられるしかないのだろうか……。
 いや、だとして、その先には何がある?
 良い事は決してない……おそらくは、殺害されるだろう。だが、抵抗の術はない。
 まさか、こんな所で──と、つぼみが希望を失いかけた時であった。

「──何だ、貴様は……!?」

 財団Xの誰かが、何かを見て驚いたように叫んだ。

 次の瞬間、──驚くべき事に、つぼみの左腕を掴んでいた財団X構成員の身体が遥か前方に吹き飛んだのである。
 つぼみの身体にも、何かが彼を突き飛ばした衝撃が伝導される。
 更に、つぼみの身体の自由を奪っていたもう一人も、誰かが蹴り飛ばしてくれた。
 他の構成員たちも慌てふためくが、彼らもすぐにたった一撃で撃退される。所詮は、変身道具を持っただけの屈強な人間に過ぎなかったらしい。

「つぼみ……やっぱり、まずはここに来ると思ってた」

 ──そう。
 つぼみを捕えようとする者たちがここに来るならば、つぼみを守ろうとする者もここに来るという必然があった。
 それは、つぼみがかつて会った知り合いの姿だ。
 そして、この殺し合いにおいても何度か、つぼみは彼の事を思い出す機会があった人物であった。

「……オリヴィエ!」

 フランスで出会った人狼(ルーガルー)の少年・オリヴィエだったのである。
 あの殺し合いに加担していたサラマンダー男爵を慕っていた彼が、つぼみを助けてくれたのだ。

「今は……とにかく逃げよう! つぼみやえりかの家族は大丈夫……みんな、学校で戦ってるんだ!」

 オリヴィエは、つぼみを抱き上げ、この付近の建物の屋根の上まで飛び上がった。オリヴィエの言葉で、つぼみはほっと胸をなで下ろす。
 すると、屋根と屋根とを駆け、地上にいる管理下の人々たちには届かないよう、あっという間にそこから離れて行ってしまった。







 ──私立明堂学園。

 かつてこの世界のプリキュアに助けられ、この映像によりプリキュアの正体を知った人々は、ここに立てこもり、力がないなりの戦いを見せていた。

 ひとたび校門の外を見れば、そこには、財団Xの構成員や、管理下の人々、そして、この街を何度も襲撃してきた砂漠の使徒のデザトリアンやスナッキーたちが囲んでいる。
 ここに立てこもった人々は、二日に渡ってここで生活している。学校内で暮らすというのは、普段ならばワクワクもする話かもしれないが、状況が状況で、殆どは浮かない顔だった。


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