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変身ロワイアルその6

403RISING/仮面ライダーたちの世界 ◆gry038wOvE:2015/07/16(木) 02:34:36 ID:W9I5Hun20



 ──その時、ソウキチたちの隠れ家にサイレンが鳴った。
 それはあからさまに警告音だった。翔太郎とソウキチは、部屋の隅に設置された真っ赤なランプが周囲を照らす光を発しているのを見つめた。
 前の廊下を走る足音も聞こえ始めている。
 テレビにカメラの監視映像が流れた。そこに映っていたのは、マスカレイド・ドーパントの集団である。

「不味い、ここが見つかった。……奴らが来るぞ」

 マンホールが見つかったのだろうか。
 本気で翔太郎を尾行した者がいたのかもしれない。理由はどうあれ、ともかく見つかってしまった以上は逃走しなければまずい。あと少しでアースラの乗員がこちらに迎えに来る手筈とはいえ、翔太郎には今、仮面ライダーへの変身アイテムがなかった。
 逃走経路は事前に訊いてある。幾つかのルートが外への出入り口になっているはずだ。

「お前は逃げていろ」

 と、ソウキチが言った時、翔太郎たちが先ほどまで出入口に使っていたドアが爆破される。

「──ッ!?」

 思った以上に早かった。──マンホールからここまでもそれなりの距離があるはずだが、彼らは一瞬で距離を詰めて来たのだ。
 アルミ片が飛んで来て、翔太郎の左脇へと転がる。翔太郎の飲みかけのコーヒーがこぼれ、染みを作る。エンジン音のような物が鳴り響く。
 翔太郎は勿論、ソウキチも微かに動揺した。
 壊されて潰れたアルミのドアから、煙があがっている。その向こうから見える二つの影はいずれも異形であったが、それが色を出すのはそれより少しの後であった。

 ──赤と黒。

 二人のドーパントは、まだ翔太郎も見た事のないタイプである。
 黒い戦士と赤い戦士の二体。財団Xの実力者が変身しているのだろう。後ろからぞろぞろと、マスカレイド・ドーパントの大群も現れた。
 財団Xが選んだ精鋭の戦士と思われ、翔太郎も身構えた。

「左翔太郎だな? 我々の本部まで来てもらうぞ」

 赤いドーパントが、翔太郎に言った。黒いドーパントは無口だ。
 赤は、逃げる隙もない速さの持ち主だ。まるでバイクのエンジン音のような音を響かせている。今や、翔太郎に敗走の術はない。
 翔太郎が内心で舌打ちする。
 アースラの人間がこちらに来るが早いか、彼らが翔太郎を捕えるが早いか、といったところだろうか──。
 今は、ともかく、彼に任せるほかない。

「ちょっと待て。……そいつは渡せねえな」

 鳴海ソウキチが数歩歩くと、翔太郎を庇うように前に立った。
 翔太郎と共に一歩ずつ後方に退いていくソウキチ。──それと同じペースで前にじりじりと寄って来るマスカレイドたち。
 狭いこの部屋いっぱいに敵が詰め寄っていた。

 そして、ソウキチが一歩ずつ下がるため、翔太郎の背中が壁のすれすれまで寄りかけている。
 その瞬間、即座にソウキチはロストドライバーを取りだし、腰に巻く。コネクションリングが一周し、スカルメモリから音声が鳴る。

──SKULL!!──

 ソウキチが、ロストドライバーにスカルメモリを装填した。

「変身!!」

──SKULL!!──

 待機音声とともにソウキチが仮面ライダースカルに変身し、部屋の帽子かけに手を伸ばす。真っ白な帽子を掴むとそれがスカルの頭の上に被さる。


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