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変身ロワイアルその6
402
:
RISING/仮面ライダーたちの世界
◆gry038wOvE
:2015/07/16(木) 02:33:32 ID:W9I5Hun20
──仮面ライダーは、戦い続けている。
士がソウキチに渡したピントの合わない写真は、あらゆる世界で、今も真っ直ぐに戦う仮面ライダーたちの姿を映していた。彼はきっと、同じ仮面ライダーの仲間として、翔太郎に渡す為に撮り続けたのだ。
写真のあまりの出来の悪さに、「あいつ本当にカメラマンかよ……」と思いながらも、翔太郎はそこに映っている熱気を感じ、どこかで勇気を貰っていた。
1号、2号、ライダーマン、スーパー1、ゼクロスといった仮面ライダーを喪った世界でも、V3、X、アマゾン、スロトンガー、スカイライダー、そしてSPIRITSが今なお戦い続けている。
クウガを失った世界は、ディケイドの仲間だった“もう一人のクウガ”や警察の人々が守っている。
人々は前向きに、人類の自由と平和を獲得する為に戦っているのだ。
そして──ダブルもアクセルもスカルもいない、翔太郎の住まう世界は──
「……おっと」
──ソウキチが、翔太郎が見つめていた写真を、ふと横取りした。
「悪いが、この一枚だけは俺が貰っておく」
「……なあ、おやっさん。それはちょっと、親バカすぎないか?」
その写真に写っているのは、鳴海亜樹子、いや、照井亜樹子だった。
涙を流し、何かを訴えながら、それでもスリッパ一枚で果敢に敵に立ち向かう少女の姿がそこにはあった。ソウキチにとっては、ぼやけていても、立派に成長した娘の写真というだけあって、翔太郎には譲れないのだろう。
まあいい。だいたい、あの亜樹子が負けずに立ち向かっているのは、想像はついていた。
彼女も、照井やフィリップの死でいつまでもふさぎ込んだりはしない。
「……黙ってろ、街バカ」
ソウキチが、人の事を言えない言葉を真顔で翔太郎に言う。
翔太郎が住む翔太郎の風都の写真は、亜樹子の写真に限らず、何枚もあった。士が気を利かせてくれていたのだ。
風都イレギュラーズが集合して、プラカードを持ってこちらを強い瞳で睨んでいる写真もある。──よもや、彼らも、こんなに映りが悪い事になるとは思っていなかっただろうが。
『がんばれ、仮面ライダー……翔太郎! Byじんの』
『負けるな、翔ちゃん』
『みんなこの街で待ってるぞ!』
──そうだった。みんな、翔太郎が仮面ライダーである事を中継映像で知ったのだ。
それでも、そんな言葉を掲げて写真に写り、これまで街を守ってくれていた翔太郎に何かを伝えようとしている。
彼らは、翔太郎に励ましを贈ろうとしていた。
たとえ、翔太郎が仮面ライダーであったとしても、彼らが翔太郎に向ける目は決して変わらない。──この街の仲間である彼らとの結託。
翔太郎は士の撮った写真を、折れてしまうほど、固く握りしめた。
そうだ、まだ世界で戦う仮面ライダーがいる……。
まだ帰るべき世界で迎えてくれる人がいる……。
「なあ、エス。……俺はお前のいた風都の鳴海壮吉じゃない。だが、いつかお前に言った言葉を訂正するつもりはない」
ソウキチが、口を開き、翔太郎に最後の激励を届けた。
「お前は、誰よりも帽子と風都の似合う男だ」
翔太郎にとって、これほど嬉しい言葉はなかった。
◆
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