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変身ロワイアルその6

397RISING/仮面ライダーたちの世界 ◆gry038wOvE:2015/07/16(木) 02:31:53 ID:W9I5Hun20

「あいつによると、お前たちが連れて来られたあの島──『変身ロワイアルの世界』には、一度行って耐性をつけた人間たちしか立ち入る事ができないらしい。……そして、よりにもよって、カイザーベリアルや加頭は、あの世界に閉じこもっている」

 士は、先天的にパラレルワールドとパラレルワールドとを移動する、極めて特殊で不思議な能力を持っていた。とにかく、それにより、あらゆる仮面ライダーたちの世界を渡り歩いてきたのが彼だ。
 世界の破壊者を自称するが、その実、彼は実際にはその世界を守っている。
 とにかく、パラレルワールドに関しては彼が専門家であり、その分野に関しては信憑性のあるデータに思える。──やはり、あそこは彼でさえ足を踏み入れる事ができないらしい。

「なるほど。だから、ベリアルたちは俺たちを見つけ出して殺して、安全圏で支配者をやり続けようとしてるって事か。……読めてきたぜ」
「その通りだ。お前たちを一度帰した理由はわからないが、せいぜい、お前たちに外の世界の絶望を見せる為、という所だろう。──で、言いたい事はわかるな?」

 ソウキチが、翔太郎に目をやった。
 彼はコーヒーにまた口を付けて、すぐに口を離したばかりであり──果たして本当にわかっているのか、ソウキチには疑問な所であったが、実際にはソウキチの言いたい事を察する事はできていたらしい。

「要するに、生き残った俺たちがあいつのいる世界に乗りこまない事には、この支配は終わらない……って事だろ? おやっさん」
「──ああ」

 ソウキチは頷いた。
 そんな戦いを他人に強要し、そして、自分は何も出来ない事をソウキチは歯がゆく思っていた。だが、あの殺し合いと無関係だった人間たちは、あまりに無力であった。
 ここでモニター越しに応援する事しかできないらしい。
 自分たちが置かれている支配を脱する為に、彼に全てを任さなければならないというのは、ソウキチの持つ“男のルール”にも反しているが、たとえそうであっても、正真正銘の不可侵領域なのだ。

 それでも──。
 ソウキチには、なるべくこの男を死なせたくない気持ちがあった。
 それこそ、かつて一度会った時からだ。その時に感じたこの男の芯の強さのような物を、決して世界から失わせてはならないと思っていたのだ。
 今はまだ、そんな強大な敵と戦わせて良い段階じゃない。
 ソウキチに言わせればまだ彼は若く青く半人前なのだ。いつか、一人前の男になるまで──そんなにも危険な場所には行かせたくない気持ちも微かにあった。
 ──しかし、問題はそれだけではなかった。

「だが……本当に、お前……大丈夫なのか? “仮面ライダーになれなくても”」

 翔太郎は──この世界に来た時、あのジョーカーメモリを何処かになくしてしまっていたのである。

 あの世界移動の際に、ロストドライバーとジョーカーメモリが何処か別の場所に転送されてしまったらしい。
 だからこそ、彼は三日間、この世界で大人しく隠れて行動しているという状況だ。もし、財団Xに見つかれば抵抗する手段がほとんどなかった。ちょっとした武器は持たされているが、その能力も、勿論限界がある。
 辛うじて、ロストドライバーだけはソウキチが持っていた予備の物を受け取る事が出来たのだが、この場で変身に使用できる純正メモリはソウキチが使うスカルメモリ一つだけだ。──それを受け取るわけにはいかない。

 ──だが、たとえ、力がなくても。

「やってやるさ、絶対に……!」

 翔太郎も、鳴海壮吉の考えを受け継いだ男だ。──彼も、仮面ライダーとして、人間に自由と平和を齎す意思を持っている。
 たとえ、変身する事ができなくても、だ。
 壮吉だけではなく、あの殺し合いの中で、結城丈二や沖一也──あるいは、ゴ・ガドル・バや大道克己から学んだ物もある。フィリップや照井竜、園咲霧彦や泉京水を殺し、街や人々を泣かせたあのゲームへの抵抗も未だ強く残っている。
 どんな状態でも、翔太郎は絶対に殺し合いを潰そうとしていた。そうしなければならない。それも、早い内に……。

 その覚悟を見て、ソウキチは、彼がこの危険なゲームに打ち勝つ事に賭けてもいいと思ったのであった。


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