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変身ロワイアルその6

394 ◆gry038wOvE:2015/07/16(木) 02:31:00 ID:W9I5Hun20



 2011年──。『仮面ライダースカル』の世界。
 ここでは、ダブル、アクセルの二人の仮面ライダーが現れず、名探偵・鳴海ソウキチこと仮面ライダースカルが風都を舞台にドーパント犯罪と日夜、戦っていた。
 しかし、この世界においても、ある時、カイザーベリアルによる“管理”が発生した。
 そして、人々の思想は統一され、元の性格を押し込めて支配者を崇めるようになってしまった──それが、カイザーベリアルの手にした“イニフィニティ”の力による管理の力である。
 この殺し合いの発生により、全パラレルワールドはベリアルの手に落ちてしまったのだ。


 変身ロワイアルから生還した彼こと左翔太郎が転送されたのは、彼が本来帰るべき風都ではなく、この微かに歴史の違った風都であった。







「──本日より、ゲームの第二ラウンドを開始します」

 疎らに人が集まった風都の市街中心部。風都タワーが彼らを見下ろしている場所だ。
 街頭モニターに映った財団Xの幹部──レム・カンナギの言葉は、あの加頭よりも少しばかり感情らしき物が込められた言葉に聞こえた。何より、言葉にはっきりとした抑揚があった。それは、あからさまにこの状況を楽しんでいる事が感じられる抑揚だった為に、翔太郎にとっては不快であったが、何を考えているのかわかる分、加頭ほど不気味ではない。

(──なんてこった、本当に……)

 ……あの殺し合いを脱出してから、三日が経過した。既にあの殺し合いの二倍の時間が過ぎ去っている事は、翔太郎にも信じがたい事実だ。
 この風都が異様な空気を帯びているのを、翔太郎は全身で感じ取っている。

(いつから俺の風都はこんな酷い街になったんだ……)

 なんでも、この世界は、“財団X”や“ベリアル帝国”によって管理されているらしい。──いや、この世界に限らず、ほとんどの世界がそうなっている。翔太郎たちがいた風都も同様に、“カイザーベリアル”によって管理され、殺し合いの全映像がモニターされて世界中の人の目に入ったと考えるのが自然であるだろう。
 翔太郎たちが帰るべき場所は、無傷ではなかった。しっかり、不在中に傷を作ってから帰すという、あまりに礼儀知らずなやり方がベリアルや財団Xの好みらしい。

 まだ、かつてのプリキュア世界における「管理国家ラビリンス」のように服装の統一や結婚・就職の管理こそ行われていないものの、管理された者たちは自分の意思を失い、ベリアルに忠誠を誓うようになった。現状でも、モニターの命令に忠実な人間で街は溢れている。
 平和の為の管理ではなく、支配の為の管理であるというのが、ラビリンスと決定的に異なる部分である。──実に悪辣だ。

 ……ただ、あえて言うならば、目的が徹底化されていないせいか、個人に対する管理の威力はラビリンスよりは微弱だ。支配に屈しない強い意志さえあれば、それを抜け出す事も出来るし、あるいは、最初から何にも興味を持たず、その日を生きる事に必死なホームレスなどもあまり管理の影響を受けていないように見える(だから、翔太郎も街へ出る時はホームレスの恰好に変装するようソウキチに言われた)。
 殺し合いが実況中継される中で仮面ライダーやプリキュアに感銘を受け、自分の考えを取り戻した者もいれば、今こうして翔太郎を匿っている鳴海ソウキチのように最初から管理に屈しなかった人間も少なからず存在しているのである。
 一見すると、メビウスに比べても管理の力は弱いようではあった。

 問題は、その圧倒的な規模の面にあった。──あらゆるパラレルワールドの中で、悪が人類の殆どを支配し、管理している現状を嘆かずにいられる物だろうか。これは、悪が勝利した世界と言っていい。翔太郎が、最も見たくなかった物だ。
 人間の自由を奪う独裁。人々の争いは全て終わったが、ここに本当の平和はない。
 そう、たとえば、今、こうしてこのモニターが告げている「第二ラウンド」なる悪趣味なゲームも良い例である。

「ベリアル帝国に属する皆さんには、このゲームの生還者・蒼乃美希、佐倉杏子、涼邑零、血祭ドウコク、花咲つぼみ、左翔太郎、響良牙、およびその仲間の捜索、確保──あるいは殺害をして頂きます」


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