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変身ロワイアルその6

378崩壊─ゲームオーバー─(11) ◆gry038wOvE:2015/07/12(日) 14:02:58 ID:OT9PV3kg0

「……チッ。嫌な姿を見せやがって」

 ブラックホールに飲み込まれようとしている血祭ドウコクと外道シンケンレッドも、その姿を遠目で見ていた。
 ドウコクが、それをどういう意味で言ったのかはわからない。
 姫矢と同じジュネッスのネクサス、そして、一瞬だけ見せた杏子と同じジュネッスパッションのネクサスを嫌悪したのか、それとも、ダークザギに押されているネクサスに不快感を示したのか。
 それはわからない。
 ただ、生還という目的を前に、気を緩め、彼もいつも以上に思わぬ事を口にしてしまう状態であった事だけは、確かだった。







 ベリアルたちによって“管理”された一つの世界──、孤門の故郷でもあったこの世界で、一人の青年・千樹憐がモニターを見上げていた。
 街頭に設置された巨大モニターは殺し合いの様子を映していたが、それを率先して見ようとする者など、殆どいなかった。多くの人は、この世界の真実を知り、この殺し合いを目の当りにして、“管理”に屈し、死んだ目でされるがままの作業を行っている。

 しかし、憐は、そんな中でも、管理者たちに屈せず、裏の世界で反乱するメンバーの一人として戦っていた。和倉英輔や平木詩織などのTLTの人間もこちらについている。
 その日は、孤門たちの最後の戦いを目にするべく、隠れて町に出ていた。
 そして、今、孤門がウルトラマンとなって戦っているのを、憐は今、見ている。

(そうだ、孤門……俺も孤門のお陰で……、こうして管理なんかに負けずに、運命にだって逆らって、俺は生きてる! だから……)

 憐は今日、この世界で一人の少年に出会ったのだ。
 まるで憐と同じような境遇である。彼も先天的に不治の疾患を患い、それによって病弱でありながらも、パイロットを目指しているらしい。
 彼も諦めなかった。彼も管理には負けなかった。彼も前を見ている。
 憐は、そんな彼の姿に勇気づけられている。支えられている。

「……あれは、パパと見た銀色の流星だ」

 その少年──真木継夢は、今、憐の隣で言った。
 管理されている人間たちも、呆然とモニターを見つめていた。
 もしかしたら、勝てるかもしれない……。
 誰もがそんな想いを少なからず持っていた。
 風向きが変わっている気がする。



「────負けるなッ!! 孤門!!!! 俺も孤門のお陰で戦えた!!!! ウルトラマンとして!!!!」



 憐の声が街頭で響いた。人々の目が、そこに注目した。
 それは、町中に管理者の目がある中で、自らの正体を明かしてしまうような物だった。
 孤門一輝が千樹憐の名前を出したのを見ている者もいる。──そして、憐は今、この世界ではお尋ね者なのだ。
 しかし、その直後に、継夢が叫んだ。



「がんばれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!! ウルトラマン!!!!!!!」



 それは、二人による明確な反逆だった。
 管理された世界の時が止まる──。彼らは何者だろう──、と、誰もが思った。
 しかし、やがて、どよめいた周囲は、そんな事を気にしなくなり、彼らの想いがどんな物であるのかを胸の中に思った。
 そして、彼らも次々と声を張り上げた。


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