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変身ロワイアルその6

376崩壊─ゲームオーバー─(11) ◆gry038wOvE:2015/07/12(日) 14:02:20 ID:OT9PV3kg0



「────…………」



 それを奇妙に感じて、おそるおそる目を開けたエターナルが見たのは、──巨大な銀色の顔であった。
 それは、こちらと目を合わせていた。──不思議な安心感が、響良牙の中に湧きあがってくる。
 ここは、その顔を持つ巨人の掌の上だった。彼は、エターナルとつぼみをその手で優しく包んでいた。
 二人は、その姿を、どこかで見た事がある。

「ウルトラマン──」

 つぼみも、瞼を開いて、その顔に向けて呟いた。
 そう、彼はウルトラマンだ……。杏子が変身していた戦士である。
 だが、見た事があるというのは、決してウルトラマンの姿の話ではない。──そこにある、誰かの面影の事だった。

「孤門……なのか?」

 エターナルは、こちらを見つめるウルトラマンの巨大な顔に、孤門一輝の面影を感じていた。
 つぼみも同様に、それが孤門であると気づいていたが、驚きのあまり、閉口していたように見上げていた。
 そして、次の瞬間、エターナルとキュアブロッサムの身体が浮き上がる。

「あっ……」

 二人の身体は、ブラックホールによって吸い込まれようとしているのだ。
 だが、二人を見て、ウルトラマンは頷いた。

 後は任せろ、と。
 ──響良牙と花咲つぼみが、この殺し合いを終えようとする中、孤門一輝の笑顔がそこに見つかった気がした。

「おいっ!」

 良牙が、大きな声で孤門を呼びかけた。ネクサスが空を見上げる。
 エターナルは、最後に、この場所で五代雄介や一条薫から教わった“サムズアップ”を見せて──空に消えていく。
 良牙は、言葉ではなく、それを見せたかったのだ。
 その想いは、ウルトラマンの──ウルトラマンネクサス、孤門一輝の胸で勇気へと変わる。

「デュアッ!!」

 ウルトラマンネクサスは、目の前の敵──ダークザギと向き合い、構えた。
 二人のサイズ差は大きくない。ようやく、同じ土俵に立って戦える相手同士になったというわけである。
 そんなネクサスを見て、ダークザギは少なからず動揺していた。

「バカな……ッ! 奴は闇に沈んだはず……! あの闇の中から抜け出せるはずがない……! まして……人間ごときがッ!!!」

 こうして、レーテを抜け出してくる者が現れるはずはない。
 あの闇は人間は決して戻る事ができない絶望の淵にある。
 その中で人は苦しみ、もがき、諦め、恐れ、絶望する。
 そんな場所であるというのに──。

「────バーカ!! お前ごときが人間に勝とうなんざ、100万年早えんだよ!!!」

 エターナルたちと共に空に浮きあがっていく、ガイアポロン──涼村暁が、ダークザギの横顔に向けて叫んだ。
 その声は、確かにダークザギの耳にも聞こえた。
 奴は、この状況でおどけようとはしていなかった。しかし、今は、それまでの暁の調子に戻ったようにも見える。
 つまり、奴らは──勝利を、確信しているのだ。

「おのれ……っ!!」


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