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変身ロワイアルその6

372崩壊─ゲームオーバー─(10) ◆gry038wOvE:2015/07/12(日) 14:00:08 ID:OT9PV3kg0
 こうして、“円環の理”以外の存在が──「人間の肉体」が、ソウルジェムを助け出してくれる事をどこかで期待していたようにも見えた。
 だから彼女たちは、杏子のソウルジェムが外の世界に──光に向かっていき、浄化されるのを黙って見ていたのだ。
 ここまでが必然だった。

「……彼女は、救われたのね」

 杏子のソウルジェムが、希望の光のもとで、再度浄化された事を、まどかがその笑顔で告げているような気がした。
 そんな姿に拍子抜けしつつも、どこか安心して……マミは、次に自分がここから脱出する方法を考える事にした。

 だが、その時、マミの視界が、霞んだ。
 ──足の下から、頭の上まで登っていく粒子が見えていた。
 それが、自分の身体から湧き出てくる粒子である事に気づいたのは、また次の瞬間だった。

「……これは……」

 ────今度は、マミの身体の方が消滅しようとしていたのである。
 彼女は、何故またこうして自分の身体が粒子に溶けていこうとしているのかわからなかった。
 これも、またこの忘却の海レーテの影響なのだろうか。

 ──こうして、ここで置いていかれてしまったから?
 ──この闇の中で独りで消えていってしまうから?

 その時、視線を落としながら、さやかがその理由を告げた。

『マミさん、……実は、私とマミさんが人間に戻る事が出来たのはね、“円環の理”の……まどかのお陰なんです』

 さやかの言葉を聞いて、更に疑問は深まった。しかし、全く、彼女の言っている事への反発はなく、ただ茫然とした表情で、その言葉を聞いていた。
 その原理を、今度はほむらが更に詳しく解説する。

『そう。あなたたちは、この世界でソウルジェムを完全に穢し、魔女になる条件を満たしてしまった。……でも、既に別の世界のまどかが、“全ての時空、全ての時間、全ての魔法少女を救済する”願いを叶えて、“円環の理”として実行していた……。すると、“絶対に魔法少女を救う円環の理”と“絶対に円環の理の力を弾いてしまう世界”との間で、矛盾が起きる』

『その矛盾を正す為に、世界の中で一つの矯正力が働いたんです。この世界にいた私たちの魔女化は実行されたけど、その後ですぐにこの世界の人間たちの力で自然と救済されるように、世界は都合良く変わっていった……』

『ただ、一日目の夜までの時点ではそうはならなかった。二人は本当に死亡扱いになっていた事からもわかるわ。それが、異世界にも通じている忘却の海レーテが出現したせいで、円環の理の力がこちらに繋がり、魔女の救済が起こらなければならない世界になった為に、遂にさっきの“矛盾”が生まれてしまった』

『矛盾を正したのは、一日目の終了と共に起きた制限解放。これによって、私たちは魔女になる。でも、世界の強制力によって、誰かが私たちを“円環の理”の代わりに救うよう、運命が構築されていった……。私はその後で死んじゃったけど』 

『そして、私たちがレーテの中に来られたのは、呉キリカと繋がった事で、殺し合いの世界に最も近い場所へと辿り着く術を知ったから──』

 彼女たち二人は、巴マミと美樹さやかの魔女化が解除されるのを手伝った力が、プリキュアたちの他にもあった事を説明していた。
 この鹿目まどかのような魔法少女が、どうやら一枚噛んでいたらしい。
 噛み砕くと、“円環の理”がある以上、魔女の力を発動させてはならない──その矛盾が、「この場にいるあらゆる人間の力を借りて、魔女を人間に戻す」という形で発現した、という事である。

『でも、──こうして、会っちゃった以上、私たちは、マミさんを救わなければならない。ううん、たとえマミさんを返したくても、世界がマミさんを勝手に救済させてしまう……』

 まどかが言った。
 それはある意味では死刑宣告に近かったが、しかし、マミの中では、それに対する納得も湧きあがっていた。
 これは、“必然”だ。


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