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変身ロワイアルその6

368崩壊─ゲームオーバー─(10) ◆gry038wOvE:2015/07/12(日) 13:58:57 ID:OT9PV3kg0

 孤門の姿は、遠かった。まだ小さく、それでも、だんだんとこちらに近づいてきた。
 それでも、美希は、そんな深い闇の中で必死に腕を伸ばした。

 孤門も、諦めなかった。
 二人の距離がどれだけ遠いとしても……ただの人間には決して埋められない距離だと言われても──絶対にその手を取ろうと、必死に闇の中を前に進んだ。

「────!!!」

 美希の中から消えたと思っていた“意思”が囁きかける。

 ──君は、守りたいものを見つけたか?
 ──君は、生きていく道を見つけたか?

 闇に変換され、石堀光彦に渡ってしまったはずの“光”だ。
 しかし、誰かの胸に希望がある限り、その光は何度でも蘇り、何度でも強くなり、何度でも人々に新たな希望を照らしてくれる。



(────)



 美希は、胸の中に輝く光に答えを返した。

 ────そして、その時、二人の手と手が重なった。

 二人の間に、光が灯される。





 それは、蒼乃美希から孤門一輝へと受け継がれる絆の光────ネクサス。









 そして──、これは、この殺し合いとは何も関係のなかった世界だ。


 ────諦めるなァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!


 忘却の海レーテのエネルギーは時空を超えていた。
 レーテのエネルギーにより、時間軸も、世界も超えて、彼らの言葉は“どこか”の“いつか”にコネクトしていったのだ。

 ──“それ”は、あくまで、無為に、恣意的に、ただ偶然、そのときたまたま、起こった現象である。

 どんな時間に、どんな世界に繋がったのか──それさえも全ては、レーテの起こした偶然であるが、だからこそ運命的にも感じる出来事であった。
 彼のかけた言葉が、その世界の一人の少年の未来を、大きく揺るがす事になる。

「助けて……ッ!! あっ──」

 その世界も、それは、殺し合いも、ウルトラマンの登場も、ビーストの再来もない──ただの平和な世界だった。
 変身する戦士の戦いはこの世界では繰り広げられていなかったようで、怪物たちに理不尽に命を奪われる人間たちはいなかった。
 だが──。


「誰か……っ!! 誰か、助けて……っ!!!!」


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