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変身ロワイアルその6

366崩壊─ゲームオーバー─(10) ◆gry038wOvE:2015/07/12(日) 13:58:15 ID:OT9PV3kg0
 彼らは、元の世界に帰り、──その時に“殺される”権利を得るのだ。
 そう、元の世界で死ぬ事が出来るという最大の褒美を──。

「コード:変身ロワイアル……崩壊、ゲームオーバー」

 加頭は、ニヤリと笑って呟いた。

 時刻は二日目、十一時五十九分。

 ────主催陣営、敗北。

 ────参加者、強制送還決定。


 そして、時計が動く。
 主催陣営は表向き、ここで敗北したが、全ての目的は達成された。
 このゲームを総べているカイザーベリアルの目的も、加頭の目的も果たされた──。それで満足だ。
 勝利? ──そんな物は譲ってやろう。
 加頭が欲しいのはそんな物じゃない。
 最後のボタンが加頭の手によって、押される。



 ────強制送還、実行。



【タイムリミット 発動】







 蒼乃美希は眠っていた。
 ──暗く深い、忘却の海の底。
 たくさんの人の恐怖やFUKOをその身に感じながら、しかし、赤子のようにどこか安らかで落ち着いた眠りを覚えていた。

 ああ、ここは、もしかするとあらゆる時間や時空と繋がっている場所なのかもしれない。
 まだ子供だった時の美希や──、離婚していなかった時の両親や──、まだ、生きていた時のラブや祈里やせつながこの中にいるのかもしれない。だから、妙に心が安らかなのだろうか。
 このままここで眠り続けてもいいかもしれない。
 たとえ、ここが闇の中でも……これから、もっと深い闇の中に誘われるとしても……。

「……美希ちゃん……」

 ────だが。
 ────それは全て偽りだ。

 美希を救おうと、この闇の流れの中を泳いでいく男──孤門一輝はそれを知っている。
 まるで濁流のようなこのレーテの闇は、孤門の幼少期のトラウマを刺激する。
 流れていく物が怖い。この流れに流され、このまま前に進めば、もう戻れないような気になる。流れていく景色を見るたびに、そこまでに置いてきたものがなくなっていくような気がしてしまう。
 あの時感じた恐怖だ。
 先に進む事で、また自分は足をとられてしまうのではないかという気がする。

「……っ!?」

 その時、──何かが、孤門の足を掴んだ。
 闇の力が、孤門を止めようとしているのだ。それは、確かに、子供の時の孤門が感じた感触に似ていた。だから、孤門の背筋が凍った。
 誰も助けてくれないのではないかという、あの時の怖さ。
 川の流れが、孤門を飲み込み、孤門一輝の命を奪おうとするあの脅威。

 だが、この恐怖や闇に打ち勝たなければ前に進めない。
 必死に足を振り払い、前に進もうとしていく。
 すると、孤門の邪魔をする物は何もなくなった。


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