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変身ロワイアルその6
350
:
崩壊─ゲームオーバー─(9)
◆gry038wOvE
:2015/07/12(日) 13:52:26 ID:OT9PV3kg0
「ラブ……! ラブ……!」
蒼乃美希が何度呼びかけても、返事はない。
桃園ラブの身体は、何度揺さぶっても、呼びかけても、美希が何を思っても、返事をする事はなかった。しかし、背中を上に向けて倒れたそれの表情を見る決意はなかった。
確実に死んでいる。
それを理解し、それでも、──「万が一」に賭けて、少しの希望を持って、何度か呼びかけたが、返事はやはり、帰ってこなかった。
「……」
そう、こんなにもあっけなく。若干、十四歳の少女の命が……その短さは、丁度同じ年齢の美希が一番よくわかる。
彼女の持つ夢も、彼女と親しい男の子も、彼女を愛した家族も、美希はよく知っている。
それが、最終決戦の間近で──目的だった、みんなでの脱出を目前にして、今まで、共に戦い積み重ねてきた日々は、脆く崩れ去った。
やっと出口が見えている迷宮で、桃園ラブは消えてしまったのだ。
「許せない……!」
強く拳を握るキュアベリー。
涙より先に出た、底知れぬ怒り──。
こんな感情が湧きでた相手は、この殺し合いの中でも石堀光彦だけだった──。
真正の外道。かの外道衆でさえ、門前払いするほどの凶悪だった。
憎悪というのが、ここまで体の底から湧きあがる物だとは、蒼乃美希も思っていなかった。
キュアベリーは、ほとんど衝動的に、ダークアクセルの前に駈け出していた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そう言って、飄々と、悠々と、あまりにもあっさりと、キュアベリーの怒りの籠ったパンチを避ける。彼女の左側に身を躱した。
「……そうだ、その憎しみだっ! だが、その程度の力では俺には勝てない……っ!!」
そして、──キュアベリーを吹き飛ばす。
ベリーは全身の力で体勢を立てようとするが、何メートルも後方に向けて落ちていった。
圧倒的な力で地面に叩きつけられ、大事な事実に気づく。
──そうだ、石堀はキュアピーチを一撃で倒すほどの力の持ち主だ。
プリキュアのままでは勝てないのだ……。
「うわあああああああああああああああああああああああああーーーーーーーッッッッ!!!!!!!」
男の叫び声が響いた。
涼村暁の、今までに発した事もないような声であった。
ガイアポロンもまた、駆けだすなり、振りかぶってダークアクセルを斬り殺そうとする。
そんな我武者羅な攻撃が効くはずもないのは当然であるが、それでも、冷静に考える力などどこにもなかった。
「テメェッ!!! 本当に殺しやがった!!!! こんな残虐な形で、女の子を一人──」
ガイアポロンの刃が振り下ろされようとする。
「でも前から気づいていただろう? 俺が桃園さんを狙っている事は……。それを守れなかったのは、誰の責任だ? ──涼村暁」
刃を振るおうとしていた剣が止まった。
はっとする。──理屈は正しいとも言えないのに、反論ができない。
そんな言葉が耳を通るなり、暁は──再び、雄叫びをあげた。
「うわああああああああああああああッッッッ!!!!!!」
それしか返答はなかった。
自分の責任も、彼は理解している。──あれだけ、ずっと守ろうとしてきたのに。
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