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変身ロワイアルその6

211騎士Ⅱ ◆gry038wOvE:2014/10/14(火) 00:02:00 ID:VsklBJWI0



「……さて」

 残り時間は一時間二十分。
 目の前の冴島邸では、例の暗号を片づけただろうか。──いや、全て片づけていなければ困るのである。
 零とレイジングハートは冴島邸に入ろうとしていたが、その時に後ろから声がかかる。

「おーい!」
「ん?」

 呼び声だ。
 それは、男性と女性のものが重なったように聞こえた。
 ……見れば、先頭を駆ける女性と、男性の二人組。先ほどまで零と行動を共にしていた人間である。

「良牙、それにつぼみちゃん」

 花咲つぼみと、響良牙だった。
 二人とも、ここまでちゃんと辿り着いたようだ。特に、異常な方向音痴の良牙が心配だったが、彼は何とか合流地点までたどり着けたらしい。安心したが、すぐに零は顔を曇らせた。

「大丈夫か?」
「……ええ」

 零は振り向いて彼らがここまで辿り着くのを見届ける。
 二人は、この冴島邸の前で、零、レイジングハート、一也、ドウコクという異色の組み合わせが揃っている光景に怪訝そうな顔付を示していた。
 しかし、零の方も、決して良い雲行きを見守っている顔ではいられなかった。

「……その……あの女の子は?」

 そう言った時、二人が眉をしかめた。
 やはり、と思う。────もうこの世にいないか、離別したか。
 そして、この表情を見るに、前者だ。
 美樹さやか。彼女は魔女の世界から解放されたが、人間のまま再度殺されてしまった。

「あかねさんに殺された。だが、あかねさんももう……死んだ」

 良牙のかすれた声を、零は耳に通した。
 守れなかった。──その痛みは零にもよくわかる。まさしく、零もその決着をつけてきたところだ。

「でも、誤解しないでください。あかねさんは、本当は悪い人じゃなかったんです。ただ、どこかで歯車が狂って……それで……」

 つぼみは、必死でフォローに入っていた。しかし、どう説明すれば良いのかはわからない。
 実際のところ、どうして天道あかねが悪の道を走るようになったのか、そのプロセスを完全には把握していないのだから、つぼみの知る限りの情報でそれを説明するのは不可能だった。

「わかった。……いや、わかってないかもしれないが、俺がとやかく言う事じゃないしな」
「……すまねえ」
「こっちも少しホラーと戦う事になってたが、解決した」

 残された問題はほとんど解決した。
 彼らにとって、この殺し合いゲームの中で残すべきミッションはたった一つ──。



「ただ、お互い少し一疲れしたついでだ。そろそろ、このゲームに決着をつけよう」



 ────主催の打倒である。

 花咲つぼみ、響良牙、涼邑零。まだ未熟な子供であった彼らも強く成長する。
 プリキュア、仮面ライダー、魔戒騎士──それらが持つべき意思を、彼らは着実につかんでいた。


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