[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
パラレルワールド・バトルロワイアル part2
28
:
幻影と罰
◆qbc1IKAIXA
:2011/09/26(月) 20:05:11 ID:kmCFpsoc
殺される直前、南空ナオミは逃げる準備を整えていた。
結花を発見するまでに、ゾロアークの特性、イリュージョンを知ったのだ。
そしていざというときは自分に化けたゾロアークが引きつけているうちに逃げ出し、再起を図る。
口笛から連なる作戦は、最後の手段であった。
手持ちの戦闘道具を失うのは惜しいが、戦闘能力のある人物を三人相手取るのは分が悪い。
だから最後の手を使った。ナオミはポケモンを意志のない道具としか見ていないためだ。
それが、間違いであった。
ナオミはゾロアークの生い立ちを知らない。
Nに心を許すまで、特性『イリュージョン』により人に追い詰められ、傷ついてきた。
アカギたちによってモンスターボールに手を加えられなければ、ナオミはおろか、他の人間に心を許すはずがない。
だからこそ、自由を与えて敵をひきつけるように指示したのは、彼女の過ちだ。
ゾロアークは結花に追い詰められた振りをしながらも、巧みに攻撃位置を誘導していたのだ。
少しずつ、確実に、反意を抱いていると悟られず。
南空ナオミを殺すため、機会を伺っていた。
ゆえに結花の攻撃の間合いを測りながらも、限界まで引きつけてから跳んだのだ。
結果、結花の刃はナオミの首に届いた。
それを死ぬ直前、彼女は悟った。
だけど、ゾロアークを恨む心はなかった。
こうなって当然、裁きが下ったのだと納得したのだ。
デスノートに人の行動は操れても、心は操れない。
レイ・イワマツを殺された復讐に、関係ない月の恋人を巻き込んで、また六十人近くの人たちに犠牲を強いた。
結局そう考えが行き着いたのは、彼女の心が憎悪に染まった証拠である。
ゆえにこの結末は、キラは報いを受けるべきという彼女の理屈に照らし合わせると、必ずたどり着く答えだった。
今起こった現実の光景に、誰一人反応出来なかった。
確かに彼女は結花を殺そうとしたが、だからと言って殺すつもりはなかった。
どうして、という疑問が頭の中でぐるぐる回る。
『あのポケモンに注意をしてください!』
しゃべるステッキが何かを叫んでいる。意味が頭に入らない。
ボーっと見つめていると、黒い狼は灰の中から赤と白のボールを拾い、脱兎のごとく逃げ出していった。
誰も追いかけようとはしない。結花もどうすればいいかわからなかった。
『気にする必要はありません。これは不幸な事故です。あのポケモンが動いた先に人がいるなど、誰も判断が不可能な状況でした。
それに、殺害をあのポケモンが誘導している節が……』
「サファイア、そこまで」
『……申し訳ありません』
なぜステッキが謝るのか、結花はわからなかった。
人を殺したのは確かな事実なのに、ステッキは悪くないないのに。
「美遊……ちゃん? でしたか?」
「はい」
「園田さんに伝えてください。私に……殺されないようにしてください。探さないでください、と」
美遊は目を丸くした。冷静な印象だったが、意外と表情豊かのようだ。
「あなたたちも、私から離れてください。私は……私は、人殺しのバケモノですから……」
返事を聞かず、結花はその場から必死に離れた。
何も聞きたくない。見たくない。
『この会場に呼ばれた中で、“悪い人”を退治してきて欲しいんです』
意図せず、あの女性の言う通りに動いてしまった。
ただあの子を守りたい。自分を助けようとする子どもだけは、死なせてはいけない。
そう思っただけなのに、運命は許さなかった。
きっと無様な結末が汚れた怪物にはお似合いだろう。
結花は涙が流れているのも気づかず、ただ自分の知っている人たちから逃げ出した。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板