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小さい水泳部キャプテン-後編-

21ポロ:2011/04/12(火) 18:20:43
『写真Ⅱ』

「写真ばっか見てー。知らない人は無視するってか?」
「…あなた、誰なんですか」

少年はようやく返事をし、明己仁の顔を見た。
きれいな顔をしているけれど、顔の表情や声のトーンから、寂しそうな雰囲気をしているなと明己仁は思った。

「だからさっき言ったじゃん。今日退院する人だって」
「…俺に何か用ですか?」
「用?用ってわけではないけど、君は面白そうだなーって思ってな」
「…俺が面白そう?」
「そう。だって、松葉杖を使っている人が屋上にくるなんてなかなかいないよね。君こそ何でわざわざ屋上に?」
「…あなたには関係ありません。それより、写真を返して下さい」

明己仁にとって写真を返すことなんて構わなかった。
しかし彼は、不思議と目の前にいる少年をいじってみたいという衝動に駆られた。
どうしていじってみたくなったのか。それは少年が持っていた写真から『何か』を感じたためである。

「俺の質問に答えたら返してもいいよ?」
教師として自分と生徒との距離を少しでも縮めるよう心がけている明己仁にとって、
子供、しかも初めて会った少年に上から目線で話しかけることはそうそうあることではない。

「質問…ですか?」
「ああ。この写真に写っているもう一人の男は誰かな?」

明己仁は右手で写真を少年に見せながら、左手で写真に写っている少年を指差した。

「それは…俺の友達です」

少年は静かに答えた。頬を赤く染めながら。

「………」
「答えたから、写真、返して下さい」


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