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没SS投下スレ

1二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/11/25(木) 23:52:44 ID:???
色々な事情があって、本スレに投下することが不可能となった
作品は、ここで投下してください。

2二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:27:32 ID:Ic61QD7Q
時間がなくて予約さえもできないで書いたものです。
せっかく書いたのでこっちに投下してみようと思います。

剣崎、矢車、夏海、東条、擬態天道です。



E-4エリアにある病院。そこに男女4人がいた。
剣崎一真、矢車想、光夏海、そして東條悟。登場にいたっては先に戦いで気絶してしまい剣崎におぶられた状態であった。

「あ!剣崎さん、これ使いましょう!」
と、夏海が何かを見つけたのか指さして先を行く2人の足を止めさせた。
それは病院の一室に置かれていた担架であった。その意味に頷いた剣崎は負ぶっていた東條を担架に寝かせると少しだけ微笑みを取り戻した。

「…何か聞こえる…耳鳴りのような…」
突然、矢車が声を漏らした。それに対して剣崎も夏海も首を傾げて「え?」と聞き返すも本人は難しい顔をしたまま動かないままであった。

その刹那、ひと時の安息は破られた。

CLOUK UP

「「「!!??」」」
矢車にとって聞きなれた電子音。それが聞こえたかと思うと3人の身は一斉に病院内の壁に叩きつけられていた。

「ぐ…ぁ!!」
「うっ…」
あまりの衝撃に剣崎は口を切ったのか僅かに血を吐いて、夏海は痛みに悶絶といったところであった。担架に乗せられた東條は目覚めのまま放置されている。

「お前…っ!」
そうして矢車は襲撃者の正体を睨んで、既に立ち上がっていた。
マスクドライダーシステム。カブト。だが知っているカブトとは配色が異なる、目は黄金に輝き全身を漆黒に包んでいた。

「全部壊れちゃえ」
ダークカブトはそう言いながらにクナイガンを構えて4人へのとどめを刺そうと一歩踏み寄る。
だが、それにそのまま応じる3人ではない。各々に変身ツールを構えて反撃へと乗り出した。

3二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:28:21 ID:EpwDBbmc
「「「変身!」」」
矢車がホッパーゼクターを、剣崎がブレイバックルを、夏海がキバーラに手をかませて叫ぶ。そうして3人は仮面ライダーへと姿を変え――

「…何故だ」
――ることは無かった。3人が3人、人間の姿のままで呆然としていた。
大ショッカーによる連続戦闘への制限、それを初めて味わったのだ。しかし今はそれを解き明かしている場合ではない。
ここで変身できなければ戦えない、それはすなわち目の前の敵による攻撃を受けて、死ぬ運命を意味する。
当然、焦りが3人を襲うが、対してダークカブトは仮面の下でクスリと笑った気がした。

「終わりだね」
呆気ない。そう思考しながらにダークカブトは、まずは矢車の命から刈り取ろうと腰部の装置へと手を伸ばした。

その時だった。

『GAAAAAAAAAAAAAA!!』
「ッ!?」
病院の大窓より、院内を破壊しながら巨大な黒竜が現れてダークカブトに噛みついたのだった。
『GUOOOOOOOOOO!!』
ダークカブトを咥えこんだまま今度は病院を真上に浮上する黒龍。
1階から最上階へ。それはほんの一瞬、ぶち破っていった天井の穴から日が差し込む。そして呆気にとられたまま剣崎達の視線はその穴より黒龍に向いていた。

「なん…だ…こいつ!」
黒龍の口に咥えられたダークカブトは、強靭な顎の力で龍の牙が装甲砕いていくのが分かった。このままでは自身は噛み砕かれて龍の餌となってしまう。
今しがたまで4人の命を奪える状態にあったのに、一瞬で今度は自分が奪われる立場になってしまった。それもほとんど意味の分からない状態で。

4二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:28:39 ID:Ic61QD7Q
「ぐ…あぁぁぁああ!」
思考中の身に牙が食い込みミシミシと軋む音が鳴る。
クロックアップを使うか…しかし超高速の数秒で牙を引き抜き口を開き脱出が可能か…。だが、そこまで考えたダークカブトに更に牙が食い込んだ。同時にダークカブトは決断を下した。

PUT ON

『…?』
電子音が鳴りダークカブトを分厚い装甲が覆い直した。マスクドフォームと呼ばれるキャストオフ前の状態。ライダーフォームにスピードは劣るも防御力は段違いである。これで龍の噛み砕きを防ぐことにしたのだ。
この行動は正解であった。何故か噛み砕けない異物を感じてか黒龍は口をもどかしく動かすと、ついにはダークカブトはまるでごみのように吐き捨てた。

上空より、龍の口から放られたダークカブトは近くの平地に強く叩きつけられて更には何度も転がりやっとのことで動きを止めるのだった。
マスクドフォームは言え相当のダメージだったのか、そのまま変身は解けてしまい、擬態天道の姿を現してしまう。

「…ベルト…が…」
蓄積したダメージが目をかすませる。そんな中で擬態天道が見たのは己の腰に巻かれたライダーベルトが火花を散らしている光景。
故障した…それだけを確認して擬態天道は意識を遠のかせるのだった。

傷つき倒れ気を失った主を見て、ダークカブトゼクターは彼の周りを飛び回り続けていた。

・E-5道路
【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】気絶中。ダークカブトに二時間変身不能
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)故障中@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品(1〜3)、デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【思考・状況】
0:病院にいる参加者達を、全員殺す。
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
5:あの龍はいったい?
【備考】
※ 名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※ 参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。
※ ネガタロスの支給品を全て奪いました。

5二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:29:17 ID:Ic61QD7Q


「今のはいったい…」
剣崎は突然起こった出来事に呟いていた。
突如現れた龍は黒いライダーを咥えて飛翔していった。黒いライダーはどうなったのか、あの龍はいったいなんなのか。
「今の、たしか夢で見たことある気が…」
横では夏海が何かを思い出しながらに呟き。矢車は黙って天井の穴を睨んでいた。
だが次の瞬間、矢車は「来るぞ」とかったるしくも言って2人へ伝えた。

「GYAAAAAAAAA!!」
病院を破壊しながらに黒龍ドラグブラッガーは3人の目の前に舞い戻り矢車めがけて咆哮した。既に病院は半壊状態であり、3人と1人のいる場所ぐらいがまともな場所と言えていた。

戦慄を覚える剣崎、夏海、そして余裕なのかどうなのか動じない矢車。
そこへドラグブラッカーの咆哮は続く。

結論から言ってドラグブラッカーの狙いは始めから矢車であった。
現時点で契約者のデッキを持っているのは彼であり、彼とはパートナー関係にある。しかし、それは餌を与えられて初めて成立する関係。
いつから空腹なのかはわからないが与えらぬならば自ら喰らうまで、それが当たり前である。

そしてダークカブトは矢車を狙った進行上にいただけに過ぎない。
運が悪かった。言ってしまえばそれまでだが、それ以上のことは無い。

「俺を食う気か?地獄味だろうな」
「なに言ってるんですか!急いで逃げましょう!」
吠えるドラグブラッカーに問う矢車と、それに叫んで東條の乗った担架の取っ手を持つ夏海。剣崎は矢車の行動に何か作戦があるのかと考えるが、同時に東條の顔を見てハッと何かに気が付いた。

「夏海ちゃん!さっき東條から拾った、カードが入ったケースを!」
「え?あ、あぁ確かバッグの中に…」
剣崎の言葉に急いでデイバックを漁る夏海は、虎のマークの描かれたデッキを見つけると急ぎ剣崎へと渡した。

6二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:29:51 ID:Ic61QD7Q
「一か八か…――変身!!」
先ほどの戦いで彼が見せた変身方法をまね、カードデッキを割れたガラスに映して一声。その身に白虎の鎧を身にまとった。

『GAAAAAAAAA!!』
ドラグブラッカーの口に火炎が集まっていた。目標を焼き焦がしそのあとで食すつもりである。そうして今まさに炎が吐かれようとしたその瞬間、

「ヴェェエイ!」
『GYAAAO!』
タイガの持つ武器、斧型のバイザーが投げつけれてドラグブラッカーの右目を斬りつけた。刹那にあがる龍の咆哮は火炎を別方向に飛ばして矢車への攻撃を失わさせた。

「俺が食い止めます!早く逃げてください!」
吠えるドラグブラッカーの背中に飛び乗って、タイガは2人に告げる。
暴れまわる黒龍は首元にしがみつくタイガを振り下ろそうと体は上下左右へと動かして、更に病院を破壊していく。それに合わせて瓦礫は落ちて粉塵は舞う。

「早く!!」
その言葉を最後にタイガは上空に消え去ってしまった。
ドラグブラッカーが苛立ちを最高にして一気に飛翔したからである。

「う…!わぁあぁぁああああ!!」
仮面ライダーの状態であっても感じる、超常なるスピード。黒龍の背にしがみ付いたままのタイガは振り落とされまいと必死にしがみつくが、龍を治めるどころかなんとか踏ん張るだけが精一杯であった。
『GAAAAAAAAAAAAAAAAA!』
咆哮を上げてドラグブラッカーは飛翔を続ける。
既に病院は小さくなって、昼過ぎの世界を黒い旋風となって飛び回る。
右目を瞑り、痛みに怒りを覚えて首元にしがみ付く戦士をなんとか振り落とそうと暴れまわる。
そうして、一つの建築物に迫った。

「――まずい!!」
タイガが気が付いた時には、もうそれは目と鼻の先にあった。
333メートルを誇る電波塔。赤と白で彩られたシンボル、東京タワー。
特別展望台と呼ばれる個所は250メートルの位置にあった。
『GYAAAAA!!』
そこへ黒龍は背中から勢いよく突っ込んだ。

「ぐっ!…あぁあッ!!」
轟音なる衝撃音と破壊音が響き渡って、タイガは龍の背中より放られて特別展望台の中を凄まじいスピードで転がって更には向こう側の窓まで突き破った。

「こ…の!」
思考が追い付かない。落下寸前、咄嗟に斧を特別展望台であった場所の際に突き刺して、なんとか制止することに成功する。
しかし、斧にぶら下がって宙ぶらりんの状態は決して良いとは言えない。地上300メートルは無いにしろ、このまま落下すればいくら仮面ライダーといえど無事では済まない。

斧を握る手に一層力を込めて、上を見上げた。
特別展望台は、もはや8割は破壊されていた。そして同時に、そこより上の部分の鉄塔があちらへと倒れていた。
当然と言えば当然。間抜きでもされたが如く展望台であった位置を根に先端部が90度近く傾き、333メートルを誇った姿はもう無くなっていた。

今にも崩れそうなタワー上層。そして。

『GAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
「どうする…!」
宙ぶらりんの状態のタイガへと、狙いを定めるドラグブラッカーが吠えた。

・E-5 東京タワー特別展望台(地上250M)
【剣崎一真@仮面ライダー剣】
【時間軸】第40話終了後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、仮面ライダーブレイドに二時間変身不可 、仮面ライダータイガに変身中。
【装備】ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA〜6.9)@仮面ライダー剣 、カードデッキ(タイガ)
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
基本行動方針:人々を守り、大ショッカーを倒す。
1:この龍をなんとしなければ
2:今は夏海、矢車と共に行動する。二人から話を聞きたい。
3:橘朔也、相川始と合流したい。
4:何故、桐生さんが?……
5:Wとディケイドが殺し合いに否定的ならアイテムを渡したい。
6:龍騎の世界で行われているライダーバトルを止めたい。
【備考】
※龍騎の世界について大まかな情報を得ました。

7二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:30:28 ID:Ic61QD7Q


「……」
剣崎と黒龍が去ったあとの病院で矢車は、少しだけ思考すると瓦礫の上を歩きだした。その足取りは剣崎の消えた方角とは別方向。
「ちょっと矢車さん!剣崎さんを追いかけないんですか!?」
それに夏海は、担架に乗せた東條を瓦礫で足元が悪い中、一生懸命に運んでは言った。

「あいつが俺の求める光ならば失わることはないはずだ…それより…」
「は、はぁ…」
病院の外の道路にまで出て、矢車はあちこちとあたりを見渡した。
倒壊した病院、そしてその北西に広がる森と市街。

(あのライダー、どうして俺は狙った?)
そう矢車は心でつぶやいた。「あいつ」とは同じ世界出身のはずのダークカブトである。まだ変身者がそうと決まったわけではないが、ライダーシステムはザビーやキックホッパーと同じ、自分の世界のもののはずである。
そしてゼクターの資格者であるならば他世界の人間というのも考えにくい。
しかしそこで疑問が生まれる。同世界出身なら何故自分を狙う必要があるのか?

ルール上そんなことをしても何の意味がない。むしろ『カブトの世界』の敗退確立をあげるだけだ。

(…それが目的か?)
一度険しい顔を見せて矢車は息を吐いた。
ダークカブトの目的が自らの世界の破壊…言わば心中であるとすれば。
「地獄に落ちたいといったところか」
ぼそりと呟いて矢車はダークカブトが落ちたであろう個所へと歩き出した。

「また地獄とか言ってます…」
「顔はいいんだけど、性格が問題よね〜」
それを見てため息を漏らす夏海とキバーラであった。

・E-4 病院外
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】疲労(小)、弟たちを失った事による自己嫌悪、キックホッパーに二時間変身不可
【装備】ゼクトバックル+ホッパーゼクター@仮面ライダーカブト、カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
基本行動方針:弟を殺した大ショッカーを潰す。
1:剣崎一真、光夏海と行動するが、守る気はない。
2:あのライダー(ダークカブト)はなぜ自分を狙った?
3:殺し合いも戦いの褒美もどうでもいいが、大ショッカーは許さない。
4:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。

【光夏海@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダーキバーラに二時間変身不可
【装備】キバーラ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式×2、不明支給品(0〜4)、カードデッキ(タイガ)@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
基本行動方針:大ショッカーを倒し、皆と共に帰還する。
1:剣崎が心配、でも矢車ももっと心配。
2:剣崎からブレイドについての情報を聞きたい。
3:士、ユウスケ、大樹との合流。
4:おじいちゃんが心配。
5:キバーラに事情を説明する。
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※矢車にかつての士の姿を重ねています。
※矢車の名前しか知らないので、カブト世界の情報を知りません。
※大ショッカーに死神博士がいたことから、栄次郎が囚われの身になっていると考えています。
※キバーラは現状を把握していません。
※東條のデイバッグを預かりました。

【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】担架上で気絶中、疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダータイガに二時間変身不可
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本行動方針:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
1:……………………(気絶中)。
2:自分の世界の相手も犠牲にする。
3:ネガタロスの悪の組織を利用し、英雄になるのもいいかも。
4:基本的には病院で参加者を待ち伏せてから殺す(二階の廊下が気に入ってます)。
【備考】
※剣の世界について大まかな情報を得ました。


※ドラグブラッカーの狙いはあくまで矢車です。現状としては空腹であり、目の前のタイガ(剣崎)を狙っています。
※東京タワーは特別展望台(250M)が破壊され、先端部が90度折れ曲がっています。

8二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/03(月) 15:32:04 ID:Ic61QD7Q
以上です。

9 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:09:15 ID:BJ7qx07U
せっかく書いたのに無に帰してしまっては悲しいのでせめてここに自分の作品をここに投下しておきたいと思います。

10蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:10:06 ID:BJ7qx07U
D―8エリア。
この殺し合いの場に設けられた一つの建物であり、園崎若菜らの家、園崎鄭。
ここでは五人の戦士が身を休めていた。
そしてその中の一人であるフィリップは部屋の中央でこの場に連れてこられるまでの事を思い出していた。

△▽

『左翔太郎はもう使い物にならない、これからはあなたたち二人でWになりなさい』


オールドドーパントとの戦いで老人と化してしまった翔太郎を戦力外とし彼女、シュラウドは僕たち二人にそう言い放った。


『あなた、まだそんなことを…』


怒りのような、呆れたような感情で自分は言う。


『フィリップのパートナーは左以外有り得ない』


照井竜がそう続ける。


『それでは究極のWになれない』


その瞬間僕は自分の耳を疑った。


『究極のW?』


思わずそう聞き返す。


『サイクロンアクセルエクストリーム、そのパワーの源は強い憎しみ』


そう告げて彼女は立ち去った。
だが自分たちも憎しみの力が必要となる究極のWになる気は起きず…。


『見ておけシュラウド、俺はWではなく、仮面ライダー…アクセルだ!』


――トライアル!マキシマムドライブ!――

△▽

そうしてメモリは破壊され、翔太郎も元の姿に戻ることができた。
今も翔太郎以外の人間とWになる気は毛頭ないが、こんな戦場だ、もしかしたらということもありうる。

(いや、翔太郎も頑張っているはずだ、僕が諦めてどうする)

そうだ、あの時も自分たちは戻れたじゃないかいつもの平和な鳴海探偵事務所に。
しかしあの時、安心し安堵の言葉をもらした瞬間、ここに連れてこられたということである。
自分は何としてもあの事務所に帰らなければならない。
無論そのために人の命を奪うようなことはしない。
大ショッカーを倒し、皆で無事元の世界に帰るのだ。

そう強い決意を心に抱いた瞬間肩を叩かれた。

11蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:10:38 ID:BJ7qx07U
「フィリップ君、何か考え事?」

五代さんだ、その顔にあふれる笑顔は先程まであんなに激しい戦いをしていた者の物とは思えないほど輝いていた。

「えぇ、まぁ、それより五代さんの怪我の方は大丈夫なんですか?」
「うん、1,2時間寝たからね、もうぴんっぴんだよ」

陽気な動作を交えながら五代さんが言う。
だがフィリップは知っていた、あの戦いの傷が1,2時間休んだ程度で治らないことを。
そしてフィリップは知らなかった、五代雄介という人間の体内にはアマダムという古代のアイテムが埋めこまれていて、常人をはるかに超える回復力を誇ることを。
そんな時、他の部屋に何かないかと探しに行っていた海東さんと草加さんが帰ってきた。

「お疲れ様です、何か使えそうなものありました?」
「いいや、こんな広いお屋敷回って使えそうなものはこれだけさ」

ドンという音とともにテーブルに置かれるのは大きな救急箱。
その大きさからするとかなりいろんなものが入っていそうだ。

「よかった、これであの人治療できますね」

五代の言うあの人とは先程の戦いで倒れていた名も知らぬ青年である。
立ち上がろうとする五代に対し、

「雄介は休んでいて、僕が行ってきます」
「ありがとう、フィリップ君」

そう答え自分が立ちあがった。
『彼』は今自分たちがいる部屋とは違う部屋のベッドで寝かせられている。
そしてキィという音を立てながらドアを開き、中に入った。
そのままベッドに近づき毛布を剥ぐと突然頬を殴られた。

「おい、貴様は何者だ、デッキは…北岡はどうした」

起きていたのか、そう思う暇もなく彼は疑問をぶつけてきた。
デッキというものが何なのかはよく分からなかったが北岡というのは一緒にいた人間のことだろう。
それならば知っている、最も最悪の結果としてだが。
同伴者の死を聞いて彼がどんな反応を示すかは分からない、しかし言わなかったところで何か事が前進するわけでもない。

「デッキ…っていうのが何なのか分からないけど北岡は人物名だよね、だったら知ってるよ」
「…死んだか」
「彼は死…え?」

12蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:11:33 ID:BJ7qx07U

「まぁ、どっちが死んでも可笑しくなかったしな、それよりデッキはどうした」

そう淡々と答えるその男にフィリップは思わず身構える。
同伴者が死んだと知らされたのにここまで冷静にいられるというのは一種危ない人なのかとも思ってしまう。
しかしその時騒ぎを聞きつけてきたであろう草加さんがそこに立っていた。

「デッキっていうのはこれのことかなぁ?」

そう言う彼の手の内に収められているのは恐らく数枚のカードが入ったカードデッキ。

「それだ、早く返せ」
「駄目だ、君が信用に足る人物だと分かるまではこれは返せない、それとも俺たちと戦うかい?」

そう言いながら草加は挑戦的な眼差しで『彼』、秋山蓮を見ていた。
秋山からしても確かに自分がその立場ならそうしただろう。
デッキがない今、秋山はほぼ無力な人間だ。
無理に急いで返り討ちにあうのは目に見えていた。
故に彼がとった行動は。

「無理に戦う気はない」

状況は不利の為、戦う気は起きなかった。
しかし、全く持って戦う気がないわけはない、何としても自分の世界を優勝に導くため、今は演技を続ける。
隙を見出し、デッキを取り返せば、自分にも勝機がある。
そのためにも今は我慢だ。
この考えが今自分のデッキを持っている草加雅人と同じものとは彼はまだ知らない。

「そう、それはよかった、それより君の名前は何なのか聞いてもいいかな?」
「秋山…蓮」
「そうですか、それじゃ秋山さん向こうに僕の仲間がいるのでそちらに移動しましょうか」

言いながらフィリップはドアを開き移動した。
その背中を見ながら草加はデイパックの中の自分の支給品を確認する。
カイザドライバーについているのはブレイガンとカイザショット、中にカイザの武器の一つであるカイザポインターが入っていなかったが恐らく大ショッカーが仕組んだのだろうと考え別段気にしていない。
だが今はそれを特筆するべきではない。
彼が気にしているのはカイザドライバーとは違う白いドライバー。
白、といっても彼の知っているデルタドライバーではない。

(これは何だ?スマートブレイン製のベルトは三つしかなかったんじゃ?)

彼の知らない『555の世界』で彼、草加雅人を葬ったサイガのベルト、それが彼に支給されたものだった。
しかし、そんなことこの草加雅人は知らない。
だが、己の力になるならば細かいことは考えずその力を利用させてもらうだけ、『555の世界』を、真理を救うために。

(待っていてくれ真理、今に君を救うから)

歪んだ考えのまま、草加雅人は行く。
他世界の人間を殺すための演技を続けるために。

13蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:12:20 ID:BJ7qx07U


「やぁこんにちは秋山君、歓迎するよ」

そう言い、大袈裟な動作で新しい仲間である彼、秋山蓮を迎え入れながら海東は思考していた。
先程の戦いのときに感じた一種の違和感。
この屋敷に来てから自分の持っているカードを確かめていると、なんとカメンライドのカードがディエンドの物しかなかったのだ。
それにアタックライドのカードもイリュージョン、インビジブルの物がなく明らかに不足していた。
さっきの戦いを見ても分かる通りカメンライド、及びインビジブルのカードがなければ彼、仮面ライダーディエンドの能力はほとんど失われたと考えていい。

(まぁでもここに来て少し取り戻せたからよしとするか)

そう、先程秋山をベッドに運ぶ際一瞬彼を触る機会があった。
その瞬間彼は磨き抜かれた盗みのテクニックで誰にも気付かれることなく秋山のデイパックから数枚のカードを抜きとった。
しかし安心してほしい、彼が盗んだのは元々自分の物であるライダーカードである。

(どうやら、キバの世界のライダーのカードセットみたいだね)

そう、彼が取り戻したのはキバの世界のライダー達の力が込められたカードだったのだ。
サガ、イクサ、レイの3枚。
これだけあれば次の戦闘時には手数には困らないだろう。
そんなことを考えつつ支給品を頂戴したことも知らせずに笑顔で秋山を迎える世界の大泥棒、海東大樹の姿がそこにあった。



「それじゃ、秋山さんも起きたことですし、この屋敷から離れましょうか」

フィリップは少し暗くなり始めた空を見ながらそう言った。
確かにここにいれば雨や寒さを凌げるがそこを敵に襲われれば外よりも対応が鈍くなる。
しかし、そんな時だった。

「ごめんね、どうもこのお屋敷は怪しい気がするんだ、僕はまだここで探検ごっこでもさせてもらおうかな」

そう言いながら部屋を出ていく海東さんの言葉にフィリップは何かを感じた。
言い知れない感覚、もしかしたら海東さんの言う怪しい気というのがもし園崎来人に関することであるならば、そう思った瞬間彼は海東を追いかけていた。
人が自分以外に二人という状況は草加にとってうってつけの状況だったが、五代雄介という人間の力の大きさからして、真正面から当たっても敗北するのが落ちだろう。
それならば先程の戦い以上の激しい戦いで傷ついた時まで待って、その時に殺せばいい、そう考え、草加は思考をやめた。
そして部屋には五代と草加と秋山だけが残り部屋には沈黙が続いた。

【1日目 夕方】
【D―8 園崎邸】

【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話終了後
【状態】健康
【装備】アマダム@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考・状況】
0:フィリップ君たちを待つ。
1:人々の笑顔を守る。
2:みんなと共に行動する。
3:一条さんと合流したい。
4:仮面ライダーとは何だろう?
【備考】
※支給品はまだ確認していません

14蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:13:06 ID:BJ7qx07U
【草加雅人@仮面ライダー555】
【時間軸】原作中盤以降
【状態】健康、
【装備】カイザドライバー@仮面ライダー555、カイザブレイガン@仮面ライダー555、カイザショット@仮面ライダー555、サイガドライバー@劇場版 仮面ライダー555パラダイスロスト、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、首輪(北岡)、不明支給品1
【思考・状況】
1:真理の居る世界を守る為に、555の世界を優勝させる。
2:勝ち残る為にも今は演技を続けるが、隙があれば異世界の参加者は殺す。
3:真理を殺した奴を見付け出し、この手で殺す。
4:出来る限り、戦いは他の奴に任せる。
5:蓮を警戒。
【備考】
※オルフェノクの記号が強いため、カイザ及びサイガに変身できるようです。

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】第34話終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:デッキを返してもらうため今は演技をする。
2:自分の世界のために他世界の人間を倒す。
3:協力できるなら、同じ世界の人間と協力したい。
4:同じ世界の人間を捜す(城戸優先)。浅倉とは会いたくない。
5:協力者と決着をつけるのは元の世界に帰ってから。
【備考】
※ サバイブのカードは没収されています(蓮は気づいていない)。

15蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:14:25 ID:BJ7qx07U


「ここだ、やっぱりこの屋敷、危ない感じがするね」

隠し扉を開け、エレベーターが自分たちの前に姿を現す。
正直言って恐ろしかったが、ここまで来て後戻りはできないと覚悟を決め、エレベーターに乗り込む。
一つしかないボタンを押し、エレベータはそのまま地下に止まった。
そこには、暗い洞窟が広がっていた。
そして、その洞窟の中央にある緑色の井戸のようなものを見た瞬間、フィリップの脳裏に一つのビジョンが蘇ってきた。

――12年前、幼い自分が足を滑らせあの井戸に落ち死んだこと――
――その後自分は地球に選ばれ生き返ったこと――
――そして園崎来人としての全ての記憶――

「僕は、僕は死んでたんだ…」

それらすべてを思い出した時、彼は両膝を地面に落とし、泣き続けた。
海東はそれをずっと見つめていた。
彼が泣きやむまでずっと。
しかし、自分の驚くべき真実を知ってしまったフィリップが立ち直るのは、また別の話。

【海東大樹@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】最終話終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)
【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド、カメンライドカードセット(キバ)@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
【思考・状況】
0:お宝を守る。
1:殺し合いに乗った奴の邪魔をする。
2:五代雄介、草加雅人、フィリップ、秋山蓮と共に行動
3:五代雄介の知り合いと合流
4:知らない世界はまだあるようだ
5:蓮を警戒
【備考】
※クウガの世界が別にあることを知りました。
※カメンライドカードセットの中身はカメンライドレイ、イクサ、サガ(全てディエンド用)です。

【フィリップ@仮面ライダーW】
【時間軸】本編第44話終了後
【状態】健康 、深い悲しみ
【装備】無し
【道具】支給品一式、ファングメモリ@仮面ライダーW、バットショット@仮面ライダーW、ダブルドライバー+ガイアメモリ(サイクロン)@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:僕は死んでたんだ…。
2:翔太郎以外とWになることは考えたくない。
3:大ショッカーは信用しない。
4:出来ればここに居る皆と情報を交換したい。
5:草加雅人は完全に信用しない方が良い。
6:真理を殺したのは白い化け物。
【備考】
※支給品の最後の一つはダブルドライバーでした。
※バットショットにアルビノジョーカーの鮮明な画像を保存しています。

16 ◆JOKER/0r3g:2019/06/17(月) 01:21:03 ID:zG4uDh22
今回は、拙作『夢に踊れ』にてどうしても書きたかったので勢いで書いた後、どうしても流れとして上手くいかず没になった真司に「目を閉じて」って言った後のパートの霧島美穂目線のものを投下しようと思います。
個人的にはこちらも踏まえた上で本編を読んで貰うとどういう場面なのか分かりやすくなると思うので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。
場面で言うと、本スレの840から841の間くらいの間のところです。次から投下します。

17 ◆JOKER/0r3g:2019/06/17(月) 01:21:35 ID:zG4uDh22
「真司」
「なんだよ」
「ふふ……呼んでみただけ」

呼ばれて前を向いた真司の顔は、僅かながら先ほどまでとは違う困惑を孕んでいる。
無理もない、こんな美女と二人きり、こんな暗闇の中でこんだけ顔が近ければ、誰であろうと一抹の希望は持ってしかるべきだろう。
なんならその先まで可能性を感じているとしても、何も不思議ではない。

というかその方が健全だ。そうだ、じゃあいっそのこと思い切っちゃって――。

(なーんて、ないか)

少々自分の思考が暴走気味だったかと、美穂は自嘲気味に笑う。
目の前には未だポカンとしたままの真司の姿。
最後くらい、ちょっとくらい自分に正直になっても許されるだろうか。

「真司、ちょっと目、瞑ってくれる?」
「え、なんで……」
「いいから」

美穂の強引に押し切るような言葉に、真司は渋々目を瞑る。
何だかホントに、渋々って感じだ。
今まで騙してきた男たちにあった、下品な期待に鼻の下を伸ばすような様子は、彼には微塵も見られない。

(……なんてのは、私の色眼鏡かもしれないけどさ)

こんなの慣れっこのはずなのに、何だか無性に恥ずかしい。
目の前に、訝しげな顔をして目を瞑っている男の顔があれば、その隙に財布を盗むのが、自身の常だというのに。
どうにも引っ込みがつかなくなった美穂は、そのまま真司の顔に自身の顔を近づけて――。



――ピシッ

彼のおでこに、その中指でデコピンをした。

「痛っ」
「なーに期待してんの。変態」
「変態ってなんだよ変態って!お前が目瞑れって言ったんだろ!」

ホントとんだ悪女だな、とむすくれる真司をみやりながら、美穂は誤魔化すように笑う。
誤魔化す対象が真司なのか、それとも自分自身の気持ちなのかは、正直わからなかったけれど。
それでも、なんだかこれはこれで自分らしいかと、美穂はそう結論づけた。

思考を終えた美穂の身体は、小さく、しかし強く光る粒子になって辺りを照らしていく。
その光に包まれて、思わずその眩しさに目を覆った真司。
そんな中でも必死に美穂の手を掴もうと、彼は我武者羅にその手を伸ばしていた。

だが美穂は、その手を取ることはしない。
闇から離れ、急速に光の中に浮上する彼に対して、彼女は今度こそ嘘ではない素直な笑みを浮かべて。

「真司。今度からは靴紐……ちゃんと結べよな」
「霧島ぁぁぁぁぁぁ!!!」


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