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令和ジャンプキャラ・バトルロワイアル

93終わりの始まり ◆UbXiS6g9Mc:2022/01/03(月) 00:28:59 ID:wGipOzKA0
「巫山戯るな、何様のつもりだ……!」

見えない力で椅子に縛り付けられてた身体を、それを更に超える膂力で無理矢理に引き剥がす。
二つの巨大な力に挟まれる形となった肉と骨が、およそ生物が出してはいけない異音を軋ませ、爆ぜる寸前まで膨張する。

「私に指図をするだと? どこのガラクタかは知らんが……ただですむと思うなよ」

人間を超越した種、鬼の首魁として最強最悪の力を持っていた鬼舞辻無惨。
彼がひとたび腕を振るえば、人間は紙屑のように肉塊へと姿を変えた。
膨張し変化した無惨の肉と骨は異形の牙と爪となり、向かう先は円卓の中央に浮かぶ黙示録。
破壊という概念がそのまま物理化したかのような無惨の攻撃は――しかし、黙示録に届くことはなかった。
参加者たちを椅子に縛り付けていた見えない力と同種か、或いは更に強い力によって、黙示録の周囲には不可視の防壁が築かれていた。

「おいおい、話の途中に行儀が悪いぜ! まぁ丁度いいさ、今から説明しようとしてたところだ。
 優しい優しいオレから――鬼の皆さんへのプレゼントだ!!」

黙示録の声と同時に、一筋の光が鬼舞辻無惨を照らした。瞬間、無惨の全身を耐え難い苦痛が襲う。
地獄の業火で灼かれて爛れた傷口に、苦しみを与えるためだけに作られた薬物を塗り込められたような、筆舌に尽くしがたい苦しみ。

「ぐぅ、ぅぅう!? この光は……忌々しい……! がぁぁぁぁっ!!」

人間を超越した鬼が、唯一恐れるもの――それが太陽。陽の光だ。暖かな陽光が、鬼舞辻無惨の全身を包んでいた。
だが――本来ならば。太陽の光に包まれた鬼は、苦痛を感じる暇すらなく一瞬で塵になるはずだ。鬼舞辻無惨とて例外ではない。
だからこそ無惨は太陽を克服するために、数百年の歳月をかけてその術を探していたのだから。
憤怒の表情を浮かべながら悶え苦しむ無惨の姿を見て、黙示録はより一層口角を上げて言葉を続ける。

「今からオメーらが殺し合う場所にも、太陽と月がある。当然、朝も昼も夜も存在する。
 だがオメーらの中には太陽の下じゃあ即座にオダブツって連中もいる――だけどそれじゃあ、殺し合いには不向きすぎる。
 だから会場の太陽には理(ルール)を追加した……よかったなぁ鬼さんども! これで真っ昼間からお外で鬼ごっこも出来るぜ!
 ま、死ぬほど痛ぇーだろうけどな! ギャハハハハハ!!」

黙示録のしゃがれた笑い声と鬼舞辻無惨の苦悶の叫びが響く、異様な空間。
他の参加者の誰も、口を挟めずにいた。
いや、いつしか――彼らを縛る見えない力はより強大となり、身動きどころか声一つ発することすら出来なくなっていた。

「最後に今回のクエストの『報酬』と『罰』を発表する!
 最後の一人になった参加者の『報酬』は――「望む世界」!
 金だろうが力だろうがなんだろうが……望むものが全て在る世界へ御招待だ!!」

「だが……もしもこのクエストが達成されなかった場合には、『罰』がある。
 期限は三日。それまでに最後の一人が決まらないようなら……」

「『罰』として、会場に【太陽(サン)】を追加する」

その言葉が指す現象を、即座にイメージできる参加者はいなかった。
しかしそれが、絶対の「死」をもたらす何かであろうことは、その場の誰もが理解していた。

「それじゃ……課題開始(クエストスタート)だ」

一人、また一人と参加者たちは円卓から姿を消していく。
これより始まる殺戮遊戯、生き残るのは唯一人――或いは、ゼロ。
これが終わりの、始まりだった。


【進行役 黙示録(アポカリプス)@アンデッドアンラック】


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