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都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……代理投下スレ

90本の虫:2011/10/08(土) 21:57:05

「ねえ、私、きれい?」
「悪いけどあんまり好みじゃないなぁ。君、本とか読んでなさそうな顔してるもの。」

 夜の路上、本屋帰りと思わしき袋を携えた青年はさらりと応える。

「そう……あんたも私の顔を醜いっていうんだ……。そんな奴……殺してしまおう。」

 すらり、とどこからか鎌を取り出して、マスクを外した口裂け女は青年を睨む。

「それは困るなぁ。まだ読みたい本がいっぱいあるんだ。」

 その言葉と同時に、青年の体に墨文字のような模様が浮かび上がる。
 それは青年の体表の上をぞわぞわと蠢き、まるで無数の虫が這っている様にも見えた。

「おいで、僕の『紙魚』たち。食事の時間だ、いっぱいお食べ。」

 青年の言葉を契機に紙魚と呼ばれた墨文字たちが地面に流れ落ち、一斉に口裂け女へと向かっていった。

「虫を操るなんて悪趣味な……近寄るな気持ち悪い!」

 口裂け女は地面を薙いで紙魚を払い、足元に近づいた紙魚を踏み潰す。
 それだけで紙魚は水に濡れたインクのように、地面で、あるいは空中で滲んで消えた。

「何だ……?随分と弱い都市伝説だな。」
「乱暴にしないでくれよ。彼らはとても脆いんだから。」
「そんなもので私を止められるとでも?……切り殺す。」

 相手の都市伝説は大した力を持たないと踏んだ口裂け女は無数の紙魚を踏み潰しつつ、100m3秒の俊足をもって青年に肉薄する。
 そして手に持っていた鎌を青年の胴体目掛けて水平に振るった。

 だが、口裂け女の鎌は青年の胴体を切り裂かなかった。
 その手に握り締めていた鎌が、いつの間にか消えうせていたのだ。
 代わりに口裂け女の体、本人からは見えない位置では無数の墨文字……紙魚が蠢いていた。


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