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都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……代理投下スレ

621凍れる悪魔と燃える魔人  ◆nBXmJajMvU:2016/11/04(金) 01:47:20 ID:3bEjpm5s
 ひやり、と辺りの空気が冷え込んでいる
 その事実を気にした様子もなく、その男は思案していた
 悪魔としての本性を表には出していないものの、その男がこの場にいると言うただそれだけで、空気が冷え込む
 こうして能力が漏れ出しているのは、思考の海に沈んでいるせいなのかもしれない

(さて、どうするか……)

 軽く首を振ると、ぱきぱきと空気中の水分が凍りつく音がした
 じわりと染み出す力の余波で生まれた小さな氷の結晶は、すぐに空気中に溶けて消える

(試合ではつまらない雑魚にあたったが、他に面白い奴はいたな。これからどう動くか、楽しませてもらうか)

 彼、メルセデスは悪魔である正体がバレた今も、様々な裏取引の結果「教会」にとどまり続けている
 メルセデス自身、「教会」に所属したままの方が自分にとって都合よく動けるのか、そのまま所属し続けているのだ
 故に、今の彼は(一応)「バビロンの大淫婦」の捜索自体は真面目にやっていた
 今回の戦技披露会への参加も、「バビロンの大淫婦」絡みの契約者がいないかの確認が主な目的である
 自分の対戦相手を含め、今まで試合に参加していた者逹。そして観客席にいる連中からは、「バビロンの大淫婦」の気配は一切、なかった
 ようは本来の仕事に関してはハズレだ
 その代わり、見つけた「面白い」もの
 この情報をどう活かすか、考え込んでいた時だった

「あぁ、居やがった」
「あ゛?……お前か」

 声をかけながら近づいてくる気配に、メルセデスは小さく舌打ちする
 …辺りの気温が、平常通りに戻る
 メルセデスから溢れ出ている冷気の影響が消えた訳ではない
 近づいてくるその人物の周囲が、ほのかに温かいのだ

「よぉ、氷野郎」
「よぅ、暖房野郎」

 「首塚」側近組筆頭。「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者。日景 翼
 能力的に相性が悪いはずのその男が、睨みつけるような表情を浮かべながら近づいてくる様子に、メルセデスは楽しげに笑った



 正直なところ、翼としてはこの凍れる悪魔の事は苦手だ
 セシリアと結婚した事で年上の義弟となったカラミティは随分懐いているらしいが、翼にとっては「厄介な相手」以外の何物でもない
 今も、何か面白い玩具でも見つけたような表情を浮かべてきている

「俺に何か用か?」
「あぁ、「狐」絡みの件でな」
「………「狐」、ねぇ?「教会」は「狐」関連はほぼ動いちゃいねぇんだ。俺は情報らしい情報は持っていないぜ?」

 残念だったな、と肩をすくめてくるメルセデス
 そんな彼に翼は疑いの眼差しを向けた

「おぉ、怖い怖い。こっちとしては現状、「狐」サイドから直接ちょっかいかけられてもいないからな。そっち絡みは積極的に動けないんだよ」
「ヨーロッパの方で「アヴァロン」に「狐」辛みのやつが侵入仕掛けたんだろ?ありゃ、「教会」にとっても問題なんじゃねぇのか?」
「表向き、「関係ない事になっている」。直接命令がこないかぎりは、積極的に動く理由にならねぇな」
「「教会」としては、か。じゃあ、お前個人としては?」

 「狐」絡みで、この男は何か知っている
 翼はそう確信していた
 メルセデス当人の性格を考えると「狐」に加担していると言う事はないだろうが、何かしら情報を掴んでいるのは確かなのだ

(「教会」本部から、何か資料を取り寄せてたっつーし……ちょっとでも、何か聞き出せれば、と思ったんだが)

 …自分では、少し聞き出すには難しいかもしれない
 メルセデスに気づかれぬよう、翼は小さく、舌打ちした





to be … ?


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