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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】

179名無しのスタンド使い:2024/07/23(火) 21:35:25 ID:0oRmKek.0
【課題名】
 >>64 人類最後の極楽浄土
【使用オリスタ】
 No.7098 サムライドライブ
【解答】

 盛夏の炎天下、蝉が奏でる共鳴の調べは、軽快な排気音に突き破られる。

 都会から隔絶された片田舎の険しい山道、ライトグリーンのバイク『カワサキ・ニンジャ』は、ろくに整備されていないひび割れたアスファルトの上だろうとお構いなく、爽快に疾駆しながら風を切る。

 そんなバイクを駆る女性ライダーは、大和撫子という言葉が自然に過る優美な顔立ちを晒したまま、当然のようにヘルメットを被らず、艶やかな黒い長髪を風に靡かせて、当然のように日本刀を帯刀している……それもおまけに七本も。

 犯罪上等・パンク精神を地で行く七刀流のラストサムライ・ライダー・レディ………………属性過多とボケ(?)の渋滞で何からつっこんでいいか分からないが、ツッコミ不在の暴走は思わぬ形で止められる。

 悪路に潜む撒菱が、高速回転するバイクの前輪を貫くと、ハンドルが大きく右に逸れる。女性は咄嗟に手を離し、人間離れした軽やかな身のこなしで緊急離脱するが、バランスが崩れたバイクは凄まじい勢いで転倒、道路を滑り大樹に激突して見るも無惨に大破してしまった。

 ここまでやってきた移動手段を失ってしまった女性だが、動揺したり慌てふためく様子もなく、涼しい顔のまま山道を歩き続ける。伊達や酔狂でこんな格好している訳ではなく、優美な容姿に潜む眼差しは刀剣の如く、美麗でありながら鋭利な切れ味を忍ばせている。

 それからどれくらい歩いたかは彼女にしか分からないが、空が茜色に染まりかける頃、女性は優雅な面持ちのまま移動し続け、山奥の寂れた集落に行き着いた。

 古めかしい茅葺の木造建築が散見し、時代に取り残された年寄りが寄り添う限界集落のように見えるが………………その実態は中身を食い潰した虫がウジャウジャ蠢く果実の成れの果て。

 木造の簡素な作りの火の見櫓から喧しい警鐘が打ち鳴らされたかと思えば、全身を農薬散布用の防護服で固め、刃先に炎を灯した槍と猟銃で武装する住民(?)たちが、どこからともなくゾロゾロと湧いて出てきた。

 これはひょっとしてドッキリ企画か何かと疑いたくなる異常な光景だが……集落に足を踏み入れた女性も女性で、やはりどこかズレており「あのぉ、喉が渇いてカラカラなんです。もしよければ水をいただけませんか?」とマイペースな交渉を仕掛けてくる。

 住民(?)たちは顔を見合わせて少しだけ困惑するが、こちらはこちらで、すぐに自らが掲げる身勝手な主張を展開する。

「ここは人類最後の安息地ッ!コロナウィルスにより全人類がゾンビ化した昨今、村に勝手に入り込み病原菌を撒き散らす余所者の存在は断じて許されないッ!!汚物は即刻消毒ッ!!消毒ッ!!」

 この集落はコロナ禍の際、ワクチンを危険視した者たちが押し掛けて形成された地獄みたいなコミュニティである。電波の届かない世間から隔絶された辺境の地で、拗らせた妄想を糞で煮詰めたかのように熟成させており、今では部外者を一切寄せ付けない特級呪物クラスのアルミホイル案件と化している。

 元々いた住民たちがどうなったかは定かではないが……この愚劣で狂暴な征服者(コンキスタドール)の振る舞いを見れば推し量れるだろう。

「「「「「「消毒ッ!!消毒ッ!!消毒ッ!!消毒ッ!!消毒ッ!!」」」」」」

 狂人たちは隊列を組みながら一様に同じ掛け声を繰り返しながら、たった一人の女性を威圧してなぶり殺そうとするが………………令和の時代に日本刀を七本も帯刀して持ち歩く女も大概まともではない。

「あらあら……随分と物騒ね。貴方たちは『覚悟して来ている人』ですか?人に凶器を向けるということは、逆に自分たちも凶器を突き立てられるかもしれないという危険を常に『覚悟して来て』いますか?」

「黙れ!聖域に穢れたウィルスを撒き散らすな!今すぐ殺してやるッ!!」

「ふーん、そうか、そうか、つまり貴方たちはそういう人たちなんですね……よかった」

 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、そんな優美な女性がニッコリと朗らかな笑みを浮かべたかと思えば―――刹那、帯刀している刀を一本、超高速で居合抜き、その勢いのままに投擲、虚空に弧を描きながら投げ飛ばされた刀は前列にいた狂人の首を真横一文字にはね跳ばす。さらに、それだけでは止まらず、後続で猟銃を構えていた者の頭部を半分引き裂いた状態でようやく静止する。

 狂人たちは何が起こったのか理解できず戸惑う最中、女性は容赦なく刀の投擲を繰り返す。二本、三本、四本……見た目からはとても想像できない圧倒的な膂力にものを言わせて、目前の隊列を瞬く間に引き裂いていく。


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