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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】

163名無しのスタンド使い:2024/05/14(火) 21:36:55 ID:rztmwYXo0
「皆さん、パープルヘイズ・ウィルスを内包した標本はここにあるのは間違いないようです。事前の打ち合わせ通り、事に当たりま――――――」

 ボスが現場に集結してくれた幹部や構成員たちと向き合う最中、事態は一切の容赦なく動き出す。

 閑散とした館内にドサリと何かが倒れるような鈍い音がしたかと思えば、来場者の女性が床に倒れ伏している。

 たまたま近くにいた警備員が異常を察知して、即座に女性の元に駆け寄ろうとするが……女性を介抱する間も、触れる間も無く、警備員は全身がトマトの缶詰めみたくグジュグジュに崩れ、煙を噴き出しながら跡形もなく蒸発してしまった。

 獰猛な殺人ウィルスの正体を知る者は一様に冷や汗をかきやがら身構える。『パープルヘイズ・ウィルス』……元々はイタリア全域を活動領域とするギャング組織『パッショーネ』に所属するスタンド使いの能力由来する殺人ウィルスだ。

 どのような経緯・ルートで入手したかは定かではないが、この博物館内にはそのウィルスを培養して増殖・改良を重ねて細菌兵器化されたものが、標本内部に仕込まれており……その封印は何の前触れもなく解き放たれてしまったらしい。

 オリジナルのウィルスは光に極端に弱く室内ライト程度の光に数十秒程度当てれば完全に死滅するが、改良版の細菌兵器もそうとは限らない。

 蒸発した死体を食らいつくしたウィルスは空気中に飛散し、新たな餌を貪り喰おうとするが……『アンカー』のボスはみすみすパンデミックの発生を赦さず、誰よりも速く先に動き出す。

「ウォー・ペイント」

 ボスの真横に画家のようなマークが刻まれている人型スタンドが並び立つと、神憑り的な速度で床一面に絵画を描く。

 それはボスを含めてこの場にいる『アンカー』のメンバーを描いた肖像画だ。その周囲にはドロドロに熔け崩れる死体のようものが描写されるが、『アンカー』のメンバーは誰一人欠ける事なく不変のまま。

〈ウォー・ペイント〉はスタンドが描いた人間の絵を見たモノの内、描かれた絵となんらかの共通点を持つ人間を絵と同じ状態にしてしまう。

 今回は特定の個人を明確に描き、実際にウィルスの脅威を目視出来た事により能力の精度・パワーは高まり、パープルヘイズ・ウィルスすら無効化するにまで至った。

 しかし、それだけでは根本的な解決までには至らない。ボスを一人だけの力ではパープルヘイズ・ウィルスを抹消することは叶わない。どんなに強力なスタンド使いも一人できる事はたかが知れている。だからこそ彼女たちは……『アンカー』は自分が出来ない事を補うために群れる。

「俺の出番だな」

 ウィルスに耐性を得た『アンカー』構成員の男性は、女性と警備員がいた場所に一切恐れる事なく足を踏み入れる。その付近には人体の輪切りの断面図が展示されており、恐らくあれが感染源だ。

 男は失った両腕の付け根から発現したスタンド能力〈ディスポーザブル・ヒーローズ〉で、最新の対吸血鬼用紫外線照射装置を取り込み、義手に作り替えていた。スタンド能力故にそのトリガーは彼の意思一つで反応し、周囲一帯に目映い光線が降り注ぎ、館内に広がりつつあった細菌兵器は滅菌していく。

 館内に残るその他の来場者は、チョウチンアンコウのように頭から提灯がぶら下がっている人型スタンドと共に並び歩く紳士的な男が、声をかけて誘導し……まとまったところで小一時間程意識を奪い記憶を消失させる閃光弾を解き放つスタンド能力〈ディフィカルト・アート〉を発動して、事件そのものを揉み消してしまう。

「アッハッハッハッハッハ、やはり私たちの出る幕はありませんでしたねぇ」

 何でも笑い飛ばせばいいと思っていそうな飄々とした幹部はボスの隣でいつものように笑っている。山場を越えた安堵の気持ちから、ボスも思わず笑みをこぼしながら一言だけ呟く。

「備えあれば憂いなしよ」


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