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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】

161名無しのスタンド使い:2024/04/30(火) 21:37:31 ID:T2Lf3QQ20
「ここならサイズの差はハンデにならない。むしろ…不利なのはそちら…」

 先に入ってきた男がそんな事を言い出したかと思えば………………

 ドン!!!!

 圧倒的な超暴力が炸裂する!大男の拳が巨漢の口元を殴り付けたのを皮切りに、続けざまに繰り出したアッパーカットで頭部を天井に打ち付け、ハンマーのように振り回す肘打ちの連打で巨漢の体勢を崩すと、後頭部を両手で押さえつけて……失神KOを狙った怒涛の膝蹴りをお見舞いする。その暴れっぷりは凄まじく、極小のリングボックスは大男の暴力の余波を受けて文字通り震え上がっていた。

「きゃああああああああああああああ!!??」

 この息のつまる至近距離で大暴れされては、例え暴力が自分に向けられていなくても恐怖を感じる。寧ろとばっちりがいつ自分に飛んできてもおかしくない抜き差しならない状況だ。しょう子は必死に身を屈めて身を守る他ない。

 大男の一方的な展開が続くが、巨漢も未だに不沈艦の如く立ち続けている。渾身の力を込めた拳を解き放てば……大男の顔面を真横に掠めて、電話ボックスの強化ガラスを軽々突貫してみせたのだ。

 剛力任せの規格外な一撃に大男は驚愕の表情を浮かべ、勢いづいていた連撃の手が思わず止まる。巨漢はあれだけ激しい暴力を受けたにも関わらず、鼻血を流しているだけで顔色一つ変えずに大男を無機質に凝視する。その眼差しにつられて大男も巨漢を睨み付けて………………互いにガンを飛ばしていると、最強の頂を目指す雄たちは今まで感じたことのない感情に襲われた。



『目と目が逢う瞬間に〜♪』



 脳内に未だかつて聴いた事のない若い女性の歌声が溢れだしかのような錯覚に陥る。謎の現象に理解が追い付かず、あれだけ暴虐の限り躍動していた肉体は壊れたように静止して………………何故か互いに頬を赤らめていた!それはまるで初恋でもした生娘のように!?

 そんな異常事態という名の絶好の隙をしょう子は見逃さず、四つん這いの姿勢で、そろりそろりと大男たちの股下をすり抜けて電話ボックスから脱出してみせた。

 相変わらず雄たちは事態が飲み込めずフリーズしたまま、その様子を外から眺めるしょう子は、雨にも濡れることも忘れて、自分の手の内に宿る不思議な力に戦慄する。

「スゴいね……ラブ・ジス・モーメント」

 巨漢が電話ボックスの強化ガラスを拳骨一発でぶち抜いた一瞬の隙に、しょう子は羽根の部分がハートの形になった、ピンクのダーツの矢……装備型スタンド〈ラブ・ジス・モーメント〉を両者に射し込み、『一目惚れ』を誘発させ、持続させる毒を打ち込んでみせたのだ。

 暴力の応酬を繰り広げていた雄たちは、目の前の雄に一目惚れしてしまった自身の感情を理解できず、どうして良いかわからず初そうに戸惑っているのだ。

 汗臭い筋肉達磨たちの相思相愛未満の尊い関係性……なり初めの瞬間を垣間見たしょう子は、涙ぐみながら「…美しい」と呟く。それはまるでこれ以上の芸術作品は存在し得ないと言いたげに……

 しかし、その続きまでは現実に求めていない。

 しょう子は推しのグッズがつまったエコバックを濡れないように抱えると、しっぽりとお楽しみを始めそうな良い雰囲気の二人に背を向けて、自分だけの深き闇の幻想の元へ帰る(※自宅です)


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