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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】

157名無しのスタンド使い:2024/04/16(火) 21:38:43 ID:1XjJhfls0
【課題名】
>>47
近海漁業初日
【使用オリスタ】
No.No.8853 ウェアー・ブルー・イズ
【解答】
 
 真夏の熱気も潮風と共に吹き抜ける小さな漁港、港内には漁師や釣り人のお裾分けを狙う人懐っこい野良猫たちが住み着いており、余所者だろうとお構い無く歓迎してくれる。

「なぁ〜」

「よ〜しよしよしよしよし、そんなにじゃれついてきても何も出せないぜ。でも、まぁ……よし!ちょっとくらい魚をつまみ食わせてやるから待っててくれよなぁ〜。俄然ヤル気が出てきたぜぇ〜〜〜海の漢!」

 胸元に青いサングラスをかける男は道端で出会った黒猫と一通り戯れ終えると、停めていたロードバイクのサイドスタンドを上げて、目的地に向かって颯爽とペダルを漕ぎ始める。

 彼は真夏の長期休暇を利用して一攫千金に想いを馳せる学生だ。ただお金を稼ぐだけなら近場のアルバイトでも十分事足りるだろうが、季節が夏という事もあり海に惹かれ、蒸し暑いコンクリートジャングルから脱出を図り……隣町で募集していた漁師のアルバイトに目を付けて、チャリでここまでやってきたらしい。

(夜明け前に出港して、日の出前に港に帰れる漁師のアルバイト!リミットブレイクした暗黒の始業時間に目を瞑れば、時給はなんと●●●●円!おったまげぇ〜!何よりもお天道様が拝める頃に仕事を上がれるのが良い!乗るッきゃね〜ぜ!この金色のビッグウェーブ!)

 男の双眸の向こう側では諭吉と一葉が出会い、見つめあって良い雰囲気になったかと思えば、量産化された無数の英世たちが乱入してきて陽気なミュージカルをおっ始めてるかもしれない。そんなギャグ漫画みたいな謎のテンションのまま、この男は金に目が眩んでしまっていた。

 面接場所である漁協組合の事務所を訪ねると、タコ頭にねじり鉢巻を巻いたガタイの良い爺さんが出迎えてくれた。

「あっ!どーも、こんちゃーす!漁師のアルバイトの面接に来たんですけど…」

「おぉ!よぉ来てくれたな兄ちゃん!若いの大歓迎だぜ!チャラそうだが覚悟は出来てるか?」

「ヤル気だけでここまで馳せ参じてきました!漁師のバイトは初めてですが、仕事を覚えてザクザクお金を稼ぎたいんです!」

「……よし、金が欲しけりゃついてこい」

「うっす!」

 そのままタコ頭の爺さんの後についていく事になったが、何故か面接をするような応接室や会議室ではなく、漁で使用する道具を保管する倉庫の中に案内された。そこでタコ頭の爺さんは壁にかけていたゴム長ズボンを手に取る。

「よし、兄ちゃん。これを着たら船に乗るぞ」

「えっ?面接は?」

「こんなところまでヤル気があって来てくれるもの好きはそれだけで即採用だよ。でもヤル気だけがあっても漁師は勤まらねぇ……軽く体を動かして船に乗りながらお前さんの…………アレだアレ、適正を判断してやるよ。分かったならさっさと着てくれ」

 タコ頭の爺さんはどこか歯切れが悪そうに、もっともらしい事を語りながら男にゴム長ズボンを手渡してきた。

 あまりにも早急で事前の説明にない不審な態度、察しの良い人物ならこの時点で違和感に気がついていたかもしれないが……残念ながらこの男は暢気に(一次面接突破ーッ)程度にしか考えちゃいない。


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