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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】

154名無しのスタンド使い:2024/04/07(日) 13:17:00 ID:HlisFbGs0
【課題名】
>>25 ATMの彼女
【使用オリスタ】
No.1029 ネバー・ゴーイング・ノーウェア
【解答】
奇妙な事の多い人生を送って来ました。

自分には、非スタンド使いが送る生活というものが見当つかないのです。
自分が物心ついた時にはこの愛しい御方が側に立っていたのですが、それが異常である事に気付いたのは、よほど大きくなってからの事でした。

「スーツ姿のカッコいいお兄さん……?アナタ、何を言っているの?そんな人何処にもいないじゃあない。」

子供の自分はその御方が他者の眼にも見えているだろうと信じ込み、幾度となく逢瀬を重ねていました。
成長するにつれて私に想いを寄せる殿方も多く現れたのですが、私が裏で「幽霊と話す変な子」と呼ばれている事を発見しては勝手に醒めているようでした。
まあ、私には彼が居るのでだからどうという事もありませんでしたが。

しかし、「スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う」。
何処ぞのサザエさんに似た……もとい個性的なヘアースタイルの青年が言及した法則により、私と彼は様々なスタンド使い、若しくはそれに準ずる奇妙な輩に遭遇する事となりました。
今目の前で床にうずくまり、現金自動預け払い機─────都会風に呼べばATMに顔をベッタリと密着させている女性などはその良い例と言えるでしょう。

「あの〜……お金を下ろしたいので、其処を退いてはくれませんかね?」

私の言葉に女は鬼のような形相で此方に向き直って「私とATMくんは愛し合っている」「お前達も恋人同士の引き剥がそうとするのか」と金切り声で喚き立て──────その姿は、私に戸惑いとある種の同族意識を与えました。

つまり、分からなかったのです。
時に現金を預け、時に現金を引き出す為に作られた機械に向けられた、この女のイマキュレート(汚れの無い)な愛情が。
しかし目を充血させながらも涙を浮かべ、ひしとATMに抱きつく彼女の姿は、何処かかつての私自身を想い起こさせるものでした。

恐らく、彼女は不安に苛まれているのでしょう。
自分が抱いている愛情と、世間一般でそう呼ばれている感情が全く以て違うらしい。
周囲からの不理解や否定、嘲笑………私もかつてはその事で思い悩み、時に気が狂いそうになった事すらあります。

「私達の愛を邪魔するなら、ここで死ねェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」

などと考えている内に何時しか女は怒り狂い、カッターナイフを手に此方へと突進して来ました。
それでも私は、彼女を傷付ける事が出来そうにありませんでした。人が見れば「下らない事考えてないでサッサと逃げるか殴るかしろよ」と思う事でしょう。
しかし、自分にとってそれは自分自身を否定する行為だったのです。
彼女を殴れば、私自身もまた同じだけ傷付くのです。


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