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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】

146名無しのスタンド使い:2024/03/16(土) 17:52:36 ID:XSEJ3Njs0
【課題名】
>>137 サルベージ・フォー・リサイクル
【使用オリスタ】
No.8578 サンデー・バイオレット
【解答】
「しっかし……幾ら給料が良いとは言えホントに気味が悪いわね……」

静まり返った深夜の遊園地にて、タメ息を吐く女子高生が1人。
彼女の眼前には1台の機械人形………だったと思われる金属の塊が禍々しいオーラを放ちながら鎮座していた。
ガワの大部分が融けて黒ずみ、ワイヤーや歪んだ内骨格は剥き出しで左目もグシャグシャに潰れたおぞましい形相をしたかつての子供達の人気者は、それを分解すべく訪れたアルバイトの勤労意欲をゴリゴリと削っていた。

(そうよ……これを解体すれば[検閲済]万円……[検閲済]万円の収入が私の懐に入るんだから……)

しかし、彼女は雇用主から提示された破格の給与額を思い浮かべる事で恐怖心を誤魔化していた。
カラオケ店でのバイトは結局タダ働きで終わり、『大瓜ここのつぼし動物園』でのバイト募集も無い以上、今はこの仕事で金を稼がねばならない。
その上、雇用主は再利用出来るパーツを発見出来れば別途ボーナスを払うとまで言い放った気前の良い輩である。

「そうよね、仕事はキチンとしなきゃだもの。それに、既に壊れた機械が動くワケ(ギギィ……)無い………」

空元気を出しながらスパナを取ろうとした少女だったが、そんな彼女の言葉を嘲笑うかのように機械音が響いた。
振り向いた少女の視線の先には力無く座り込み、首を此方に向けている機械人形の姿が。
………そう言えば、部屋には誰もいない筈なのに妙な視線を感じる気が………

「…まあ?そんな訳無いと思うけど?ね、念の為………『サンデー・バイオレット』……ッ!?」

不安と疑惑を振り払うべくスタンドを出した少女だったが、彼女の思惑とは裏腹に『サンデー・バイオレット』は自分に向けられた真っ直ぐな視線とその出所をハッキリと感知してしまっていた。

(この機械人形!私を見ているッ!……何だか分からないけど……コイツは『ヤバい』ッ!)

嫌な予感が確信に変わった少女の行動は素早かった。
此方を見つめる機械人形から視線を外す事無く出入口のドアを開け、退室すると同時に鍵を掛ける。

「ふぅ……これで少しは安心(ウィイン!)……出来なかったか。……不味い状況ね」
(ギギッ……ガシャァ……ガシャァ……)

一安心する間も無く耳に入る機械の駆動音、そして規則的かつ金属質な足音。発生源はたった今飛び出した部屋の中である。
ボロボロな身体の何処にそんな力が残っていたのかは検討もつかないが、あの機械人形が立ち上がって動きだした事は明白だった。しかも確実に此方へと近付いている。
幾らオンボロとは言え相手は金属の塊、正面からでは勝てないと判断した少女は手近な椅子やテーブルで出入口をふさいだ………のは良かったのだが、相手のパワーは少女の予想を超えていた。

(バァンッ!)

鈍い殴打音が響くと共に積まれたバリケードの一部が崩れ、数脚の椅子が吹き飛ぶ。
幸いにもその場から走って逃げ出した少女に直撃こそしなかったものの、今の一撃でドアその物に大きな凹みが生じてしまった。
歪んだドアの隙間から突き刺さる視線を背に受けながら少女は思考する。

(あれじゃあ大した時間は稼げなさそうね。とは言え移動は遅い方だし、準備さえ整えれは或いは……)

(ズガァンッ………!ガラガラ………)

即席バリケードが完成してから1分も経過しただろうか。
スクラップを寄せ集めた怪物が如き外見の機械人形がその豪腕でドアとバリケードを呆気なく叩き壊し、我が物顔でバックヤード内を徘徊していた。

(ガシャン………ガシャン………ガシャン。)

モーター音を響かせ、周囲を見回しながら獲物を探していた機械人形が足をピタリと止める。
笑みを浮かべるかのように細められた眼には、戸棚の前で立ち尽くす少女の姿が映っていた。
一直線に少女の元へと歩み寄って豪腕を振り上げた機械人形に対し、少女は『戸棚の中から』声を投げ掛けた。

「──────ソレは鏡よ、お人形さん?」

そして『サンデー・バイオレット』は機械人形からの視線を感知するより早く、拳を機械人形の頭目掛けて叩き込んだのだった。


「…………あんなに力が強いなんて、視線に気付くのが遅れてたら危なかったわね………。」

一体何だったのかしら、と完全に破壊された機械人形の前でぼやく少女。
どうも殴る時に力を籠めすぎてしまったらしく、ボーナスなど到底貰えそうに無かった。

「ま、お給料と命は助かったんだから十分か……」

とは言え、たかだかバイト1つでこんな目に合っていたのでは命が幾つあっても足りやしない。
早く『大瓜ここのつぼし動物園』のバイトが募集されない物だろうか?

………『大瓜ここのつぼし動物園』もそれなりに奇妙な場所である事を知らない少女は、静かにそう思ったのだった。


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