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【15周年記念】ジョジョの奇妙な問題集【自由参加企画】
107
:
名無しのスタンド使い
:2024/01/25(木) 09:59:46 ID:pPurKow.0
【課題名】
ちょっと持っててください!
【使用オリスタ】
No.4507 グラビティ・オブ・ラヴ
【解答】
「………む?」
小室光之助は訝しんだ。何故なら、大企業の社長として日頃から大金を稼ぐ彼のような人間に相応しい緑豊かかつ静かな公園に、場違いな小太りの男が佇んでいたからだ。小汚い段ボール箱を持ち、挙動不審にキョロキョロと辺りを見回すその姿は薄汚なく滑稽だった。
そう多くない休日の時間を散歩という形で消費していた光之助は眉を潜め、薄汚いデブから眼を背けて歩き去ろうとしたが遅かった。
「ちょっと持っててください!」
「……何だと?」
軽い衝撃と共に段ボール箱が光之助へと押し付けられた。ふと見ると先程の小汚ないデブが公衆トイレへと駆け込んでゆく姿が映る。
「全く……仕方あるまい。」
光之助は段ボール箱を抱え、小汚ないデブの後を追ってやや早足で歩き始めた。当然ながら相手に気を使った訳ではない。憩いの時間を邪魔した者に荷物を叩き返して文句の1つでも言ってやろう、という苛立ちから来る物である。
やがて光之助は公衆トイレにたどり着き、中に向かって呼び掛けた。
「おい君。いきなり初対面の人間にこんな物を押し付けるなんて、チョイと無用心と無礼が過ぎるんじゃあないか?」
返事は無い。
静まり返ったトイレの中に、今度はカチカチという小さな秒針の音が響く。どうも段ボールから音がするらしいと気付いた光之助が箱を開け、中身を引きずり出すと典型的な形状の時限爆弾が入っていた。残り時間を見てみればあと13秒で爆発するらしい。
「ふん。実に下らん。」
しかし、小室光之助の表情には焦り一つ浮かばない。
…………大企業の社長である彼には裏の顔が存在する。「究極の生命体」を産み出す事を野望とし、その為ならば如何なる事でも成す───という漆黒の意志を宿した者の顔である。
そんな光之助が命を狙われた事など一度や二度では無く、数多の脅威に晒される度に己の能力で危険を退け、敵を打ち砕いてきた。
───故に、彼は今回の窮地も"容易に切り抜けられるモノ"と判断しており、事実彼の認識は正しかった。
「『グラビティ・オブ・ラヴ』」
時間爆弾を手放すと同時に光之助は能力を発動させる。
黒い鎧を纏い、球状の赤い衛星に囲まれた逞しい人型スタンドが触れると同時に、落下する爆弾は空中にピタリと静止した。
正確には「静止しているように見える程」ゆっくりと落下し続けているのだが、どの道光之助が取る行動に変化は無い。
『グラビティ・オブ・ラヴ』はそのまま静止した爆弾を掴み、破壊力Aの腕力をふるって天高く投げ上げた。
ドォォォォォォン!!!
遥か上空に投げ飛ばされた爆弾は空中で爆発を起こし、破片や内部に仕込まれていたとおぼしき無数の釘が飛び散る───と思いきや、その全てが不自然な挙動を描いて"とある1ヵ所の地点"へと降り注いでいく。
それを見た光之助は口の端を僅かに吊り上げ、破片が落下した地点へと歩を進めた。
目的地に到着した光之助が目にしたのは、事前に予想した通り、先程爆弾を押し付けていった小汚ないデブが血塗れで地面に倒れ付した姿だった。
「痛ェ………くそッ……糞がッ……!何で、何で俺がこんな目にッ……………!!」
「ほう、ここにいたか。見た目の割に速い逃げ足じゃあないか。」
背後から声を掛けた光之助に気付いた男が顔を上げ、驚愕と狼狽の入り交じった表情を浮かべる。
「何で……何でお前がここに……?」
「『何故』か。答えてやってもお前如きには到底理解出来ないだろうが…………私が"こうなる運命"を引き寄せたとでも言っておこう。」
光之助は柔和にさえ見える笑みを浮かべながら答えたにも関わらず、男は激しく怯えた表情を浮かべ、ガタガタと震え始めた。
…………これから自分がどんな目に合わされるか、という事を想像出来る程度の知能は残っていたらしい。
「な、なあ…悪かったよ……俺は金持ちで何不自由無く暮らしてて、偉ーい立場も持ってるアンタにちょっとだけ嫉妬しちまったんだよ……本当に済まなかった、反省してる。だ、だから……」
「私は綺麗好きな人間でね。目の前にゴミが落ちているのが我慢ならない性分なんだ。」
男の身勝手な命乞いを遮り、光之助が言い放つ。
「だから、道に転がるゴミは自分の手で徹底的に破壊する事にしているのさ。尤も、壊したゴミの後始末は部下に任せているがね。
──────さて、そろそろ掃除役が来る頃だ。」
光之助が言い終わるのと同時に一台の車が近くに停車し、中から作業服を着た数人が降り立つ。
彼等が倒れ付した男の身体を手早く車内に放り込み、そのまま去ってゆくのを見届けた光之助は、何事も無かったかのように散歩を再会するのだった。
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