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【オリスタSS】或る骰子
1
:
名無しのスタンド使い
:2023/01/30(月) 23:29:13 ID:e9a7nph60
・一話完結型のSSです。
・そこまで戦闘描写はありません。
2
:
名無しのスタンド使い
:2023/01/30(月) 23:30:05 ID:e9a7nph60
>>1
・更新は不定期ですが、其れでもよろしければご覧ください。
3
:
名無しのスタンド使い
:2023/01/31(火) 00:02:43 ID:2bJ4lDNo0
___骰子(さいころ)、というものがある。
よく6面だの10面だの12面だのと、偶数でできた小さい箱のことだ。
昔の人は、この骰子で運命を占ってたり、時にはゲームで遊んでいたりとして、よく使われていたんだってさ。
でも、あれには致命的な弱点がある。
一見するとすべての目が平等に出ると思われているけど、実際はコンマ数%、目が偏ってしまっているんだ。
え?それがどうしたって顔だね。
◇
「実際、そのコンマ数%の、運の壁を越えることなんざたやすくないように見えてたやすいって話さ。」
「は、はぁ。」
とある街のカフェ。
運とは何か、とその男は眼前にいる美女に雄弁に語る。
まるで神社にいそうな風貌をしていながら奇術師の帽子をかぶっているという、かなり風変わりな男。
その男の名は『天埼 勇人(てんざき はやと)』___現在進行形で流浪の旅を続けるマジシャンである。
あまりにもその話が哲学的だったのか、或いはただの一人語りにしか聞こえなかったのか、美女の方は困惑していた。
その話を、ただ黙々と聞いていた少女がちょうど、勇人の後ろにいた。
「へぇ〜。まるで実際に経験してきたって顔だね。おっさん。」
黒い髪。ハイライトのない黒曜石のような目。
青いパーカーに刻まれた文字は「溶血少女」。
その名を「天宮 彩華(あまみや あやか)」。
「運も運命の壁を越えるってのも、そも無理な話だろ?」
その話をどこかで聞いていたのか。彩華は先の話に対して答えを返した。
「最初から運命を乗り越えられることができるならみんなやっているってんだ。このボクですらやってる。」
4
:
名無しのスタンド使い
:2023/01/31(火) 17:06:10 ID:i/soS8HU0
支援
5
:
名無しのスタンド使い
:2023/01/31(火) 22:40:47 ID:2bJ4lDNo0
勇人は、彩華の話を聞きつつこう返した。
「なるほど確かにそれは一理あるね。でも、俺は実際問題運命を乗り越えてきた人間を多く見てきた。長いマジシャン修行の旅の途中でね。」
「へー、でも信じられないなぁ。本当にそんな人間がいるなんてさ。」
彩華は思った。
きっと、この天埼勇人という男はそういう『運命を越えようとして成功した人間』を多く見てきたのだろう。
だが、それ以外の人間はどうだろうか?という疑問がわいてくるのは自然である。
世の中でよく聞くキャッチコピーに『夢をかなえられる人間なんて一握り』なんて絶望的な文章がある。
そんなセリフを覚えている状態で『運命を乗り越えてきた人間を多く見た』なんて言われたら、いろんな意味で困惑する。
「でもさ、世の中見てみれば夢を追ってどこかでくじけて諦めていった人も多くいるわけだ。そういう人たちのことは、例外かい?」
「そうだぜおっさん。」
彩華の言葉に合の手を入れるように、また別の客が勇人に声をかけた。
その男はサラリーマン風の風貌と体格をしていながら、かなり胡散臭いオーラを漂わせる。
「全く世の中にゃあ夢を追って失墜してきた人間が星の数ほどいるってのによォ〜。あ、申し遅れました『一岡 卯月(いちおか うづき)』と申します。以後よろしく。」
一岡卯月と名乗る男は髪をかきむしりつつ、勇人と彩華に名刺を渡す。
勇人は渡された名刺の角を人差し指と親指で軽く挟み、くるくると回す。
彩華の方は、卯月の表情を見てまるで出来の悪いドッキリ番組を見ているかのような表情を浮かべた。
(なるほど……スタンド使いは引かれあう、か。)
そのうち、何かを思い立った勇人は彩夏と卯月に手招きをして、自分のいるテーブルの席に座るように促した。
「では、運命を変えるというマジックを実演してみようじゃあないか。君たち2人とも、こっちに。……マスター、すみませんが透明なグラスを一つ。」
6
:
名無しのスタンド使い
:2023/01/31(火) 22:55:00 ID:2bJ4lDNo0
マスターが早急に持ってきた、どこにでもある無色無地、余計が模様がついていない透明なグラスが一つ置かれた。
「ありがとう。さて君たち。そんなに俺の言うことが信じられないみたいじゃあないか。ではここはひとつ、ゲームで証明してみよう。」
勇人は、どこからか赤い骰子を一つ取り出した。
まるでルビーの原石かのように輝いている、されどプラスチック製の骰子を。
「2人とも、1から6の中で好きな数字を2つ。なんでもいいよ。」
2人は顔を見合わせることなく、1人考え込んだ。
この男がどう考えているかはこの際どうでもいい。ただ言われたとおりに数字を決める。
「じゃあ、4と6、4月6日はボクの兄さんの誕生日なんだ。」
自分の兄の誕生日に決めた彩華。その表情は涼やかである。
「じゃあ私は2と5で。」
「では、俺は余った1と3になったというわけだ。ではルールを説明しよう。」
そういって勇人がルールの説明をする。
「ルールはこの骰子を1回振って、さっき選んだ芽が出たらその人に1点。計7回振って先に3点手に入れた者の勝ちだ。」
シンプル極まるルール。そこに無法の立ち入る領域は存在しない。
2人は無言でこれを了承し、勝負に乗った。
「じゃあ、勝負開始だ。」
7
:
名無しのスタンド使い
:2023/02/09(木) 23:13:55 ID:0zA4wdTA0
〜ラウンド1〜
勇人、彩華、卯月の3人が向かい合い、お互いに赤いサイコロを凝視する。
やがてしばらくの静寂の後、ゆっくりと勇人の手が動き始めた。
「それっ。」
その手から今、骰子が投げられた。
空中をくるくると回転しながら、透明なグラスの中へと入っていく。
からんからん。
2回ほど硝子と硬いプラスチックが当たる音が響く。
「おっ、『3』だ。俺の一点だな。」
勇人は、先制点を取れそうなのか嬉しそうだ。
「………………!」
卯月が、何かをぼそりと呟いた。
「?」
2人とも、卯月が何かをつぶやいたのを聞いた。
淡々と卯月が自身のスタンドを出しつつ、自らの嘘を白状した。
「はは、バレちゃった。」
いい歳こいたサラリーマンが、おどけて見せる。
その様子を見て見かねた彩華が、ため息交じりにつぶやく。
「バレバレのウソをつくんじゃあねぇってんだ、つくならもっと上手な嘘をつきなよ。丸聞こえだったし……?」
「嘘みたいな真実が起きているけど。」
卯月がにちゃりと、悪い笑みを浮かべた。
その瞬間、空中に浮かぶ骰子を残る2人は見た。
8
:
名無しのスタンド使い
:2023/05/21(日) 21:46:03 ID:VDW6RuGg0
問う。遊戯王ZEXALは燃えているか。
ttps://w.atwiki.jp/kizuna1999/
ttps://www.nicovideo.jp/watch/so36847474
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