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【オリスタ】 命知らずのマイ・ジェネレーション【SS】

23名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:34:57 ID:jFFQb5n20
あとがき

ユウキ君可愛ういぃぃぃぃぃぃぃッ!!

案では『無愛想』と書かれていたのに気付いたらすっごく愛くるしくなっていたあああああっ!

女の子だったらもっとよかったのにぃぃぃぃぃぃッ!!

・・・・と、いうわけで最高にハイです!
書いて&描いてて楽しかった!今回は彼について語りますね!
彼を出した理由・・・
1:自デザ
2:名前に『ジェネレーション』入り
3:ディザスター
4:新しいから
このSSはなるべく新しいスタンドを多く出演させようと思っています。僕は新参なのでよく分からないのですが、最近スレも盛り上がっているようなので、ネタにも事欠かないですしね〜。
さて、始めは彼、ほんのチョイ役として出す予定だったのですが、蓋を開けてみればスタプラ並みのチート性能!!
本編でも素晴らしい威力を発揮してくれました!
今後ももしかすると登場する・・・かも?

そしてラストで出ました!予告漫画に描いた『血界人』!!いよいよ物語も本格的に始動しますよ!

では今回はこの辺りで!最後に登場キャラのリンク貼っておきますね〜

次回、『精神を喰らう男』

アリーヴェデルチ!

24名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:50:32 ID:jFFQb5n20
■ No.5823
【案師】 ID:oL9eFFwk0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1381&file=5823_01.jpg

【絵師】 ID:9FEg/gPy0


【スタンド名】
マイ・ジェネレーション
【本体】
だれか
【タイプ】
近距離型
【特徴】
屈強な人型。ダイヤ柄がぶれた感じの装飾が散りばめられている
【能力】
殴った対象を『どもらせる』能力
どもり、吃音症とは言葉が円滑に話せない疾病のことで、
言葉がつまったり伸びたり出なかったりする症状がある
この能力では対象の行動全てをどもらせる事ができ、
脚が前に出なかったり、拳を間延びして振るってしまったりする
思考もどもるので、頭の回転も著しく低下してしまう。
継続する行動(走り続けるなど)は到底できないであろう
破壊力-A
スピード-A
射程距離-E
持続力-A
精密動作性-D
成長性-A

25名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:52:59 ID:jFFQb5n20
■ No.7835
【案師】 ID:B6VFsIZU0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1798&file=7835_01.jpg

【絵師】 ID:dtmb6/w60


【スタンド名】
ピース・オブ・フレッシュ
【本体】
死んだ目をした青年
【タイプ】
近距離(パワー)型
【特徴】
多数の縫い目がある人型
【能力】
触れた『死んだ無生物』を『ゾンビ』にする能力。
『死んだ無生物』とは役割や機能を発揮できなくなった器物を指し、ボロボロの服や壊れた機械など。
『ゾンビ』は『同種の物体』の位置を感知することが出来、それを破壊すべく動く。
『ゾンビ』の基本ステータスは下記の通りだが、健在な機能を使うことも出来、それによってステータス以上の動きをする場合もある。
破壊力-C
スピード-C
射程距離-E
持続力-C
精密動作性-E
成長性-C



【ゾンビ】
破壊力-B
スピード-D
射程距離-B
持続力-C
精密動作性-E
成長性-なし

26名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:56:57 ID:jFFQb5n20
■ No.340
【案師】 ID:oy4HIQ6Y0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta/cmd/upload&act=open&pageid=75&file=288_%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%B3.jpeg/

【絵師】 ID:daiXE2GM0


【スタンド名】
アリシア・ワン
【本体】
昔ながらの硬派なヤンキー
【特徴】
カブトムシを人型にした感じ
【能力】
スタンドが殴ったものに栓をつける。
栓からは殴ったものの中身が流れつづけるが、栓を締めれば流出はとまる。
栓は殴られるたびに増えていく。
破壊力-C
スピード-B
射程距離-A
持続力-B
精密動作性-B
成長性-C

27名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 23:00:44 ID:jFFQb5n20
■ No.7846
【案師】 ID:I8o37Oun0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1799&file=7846_01.png

【絵師】 ID:w1sOMpBO0


【スタンド名】
ダンス・フロア・アンセム
【本体】
ディザスターの少女。地位は末端から数えたほうが早い。
【タイプ】
近距離(パワー)型
【特徴】
靴跡がついた人型
【能力】
地面に『埋めた』物を、別の場所で『掘り出す』能力。
埋めた物を『埋めた場所の地中』から『今スタンドが掘った地中』に『転移』させる能力と言ってもいい。
埋めた場所から地続きであれば、どれほど離れた場所からも掘り出すことが出来る。
少しでも掘るような干渉を地面に与えれば転移させられるため、軽く掘ることで別所に埋めておいた地雷を転移させ設置する等も可能。
また本体に限り、自ら地面に埋まり、出ることで、地続きの異なる場所へ転移することも出来る(当然土だらけになるので本体はあまりしたがらないが)。
破壊力-A
スピード-B
射程距離-E
持続力-C
精密動作性-D
成長性-C

28名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 23:04:04 ID:jFFQb5n20
■ No.7862
【案師】 ID:7697LKJB0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1801&file=7862_01.jpg

【絵師】 ID:ECBDRmAB0


【スタンド名】
シンメトリック・ジェネレーション
【本体】
物心がつく前に親に捨てられ、『ディザスター』に拾われ一員となった少年。
無愛想でおおらかだが容赦無い性格であり、善悪の区別がつかない上に人を殺す事に躊躇いが無い。
【タイプ】
近距離型
【特徴】
人型のスタンド。
ラッシュ時の掛け声は「SEGAMIIIIII--!」。
【能力】
自身(本体とスタンド)の身体を再構成する能力。
腕や脚を再構成して長くしたり、ストーン・フリーの様に身体の一部を糸状にしたり、傷や骨折等を再構成で治したりできる。
自分以外のものを再構成することは出来ない。
破壊力-A
スピード-A
射程距離-C
持続力-A
精密動作性-A
成長性-A

29名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 23:07:58 ID:jFFQb5n20
2つイラストが有ったので、今作におけるイメージの方を掲載しますね

■ No.4221
【案師】 ID:sk8gvKRW0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta/cmd/upload&act=open&pageid=981&file=%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%A0.jpg/

【絵師】 ID:fcMLHpc8o

【絵師】 ID:w5kVxd9A0


【スタンド名】
フェアウェル・キングダム
【本体】
『ディザスター』に所属する男。
元軍人の傭兵で、CQC(近接格闘術)を用いた白兵戦を得意とした。
【タイプ】
自動操縦型
【特徴】
スコープのような目で、右腕はスナイパーライフルに同化している。
【能力】
簡単に言えば『持ち運びできる狙撃兵』
スタンド自体は本体が指定したターゲットを狙撃するだけ。
右腕のライフルの性能もスタンドの狙撃の腕前も一般的な軍隊の狙撃兵と同じレベル。
自動操縦型だが、精密動作性は高く、本体の意志でスタンドを出し入れできる。
しかし、知能性は低く、スタンドは発動位置での狙撃体制からは全く移動しないし、
ターゲットの変更をするには本体が直接スタンドに伝えなければならない。
だが、狙撃をスタンドが自動で行うことで、
本体が周囲を見回していつでもスタンドを出し入れできるということの意義は大きい。
破壊力-C
スピード-C
射程距離-A
持続力-A
精密動作性-A
成長性-C

30名無しのスタンド使い:2016/05/16(月) 08:29:31 ID:Ax/quhXc0
第三話―精神を喰らう男―

31名無しのスタンド使い:2016/05/16(月) 09:58:59 ID:Ax/quhXc0
001

「リンダさん!」

幽谷君から無事であること、帰宅することを知らせるメールを受け取った後、僕はユウキと共に『拠点』に向かった。

「おう、無事だったか。こっちもまあ大丈夫だ。何事も無かった。」

「何も無かったの?ふーん、ってことはミオの先生はしくじったんだ。」

「ん・・・?おい、誰だこのガキは」

ユウキを見たリンダさんが怪訝な顔をした。

「ああ、気にしないで下さい。スタンド使いの友達です。」

ユウキの顔を見ると、嬉しそうにニコニコしている。

「・・・そうか。ならいい。しかし君、ディザスターの連中と面識があるようだな。」

「まあ一応、メンバーだからね。だけど心配しなくていいよ。ここでやる任務は僕にはないから。何なら仕事を手伝ってあげてもいいよ。友達のよしみで。」

「・・・・・・」
リンダさんは考え込んでいる。

「まぁまぁ、いいじゃあないですか!アメリカじゃあよく言いますぜ〜?『昨日の敵は今日の友』ってよォ〜」

「!?」

奥の部屋から、金髪の白人が入ってきた。年齢は二十歳ぐらいといったところか。

「ウ〜ッス、ナイストゥーミートゥ、スタンド使いさん。俺はデイモン=マクドナルドってモンだ。マックとでも呼んでくれや。」

「彼はSPW財団所属のスタンド使いだ。まだ若いが、スタンドの素養は十分に備えている。」

「す・・・SPW財団!?」

リンダさんの説明に、僕は仰天した。何しろSPW財団と言えば世界に名だたる大財団だ。そんな巨大な組織がバックについてるのか!

「そしてあと2人、この町で見つけたスタンド使いに集まってもらっている。おい、入ってきてくれ。」

ザッ「こんにちは・・・」

1人目はこちらも二十歳そこらの青年だった。だぼっとしたシャツを着ていて、目の下には何故かバーコードのようなタトゥーが入っている。髪色はエメラルドグリーンで、肉体的にも精神的にも線が細そうな印象を受ける。顔つきもまるで女性のようで、かなり美人の部類に入るだろう。あくまで女性なら、だが。

そして、

「お・・・お前は・・・・!!」

「あ・・・・・!」

もう1人の少女。

やや紫がかった髪色に、まるで漫画に出てくる探偵のような帽子とマント。小学四年生、
他県在住のはずのその少女は!

「お兄ちゃん!」

時任 音々(ときとう ねね)。

僕の、妹だった。

32名無しのスタンド使い:2016/05/16(月) 13:17:49 ID:JDg2LTGA0
「ヤッホー!元気してた?お兄ちゃん!何かねー、お兄ちゃんに会いに行こうと思って遥々出張ってきたら、町中でこのおじさんがスタンド出しててさー、警戒してたら出してもないのにスタンド使えるってバレちゃってね?その後」

「さっきの僕と同じリアクションするなーッ!!」

「何言ってんの?時系列的に真似してるのはお兄ちゃんの方じゃない。」

「むむむ・・・!」

僕は、妹のこの的確に痛い所を突いてくる性格が苦手だ。
とにかくアグレッシブな子で、思いついたアイデアはとにかく試してみようとする。それはまあ良いことではあるのだが、後先考えない所が危うい。
口も達者で、学校でいじめっ子を論破して丸め込み、今ではその子は音々に頭が上がらないそうだ。

しかし、だ。

「ちょっと待って下さいよ、リンダさん。音々のスタンドは戦闘にはまるで向かないんです!この仕事は荒事なんでしょう!?そんな危険な事・・・」

音々のスタンド『フロム・Y・トゥ・Y』(YからYへ)は『ダウジング』のスタンドだ。L字形の金属棒を持って歩き回るアレである。
『フロム・Y・トゥ・Y』の場合は頭部のY字形の角を使い、見つけたいものを探すことが出来る。もっと分かりやすく言うなら、指向性のレーダーといったところか。
しかし、こと戦闘においてはまるっきり非力、ネズミ程度の戦闘能力しかない。

「ああ、分かっている。彼女を戦闘に参加させるつもりはない。あくまで『保護』するという形だ。そのついでに、彼女には俺達のバックアップに回ってもらおうと思っている。『ダウジング』能力はきっと役にたってくれるからな。時期を見て安全になったら、家に帰ってもらう予定だ。」

「ということは、今は危険ってことですか?」

「ああ。詳しくは、俺達のボスから話してもらおうか。」

33命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/16(月) 19:49:38 ID:xC.dQqfY0
「はじめまして、だね。」

奥の部屋から、白衣を着た初老の男が姿を現した。

「紹介しよう。ジョン・オリスター、スタンド研究の世界的権威だ。現在はSPW財団の依頼を受け、この仕事のリーダーを務めてもらっている。」

「またSPW財団・・・もしかしてリンダさんもSPW財団の人間なんですか?」

「いや、そういう訳ではないんだが・・・何つーか、その、顔馴染みがいてな。成り行きって奴だ。」

「へぇ・・・・」

「リンダ君、そろそろ話を始めてもかまわないかい?」

「!ええ。どうぞ、始めて下さい。」

「よいしょっ、と」

ジョン博士は近くの椅子に腰掛けると、話しはじめた。

「えーと、君」

「あ、時任 代人です。」

「うん、時任君。君がスタンドの存在に気付いたのは、大体いつ頃かな?」

「え・・・?えーと、三年ぐらい前・・・この町にきてしばらくたった頃ですかね。」

「ふむ。その頃、何か『矢』のような物で刺された記憶はあるかい?」

さ、刺された!?

「い、いえ・・・そんな出来事は無かったと思います。でも、一体何故そんな質問を?」

「いいかい、時任君。スタンドが発現する要因は大きく分けて二つある。一つは生まれつき、若しくは遺伝といった内的要因、もう一つは『石の弓矢』を始めとする、ある特定のアイテムやスポットとの接触による外的要因だ。」

「・・・・・・」

「君はどうやら生まれつきという訳ではなさそうだね。何か他に要因が会ったのかも知れないな。若しくは・・・。」

「あ、あの、一体どういう・・・?」

「まあ気持ちは分かるが、落ち着きたまえ。いいかい、スタンドが先天的に発現するということは極めて稀有なケースだ。それ故に、スタンドは今まで超能力として認識されて来た。」

「・・・・・・」

「しかし、しかしだ。この町に住むスタンド使いの割合は・・・」

そこまで言われた時には、もうすでに察しがついていた。

「およそ十人に一人。その内七割以上が、先天的なスタンド使いなのだよ。」

34命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/17(火) 07:48:52 ID:2uwdMhEc0
スタンド使いが異常に多い町。

心当たりは在った。

わたべちゃん、幽谷君、その他にも、この町に住むスタンド使いの知り合いは数人いる。

僕はそれが正直嬉しかった。この町にやってきて、初めてスタンドが発現した時程恐ろしかったことはない。いくらスリルが好きとはいえ、ものには限度というものがある。あの時の記憶は恐怖でしかない。人の手に余るこの力が、暴れ、狂い、乱れ、

―何より、『あの人』を傷つけた。

だから嬉しかった。実感出来たからだ。

自分は一人じゃないと。この痛みを分け合える仲間が、周りにいると。

「・・・・・どうやら、思うところがあるようだね。」

気が付くと、ジョン博士が神妙な顔になっていた。いや、博士だけではない。リンダさん、音々、マック、バーコードの彼もそれぞれ複雑な顔つきをしている。

そうか。

そうだよな。彼等も、同士じゃあないか。

皆もそれぞれ、物語があったのだ。

「私が現在立てている仮説では、この町がまるごと、スタンドを開花させる『スポット』になっているのではないかと考えている。そして、その原因にも大体の目星はついている。」

「え、ついてるんですか!?」

「ああ。元凶の名は・・・・

『血界人』。そう呼ばれている『存在』だ。」

35命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/25(水) 01:25:15 ID:bzulc0Sg0
002

血界人。

その存在は先史時代の壁画にも記されており、1874年にギリシャで発見されたアラタナ遺跡に埋蔵されていた巨大石碑群によって、その生態がより詳しく判明するも、

動乱の時代の中で歴史の闇に埋もれ、僅かな研究者によって細々と研究がなされていた。

しかし1997年、事態は一変する。

ギリシャ南東部の無人島群、キクラデス諸島にて現地の研究グループが謎の生物群と遭遇。
洞窟内で休眠していた『彼ら』は『休眠したまま』研究スタッフに襲いかかり、10名のうち5名が重軽傷、3名が殺害された。

これが先史時代の後の人類と血界人との(勿論、資料が残されていることからそれ以前にも公にならない場所で何かしらの接触があったものとは思われるが)ファースト・コンタクトとされている。

生還したスタッフによると、血界人はどの個体も棒きれのように痩せ細っていたにもかかわらず、体を自在に変形させ瞬く間にスタッフを切り裂いたという。
所持していた催涙スプレーを使い命辛々逃げ切るも、被害は甚大であった。

地元では新種の猛獣の出現で一時騒然となったが、ギリシャ政府は情報規制を徹底し、その上でSPW財団に秘密裏に応援を要請した。
何故ならかつての『資料』に記された血界人の生態が、世界大戦のさなか突如出現し波紋戦士と死闘を繰り広げた『柱の男』のそれと非常によく似ていたからである。

彼らは並外れた身体機能を持ち、

触れるだけで生物を『削り喰』い、

人智を超えた生命力を誇る。

かつてのドイツ軍が誇る世界一の科学力を以てしても、まるで太刀打ち出来なかった『究極の生物』。

その怪物に酷似する、怪物。

そんなものを相手に生半可な武器を撃ち込んだところで、勝ち目が無いことは火を見るより明らかであった。

そしてこの要請を受諾したSPW財団は、『とあるスタンド使い達』と共にキクラデス諸島に突入した。

36命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/25(水) 03:17:14 ID:bzulc0Sg0
しかし、想定されていた死闘が起こることは無かった。

血界人達は力尽きていた。スタッフ達に対する攻撃は、最後の悪あがきであったのだ。

そして、そこに血界人達が隠していた『石碑』には彼らと柱の男との決定的な違いが記されていた。

それは、彼らは人間を捕食しないということ。

そのかわりに、生命が持つ超発達した精神エネルギー・・・・

つまり、『スタンド』を捕食する、ということ。

エネルギーを失い活動を停止した血界人達は、SPW財団によって外界から隔離され事件は収束を迎えた。

「なんだ、じゃあ今はその血界人って連中はいないんですね?」

言いながらちらりと横を見ると、ユウキと音々が余程話に納得したのか、こくこくと
しきりに頷いている。

「むー・・・・・むー・・・・・・・・・・・」

「・・・・・すー・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「起きろッッ!!」 コツン

「・・・・ふゆっ・・・・!?」

「・・・ふわっ!?」

「あー・・・・すいません、博士。それで、さっきの話なんですが」

「うむ・・・実を言うと、血界人達の脅威は消えてはいない。」

「え?・・・でも、血界人は隔離されたんじゃ・・・」

「そうだ。奴らは隔離された。しかし・・・」

「!!まさか!!」

「そう、そのまさかだ。」

血界人を・・・解放した者がいたのだ。

37名無しのスタンド使い:2016/05/25(水) 19:55:39 ID:r3GrHgxg0
今から5年前。

SPW財団の研究所が、『何者か』により襲撃を受けた。

襲撃者が誰なのかは未だに分かっていないという。襲撃を受けたことは事実だが、襲撃者自体を目撃した者は1人としていなかったのだ。

しかし、血界人は持ち出されたが、襲撃者の目論見は(おそらく)失敗した。原因は不明だが、数年間の間に血界人達はエネルギーを回復させていた。そして血界人の1人が襲撃者を足止めし、他の仲間を逃がしたのである。

「・・・それで・・・?一体どうなったんですか?」

「襲撃者にも血界人を仕留めることは出来なかった。結果として、足止め役を果たした血界人『エルヴィユ』を含む5体の血界人が外界に放たれてしまった。」

「・・・・・!!」

「以来、我々は血界人の行方を追い続けて来た。公にはなっていないが、既に実害が次々と出ている。そしてその捜査の過程で、この町を発見した。ここに着いた時に確信したよ。奴等が、ここに潜伏しているとな。」

「確信・・・?一体どうして?」

「1997年に血界人に襲われた研究スタッフ・・・その生き残りが、次々と『スタンド』を発現させたのだよ。」

そう言うと、ジョン博士は白衣の袖をまくった。さらにその背後から、カラフルな単眼の亜人型ヴィジョンが浮かび上がる。

「この・・・私のようにね」

博士の腕に刻まれた大きな傷痕は、語らずして全てを物語っていた。

38命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/28(土) 15:39:42 ID:zR9tovvc0
003

「奴らは他者を『スタンド』の才能に目覚めさせる能力を持っている。
能力の使い道は勿論、『食料』の生産だ。過去血界人が出現した地域では、一様に
『スタンド使い』の集団発生が起こっている。」

「つ・・・つまり・・・」

僕の言葉をバーコードの彼が継ぎ、

「この町は今、奴らの牧場になっている。」

「そういうことだな。」

リンダさんが腕を組み、ため息をついた。

「ヴレモン(まじか)・・・・」

「てことは、この町にいたらいずれはみんな食べられちゃうの?」

「・・・実はそこが不可解なところでね、人口においては目立つほどの減少は
見られない。変死なども殆ど報告されてはいないのだよ。」

「なにソレ・・・誰も食べられてないってこと?5年近くも?
だったらそもそも血界人なんて初めからいないんじゃないの?」

「いや・・・いると思うね。」

バーコードの彼が強ばった声で言う。

「・・・?」

その目線は僕らの方向に向いているが、僕らを見てはいない。

向いていたのはその向こう。

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2519/20160528_153321.jpg

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2520/20160528_153638.jpg

血界人はまるで『体の奥に秘められた何か』を探すかのように、僕らを見定めている。

「ふん・・・良いな、さっき喰った奴よりも格段と良質なエネルギーを感じる。
これなら本調子を取り戻せるだろう・・・。」

「貴様は・・・エルヴィユだなッ!!」

温厚そうだった博士が声を荒げた。他のみんなも突然の敵襲に緊張している。

・・・・ヤツをのぞいては。

「お兄ちゃーん、下がっててー」
そう言うとユウキはこれっぽっちも物怖じせず、てくてくとエルヴィユのほうへ向かっていく!

「ば、馬鹿!!何やってるんだよ!危ないぞ!!」

「いーからいーから。お兄ちゃんはそこでソファにでも座りながら、僕の闘いっぷりをよーくみてなよ。きひひっ!」

「却下だッ!!」

「ふえっ!?」

「やっぱり僕も闘うッ!!(てゆーか、最初から闘る気だったけどな)」

「な、なんでだよー。いいじゃん、僕強いんだからさー」ブーブー

「死亡フラグがおっ立ちまくってんだろーが!!駄目だ!!!」

「えー」

 まったく・・・この子どうやら戦闘狂のケがあるらしいな。

「・・・・なんつーか・・・お前らいい神経してんのな・・・。」

マックが呆れ顔で言った。

「まあ、そうは言っても闘るしかねえか!いいぜ!かかって来な血界人!本場アメリカの流儀ってヤツをみせてやるぜエ―!!!」

「アメリカでは戦闘時にも作法があるのかッ!?」

「そうだね。闘ろっか。」

バーコードの彼も臨戦態勢に入った。

「血界人との初戦・・・お前ら、気を抜くなよ・・・!!」

リンダさんがスタンドを発現させると、かつて無いほど辺りの空気が張り詰める!!

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・

その空気のなかで、エルヴィユは
「・・・・・ふん・・・・・つまらん」

ただ、そう言っていた。

To be continued・・・

39命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/28(土) 15:48:56 ID:zR9tovvc0
あとがき

今回のエルヴィユ登場シーンはずっと描きたかったところ・・・いよいよマジ戦開始で非常にテンションが上がっております!!
というわけで今回は血界人のモデル、柱の男について語ります。

僕個人としては、柱の男の魅力は彼らの超人類的立ち振る舞いにあると思いますね。
ワムウは微妙なところですが、(彼は彼でまた武人としての格好良さがあるし)
寄生獣よろしく人を超えた思考を持ち決して人とは相容れない生き方には何というか生命の神秘・・・神の領域を感じましたね
・・・伝わるかなあ・・・・?何だかものすごく中二病くさくなった気が・・・
アニメ二部ではアステカ文明的雰囲気によって、その『凄み』が見事に再現されていて、ホント秀逸でした!!!

自分の作品についても一言・・・今回も時任先生とユウキ君がやらかしてくれてますね。
これからマジ戦なのになにやってんだコイツら(笑)・・・でも、あんまりピリピリ続きでも息が詰まるので、これからも
彼らにはちょくちょく頑張ってもらいたいですね。

単発SSでのわたべちゃんとのコンビといい、どうも時任先生は子供との相性がいいようです。何気にマックもやらかしてるけど、
まあコイツはこういうキャラなので・・・アメリカ版シュトロハイムがコンセプトですから。あ、スタンド紹介は次回やりますね。
では今回はこれで!次回、『血戦-Hervieu-』

アリーヴェデルチ!!

40名無しのスタンド使い:2016/05/29(日) 21:59:38 ID:EVsb9B860
更新乙です!
血界人の設定、なかなか面白いですね
そして早くも次回は血界人とのガチバトルですか、期待してます!

41名無しのスタンド使い:2016/06/03(金) 00:25:06 ID:bRnJAAqA0
血界人って何?ジョジョに出てきたっけ?

42命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:45:08 ID:ONApRAAI0
第四話 〜血戦-Hervieu-〜

「博士!お嬢ちゃん!!後ろへ!!!」

「ああ、気をつけてくれ!!」

リンダさんの呼びかけを受け、博士と音々が素早く部屋の奥へ後退する。
どうやら博士のスタンドも戦闘能力は高くないらしい。

「お前ら、アイツにスタンドを捕まれるんじゃあねえぞ!もし捕まれば
即刻喰われる!!攻撃するときは遠距離からやるか、スタンドパワーがあるなら
全力で殴ってガードを弾き飛ばせ!!とにかく捕食のスキを与えるな!!」

リンダさんがさらに僕らにも注意を促す。

「あいよオオリンダの旦那アアア!!遠距離ならこのマック様の得意分野だぜエエエエ!!
先手エエエエエエ必勝オオオオオオオ!!!『ザ・カッター』!!!!」

マックが自らのスタンド、『ザ・カッター』を発現させた!

「ィいくぜエエエエエエエエ!“ハイアー・ヘル”!!」

『パパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウ!!』

フヒィィ—―ン!!!

『ザ・カッター』が高く飛び上がると、すかさず全身に付いた三日月型の刃を射出!!

刃が射出された場所からはすぐにまた新たな刃が生成され、さながらマシンガンのように
刃が撃ち出されていくッ!!

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2601/20160704_234103.jpg

「ほう・・・・」

エルヴィユは飛んでくる刃を一瞥し、

バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシィィッ!!

次々に高速回転する刃を素手でキャッチ!!

しかし、

ザシュアアアアッ!!

流石に全てを裁ききることは叶わず、数十、数百という刃が全身を切り裂いていく!!!

「や、やったか!?」

「いや・・・」

シュウウウウうう・・・・

エルヴィユは倒れない。

傷口は斬られた先から、赤い霧を噴き出しみるみるうちに塞がっていく。

「ちっ・・・」

マックはエルヴィユの周りに散らばる無数の刃を消滅させた。捕食されてエネルギーになるのを防ぐためだ。

「それじゃコイツならどうだ!?」

僕とユウキは左右二手に分かれ、素早くエルヴィユに接近する。

「ぬっ・・・」

反応しようと身構えるエルヴィユの背後に

『ノープラン(無計画)!!』

バーコードの彼のスタンド、『ノープラン』が大きなテーブルを投げつける!

43命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:47:12 ID:ONApRAAI0
大きな質量の接近に思わず反応したエルヴィユはテーブルをたたき落とす為に体を後ろに回す。

「今だッ!!」

『ウルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!』

『マイ・ジェネレーション』と『シンメトリック・ジェネレーション』の高速ラッシュが、エルヴィユの身体に突き刺さる!!

「ぬううううううううううううううううっ!!!」

エルヴィユは大きく後ずさった。その体組織はかなりの損傷を受けている。

「勝ったッ!!もうお前は再生出来ないぜっ!!身体の自然治癒力を『吃らせて』やったからな!!!」

「ぬおおおおおおお・・・・・・」ブチブチブチ・・・

「!?」

「ば、馬鹿なっ・・・!!」

あろうことか、エルヴィユの身体は『マイ・ジェネレーション』の能力をものともせず、再び再生していく!!

「能力が効かない・・・!?こんなことが・・・・!!」

「耐性だ・・・!!」

「・・・!?」

「血界人は幾多のスタンドを喰らうことでその命を保つ・・・その過程でスタンドが持つ特殊能力に対する強力な耐性を手に入れるのだ・・・。」

リンダさんの説明に、場の皆が戦慄した。

「だ・・・だとしたらどうやってコイツを倒せば・・・」

そしてそこで気付いた。

その疑問に対する答えを持つ者はいないのだと。

何故なら血界人を倒した人間は、事実上一人としていないのだから。

幸運にも、交戦を避けてこれたが為に。

弱点に関する資料など、まるで残されてはいない。

僕らは・・・運が良すぎたのだ。

良すぎたが故に・・・もたらされた平和に甘んじた。

この瞬間が来ることなど、想像もしなかった。

あるいは、この瞬間が来ることを恐れ、目をつぶり続けていたのだろうか。

「ふん・・・やはりな」

エルヴィユが微かに嗤う。

「大方おれを倒す術などもっておらんのだろう。お前達人間はいつもそうだ。自分達は万能だ、この世の全てを支配下に置いている、などと思い上がっている。しかしそれは過去の先人の偉業を自分の一部だと思い込んでいるに過ぎない・・・哀れな生き物どもよ。凡夫に一体何が出来るというのか。」

「・・・・・・・・・」

「あ〜・・・・うん?」

バーコードの彼とユウキが揃って怪訝な顔をする。それを見たエルヴィユの顔から、先程までの優越感が失せていく。

「お前さあ・・・ひょっとして僕らが絶望してるとか思っちゃってる?」

「ふん・・・違うというのか?」

「ああ違うねッ!!僕らはこれっぽっちも絶望しちゃあいないぜ!!!」

44命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:48:37 ID:ONApRAAI0
「はっ・・・間抜けが、さっきも言っただろうが。そういう思い上がりがお前らの弱点だと・・・」

「だってお前はさっきから押されてるばかりで、傷一つ僕らに負わせてはいないじゃあないか。」

エルヴィユの笑顔が完全に消えた。しかしその表情に怒りは見られない。自分より下等な・・・猿か何かにからかわれて、やれやれ・・・と哀れみの目で見るような、そんな感じの表情だ。

「ふん・・・よかろう。分からんというのなら分からせてやろう、下等生物ども。攻撃『出来ない』ことと、攻撃『しない』ことは違うということをなあッ!!」

エルヴィユの肩甲骨が大きく盛り上がる!

さらに肩の皮膚を突き破り大量の骨針が表出!!その容貌はまるで肩にミサイルポッドが搭載されているかのよう!!!

「喰らえィ!!肩骨甲弾(ショルダーワインダー)!!!」

ドヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ!!!!

筋肉の超収縮により放たれる骨針の一発一発が美しく螺旋状に回転し、性格に急所目掛けて飛来する様は、スナイパーライフルとガトリング砲の融合を彷彿とさせる!!

「成る程ね、エルヴィユ・・・」

骨針は空気抵抗などものともせず、一瞬で目の前に到達!!

・・・・・した、が。

「お前が今までどんな人間と闘って来たのか知らないけどさ・・・」

『ウルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

ガキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキン!!

「お前舐めすぎだよ、人間のこと。」

ガトリング砲の弾ごとき、『マイ・ジェネレーション』にとってはまるで敵では無い。
一発残さず、骨針はたたき落とされた。

「・・・ふん、ふふふ・・・」

「!?」

「だから甘いというのだ!!だからお前達は弱いのだ!!おれの『肩骨甲弾』が只の弾丸だなんて誰が教えたというのだ!?」

「なっ・・・まさk」

とっさに足下を見ると、既にはち切れんばかりに骨針が膨張している!!

「しまっ・・・・・」

「お兄ちゃん!!」

ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!!

破裂した骨針はさらに小さな無数の骨刃となり、僕の身体を切りつけていった。

45命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:53:50 ID:ONApRAAI0
002

「・・・っ・・・・ぐう・・・・・」

全身を切られるなんて、当然ながら生まれて初めての経験だ。

痛い・・・というのもあるが、とにかく全身が熱い。

二つの感覚が同時に襲ってきて、どっちがどっちの苦痛なのか分からない。

筋肉を切断されてしまったのだろうか・・・身体に上手く力も入れられない・・・

ドサッ

「お・・・お兄ちゃん!!」

「くっ・・・・クソがああーーーーッ!!」

『パパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウ!!』

ユウキが駆け寄ってくる音が微かに聞こえる・・・・。

それにマックが『ザ・カッター』で足止めしてくれているようだ。

「酷い傷・・・とにかく血を止めなきゃ・・・ちょっとだけ我慢してね、お兄ちゃん」

ユウキは僕の傍らに座ると、袖をまくりてのひらを傷口に押し当てた。

「ぐ・・・」

激痛だが、幸いにも身体は動かないので治療の邪魔にはならなかった。

ユウキのてのひらを伝い、僕の細胞に変換されたユウキの細胞が皮膚の上を移動して傷口を少しずつ塞いでいく。


「無駄撃ちするんじゃあねえ!!マック!!!」

『ザ・カッター』による攻撃を乱発するマックを、リンダが牽制する。

「し、しかしよ・・・リンダの旦那・・・!!コイツを止めねえことにはトキトウが・・・」

「はあ・・・まったく・・・やるならもっと効果的にやれと言ってるんだ。少し頭冷やせ。アイツに刃を喰われた時のリスクを忘れたか?」

「ハッ・・・!!」

マックは急いで刃を風化させた。しかし少々遅かったらしい。

シュウウ・・・シュウ・・・・フシュウ・・・・

エルヴィユはキャッチした刃数枚を、いつの間にか咀嚼していた。

「しィィィィまったアアアアアアアア!!く、喰われているウウウーーーーッ!!」

「だから落ち着けっつってんだろうが!!焦るんじゃあねえ!!たった2,3枚じゃあ、あいつらには腹の足しにもならん!!」

「ADEFYUUUUUUUUUUUUUUUU・・・・・・・・・」

エルヴィユが勝ち誇ったように笑みを浮かべる。時任が治療されていることには気付いていない。

リンダは大胆にエルヴィユとの距離を詰めていく。歩みに一切の恐れは見られない。

そして目前で立ち止まると、手の平を上にし、自分の身体に向けて動かす。

「かかって来な・・・山猿野郎」

エルヴィユが捕食せんと大口を開ける!

しかしエルヴィユが跳びかかるより速く、リンダのスタンド『アリシア・ワン』の拳がうなりを上げ、エルヴィユの下腹部に突き刺さる!!

『ウラウラウラウラウラウラウラウラウラア!!』

「は、速ええっ・・・!!トキトウやガキのスタンドにもまったく劣っちゃあいねえ!!」

「ぬ、ぬうう・・・」

「どうした?エルヴィユ。貴様どうやらラッシュを見切れていないようだな。それに少し疲れも見え始めたようだが・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

エルヴィユはうなだれたまま、動かない。

「・・・なんだア?コイツ・・・返事ぐらいしたらど・・・ウッ!?」

急にエルヴィユが上げた顔は、元のエルヴィユのそれではない!

まるで仮面の如く、骨で出来た甲殻が顔を覆っている!!

「・・・っ!?何だ・・・・!?これは・・・!!」

「ADEFYUUUUUUUUU・・・・・・・・・」

さらにエルヴィユの身体から血のような霧が噴出し、エルヴィユの全身を覆っていく!!

「見せてやろうッ・・・!!このおれの『超血装状態』をなああああッ!!」

46命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:58:20 ID:ONApRAAI0
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2602/20160704_234104.jpg

霧は完全に固体となり、まるでパワードスーツのようにエルヴィユの身体を包んでいる。さらに尾部では固まった霧が尻尾のような部位を形成し、うねうねと蠢いている!
________________________________________

『超血装状態』!!

それは血界人が同族間での争いの際に見せる戦闘形態!!

人間は沢山のエネルギー源を摂取すると、それをグリコーゲンと呼ばれる物質に変え体組織の中に蓄える!同じように血界人もまた、摂取した精神エネルギーを赤い液状の物質に変換し体内に蓄えている!!

この赤い液体は性質を自在に変化させられる!彼らは戦闘時に赤い液体を噴出させ、自らの身体整形能力と組み合わせ自分の戦闘スタイルに合わせて武装する!!これが彼らが『血界人』と呼ばれてきた所以である!!!
________________________________________

(おれは認識を誤っていた・・・エネルギーが極度に少ない今、万全の状態のつもりで能力を出し惜しんだり遊んだりすれば下手をすると敗北する恐れもある・・・。ここは早急にケリをつけなくては!!)

「・・・・・成る程・・・これが例の『超血装状態』ってやつか・・・さてどんなものか・・・」

『ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラア!! 』

「ふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんっ!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・!!

「な、何ィィーーーーッ!!あの野郎、リンダの旦那のラッシュに対応してやがる!!あの赤い甲皮が筋肉の瞬発力を補助してやがるのか・・・!!」

「ADEFYUUUUU!!貴様のスタンドとやら、スピードはそれなりにあるがパワーはたいしたことはないなアーーーーッ!!」

バチイッ!!

「マズイッ!!ガードを弾かれたアアアアーーー!!」

「オマケだ!!もう一つ見せてやろう!!おれの能力をなあッ!!」

エルヴィユの手甲から、細長い大量の銃身が露出!!

『流血驟雨(ブルートレーゲン)!!』
先程の骨針とは比べものにならないスピードで、大量の弾丸がリンダを直撃!!

「ぐわあああああああーーーーーっ!!!」

「だ、旦那アアア!!!」

スタンドで受けたおかげで致命傷は免れたが、それでもダメージは大きい。たまらず後ろに飛ばされ、地面に崩れた。

「フフフ・・・おれの『流血驟雨』は精神エネルギーの『射出』を基本形とする『血流法(ブルート)』・・・。先程の『奴』のスタンドのおかげでさらに強化されたようだな・・・使い勝手が段違いだ」

47命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:00:10 ID:oEyrQgzs0
『血流法(ブルート)』!!

それは血界人がもつ精神エネルギーの高等応用術!!

喰らったスタンドを体内で合成し、その能力を自らのスキルとして使用することが出来る!!
単に喰らった能力をそのまま使えるというものではなく、ベースとなる能力(エルヴィユの場合は精神エネルギーの『射出』)を、喰らった能力から抽出した有効な効果というパーツで強化していくと考えたほうが表現としては正確である!!

『血流法(ブルート)』使用時には、喰らったスタンドの一部が血界人の体表に発現する!!
________________________________________

「あ、あれは・・・ミオの先生のスタンド・・・!!そうか、ミオの先生はアイツに食べられてたのか・・・」

「ちっ・・・しょうがねえ・・・!!俺がなんとかするしか・・・って」

「「!?」」

マックとユウキが揃って天井を、エルヴィユの頭上を見上げる!!

「む・・・!?」

異変を感じたエルヴィユも顔を上げると、

落下!!

天井が大きく切り取られ、エルヴィユの頭上に落下してくる!!

「ぬうっ!!」

「くたばれ・・・!この怪物が・・・!!」

落下する天井の上に乗っていたのは、

目の下にバーコードの付いた青年だった。

48命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:02:01 ID:oEyrQgzs0
003

八十嶋 桐人(やそしま きりと)。

目の下にバーコードを持つ男。

八十嶋 桐人は自分のスタンド『ノープラン』を見て考える。

・・・君の胸にあるQRコード・・・・

・・・・一体どんな情報が入ってるんだ?

八十嶋 桐人がスタンドの存在に気付いたのは、彼が小学1年生の時である。

所葉町で生まれ、所葉町で育った彼は町の影響を受けスタンドを発現させた。
両親もまたスタンド使いであった。

スタンドを発現させる前から、桐人はバーコードやQRコードが好きだった。
小さな記号の中に沢山の情報が詰め込まれていることに、不思議な好奇心を覚え、魅力を感じたからだ。

桐人は自分のスタンドに刻まれた記号を何度も読み取ろうと試みたが、一度として読み取れた事は無かった。

桐人にとってのスタンドの思い出はその程度だった。

だから知らなかった。

自分は運命に選ばれたのだと。

そして

運命は不平等だと。

桐人が小学4年生の時生まれた弟。

彼が運命に選ばれる事は無かった。

弟は発現したスタンドに耐えられず衰弱し、やっと耐えられる精神力が身についた頃には、既に手遅れであった。

補助なしでは立ち上がることもままならず、車椅子なしでは外出も出来ない。

スタンドに破壊された身体がそれ以上改善する見込みはなかった。

桐人は苦しんだ。

あまりに残酷だ。 あまりに非情だ。

大事な家族を壊されたのに、怒りの矛先さえ分からない。

バーコードは多くの情報を持つ。

その小さな傍線の羅列の中に。

桐人は目の下にバーコードを刻んだ。

このあまりに膨大な怒りを、忘れてしまわないように。

いつかその矛先が分かった時のために。

・・・君と同じだな、このバーコードは他の誰にも読めない。

だけどそれでいい。

この怒りを知るのは、僕だけでいい。

49命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:04:03 ID:oEyrQgzs0
「ばっ・・・馬鹿野郎!!何考えてんだアア!!そんな高さから落下したらお前!!」

ドゴオッ!!

巨大な鉄筋コンクリート塊をエルヴィユは片手で受け止める。

『エデユアアアアーーーーッ!!』

『ノープラン』が怒り狂ったように叫び、ガンガンと鉄筋コンクリート塊をがむしゃらに殴りつける。

「だ、駄目だ・・・パワーもスピードもある方だとは思うが、エルヴィユにはまるで及ばねえ・・・!!俺の『ザ・カッター』で助太刀すれば何とかなるか・・・?」

エルヴィユがもう片手を構えた。

「くっそ・・・やるっきゃねエエエエ!!『ザ・カッター』、“ハイアー・ヘル”!!」

『パパウパウパウ!!』

フヒィーン!!

「またその技か・・・くだらん」

高速で放たれる刃すら、今のエルヴィユには通用しない!!

今度はその超スピードで全ての刃を片手でキャッチしている!!

「ふん・・・造作もない」

「かかったなアホが!!」

「!?」

エルヴィユがキャッチした刃は、ひび割れてエルヴィユの手の中で爆散!!!

さらに小さな無数の刃となり、エルヴィユの視界を遮る!

超血装状態のエルヴィユにこの程度の攻撃は全く通用しない。

しかし、計算し尽くされた刃の挙動は、大きなスキを生み出した。

「いっけええええっ!」

『エデユアアアアーーーーッ!!』

ドグワアアッ!!

『シンメトリック・ジェネレーション』と『ノープラン』の攻撃がエルヴィユのガードを抜け、命中する。

激しい怒りで漲る『ノープラン』の攻撃は堅い甲皮にヒビを入れ、『シンメトリック・ジェネレーション』の一撃は問答無用で甲皮の下のエルヴィユの体組織を抉った。

「ぬぐおっ・・・!」

「まだまだ・・・!!」

『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!!』

激しいラッシュを受け、エルヴィユがのけ反る!

さらにその先に、

「ダメ押しだ・・・・喰らえ!!」

『ウルアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

待ち構えていた僕の『マイ・ジェネレーション』が渾身のラッシュを叩き込んだ!!

「ご・・・ごおおおおおおおおおおおおっ!!」

甲皮を粉々に砕かれたエルヴィユは、そのまま奥の部屋までぶっ飛んでいった。

「小細工なんてメじゃないんだよ、このタコ!!」

「Oh・・・トキトウウウウウウ!!」

「時任さん・・・!!」

「お兄ちゃん!よかった!傷は大丈夫!?」

「大丈夫・・・とはいえないが、止血は何とかできたよ、有り難うな」

「さて、ヤツは・・・」

全員の視線がエルヴィユに集まる。

50命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:09:32 ID:oEyrQgzs0
「む・・・?」

「オ・・・オイ・・・何か様子が変じゃあないか?アイツ」

吹き飛ばされたエルヴィユはグチャグチャの肉塊のまま、赤く薄い煙を噴き痙攣している。

「再生・・・しない!?」

「ど・・・どうなってるんだ・・?僕の『マイ・ジェネレーション』の能力が今更効いてるのか?」

「・・・・が・・・・ガス欠だ・・・」

「リンダさん!」

「傷は!?大丈夫ですか!!」

「ああ、平気だ・・・。いいか、血界人は喰らった精神エネルギーを糧にして動く。
それはすなわち、再生や超人的な身体能力も、全ては精神エネルギー頼みということだ・・・。」

「じゃあ、それを無くせば・・・!」

「そうだ・・・。元々かなりエネルギーが不足していた上に『超血装状態』や『血流法』でエネルギーを使いすぎたのだろう・・・。オマケにお前達が甲皮ごと体組織を大破させてくれたおかげで、残ったエネルギーも完全に流出してしまったようだ。」

「じゃ・・・じゃあ」

「我々の勝ちだ。本当に、よくやってくれたな。」

「よっしゃああああああああっ!!」

「いやったあー!」

「ヴィクトリィィィィィィィ!!!」

「やった・・・結(ゆい)・・・」

がたっ。

!?

「何・・・だ?今の音・・・」

何の音か。

分からない。

それでも、皆が向く方向は同じだった。

「エルヴィユ・・・!!」

生きている!

原型を留めず、再生が出来なくなっても、まだ、生きている!

「マダ・・・ダ・・・・」

「オレハ・・・モウ・・・モタナイガ・・・キサマラハ・・・」

「何かする気か、コイツ!?気をつけろ!!」

「キサマラダケハ・・・・ニガサンッ!!」

エルヴィユの身体が一気に赤い煙になって蒸発していく!!

「ま、まさかコイツ、自分の身体を精神エネルギーに・・・!!

『最終血流法(ファイナルブルート)・・・永結血弾城(エーヴィヒブルートシュロス)!!』

「う・・・うああああああああああ――――――ッ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
所葉町の外れ、深い深い森の奥に街の雰囲気に似合わない、大きな洋館がある。
その大きさは幽谷が住まう館など比べものにならないほどのものだが、その存在を知る者は誰もいない。
「エルヴィユ、しんじゃった。」

 ベランダに立つ、金髪の少女が呟く。

「そうね。死んでしまったわ。」

部屋の中にいる銀髪の少女が答える。

「だけどラウラ、見える?」

「ええ、見えるわ、レアお姉様。
あの大きな赤い水晶の塔・・・あれがエルヴィユの置き土産なのね。」

「可哀想なエルヴィユ、私たちのところへ辿り着く前に、死んでしまうなんて。」

「だけど、これでとるべき道は見えたわね、お姉様」

「そうね。この世界はまだ、私たちにとって住みよいものではない。」

「変えなくてはならないわ。私たちの理想郷を作るために・・・ね」

深い森の闇の中。姉の声を聞いた金髪の少女は、狂気の滲む笑みを浮かべた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

命知らずのマイ・ジェネレーション

-END-

51命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:12:00 ID:oEyrQgzs0
あとがき

というわけで、命知らずのマイ・ジェネレーションはひとまず完結となります!
かなり更新に時間がかかってしまいましたが、見てくださった方、ありがとうございました!

最後となる今回は、このSSのオリジナル(?)キャラである血界人のエルヴィユについて
語ろうと思います。

コイツは展開的にサンタナみたいな役どころになってしまいましたが、仲間内での立場としては決して低い地位ではなく、エネルギーさえあれば結構強いっていう設定のキャラでした。
エネルギーさえあれば・・・!運には恵まれなかったようです。

さて、もう終わり方からしてあからさまなんですが・・・・

このストーリー、まだ続きます。

新章突入、ってやつです。

この話とはかなり趣が違う感じになると思いますが、どうぞ宜しくお願いします!
では、次回作での再会を祈って・・・

アリーヴェデルチ!!

52名無しのスタンド使い:2016/07/07(木) 16:02:29 ID:bkToS/X.0
血で血を洗うガチバトル!
血界人の超血装状態とか血流法とか、
途中途中に入る説明に至るまで実に少年漫画っぽいと言うか、二部っぽくていいね!
随所のイラストも想像を補完してくれてベネ!
一章完結乙です!

53名無しのスタンド使い:2016/07/07(木) 23:21:39 ID:ImqJUQJQ0
乙です!
血界人想像してた以上にやっかいで、バトルシーンとか面白かったです!最後に出てきた
二人の血界人も気になりますし、二章が楽しみです!

あと、余談ですがずっと気になっていたマックのスタンドが「ザ・カッター」だったこと
には驚きました(二つ目の自デザなもので……) 九割九分九厘(もっとかも)が案師の方の
手柄ですが、それでも嬉しいです!


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