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【オリスタ】 命知らずのマイ・ジェネレーション【SS】
1
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/05(木) 10:31:45 ID:SyCRbDuQ0
命知らずのマイ・ジェネレーション
〜ブラッディ・ポイント〜
第一話 ―必要経費は命で払え―
2
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/05(木) 11:08:25 ID:jE.q0c560
h ttp://download1.getuploader.com/g/orisuta/2355/20160505_100448.png
当SS連載にあたり、アドバイス等コメントを下さった方々、及び当SSをお読み下さっている方々に感謝申し上げます。
3
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/05(木) 14:58:54 ID:jE.q0c560
俺は黒塗りのバンを路地に止めた。
ただ止めたのではない。いつ何時、如何なる不足の事態が起ころうとも対応出来るよう、計算し尽くされた配置にしてある。
俺は後部座席を振り返った。
「お前ら、準備はいいか?」
「ええ、万全です。」
「おなじく。」
よし。
細工は流々、仕上げを御覧じろ。
魅せてやる。プロの仕事をな。
「お前ら・・・行くぞ。」
俺はバンを降り、『仕事道具』を発現させた。
4
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/05(木) 15:32:43 ID:jE.q0c560
001
「おはようごじゃりますですじゃ、ディオさん。」
僕の名前は時任 代人(ときとう よりと)。
しがない漫画家だ。
行きつけのカフェ、『ラバーズ』に朝食をとりに出かけた僕は、住み処であるアパート『がいる荘』の大屋であるお婆ちゃん、園谷(そのや)さんに声を掛けられた。
「おはようございます、園谷さん。」
園谷さんはいつも僕のことを『ディオさん』と呼ぶ。どうも誰か別の人と間違えているらしい。
「実は今朝、浅漬けを作ったんですじゃ。多過ぎて1人じゃ食べきれんから、よかったらディオさんも召し上がって下しゃれ。」
「ああ、ありがとうございます!浅漬けか・・・。」
僕は浅漬けの入ったタッパーを受け取った。蓋を開けてみると、
「う・・・瓜ィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーィィッ!?」
瓜の浅漬け。
美味しいのかなぁ。
試しに一口食べてみると、
「あ・・・美味しい。」
さすがは園谷さんだな。
皆は真似しないほうがいいと思うよ。
やってもいいけど、味の保証はしない。
胡瓜だったらいいよ。あれは誰が作っても美味しいだろうから。
5
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/05(木) 16:23:39 ID:SyCRbDuQ0
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2356/20160505_161929.png
↑扉イラスト容量修正版
6
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/05(木) 18:50:10 ID:SyCRbDuQ0
園谷さんと別れた僕がカフェ『ラバーズ』に着くと、待ち合わせをしていた友人がすでに席に座っていた。
「やあ、時任くん。お早う。」
友人の名は幽谷 劉生(ゆうこく りゅうせい)。
アンティーク至上主義者の男。
死んだ魚のような目が特徴的な彼と、僕は数ヶ月前に大立ち回りを演じた。
しかしその後彼が一部でカルト的な人気を誇るグロ系の画家であることが判明し意気投合、現在では絵を描く同士としてよき友人になっている。
僕は幽谷くんの前の席に座り、店の新メニューである『変装タコス』を注文した。
「じゃ、さっそくお互いの作品を発表するとしようか、時任くん。」
「ああ。」
僕は昨夜描き上げた漫画(仕事ではなく、趣味と練習を兼ねて描いているもの)を幽谷くんに手渡し、彼の絵を受け取った、が。
「う・・・!!」
見た瞬間、僕は後悔した。
絵の中で〇〇したたくさんの男女が、〇〇に〇〇〇〇されながら、〇〇〇〇の中に〇〇されて、〇〇〇〇になっている。
ちなみに〇で表示した部分は、エロい表現ではなくグロい表現である。
何てこった・・・まさか朝食前にこんなものを見せられるとは・・・。
「どうだい?時任くん。」
「・・・中々、いや、非常に・・・刺激的。食事前には特に。」
「そうか。ありがとう、最高の賛辞だ。・・・ああ、もう少し待ってくれよ。今読んでいるから。」
しかし、幽谷くんの絵は只グロいだけではない。要所要所に様々な技法が効果的に施され、地獄絵図のような画面から何処と無く美しさをも感じさせる。これが彼のコアな人気の所以なのだろう。
幽谷くんが僕の原稿を整えた。そして感想を言おうと口を開き、そのまま静止した。
「?・・・幽谷くん?」
幽谷くんの頬を一筋の冷や汗が伝った。その死んだ魚のような目は、僕の後ろの『何か』を凝視している。
僕は後ろを振り返った。
そこには1人の男がいた。
黒髪をオールバックにし、左の頬には一文字のキズ。長い丈のジャケットを着ている。年齢は二十代後半といったところか。
その傍らには
男の、『スタンド』がいた。
スタンド。それは精神の発露。
本体の側に『立つ』、力を持ったヴィジョン。
かくいう僕、そして幽谷もまた、『スタンド使い』である。
スタンドにはいくつかのルールがある。
まずスタンドはスタンド使いにしか見えず、スタンドでしか倒せない。
そしてスタンドの発現にはコツがある。
最も簡単なのは『自分を守ろうと』したり、『誰かを攻撃しよう』とする意思を持つこと。
つまり、だ。
スタンド使いにとって『スタンドを発現させたスタンド使い』を見たときにまず疑うべきこととは、そういうことなのだ。
敵意。害意。危機。修羅場。
男のスタンド・・・カブトムシの姿に似た亜人のヴィジョンを前にした幽谷の体に重なるように、幽谷のスタンド『ピース・オブ・フレッシュ』が姿を現す。
『オンマァァー!ナンダコイツハァ!!ヤバソウナ臭イガプンプンスルゼェー!!』
つぎはぎだらけの体に血管を隆起させ、白眼を剥き出す不気味な亜人のヴィジョンは乱暴な叫びをあげた。彼のスタンドは幽谷の考えを、汚い口調で代弁することがあるそうだ。
すると、幽谷のスタンドを見た男は顔色を変えこちらに向かってきた。
僕も思わずスタンドを出そうと身構える。
しかし、男は僕らの目の前で立ち止まると、攻撃をするわけでもなく言った。
「お前たち・・・スタンド使いだな。俺の名は林田 恵治(はやしだ けいじ)、お前たちのことを探していた。」
は・・・!?
探していた・・・?僕らを・・・!?
7
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/06(金) 08:08:39 ID:IVnbkroI0
002
所葉(とこのは)町。
今回の俺の仕事場だ。
人口は二十万人程。首都にそこそこ近い。
特産品は地元では銘菓と名高い『いちょう饅頭』。大福のように伸びる生地の中に、カスタードクリームが入っていてとにかくぐにゃぐにゃに柔らかいが、非常に美味しい。
「美味しいですね!先生!!」
俺の部下の1人、スコップを腰に掛けた少女が調査のために購入した『いちょう饅頭』を口にし、目を輝かせた。
「・・・」コクコク
もう1人の部下、タートルネックのジャンパー姿の少年も頷いて賛同する。
中年の男1人に子供2人。
一見すると、父子家族にも見えるかもしれない。
そしてそれでいい。警戒はされないに越したことはないからな。
「よし。それでは行くぞ。それぞれの任務を果たせ。」
「はい!」
「・・・」コクッ
2人はそれぞれの持ち場に向かっていった。
それを見送った後、俺もまた自らの持ち場に向かって歩き出す。
2人の任務は俺の仕事と直接には関係しない。俺の仕事の内容も教えていない。
―そう。知らなくて、いいんだ。
8
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/07(土) 15:23:41 ID:H1fQVkV60
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2365/20160507_120022.png
「僕たちを探していた・・・?一体どういうことですか?ファン・・・って訳でもないようですけど」
「ああ。スタンド使いを探している。ある『仕事』への協力を頼みたくてな。」
僕の質問に答えた男、林田 恵治はどうやらかなり『スタンド慣れ』しているようだ。スタンドを出していないにも関わらず、僕がスタンド使いであるとすでに気付いている。僕のスタンドに対する反応、僅かに洩れた緊張感からそれを見抜いたのだ。
「・・・えっと、林田 恵治さん、でしたっけ」
幽谷くんが口を開いた。まだ警戒して、スタンドは出したままにしている。
「ああ。呼ぶときは『リンダ』でいいぜ。知り合いからはそう呼ばれてるんでな。」
「じゃあリンダさん。貴方は僕たちの『敵』ではないということでいいんですね。」
「ん・・・?あ、ああ、そういうことか。悪かったな、コイツは君達を攻撃するために出していた訳じゃあない。」
「スタンド使いを見つけるため・・・ですよね。」
「そうだ。自分からスタンド使いだと申し出るような奴はほとんどいないからな。尋ねてまわるのも非効率な上に不自然だから、こちらがスタンドを出して反応を見ていたのだ。」
そう言って、リンダさんはスタンドを引っ込めた。
「先に言っておくが、今協力を求めている仕事はかなりの荒事だ。故に決して強制はしない。だがこの件は君達に、いや、この町・・・所葉町に住むスタンド使い達に大きく関係することだ。」
「・・・!!」
「もし協力してくれるというのなら着いて来てくれ。この町の中心地に『調査』のための拠点を置いている。」
そう言うと、リンダさんは路地の奥に止めてあるワゴン車に向かって歩き始めた。
「どうする?時任君。」
幽谷くんの問いに、僕は意気揚々と答える。
「もちろん行くよ。何しろ久しぶりのスリルだ。逃す手はないね。」
「だと思ったよ。まぁ好きにすればいいさ。僕は帰らせてもらうよ。面倒事は御免だ。」
幽谷くんは半ば呆れた様子で言った。
「君の漫画の感想は、また後日話すことにするよ。」
「悪いな、助かるよ。幽谷くん。」
「いいよ。よかったら体験談を今度会ったときに聞かせてくれ。」
「ああ、それj」
言葉は最後まで続かなかった。
ボコオォッ!!
突如僕の背後の地面が盛り上がり、スコップを持った少女が僕に向かって飛び掛かってきていた。
「・・・ッ!!」
「時任くん!」
「何・・・!!」
僕、幽谷くん、リンダさんがそれぞれ驚きの声を上げる。
「マイ・・・・ジェネレーションッ!!」
僕の声に合わせて、体中に歪んだダイヤマークの刻まれた緋色の装甲を纏う屈強な亜人のヴィジョンが姿を現し
『ゥルアァァッ!!』
少女の襲撃に対し、右ストレートで応戦する。
「ダンス・フロア・アンセム!!」
少女が強く声を発した。その声に答えるように、頭部にドリルを持ち手はスコップ、全身に靴あとの付いた少女のスタンドが現れ、マイ・ジェネレーションの右ストレートを手のスコップで弾く!
「ぐっ、コイツ・・・かなりのスタンドパワー!!」
「先生の・・・邪魔はさせないッ!!それが私の任務!!」
ザシュッ!!
少女のスタンドはその手のスコップで、僕の足下の石畳道を掘り返す!その直後発光し出す石畳道ッ!!
「な・・・何をするだぁーっ!」
バシュウッ!!
光が止み、
そこに僕の姿は無くなっていた。
跡形もなく、姿を消していた。
9
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/08(日) 01:14:43 ID:7SKjRTp20
「消えた・・・!?」
「お前は・・・『ディザスター』のメンバーだな。スナイパー『ホーク』の腰巾着か。」
幽谷とリンダは少女に向かいあった。
「流石ですね、林田 恵治。先生のことをご存知とは。」
「なぁに、知ってんのは名前だけだ。裏社会じゃ随分悪名高い男だからな。」
「・・・先生はご自分の仕事を決して私には教えてくださいません。ですが先生の噂は嫌でも耳に入ってきます。・・・それでも私はッ・・・!!」
少女も迎撃の体制に入る。
「せめて私だけは・・・先生を肯定する人間でありたい!その為にも!貴方達にはここで死んでいただきます!!」
『Dycyaaaaaaaaaaa!!』
少女のスタンド、『ダンス・フロア・アンセム』は両手のスコップを振りかざし、リンダに襲いかかった!
しかし、
ガキィッ!!
攻撃は防がれた。
「!?」
『ヴァッハァァオォー!!』
古びたマネキンの顔面、幽谷のスタンド『ピース・オブ・フレッシュ』によって生み出された『無機物のゾンビ』が体当たりで少女のスタンドの足を払い、突撃を食い止めたのだ。
幽谷の能力は成長していた。以前は『ゾンビを生み出す』ことしかできなかった『ピース・オブ・フレッシュ』だが、今では簡単な命令を出すことも可能になっていた。
「リンダさん・・・先に行って下さい。」
「!!」
「彼女は僕らを足止めしようとしている・・・。それは貴方の行き先、貴方達の拠点で『何か』をしようとしているからだ。彼女は僕が止めておきます。リンダさんは拠点に向かってください。」
「・・・分かった。すまん、後は任せる!」
「っ!逃がしません!!」
少女は慌てて追撃をかけるが、
『ヴァッハァァ!』
ガキィッ!!
またしてもゾンビによる妨害を受けた。
「くっ、邪魔立てを・・・!!何なんですか貴方は・・・さっきまでまるでやる気が無かったくせに・・・!!」
「今だって乗り気じゃあないよ。只、時任くんは僕の数少ない友人の1人でね。」
「・・・・?」
「分からないかい?怒っているんだよ・・・僕は。」
死んだ瞳に、幽かな炎が見えた。
10
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/09(月) 19:07:36 ID:O78ENKLw0
「ここは・・・。」
さっきまでカフェにいたはずの僕は、一瞬にして所葉町の南部・・・商店街の近くにある公園にいた。
人気はまるで無い。ただ1人、10才ぐらいの少年がパンダのオブジェの上にちょこんと座っている。
「やぁ。」
その少年 ― 額まで前髪を切り、タートルネックのジャンパーを着た端正な顔だちの彼は、僕の目の前に歩いて来ると両手を差し出し、
「ミオに『運ばれて』来たんだよね。お兄ちゃん、お菓子持ってる?」と言った。
成る程、この子はさっきの少女の仲間か。
「ごめんね、お兄ちゃん今は何も食べ物は持ってないんだ。ところd」
「そっか、じゃあ」
僕が言い終わらない内に、少年の背後から猛スピードで『何か』が飛び出す!!
風を切る轟音の中で、
―しんじゃえ。―
無邪気な声が聞こえた。
「やれやれ・・・今日はよく言葉を遮られるなっ!!」
僕はスタンドを展開し、『何か』を食い止めようと身構える。
メキィッ!!
受けきれなかった衝撃が全身に響き渡り、呼吸が止まった。
こ、これはッ・・・!
拳だった。
少年の、仮面のような顔の亜人型スタンドの大きな拳が、弾丸の如く飛んできたのだ。
「ぐふぅっ・・・!!」
僕のスタンド、『マイ・ジェネレーション』はかなりパワータイプのスタンドだ。拳で建物や車を破壊するぐらいわけはない。スピードも相当ある。単純な肉弾戦に持ち込めば、まず負けたことはない。
しかし。
この子のスタンド・・・スピードでは互角だが、パワーではマイ・ジェネレーションよりやや上回っている!押し負けたせいで、『能力』も発動出来なかった・・。強い!!
「やだなぁ、抵抗しないでよ。お兄ちゃんは僕の『初めて』の相手なんだから。きひひっ。」
「初めて・・・だと・・・?」
困惑する僕に、少年は意地悪く笑顔を浮かべた。
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2400/20160509_105042.png
「そうだよ。『初めて』殺すの!きひひひっ!!」
成る程ね。
こりゃヤバイな。生まれながらの殺人鬼って奴か。まだ『初めて』なだけマシってところかな。
もし僕が負傷して抵抗出来なくなったりすれば、この子は躊躇なく僕を殺すだろう。
「ふっ・・・くくく・・・。」
面白い。
「次の『主人公』のモデルは君に決定だ!!だがその前に・・・僕が君を少々更正させてやろう!主人公補正を兼ねてなッ!!」
僕の言葉に、少年は凶悪な笑みを深めた。
11
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/10(火) 19:16:13 ID:MAc.d9Rc0
003
そろそろ始まるころだな。
林田 恵治はミオとユウキが抑えている。
俺はその時間を利用して・・・『奴』を消す。
『奴』が何故消されなくてはならないのか俺は知らない。
知ってはならないのだ。下手に情を持てば命取りになる。
俺は予め借りておいた部屋の窓から、隣の建物を覗き込んだ。
「最後にもう一度確認だ。この男は、あそこにいるんだな?」
俺がターゲット ― 白衣を着た初老の男の写真を手に呟くと、ライフルと融合したような姿をした亜人の幻影が現れる。
フェアウェル・キングダム。
俺のスタンド・・・仕事道具だ。
コイツはターゲットを指定すれば、そいつを必ず撃ち抜く。
どこに隠れていようと。
どれだけ遠くにいようと。
その居場所を指し示し、
向かった先で、必ず撃ち抜く。
もっともコイツは発現させた場所から移動出来ないので、実際に向かうのは俺だが。
『フェアウェル・キングダム』は腕のライフルの先を例の建物に向け、目を光らせた。
ビンゴ、か。
俺は傍らのスーツケースを開いた。中には軍用のグレネードがずらりと並んでいる。中身は教えず、ミオに『運ばせた』物だ。
さあ、いよいよ仕上げだ。
まずは撃ちやすいように隙間を作らないとな。
12
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/12(木) 14:55:12 ID:iGYRjVV20
『ゥオオオオオオオオオオオオオ!!』
様々な『無機物のゾンビ』が、ひっきりなしに少女― ミオ のスタンドの行く手を阻む。
一見きれいに見える道でも、ゴミは意外と沢山隠れている。幽谷は普段からそういった物に触れておき、いつでもゾンビ化できるようにしてあるのだ。
しかし、『ピース・オブ・フレッシュ』は成長はしたが元来持つ性質、『ゾンビが攻撃できる対象は似た種類の物のみ』というルールは変わっていなかった。
現在攻撃可能なのは普段持ち歩いているマネキンゾンビ(人型のものに攻撃可能)のみで、その他のゾンビは命令に従い『防御』をおこなうのみである。
13
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/12(木) 20:20:22 ID:MF1jvm7.0
次第にゾンビは破壊されていき、とうとう全てのゾンビは活動を停止した。
『フフフ・・・勝負は決まりましたね。ダンス・フロア・アンセムッ!!』
『Dycyaaaaaaaaaaa!』
ボフォフォフォフォフォフォフォフォ!!
『ダンス・フロア・アンセム』が地面を無造作に大きくくり貫いていくと、そこから銃器、軍用ナイフ、その他もろもろの武器が出土する!!
「!!」
「フフ・・・驚かれましたか?私の『ダンス・フロア・アンセム』は『埋めたものを転送する』スタンド!!先刻は予めゴミをあちこちに埋めて『転送ルート』を繋ぎ、そこを掘り返して転送ルートが閉じきる前に貴方のご友人を落とし込み、私の仲間の下に転送したのです!」
ミオは自分のスタンドの能力を自信たっぷりに説明する。
「・・・・そうか」
「おや?ライオンが走り寄って来て、喰われる!と思ったらそのまま通り過ぎていった時のシマウマみたいなお顔をされてますね?
ウフフ、不思議なんでしょう、私が自分の能力をペラペラと話すから・・・」
「・・・・・」
「しかし心配は無用です!何故なら貴方はここで死ぬのですから!」
ミオは掘り返した武器を手早く身に付け両手に拳銃を構えると、銃口を幽谷の額に向けた。
「・・・・・・」
「・・・気に入りませんね、これから死ぬというのに何ですかその態度は・・・ニヒルなヒーロー気取りですか?」
「別に。さあ、さっさと撃ちなよ。」
「・・・!?」
「そしたら僕は死ぬよ。あっさりと。」
「・・・っ!馬鹿にして・・・ッ!!そんなに死にたいならお望み通りに!!」
ガチッ!!
薬莢が飛び出すが、
「!?」
弾は出て来ない。
「まさか・・・ジャムった(弾詰まり)!?あり得ない・・・!銃の整備も弾の管理も完璧にしたはずなのに・・・!!」
銃口を覗いて中を調べることは出来ない。弾はまだ入っている。引き金に指を当てていないとはいえ、出ていない弾が入っている以上何が起こるかは分からない。
「な・・・何をしたんですか・・・ッ!!」
「それを答える義務が僕にあるかい?」
「くっ・・・!!」
「何、まだ負けた訳じゃあないだろう。僕の『ピース・オブ・フレッシュ』は非力だからね。スタンドなりナイフなりを使えば、容易く僕は殺せるぜ?」
「・・・・!!」
14
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/12(木) 21:57:22 ID:zt0Or37Q0
ミオは唇を噛みしめたまま、動かない。
「・・・出来ないんだろ?」
「・・・・・!!」
ミオは黙ったまま下を向いた。その目からは大粒の涙が溢れている。
「近くで殺せば、僕の死の感触が伝わるからかい?だから銃で殺そうとしたのか。それでも相当の勇気がいるだろうに」
「・・・・・・」
「それは誰の為だ?君の言う『先生』の為かい?」
「・・・・う・・」
「だけど無理だね。君、人を殺めたことなんてないだろう。さっきから虚勢張って強がっちゃいるけど・・・
顔が怯えきってるぜ。」
「せ・・・先生・・・」
「もうやめよう。」
幽谷は諭すように言う。
「君の任務は本当に僕を殺すことか?君の先生が汚させまいとしてきた手を・・・他でもない自分の手で汚そうとはしていないか?」
ミオの手から銃が滑り落ちた。落ちた銃の銃口から、『使用済みカイロの中身の鉄粉』のゾンビが這い出す。
「ううう・・・!先生・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!!」
幽谷は『切り札』の鉄粉ゾンビを回収し、泣きじゃくるミオの側を立ち去った。
さあ、帰るとするか。
面倒事は、御免だからね。
(To be continued...)
15
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/12(木) 23:01:39 ID:zt0Or37Q0
1話あとがき
・・・とは書いてみたものの、今回は大反省会ですね!今回が初のSS板だったのですが、恐ろしい程のトラブル続き・・・(完全自業自得)
実を言うと本格的な(?)ネット活動歴は未だ2ヶ月程度の素人なのです・・・何卒ご容赦下さい、もっと勉強します・・・!
今回、他作品キャラ使用の件で色々ご迷惑をおかけしたので、それについてちょっと語らせていただきます。
リンダさんに登場して貰ったのは、今期のジョジョアニメ4部の影響です。リンダさんが承太郎のように大人になって再登場(?)したら、盛り上がるかな〜と思ったのです。
しかしそれに伴って、他人のキャラを扱うという責任感に駆られて、かなりナーバスになってしまいました。
我ながら器が小さいなぁと思いますが、責任を持って、最後まで楽しんで書いて&描いていこうと思うので宜しくです!
また、このSSは一気に投稿するのではなく少しずつ投稿しています。もどかしいとは思いますが、ごめんなさい。このSSは空いた時間の隙間隙間を縫って書いているので、一気に書き込むことが現在困難なのです。
1話終わる度に必ず掲示板にて報告しますので、どうぞ宜しくお願いします。
ちなみに、本来ホーク(先生)、ユウキとの戦いも1話目で終わるつもりだったのですが、けっこう 長くなりそうなので次回に持ち越します。そのせいで連載1話目にして主人公は戦わず幽谷君が戦っている・・・もう笑うしかないですねwww
改めて、このSSに関するコメントを下さった皆さん、そして読者の皆さんに感謝申し上げます。これからもどうぞご遠慮なく、コメントいただければありがたいです。
それでは次回、『目覚めるその血界たち』
アリーヴェデルチ!!
16
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/13(金) 07:10:46 ID:Lms3.sd.0
第二話―目覚めるその血界たち―
17
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/13(金) 07:50:28 ID:Lms3.sd.0
001
『殺したことがない殺人鬼』。
いいネタだなぁ。
「ねーお兄ちゃーん、さっきからそうやって嬉しそうにニヤニヤしてるばっかりでかかって来ないケド、僕から行っていーの?」
「え・・・?あぁ、御免、そうだな、そろそろおっ始めようか。」
僕と少年― ユウキ はまるでこれから武道の試合でも始めるかのように、互いに向かい合った。すると、
びしっ。
ユウキが謎のポーズをとった。
左腕を指先まで真っ直ぐ上に挙げ、そこに右腕全体を絡みつかせる。首は右腕側に傾け胴体は真っ直ぐ、左足は真っ直ぐ立ち、右足は大きく開く。
人通りの多い街中で披露すれば、都市伝説になるかあるいは単に変人扱いされること請け合いである。
「・・・何、それ」
「きひひ。『決めポーズ』だよ。ほら。」
「ほらって、僕もやらなきゃ駄目なのか?」
「うん!ほら、ご一緒に」
「し、しかし・・・。」
「早くやってよ〜。僕一人でやってたら馬鹿みたいじゃん。」
「いや二人でやったらもっと馬鹿みたいだからな!?」
18
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/13(金) 15:24:17 ID:Lms3.sd.0
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2420/20160513_121251.png
「どうしてやってくれないのさっ!いじわる!こんなに格好いいのにーっ!!」
「イヤイヤ・・・君だってさっき『馬鹿みたい』って言ったろ。」
「お兄ちゃんが乗ってくれないから馬鹿みたいなの!本当は格好いいもん!」
「分かった分かった!じゃあこうしよう。えーと、名前は・・・」
「ユウキ。」
「オッケー、ユウキ君。今から僕らは勝負するだろ?その勝負に君が勝ったら一緒に決めポーズをとってあげるよ。しかも町中のみんなの前でだ!格好いいぞ!!」
「本当!?やったー!!」ワクテカ
「だけど、一緒に決めポーズするんだから僕を殺しちゃ駄目だぜ?死んじゃったらポーズはとれないからね?」
「分かった!よーし、頑張る!!」
よし。
ひとまず、万が一の撲殺刑は免れたな。
「じゃ、そろそろ闘るか、ユウキ君。」
「・・・ん」
刹那、空気が変わった。ふんわりしていた空気が一瞬で張りつめる。
ゴオオォォォオオオ・・・!!
『マイ・・・・・・・』
『シンメトリック・・・・・・・』
『『ジェネレーションッ!!』』
ズアッ‼『ゥルアーァァァァアア!!』
ズアッ‼『SEGAMIーーー!!』
「へえ〜、凄いね、僕達のスタンド。どっちも『ジェネレーション』だ! きひひっ」
「ならどちらの『ジェネレーション』が強いか勝負だな、ユウキ君!いきなり全力で行かせてもらうぜ!」
『ゥルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーアア!!』
ユウキも好戦的な笑みを浮かべ、応戦する。
『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIーーー!!』
打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打!!
「・・・・・!!」
「きひっ」
バキャギッ!!
ラッシュを打ち合った『マイ・ジェネレーション』の拳だけに亀裂が入り、本体である僕の拳から鮮血が噴き出した。
「おわあァァーッ!!」
くそっ、漫画家の命を・・・浅い傷だが、しばらくペンは持てそうにない・・・!!
ユウキ君のスタンド・・・パワーだけじゃあない、とんでもなく動作が精密だ・・・!!
リスクを冒して拳で打ち合って正解だった・・・!!もし脚でも使おうもんなら、たちまち対応しきれずに腕も脚もメチャメチャにされていただろう・・・!!
出鱈目な性能だ・・・。やはりまともに闘りあっても決定打は打てない・・・!!
「きひひっ・・・『殺し』はしないケド・・・『半殺し』にはしてあげるね・・・お兄ちゃん!」
「・・・・くく」
「?」
殺したことがない殺人鬼、勝負、パワー、精密性、超性能、実力差、負傷、ピンチ、絶体絶命、半殺し、スリル、スリル、スリル、スリル、スリル、スリル、スリル・・・・!!
「最高にナイスな展開だ・・・ユウキ君」ニィ
「ふえっ!?」
「これだよこれ・・・やっぱり良い、久々のスリル・・・・!!」
「ふえぇ・・・お兄ちゃんが怖いよう・・」
「まだ勝負は始まったばかりだぜ、ユウキ君!見せてあげよう、『マイ・ジェネレーション』の本領をなッ!!」
19
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/14(土) 07:04:46 ID:jFFQb5n20
『マイ・ジェネレーションッ!!』
『ゥルアアアアー!!』ズアッ‼
「きひひっ、懲りないね。まだ僕と殴り合うつもり?お兄ちゃん。時間の無駄だよ?」
「そうだな、確かに君のスタンドは強いよ。まともに闘りあえばまず勝てない。だが打つ手は無い訳じゃあないんだぜ?」
「?」
「まともに闘って勝てないのなら・・・・奇抜に闘って勝つまでだッ!!」
『マイ・ジェネレーション』はユウキに向かって突進していく!
「きひひひっ!!お兄ちゃん、馬鹿じゃん!やっぱり殴り合うんだ!」
『SEGAMIIIIIIIー!!』ズアッ‼
しかし、今度は拳のぶつかり合いは無い。
『マイ・ジェネレーション』は『シンメトリック・ジェネレーション』と適度に距離をとり、腕に向かってラッシュを空打ちしていく!
「・・・?・・・・え・・・え?な、何なのさ・・・意味分かんない・・・」
『ゥルアアアアーアアアアアアッ!!』
ブォンブォンブォンブォンブォンブォン!!
「・・・!!も・・・うっ、しつこいよ!お兄ちゃん!!闘うならちゃんと・・・」
ユウキの表情が凍り付く。
「あ・・・・あれ・・・!?」
「人聞きの悪いことを言うもんじゃあないぜ、ユウキ君。僕はちゃんと闘ってるよ。ただし、宣言通り、とことん奇抜に闘わせてもらうけどなッ!!」
「な、何で・・・!?腕が・・・上手く動かせないよぉ・・・」
「僕の『マイ・ジェネレーション』は触れた物を『吃らせる』スタンド!その対象は動くものであれば生物、非生物を問わない!『吃らせ』させてもらったよ、君のスタンドの『腕の周りの空気』をな!もうその空気は思うようには動かない!!空気自身が動くことを躊躇い、君の動きを妨げる!!」
「む、むむむ・・・!」
「さて、それじゃ勝負は決まりだな、ユウキ君。僕の」
「まだだよ、お兄ちゃん!!」
!?
ぐにょにゅっ!ぐに・・ぐにに・・ぐぎゅるるっ!!
ユウキはまだ諦めていなかった。否、諦める必要などなかったのだ。
「な・・・何イィィィィーー!!」
ユウキの両腕が体内に入り込み、空気の塊の中から抜け出していく!
っるるゅぎぐ!!ににぐ・・にぐ・・っゅにょにぐ!
さらに体内に入り込んだ腕はビデオの逆再生のように、元ある姿に戻っていくッ!!
「ヴレモン(まじか)・・・」
「きひひ〜。脱出せーこー!さっ、第二ラウンドだよ、お兄ちゃん!!」
この子・・・・やばすぎる!!
まさかラスボスじゃあないだろうな!!
20
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/14(土) 09:59:16 ID:jFFQb5n20
002
世の中には天才って奴がいる。
彼らが『努力しなくても生まれもった才能で何でも出来る』人間だなんて僕は思わない(勿論そういう人間もいるのかもしれないが)。才能があるとすれば、それは『努力出来る才能』だ。生まれもった才覚なんてのは、その次でしかない。
まあ何はともあれ、天才って奴はいる。
そして感じる・・・彼は・・・・
ユウキは、『スタンド』の天才だ。
その精神力の強さは、如何なる時も諦めない気の強さに如実に表れている。
ユウキは、自分に何が出来て、何が出来ないのかをよく知っている。だからこそ、窮地に追い込まれても常に最善策を打つことが出来るのだ。
しかし・・・だからといって諦める僕ではないがなッ!出来ること出来ないことを理解しているのは、君だけじゃあない!!
「ユウキ君・・・今のが君のスタンドの能力かい?」
「きひひっ。そだよっ!お兄ちゃんも教えてくれたから教えたげるね!
僕の『シンメトリック・ジェネレーション』は僕の身体とスタンドの身体を『再構成する』スタンドみたいなんだよね!細胞の変換、組織の回復、体型、人相の変化、何でも出来るんだよっ!」
そういいながら、ユウキはまるでろくろ首のように首を伸ばして遊んでいる。
「じゃ僕も一泡吹かされちゃったし、お返しするね、お兄ちゃん!!」
『マイ・ジェネレーションッ!!』
『シンメトリック・ジェネレーション!!』
『マイ・ジェネレーション』の能力は、手から電流状の精神エネルギーを流し込むことによって発動する。
その流し込む勢いは拳の速度とスタンドパワーに比例し、理論上スタンドパワーで劣る相手には、相対するベクトルでガードされることで能力を発動できなくなる。
しかし、僕は漫画家だ!
勝つためのアイデアぐらい、いくらでも思いついてみせるッ!!
『ゥルアアアアアアアアー!!』
『マイ・ジェネレーション』が上体を大きく反らせ、両腕を背にまわし、咆哮をあげた。
「きひひっ!何さそのポーズ!変なの、決めポーズのつもり?」
「ああ、そうだぜユウキ君。今から決着するこの勝負に対する・・・勝利のポーズだ!」
「へぇ・・・・それじゃあ・・・・・試してみなよっ!!」
『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIーー!!』
ドバフゥ!!
「!?」
『シンメトリック・ジェネレーション』の初撃は、『マイ・ジェネレーション』の拳ではなく、背中で受け止められた!!
それだけではない。
「ど、どうして・・・?拳が通らない!それに動かせない!!・・・・・ハッ
ま、まさか・・・」
「そのまさかだぜ、ユウキ君!君が今殴ったのは、さっきポーズをとった時背中に作っておいた『吃らされた空気』だ!!」
動きを制限する空気のクッションに突っ込まれた攻撃は通らず、見事に両腕はからめとられている!
さらに僕はすかさず身体を振り、空気のクッションを解除する。
「わわっ・・・!」
ユウキの身体が宙に投げ出され、完全に体勢が崩れた!
『行くぞッ!!マイ・ジェネレーションンンンン!!』
「しまっ・・・!」
21
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/14(土) 18:45:37 ID:jFFQb5n20
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2437/20160514_173403.jpg
「うひゃああーっ!!」
ありとあらゆる角度から降り注ぐ『マイ・ジェネレーション』の拳はユウキの周りの空気だけを殴り、空気のドームでユウキを取り囲んでしまった。
「こ・・・これは・・・」
脱出出来ないことはないが、それにはかなりの時間を要するだろう。
立ちつくすユウキを尻目に、僕はその場を立ち去る。
「あっ!こら!ちょっと!!どこ行くのさ!」
・・・。
・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
「・・もぅ、何なんだよぅ・・・。」
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・あ!」
『ロードローラーだぁーーッ!!』
・・・というのは冗談で、
戻った僕は、ユウキに近くの商店街で買った『いちょう饅頭』の箱を手渡した。
「これ・・・お菓子・・・僕にくれるの?」
「ああ。仲直りの握手の代わりにあげるよ。あいにく手がこのザマだからね。」
「・・・・なら、お兄ちゃん。手、出して」
「?」
僕が両手を差し出すとユウキが小さい手を上に重ね、さらにその上を『シンメトリック・ジェネレーション』の大きな手が覆う。
シュウウウウウウウウウウウウウ・・・・・
ユウキが手を離すと、僕の手の裂傷は綺麗に治っていた。
「僕の細胞をお兄ちゃんの細胞に作り変えて傷を埋めておいたから・・・これで、握手できるでしょ・・・?」
人を殺すことを躊躇わない人間がいるとしたら、きっと周りの人間はその人間を『イカれている』と見なすだろう。
だけどその『皆』の中に、『異端児』と向き合おうとした人間は・・・テレビでよく見る、人の悲しい過去を皆で傍観してお涙頂戴なんて下らないものじゃなく、反発し合って、批判し合って、本気でその人の過去と、人格と向き合おうとした人間は一体何人いるのだろうか。
ユウキは今気付いた。『人を殺したり、傷つけたりすることは良くない』と。
人格に問題のある人間が、それに自分で気付いているとは限らない。
だから、ちゃんと手を引いてあげないと駄目なんだ。蔑んだり目を反らしても、何も変わりはしないから。
朝日が輝く公園で、僕らは互いに握手を交わした。
22
:
名無しのスタンド使い
:2016/05/14(土) 21:48:48 ID:jFFQb5n20
003
グレネードを手に、ふと考えが頭をよぎる。
ミオ・・・あの子は少し俺に依存しすぎているところがある。
仕事が仕事だからな・・・俺がいつまで生きていられるかは分からない。
出来れば何とか独り立ちしてほしいものだが・・・。
そしてユウキ・・・あの子に会ったのは僅か1年前だった。
いつか命の重みを分かってほしいものだが・・・俺では説得力がないのかな。
いかんな、仕事の途中だというのに。集中しなくて
ぶちっ。
「な・・・」
腕が、
腕が・・・千切られている!!
「ぐあああっ!!・・・だ・・・誰だあああああっ!」
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2442/20160514_201908.jpg
あまりに『異質』・・・!!
人のそれとは思えない耳、痩せこけた身体、欠損した腕、そして生殖器も見当たらない。
「ふん・・・久々に喰ったな。この味・・・懐かしい。」
奴が喰ったのは俺の腕ではない。
噛まれた感触は無かった・・・奴が喰ったのは、俺の『スタンド』だ・・・!!
「『フェアウェル・キングダム』!この男を消せ!!」
言うなり、『フェアウェル・キングダム』が弾丸を発射!!
しかし、
ガチィッ!!
男は歯で弾丸を止めた。
コイツ・・・やはり『スタンド』が見えている!!
「ふん・・・弱いな。この程度では足りなそうだ。とっとと終わらせるか・・・」
男の口が顔以上のサイズに大きく開き、中から鋭い牙が大量に顔を出す!!
「き・・・貴様あああああっ!」
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふん・・・思ったよりは『多』かったな。しかし、まだ身体が上手く動かん・・・。早く『あいつら』のもとに行かなくては・・・。」
食事を終えた男は、痩せこけた身体を引きずり闇の中へ消えて行った。
To be continued...
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