したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【オリスタ】 命知らずのマイ・ジェネレーション【SS】

1名無しのスタンド使い:2016/05/05(木) 10:31:45 ID:SyCRbDuQ0
命知らずのマイ・ジェネレーション
〜ブラッディ・ポイント〜

第一話 ―必要経費は命で払え―

2名無しのスタンド使い:2016/05/05(木) 11:08:25 ID:jE.q0c560
h ttp://download1.getuploader.com/g/orisuta/2355/20160505_100448.png

当SS連載にあたり、アドバイス等コメントを下さった方々、及び当SSをお読み下さっている方々に感謝申し上げます。

3名無しのスタンド使い:2016/05/05(木) 14:58:54 ID:jE.q0c560
俺は黒塗りのバンを路地に止めた。

ただ止めたのではない。いつ何時、如何なる不足の事態が起ころうとも対応出来るよう、計算し尽くされた配置にしてある。

俺は後部座席を振り返った。

「お前ら、準備はいいか?」

「ええ、万全です。」

「おなじく。」

よし。

細工は流々、仕上げを御覧じろ。

魅せてやる。プロの仕事をな。

「お前ら・・・行くぞ。」

俺はバンを降り、『仕事道具』を発現させた。

4名無しのスタンド使い:2016/05/05(木) 15:32:43 ID:jE.q0c560
001

「おはようごじゃりますですじゃ、ディオさん。」

僕の名前は時任 代人(ときとう よりと)。

しがない漫画家だ。

行きつけのカフェ、『ラバーズ』に朝食をとりに出かけた僕は、住み処であるアパート『がいる荘』の大屋であるお婆ちゃん、園谷(そのや)さんに声を掛けられた。

「おはようございます、園谷さん。」

園谷さんはいつも僕のことを『ディオさん』と呼ぶ。どうも誰か別の人と間違えているらしい。

「実は今朝、浅漬けを作ったんですじゃ。多過ぎて1人じゃ食べきれんから、よかったらディオさんも召し上がって下しゃれ。」

「ああ、ありがとうございます!浅漬けか・・・。」

僕は浅漬けの入ったタッパーを受け取った。蓋を開けてみると、

「う・・・瓜ィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーィィッ!?」

瓜の浅漬け。

美味しいのかなぁ。

試しに一口食べてみると、

「あ・・・美味しい。」

さすがは園谷さんだな。

皆は真似しないほうがいいと思うよ。

やってもいいけど、味の保証はしない。

胡瓜だったらいいよ。あれは誰が作っても美味しいだろうから。

5名無しのスタンド使い:2016/05/05(木) 16:23:39 ID:SyCRbDuQ0
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2356/20160505_161929.png

↑扉イラスト容量修正版

6名無しのスタンド使い:2016/05/05(木) 18:50:10 ID:SyCRbDuQ0
園谷さんと別れた僕がカフェ『ラバーズ』に着くと、待ち合わせをしていた友人がすでに席に座っていた。

「やあ、時任くん。お早う。」

友人の名は幽谷 劉生(ゆうこく りゅうせい)。

アンティーク至上主義者の男。

死んだ魚のような目が特徴的な彼と、僕は数ヶ月前に大立ち回りを演じた。

しかしその後彼が一部でカルト的な人気を誇るグロ系の画家であることが判明し意気投合、現在では絵を描く同士としてよき友人になっている。

僕は幽谷くんの前の席に座り、店の新メニューである『変装タコス』を注文した。

「じゃ、さっそくお互いの作品を発表するとしようか、時任くん。」

「ああ。」

僕は昨夜描き上げた漫画(仕事ではなく、趣味と練習を兼ねて描いているもの)を幽谷くんに手渡し、彼の絵を受け取った、が。

「う・・・!!」

見た瞬間、僕は後悔した。

絵の中で〇〇したたくさんの男女が、〇〇に〇〇〇〇されながら、〇〇〇〇の中に〇〇されて、〇〇〇〇になっている。

ちなみに〇で表示した部分は、エロい表現ではなくグロい表現である。

何てこった・・・まさか朝食前にこんなものを見せられるとは・・・。

「どうだい?時任くん。」

「・・・中々、いや、非常に・・・刺激的。食事前には特に。」

「そうか。ありがとう、最高の賛辞だ。・・・ああ、もう少し待ってくれよ。今読んでいるから。」

しかし、幽谷くんの絵は只グロいだけではない。要所要所に様々な技法が効果的に施され、地獄絵図のような画面から何処と無く美しさをも感じさせる。これが彼のコアな人気の所以なのだろう。

幽谷くんが僕の原稿を整えた。そして感想を言おうと口を開き、そのまま静止した。

「?・・・幽谷くん?」

幽谷くんの頬を一筋の冷や汗が伝った。その死んだ魚のような目は、僕の後ろの『何か』を凝視している。

僕は後ろを振り返った。

そこには1人の男がいた。

黒髪をオールバックにし、左の頬には一文字のキズ。長い丈のジャケットを着ている。年齢は二十代後半といったところか。

その傍らには

男の、『スタンド』がいた。

スタンド。それは精神の発露。

本体の側に『立つ』、力を持ったヴィジョン。

かくいう僕、そして幽谷もまた、『スタンド使い』である。

スタンドにはいくつかのルールがある。

まずスタンドはスタンド使いにしか見えず、スタンドでしか倒せない。

そしてスタンドの発現にはコツがある。
最も簡単なのは『自分を守ろうと』したり、『誰かを攻撃しよう』とする意思を持つこと。

つまり、だ。

スタンド使いにとって『スタンドを発現させたスタンド使い』を見たときにまず疑うべきこととは、そういうことなのだ。

敵意。害意。危機。修羅場。

男のスタンド・・・カブトムシの姿に似た亜人のヴィジョンを前にした幽谷の体に重なるように、幽谷のスタンド『ピース・オブ・フレッシュ』が姿を現す。

『オンマァァー!ナンダコイツハァ!!ヤバソウナ臭イガプンプンスルゼェー!!』

つぎはぎだらけの体に血管を隆起させ、白眼を剥き出す不気味な亜人のヴィジョンは乱暴な叫びをあげた。彼のスタンドは幽谷の考えを、汚い口調で代弁することがあるそうだ。

すると、幽谷のスタンドを見た男は顔色を変えこちらに向かってきた。

僕も思わずスタンドを出そうと身構える。

しかし、男は僕らの目の前で立ち止まると、攻撃をするわけでもなく言った。

「お前たち・・・スタンド使いだな。俺の名は林田 恵治(はやしだ けいじ)、お前たちのことを探していた。」

は・・・!?

探していた・・・?僕らを・・・!?

7名無しのスタンド使い:2016/05/06(金) 08:08:39 ID:IVnbkroI0
002

所葉(とこのは)町。

今回の俺の仕事場だ。

人口は二十万人程。首都にそこそこ近い。

特産品は地元では銘菓と名高い『いちょう饅頭』。大福のように伸びる生地の中に、カスタードクリームが入っていてとにかくぐにゃぐにゃに柔らかいが、非常に美味しい。

「美味しいですね!先生!!」

俺の部下の1人、スコップを腰に掛けた少女が調査のために購入した『いちょう饅頭』を口にし、目を輝かせた。

「・・・」コクコク

もう1人の部下、タートルネックのジャンパー姿の少年も頷いて賛同する。

中年の男1人に子供2人。

一見すると、父子家族にも見えるかもしれない。

そしてそれでいい。警戒はされないに越したことはないからな。

「よし。それでは行くぞ。それぞれの任務を果たせ。」

「はい!」

「・・・」コクッ

2人はそれぞれの持ち場に向かっていった。

それを見送った後、俺もまた自らの持ち場に向かって歩き出す。

2人の任務は俺の仕事と直接には関係しない。俺の仕事の内容も教えていない。

―そう。知らなくて、いいんだ。

8名無しのスタンド使い:2016/05/07(土) 15:23:41 ID:H1fQVkV60
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2365/20160507_120022.png

「僕たちを探していた・・・?一体どういうことですか?ファン・・・って訳でもないようですけど」

「ああ。スタンド使いを探している。ある『仕事』への協力を頼みたくてな。」

僕の質問に答えた男、林田 恵治はどうやらかなり『スタンド慣れ』しているようだ。スタンドを出していないにも関わらず、僕がスタンド使いであるとすでに気付いている。僕のスタンドに対する反応、僅かに洩れた緊張感からそれを見抜いたのだ。

「・・・えっと、林田 恵治さん、でしたっけ」

幽谷くんが口を開いた。まだ警戒して、スタンドは出したままにしている。

「ああ。呼ぶときは『リンダ』でいいぜ。知り合いからはそう呼ばれてるんでな。」

「じゃあリンダさん。貴方は僕たちの『敵』ではないということでいいんですね。」

「ん・・・?あ、ああ、そういうことか。悪かったな、コイツは君達を攻撃するために出していた訳じゃあない。」

「スタンド使いを見つけるため・・・ですよね。」

「そうだ。自分からスタンド使いだと申し出るような奴はほとんどいないからな。尋ねてまわるのも非効率な上に不自然だから、こちらがスタンドを出して反応を見ていたのだ。」

そう言って、リンダさんはスタンドを引っ込めた。

「先に言っておくが、今協力を求めている仕事はかなりの荒事だ。故に決して強制はしない。だがこの件は君達に、いや、この町・・・所葉町に住むスタンド使い達に大きく関係することだ。」

「・・・!!」

「もし協力してくれるというのなら着いて来てくれ。この町の中心地に『調査』のための拠点を置いている。」

そう言うと、リンダさんは路地の奥に止めてあるワゴン車に向かって歩き始めた。

「どうする?時任君。」

幽谷くんの問いに、僕は意気揚々と答える。

「もちろん行くよ。何しろ久しぶりのスリルだ。逃す手はないね。」

「だと思ったよ。まぁ好きにすればいいさ。僕は帰らせてもらうよ。面倒事は御免だ。」

幽谷くんは半ば呆れた様子で言った。

「君の漫画の感想は、また後日話すことにするよ。」

「悪いな、助かるよ。幽谷くん。」

「いいよ。よかったら体験談を今度会ったときに聞かせてくれ。」

「ああ、それj」

言葉は最後まで続かなかった。

ボコオォッ!!

突如僕の背後の地面が盛り上がり、スコップを持った少女が僕に向かって飛び掛かってきていた。

「・・・ッ!!」

「時任くん!」

「何・・・!!」

僕、幽谷くん、リンダさんがそれぞれ驚きの声を上げる。

「マイ・・・・ジェネレーションッ!!」

僕の声に合わせて、体中に歪んだダイヤマークの刻まれた緋色の装甲を纏う屈強な亜人のヴィジョンが姿を現し

『ゥルアァァッ!!』

少女の襲撃に対し、右ストレートで応戦する。

「ダンス・フロア・アンセム!!」

少女が強く声を発した。その声に答えるように、頭部にドリルを持ち手はスコップ、全身に靴あとの付いた少女のスタンドが現れ、マイ・ジェネレーションの右ストレートを手のスコップで弾く!

「ぐっ、コイツ・・・かなりのスタンドパワー!!」

「先生の・・・邪魔はさせないッ!!それが私の任務!!」

ザシュッ!!

少女のスタンドはその手のスコップで、僕の足下の石畳道を掘り返す!その直後発光し出す石畳道ッ!!

「な・・・何をするだぁーっ!」

バシュウッ!!

光が止み、

そこに僕の姿は無くなっていた。

跡形もなく、姿を消していた。

9名無しのスタンド使い:2016/05/08(日) 01:14:43 ID:7SKjRTp20
「消えた・・・!?」

「お前は・・・『ディザスター』のメンバーだな。スナイパー『ホーク』の腰巾着か。」

幽谷とリンダは少女に向かいあった。

「流石ですね、林田 恵治。先生のことをご存知とは。」

「なぁに、知ってんのは名前だけだ。裏社会じゃ随分悪名高い男だからな。」

「・・・先生はご自分の仕事を決して私には教えてくださいません。ですが先生の噂は嫌でも耳に入ってきます。・・・それでも私はッ・・・!!」

少女も迎撃の体制に入る。

「せめて私だけは・・・先生を肯定する人間でありたい!その為にも!貴方達にはここで死んでいただきます!!」

『Dycyaaaaaaaaaaa!!』

少女のスタンド、『ダンス・フロア・アンセム』は両手のスコップを振りかざし、リンダに襲いかかった!

しかし、

ガキィッ!!

攻撃は防がれた。

「!?」

『ヴァッハァァオォー!!』

古びたマネキンの顔面、幽谷のスタンド『ピース・オブ・フレッシュ』によって生み出された『無機物のゾンビ』が体当たりで少女のスタンドの足を払い、突撃を食い止めたのだ。

幽谷の能力は成長していた。以前は『ゾンビを生み出す』ことしかできなかった『ピース・オブ・フレッシュ』だが、今では簡単な命令を出すことも可能になっていた。

「リンダさん・・・先に行って下さい。」

「!!」

「彼女は僕らを足止めしようとしている・・・。それは貴方の行き先、貴方達の拠点で『何か』をしようとしているからだ。彼女は僕が止めておきます。リンダさんは拠点に向かってください。」

「・・・分かった。すまん、後は任せる!」

「っ!逃がしません!!」

少女は慌てて追撃をかけるが、

『ヴァッハァァ!』

ガキィッ!!

またしてもゾンビによる妨害を受けた。

「くっ、邪魔立てを・・・!!何なんですか貴方は・・・さっきまでまるでやる気が無かったくせに・・・!!」

「今だって乗り気じゃあないよ。只、時任くんは僕の数少ない友人の1人でね。」

「・・・・?」

「分からないかい?怒っているんだよ・・・僕は。」

死んだ瞳に、幽かな炎が見えた。

10名無しのスタンド使い:2016/05/09(月) 19:07:36 ID:O78ENKLw0
「ここは・・・。」

さっきまでカフェにいたはずの僕は、一瞬にして所葉町の南部・・・商店街の近くにある公園にいた。

人気はまるで無い。ただ1人、10才ぐらいの少年がパンダのオブジェの上にちょこんと座っている。

「やぁ。」

その少年 ― 額まで前髪を切り、タートルネックのジャンパーを着た端正な顔だちの彼は、僕の目の前に歩いて来ると両手を差し出し、

「ミオに『運ばれて』来たんだよね。お兄ちゃん、お菓子持ってる?」と言った。

成る程、この子はさっきの少女の仲間か。

「ごめんね、お兄ちゃん今は何も食べ物は持ってないんだ。ところd」

「そっか、じゃあ」

僕が言い終わらない内に、少年の背後から猛スピードで『何か』が飛び出す!!

風を切る轟音の中で、

―しんじゃえ。―

無邪気な声が聞こえた。

「やれやれ・・・今日はよく言葉を遮られるなっ!!」

僕はスタンドを展開し、『何か』を食い止めようと身構える。

メキィッ!!

受けきれなかった衝撃が全身に響き渡り、呼吸が止まった。

こ、これはッ・・・!

拳だった。

少年の、仮面のような顔の亜人型スタンドの大きな拳が、弾丸の如く飛んできたのだ。

「ぐふぅっ・・・!!」

僕のスタンド、『マイ・ジェネレーション』はかなりパワータイプのスタンドだ。拳で建物や車を破壊するぐらいわけはない。スピードも相当ある。単純な肉弾戦に持ち込めば、まず負けたことはない。

しかし。

この子のスタンド・・・スピードでは互角だが、パワーではマイ・ジェネレーションよりやや上回っている!押し負けたせいで、『能力』も発動出来なかった・・。強い!!

「やだなぁ、抵抗しないでよ。お兄ちゃんは僕の『初めて』の相手なんだから。きひひっ。」

「初めて・・・だと・・・?」

困惑する僕に、少年は意地悪く笑顔を浮かべた。

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2400/20160509_105042.png

「そうだよ。『初めて』殺すの!きひひひっ!!」

成る程ね。

こりゃヤバイな。生まれながらの殺人鬼って奴か。まだ『初めて』なだけマシってところかな。

もし僕が負傷して抵抗出来なくなったりすれば、この子は躊躇なく僕を殺すだろう。

「ふっ・・・くくく・・・。」

面白い。

「次の『主人公』のモデルは君に決定だ!!だがその前に・・・僕が君を少々更正させてやろう!主人公補正を兼ねてなッ!!」

僕の言葉に、少年は凶悪な笑みを深めた。

11名無しのスタンド使い:2016/05/10(火) 19:16:13 ID:MAc.d9Rc0
003

そろそろ始まるころだな。

林田 恵治はミオとユウキが抑えている。

俺はその時間を利用して・・・『奴』を消す。

『奴』が何故消されなくてはならないのか俺は知らない。

知ってはならないのだ。下手に情を持てば命取りになる。

俺は予め借りておいた部屋の窓から、隣の建物を覗き込んだ。

「最後にもう一度確認だ。この男は、あそこにいるんだな?」

俺がターゲット ― 白衣を着た初老の男の写真を手に呟くと、ライフルと融合したような姿をした亜人の幻影が現れる。

フェアウェル・キングダム。

俺のスタンド・・・仕事道具だ。

コイツはターゲットを指定すれば、そいつを必ず撃ち抜く。

どこに隠れていようと。

どれだけ遠くにいようと。

その居場所を指し示し、

向かった先で、必ず撃ち抜く。

もっともコイツは発現させた場所から移動出来ないので、実際に向かうのは俺だが。

『フェアウェル・キングダム』は腕のライフルの先を例の建物に向け、目を光らせた。

ビンゴ、か。

俺は傍らのスーツケースを開いた。中には軍用のグレネードがずらりと並んでいる。中身は教えず、ミオに『運ばせた』物だ。

さあ、いよいよ仕上げだ。

まずは撃ちやすいように隙間を作らないとな。

12名無しのスタンド使い:2016/05/12(木) 14:55:12 ID:iGYRjVV20
『ゥオオオオオオオオオオオオオ!!』

様々な『無機物のゾンビ』が、ひっきりなしに少女― ミオ のスタンドの行く手を阻む。

一見きれいに見える道でも、ゴミは意外と沢山隠れている。幽谷は普段からそういった物に触れておき、いつでもゾンビ化できるようにしてあるのだ。

しかし、『ピース・オブ・フレッシュ』は成長はしたが元来持つ性質、『ゾンビが攻撃できる対象は似た種類の物のみ』というルールは変わっていなかった。
現在攻撃可能なのは普段持ち歩いているマネキンゾンビ(人型のものに攻撃可能)のみで、その他のゾンビは命令に従い『防御』をおこなうのみである。

13名無しのスタンド使い:2016/05/12(木) 20:20:22 ID:MF1jvm7.0
次第にゾンビは破壊されていき、とうとう全てのゾンビは活動を停止した。

『フフフ・・・勝負は決まりましたね。ダンス・フロア・アンセムッ!!』

『Dycyaaaaaaaaaaa!』

ボフォフォフォフォフォフォフォフォ!!

『ダンス・フロア・アンセム』が地面を無造作に大きくくり貫いていくと、そこから銃器、軍用ナイフ、その他もろもろの武器が出土する!!

「!!」

「フフ・・・驚かれましたか?私の『ダンス・フロア・アンセム』は『埋めたものを転送する』スタンド!!先刻は予めゴミをあちこちに埋めて『転送ルート』を繋ぎ、そこを掘り返して転送ルートが閉じきる前に貴方のご友人を落とし込み、私の仲間の下に転送したのです!」

ミオは自分のスタンドの能力を自信たっぷりに説明する。

「・・・・そうか」

「おや?ライオンが走り寄って来て、喰われる!と思ったらそのまま通り過ぎていった時のシマウマみたいなお顔をされてますね?
ウフフ、不思議なんでしょう、私が自分の能力をペラペラと話すから・・・」

「・・・・・」

「しかし心配は無用です!何故なら貴方はここで死ぬのですから!」

ミオは掘り返した武器を手早く身に付け両手に拳銃を構えると、銃口を幽谷の額に向けた。

「・・・・・・」

「・・・気に入りませんね、これから死ぬというのに何ですかその態度は・・・ニヒルなヒーロー気取りですか?」

「別に。さあ、さっさと撃ちなよ。」

「・・・!?」

「そしたら僕は死ぬよ。あっさりと。」

「・・・っ!馬鹿にして・・・ッ!!そんなに死にたいならお望み通りに!!」

ガチッ!!

薬莢が飛び出すが、

「!?」

弾は出て来ない。

「まさか・・・ジャムった(弾詰まり)!?あり得ない・・・!銃の整備も弾の管理も完璧にしたはずなのに・・・!!」

銃口を覗いて中を調べることは出来ない。弾はまだ入っている。引き金に指を当てていないとはいえ、出ていない弾が入っている以上何が起こるかは分からない。

「な・・・何をしたんですか・・・ッ!!」

「それを答える義務が僕にあるかい?」

「くっ・・・!!」

「何、まだ負けた訳じゃあないだろう。僕の『ピース・オブ・フレッシュ』は非力だからね。スタンドなりナイフなりを使えば、容易く僕は殺せるぜ?」

「・・・・!!」

14名無しのスタンド使い:2016/05/12(木) 21:57:22 ID:zt0Or37Q0
ミオは唇を噛みしめたまま、動かない。

「・・・出来ないんだろ?」

「・・・・・!!」

ミオは黙ったまま下を向いた。その目からは大粒の涙が溢れている。

「近くで殺せば、僕の死の感触が伝わるからかい?だから銃で殺そうとしたのか。それでも相当の勇気がいるだろうに」

「・・・・・・」

「それは誰の為だ?君の言う『先生』の為かい?」

「・・・・う・・」

「だけど無理だね。君、人を殺めたことなんてないだろう。さっきから虚勢張って強がっちゃいるけど・・・
顔が怯えきってるぜ。」

「せ・・・先生・・・」

「もうやめよう。」

幽谷は諭すように言う。

「君の任務は本当に僕を殺すことか?君の先生が汚させまいとしてきた手を・・・他でもない自分の手で汚そうとはしていないか?」

ミオの手から銃が滑り落ちた。落ちた銃の銃口から、『使用済みカイロの中身の鉄粉』のゾンビが這い出す。

「ううう・・・!先生・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!!」

幽谷は『切り札』の鉄粉ゾンビを回収し、泣きじゃくるミオの側を立ち去った。

さあ、帰るとするか。

面倒事は、御免だからね。

(To be continued...)

15名無しのスタンド使い:2016/05/12(木) 23:01:39 ID:zt0Or37Q0
1話あとがき

・・・とは書いてみたものの、今回は大反省会ですね!今回が初のSS板だったのですが、恐ろしい程のトラブル続き・・・(完全自業自得)
実を言うと本格的な(?)ネット活動歴は未だ2ヶ月程度の素人なのです・・・何卒ご容赦下さい、もっと勉強します・・・!

今回、他作品キャラ使用の件で色々ご迷惑をおかけしたので、それについてちょっと語らせていただきます。
リンダさんに登場して貰ったのは、今期のジョジョアニメ4部の影響です。リンダさんが承太郎のように大人になって再登場(?)したら、盛り上がるかな〜と思ったのです。
しかしそれに伴って、他人のキャラを扱うという責任感に駆られて、かなりナーバスになってしまいました。
我ながら器が小さいなぁと思いますが、責任を持って、最後まで楽しんで書いて&描いていこうと思うので宜しくです!

また、このSSは一気に投稿するのではなく少しずつ投稿しています。もどかしいとは思いますが、ごめんなさい。このSSは空いた時間の隙間隙間を縫って書いているので、一気に書き込むことが現在困難なのです。
1話終わる度に必ず掲示板にて報告しますので、どうぞ宜しくお願いします。

ちなみに、本来ホーク(先生)、ユウキとの戦いも1話目で終わるつもりだったのですが、けっこう 長くなりそうなので次回に持ち越します。そのせいで連載1話目にして主人公は戦わず幽谷君が戦っている・・・もう笑うしかないですねwww

改めて、このSSに関するコメントを下さった皆さん、そして読者の皆さんに感謝申し上げます。これからもどうぞご遠慮なく、コメントいただければありがたいです。

それでは次回、『目覚めるその血界たち』
アリーヴェデルチ!!

16名無しのスタンド使い:2016/05/13(金) 07:10:46 ID:Lms3.sd.0
第二話―目覚めるその血界たち―

17名無しのスタンド使い:2016/05/13(金) 07:50:28 ID:Lms3.sd.0
001

『殺したことがない殺人鬼』。

いいネタだなぁ。

「ねーお兄ちゃーん、さっきからそうやって嬉しそうにニヤニヤしてるばっかりでかかって来ないケド、僕から行っていーの?」

「え・・・?あぁ、御免、そうだな、そろそろおっ始めようか。」

僕と少年― ユウキ はまるでこれから武道の試合でも始めるかのように、互いに向かい合った。すると、

びしっ。

ユウキが謎のポーズをとった。

左腕を指先まで真っ直ぐ上に挙げ、そこに右腕全体を絡みつかせる。首は右腕側に傾け胴体は真っ直ぐ、左足は真っ直ぐ立ち、右足は大きく開く。

人通りの多い街中で披露すれば、都市伝説になるかあるいは単に変人扱いされること請け合いである。

「・・・何、それ」

「きひひ。『決めポーズ』だよ。ほら。」

「ほらって、僕もやらなきゃ駄目なのか?」

「うん!ほら、ご一緒に」

「し、しかし・・・。」

「早くやってよ〜。僕一人でやってたら馬鹿みたいじゃん。」

「いや二人でやったらもっと馬鹿みたいだからな!?」

18名無しのスタンド使い:2016/05/13(金) 15:24:17 ID:Lms3.sd.0
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2420/20160513_121251.png

「どうしてやってくれないのさっ!いじわる!こんなに格好いいのにーっ!!」

「イヤイヤ・・・君だってさっき『馬鹿みたい』って言ったろ。」

「お兄ちゃんが乗ってくれないから馬鹿みたいなの!本当は格好いいもん!」

「分かった分かった!じゃあこうしよう。えーと、名前は・・・」

「ユウキ。」

「オッケー、ユウキ君。今から僕らは勝負するだろ?その勝負に君が勝ったら一緒に決めポーズをとってあげるよ。しかも町中のみんなの前でだ!格好いいぞ!!」

「本当!?やったー!!」ワクテカ

「だけど、一緒に決めポーズするんだから僕を殺しちゃ駄目だぜ?死んじゃったらポーズはとれないからね?」

「分かった!よーし、頑張る!!」

よし。

ひとまず、万が一の撲殺刑は免れたな。

「じゃ、そろそろ闘るか、ユウキ君。」

「・・・ん」

刹那、空気が変わった。ふんわりしていた空気が一瞬で張りつめる。

ゴオオォォォオオオ・・・!!

『マイ・・・・・・・』

『シンメトリック・・・・・・・』

『『ジェネレーションッ!!』』

ズアッ‼『ゥルアーァァァァアア!!』

ズアッ‼『SEGAMIーーー!!』

「へえ〜、凄いね、僕達のスタンド。どっちも『ジェネレーション』だ! きひひっ」

「ならどちらの『ジェネレーション』が強いか勝負だな、ユウキ君!いきなり全力で行かせてもらうぜ!」

『ゥルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーアア!!』

ユウキも好戦的な笑みを浮かべ、応戦する。

『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIーーー!!』

打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打!!

「・・・・・!!」

「きひっ」

バキャギッ!!

ラッシュを打ち合った『マイ・ジェネレーション』の拳だけに亀裂が入り、本体である僕の拳から鮮血が噴き出した。

「おわあァァーッ!!」

くそっ、漫画家の命を・・・浅い傷だが、しばらくペンは持てそうにない・・・!!

ユウキ君のスタンド・・・パワーだけじゃあない、とんでもなく動作が精密だ・・・!!
リスクを冒して拳で打ち合って正解だった・・・!!もし脚でも使おうもんなら、たちまち対応しきれずに腕も脚もメチャメチャにされていただろう・・・!!

出鱈目な性能だ・・・。やはりまともに闘りあっても決定打は打てない・・・!!

「きひひっ・・・『殺し』はしないケド・・・『半殺し』にはしてあげるね・・・お兄ちゃん!」

「・・・・くく」

「?」

殺したことがない殺人鬼、勝負、パワー、精密性、超性能、実力差、負傷、ピンチ、絶体絶命、半殺し、スリル、スリル、スリル、スリル、スリル、スリル、スリル・・・・!!

「最高にナイスな展開だ・・・ユウキ君」ニィ

「ふえっ!?」

「これだよこれ・・・やっぱり良い、久々のスリル・・・・!!」

「ふえぇ・・・お兄ちゃんが怖いよう・・」

「まだ勝負は始まったばかりだぜ、ユウキ君!見せてあげよう、『マイ・ジェネレーション』の本領をなッ!!」

19名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 07:04:46 ID:jFFQb5n20
『マイ・ジェネレーションッ!!』

『ゥルアアアアー!!』ズアッ‼

「きひひっ、懲りないね。まだ僕と殴り合うつもり?お兄ちゃん。時間の無駄だよ?」

「そうだな、確かに君のスタンドは強いよ。まともに闘りあえばまず勝てない。だが打つ手は無い訳じゃあないんだぜ?」

「?」

「まともに闘って勝てないのなら・・・・奇抜に闘って勝つまでだッ!!」

『マイ・ジェネレーション』はユウキに向かって突進していく!

「きひひひっ!!お兄ちゃん、馬鹿じゃん!やっぱり殴り合うんだ!」

『SEGAMIIIIIIIー!!』ズアッ‼

しかし、今度は拳のぶつかり合いは無い。

『マイ・ジェネレーション』は『シンメトリック・ジェネレーション』と適度に距離をとり、腕に向かってラッシュを空打ちしていく!

「・・・?・・・・え・・・え?な、何なのさ・・・意味分かんない・・・」

『ゥルアアアアーアアアアアアッ!!』

ブォンブォンブォンブォンブォンブォン!!

「・・・!!も・・・うっ、しつこいよ!お兄ちゃん!!闘うならちゃんと・・・」

ユウキの表情が凍り付く。

「あ・・・・あれ・・・!?」

「人聞きの悪いことを言うもんじゃあないぜ、ユウキ君。僕はちゃんと闘ってるよ。ただし、宣言通り、とことん奇抜に闘わせてもらうけどなッ!!」

「な、何で・・・!?腕が・・・上手く動かせないよぉ・・・」

「僕の『マイ・ジェネレーション』は触れた物を『吃らせる』スタンド!その対象は動くものであれば生物、非生物を問わない!『吃らせ』させてもらったよ、君のスタンドの『腕の周りの空気』をな!もうその空気は思うようには動かない!!空気自身が動くことを躊躇い、君の動きを妨げる!!」

「む、むむむ・・・!」

「さて、それじゃ勝負は決まりだな、ユウキ君。僕の」

「まだだよ、お兄ちゃん!!」

!?

ぐにょにゅっ!ぐに・・ぐにに・・ぐぎゅるるっ!!

ユウキはまだ諦めていなかった。否、諦める必要などなかったのだ。

「な・・・何イィィィィーー!!」

ユウキの両腕が体内に入り込み、空気の塊の中から抜け出していく!

っるるゅぎぐ!!ににぐ・・にぐ・・っゅにょにぐ!

さらに体内に入り込んだ腕はビデオの逆再生のように、元ある姿に戻っていくッ!!

「ヴレモン(まじか)・・・」

「きひひ〜。脱出せーこー!さっ、第二ラウンドだよ、お兄ちゃん!!」

この子・・・・やばすぎる!!

まさかラスボスじゃあないだろうな!!

20名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 09:59:16 ID:jFFQb5n20
002

世の中には天才って奴がいる。

彼らが『努力しなくても生まれもった才能で何でも出来る』人間だなんて僕は思わない(勿論そういう人間もいるのかもしれないが)。才能があるとすれば、それは『努力出来る才能』だ。生まれもった才覚なんてのは、その次でしかない。

まあ何はともあれ、天才って奴はいる。

そして感じる・・・彼は・・・・

ユウキは、『スタンド』の天才だ。

その精神力の強さは、如何なる時も諦めない気の強さに如実に表れている。
ユウキは、自分に何が出来て、何が出来ないのかをよく知っている。だからこそ、窮地に追い込まれても常に最善策を打つことが出来るのだ。

しかし・・・だからといって諦める僕ではないがなッ!出来ること出来ないことを理解しているのは、君だけじゃあない!!

「ユウキ君・・・今のが君のスタンドの能力かい?」

「きひひっ。そだよっ!お兄ちゃんも教えてくれたから教えたげるね!
僕の『シンメトリック・ジェネレーション』は僕の身体とスタンドの身体を『再構成する』スタンドみたいなんだよね!細胞の変換、組織の回復、体型、人相の変化、何でも出来るんだよっ!」

そういいながら、ユウキはまるでろくろ首のように首を伸ばして遊んでいる。

「じゃ僕も一泡吹かされちゃったし、お返しするね、お兄ちゃん!!」

『マイ・ジェネレーションッ!!』

『シンメトリック・ジェネレーション!!』

『マイ・ジェネレーション』の能力は、手から電流状の精神エネルギーを流し込むことによって発動する。
その流し込む勢いは拳の速度とスタンドパワーに比例し、理論上スタンドパワーで劣る相手には、相対するベクトルでガードされることで能力を発動できなくなる。

しかし、僕は漫画家だ!

勝つためのアイデアぐらい、いくらでも思いついてみせるッ!!

『ゥルアアアアアアアアー!!』

『マイ・ジェネレーション』が上体を大きく反らせ、両腕を背にまわし、咆哮をあげた。

「きひひっ!何さそのポーズ!変なの、決めポーズのつもり?」

「ああ、そうだぜユウキ君。今から決着するこの勝負に対する・・・勝利のポーズだ!」

「へぇ・・・・それじゃあ・・・・・試してみなよっ!!」

『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIーー!!』

ドバフゥ!!

「!?」

『シンメトリック・ジェネレーション』の初撃は、『マイ・ジェネレーション』の拳ではなく、背中で受け止められた!!

それだけではない。

「ど、どうして・・・?拳が通らない!それに動かせない!!・・・・・ハッ
ま、まさか・・・」

「そのまさかだぜ、ユウキ君!君が今殴ったのは、さっきポーズをとった時背中に作っておいた『吃らされた空気』だ!!」

動きを制限する空気のクッションに突っ込まれた攻撃は通らず、見事に両腕はからめとられている!

さらに僕はすかさず身体を振り、空気のクッションを解除する。

「わわっ・・・!」

ユウキの身体が宙に投げ出され、完全に体勢が崩れた!

『行くぞッ!!マイ・ジェネレーションンンンン!!』

「しまっ・・・!」

21名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 18:45:37 ID:jFFQb5n20
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2437/20160514_173403.jpg

「うひゃああーっ!!」

ありとあらゆる角度から降り注ぐ『マイ・ジェネレーション』の拳はユウキの周りの空気だけを殴り、空気のドームでユウキを取り囲んでしまった。

「こ・・・これは・・・」

脱出出来ないことはないが、それにはかなりの時間を要するだろう。

立ちつくすユウキを尻目に、僕はその場を立ち去る。

「あっ!こら!ちょっと!!どこ行くのさ!」

・・・。

・・・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・・・。

「・・もぅ、何なんだよぅ・・・。」

・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「・・・・あ!」

『ロードローラーだぁーーッ!!』

・・・というのは冗談で、

戻った僕は、ユウキに近くの商店街で買った『いちょう饅頭』の箱を手渡した。

「これ・・・お菓子・・・僕にくれるの?」

「ああ。仲直りの握手の代わりにあげるよ。あいにく手がこのザマだからね。」

「・・・・なら、お兄ちゃん。手、出して」

「?」

僕が両手を差し出すとユウキが小さい手を上に重ね、さらにその上を『シンメトリック・ジェネレーション』の大きな手が覆う。

シュウウウウウウウウウウウウウ・・・・・

ユウキが手を離すと、僕の手の裂傷は綺麗に治っていた。

「僕の細胞をお兄ちゃんの細胞に作り変えて傷を埋めておいたから・・・これで、握手できるでしょ・・・?」

人を殺すことを躊躇わない人間がいるとしたら、きっと周りの人間はその人間を『イカれている』と見なすだろう。

だけどその『皆』の中に、『異端児』と向き合おうとした人間は・・・テレビでよく見る、人の悲しい過去を皆で傍観してお涙頂戴なんて下らないものじゃなく、反発し合って、批判し合って、本気でその人の過去と、人格と向き合おうとした人間は一体何人いるのだろうか。

ユウキは今気付いた。『人を殺したり、傷つけたりすることは良くない』と。

人格に問題のある人間が、それに自分で気付いているとは限らない。

だから、ちゃんと手を引いてあげないと駄目なんだ。蔑んだり目を反らしても、何も変わりはしないから。

朝日が輝く公園で、僕らは互いに握手を交わした。

22名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 21:48:48 ID:jFFQb5n20
003

グレネードを手に、ふと考えが頭をよぎる。

ミオ・・・あの子は少し俺に依存しすぎているところがある。

仕事が仕事だからな・・・俺がいつまで生きていられるかは分からない。

出来れば何とか独り立ちしてほしいものだが・・・。

そしてユウキ・・・あの子に会ったのは僅か1年前だった。
いつか命の重みを分かってほしいものだが・・・俺では説得力がないのかな。

いかんな、仕事の途中だというのに。集中しなくて

ぶちっ。

「な・・・」

腕が、

腕が・・・千切られている!!

「ぐあああっ!!・・・だ・・・誰だあああああっ!」

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2442/20160514_201908.jpg

あまりに『異質』・・・!!

人のそれとは思えない耳、痩せこけた身体、欠損した腕、そして生殖器も見当たらない。

「ふん・・・久々に喰ったな。この味・・・懐かしい。」

奴が喰ったのは俺の腕ではない。
噛まれた感触は無かった・・・奴が喰ったのは、俺の『スタンド』だ・・・!!

「『フェアウェル・キングダム』!この男を消せ!!」

言うなり、『フェアウェル・キングダム』が弾丸を発射!!

しかし、

ガチィッ!!

男は歯で弾丸を止めた。

コイツ・・・やはり『スタンド』が見えている!!

「ふん・・・弱いな。この程度では足りなそうだ。とっとと終わらせるか・・・」

男の口が顔以上のサイズに大きく開き、中から鋭い牙が大量に顔を出す!!

「き・・・貴様あああああっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふん・・・思ったよりは『多』かったな。しかし、まだ身体が上手く動かん・・・。早く『あいつら』のもとに行かなくては・・・。」

食事を終えた男は、痩せこけた身体を引きずり闇の中へ消えて行った。

To be continued...

23名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:34:57 ID:jFFQb5n20
あとがき

ユウキ君可愛ういぃぃぃぃぃぃぃッ!!

案では『無愛想』と書かれていたのに気付いたらすっごく愛くるしくなっていたあああああっ!

女の子だったらもっとよかったのにぃぃぃぃぃぃッ!!

・・・・と、いうわけで最高にハイです!
書いて&描いてて楽しかった!今回は彼について語りますね!
彼を出した理由・・・
1:自デザ
2:名前に『ジェネレーション』入り
3:ディザスター
4:新しいから
このSSはなるべく新しいスタンドを多く出演させようと思っています。僕は新参なのでよく分からないのですが、最近スレも盛り上がっているようなので、ネタにも事欠かないですしね〜。
さて、始めは彼、ほんのチョイ役として出す予定だったのですが、蓋を開けてみればスタプラ並みのチート性能!!
本編でも素晴らしい威力を発揮してくれました!
今後ももしかすると登場する・・・かも?

そしてラストで出ました!予告漫画に描いた『血界人』!!いよいよ物語も本格的に始動しますよ!

では今回はこの辺りで!最後に登場キャラのリンク貼っておきますね〜

次回、『精神を喰らう男』

アリーヴェデルチ!

24名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:50:32 ID:jFFQb5n20
■ No.5823
【案師】 ID:oL9eFFwk0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1381&file=5823_01.jpg

【絵師】 ID:9FEg/gPy0


【スタンド名】
マイ・ジェネレーション
【本体】
だれか
【タイプ】
近距離型
【特徴】
屈強な人型。ダイヤ柄がぶれた感じの装飾が散りばめられている
【能力】
殴った対象を『どもらせる』能力
どもり、吃音症とは言葉が円滑に話せない疾病のことで、
言葉がつまったり伸びたり出なかったりする症状がある
この能力では対象の行動全てをどもらせる事ができ、
脚が前に出なかったり、拳を間延びして振るってしまったりする
思考もどもるので、頭の回転も著しく低下してしまう。
継続する行動(走り続けるなど)は到底できないであろう
破壊力-A
スピード-A
射程距離-E
持続力-A
精密動作性-D
成長性-A

25名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:52:59 ID:jFFQb5n20
■ No.7835
【案師】 ID:B6VFsIZU0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1798&file=7835_01.jpg

【絵師】 ID:dtmb6/w60


【スタンド名】
ピース・オブ・フレッシュ
【本体】
死んだ目をした青年
【タイプ】
近距離(パワー)型
【特徴】
多数の縫い目がある人型
【能力】
触れた『死んだ無生物』を『ゾンビ』にする能力。
『死んだ無生物』とは役割や機能を発揮できなくなった器物を指し、ボロボロの服や壊れた機械など。
『ゾンビ』は『同種の物体』の位置を感知することが出来、それを破壊すべく動く。
『ゾンビ』の基本ステータスは下記の通りだが、健在な機能を使うことも出来、それによってステータス以上の動きをする場合もある。
破壊力-C
スピード-C
射程距離-E
持続力-C
精密動作性-E
成長性-C



【ゾンビ】
破壊力-B
スピード-D
射程距離-B
持続力-C
精密動作性-E
成長性-なし

26名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 22:56:57 ID:jFFQb5n20
■ No.340
【案師】 ID:oy4HIQ6Y0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta/cmd/upload&act=open&pageid=75&file=288_%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%B3.jpeg/

【絵師】 ID:daiXE2GM0


【スタンド名】
アリシア・ワン
【本体】
昔ながらの硬派なヤンキー
【特徴】
カブトムシを人型にした感じ
【能力】
スタンドが殴ったものに栓をつける。
栓からは殴ったものの中身が流れつづけるが、栓を締めれば流出はとまる。
栓は殴られるたびに増えていく。
破壊力-C
スピード-B
射程距離-A
持続力-B
精密動作性-B
成長性-C

27名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 23:00:44 ID:jFFQb5n20
■ No.7846
【案師】 ID:I8o37Oun0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1799&file=7846_01.png

【絵師】 ID:w1sOMpBO0


【スタンド名】
ダンス・フロア・アンセム
【本体】
ディザスターの少女。地位は末端から数えたほうが早い。
【タイプ】
近距離(パワー)型
【特徴】
靴跡がついた人型
【能力】
地面に『埋めた』物を、別の場所で『掘り出す』能力。
埋めた物を『埋めた場所の地中』から『今スタンドが掘った地中』に『転移』させる能力と言ってもいい。
埋めた場所から地続きであれば、どれほど離れた場所からも掘り出すことが出来る。
少しでも掘るような干渉を地面に与えれば転移させられるため、軽く掘ることで別所に埋めておいた地雷を転移させ設置する等も可能。
また本体に限り、自ら地面に埋まり、出ることで、地続きの異なる場所へ転移することも出来る(当然土だらけになるので本体はあまりしたがらないが)。
破壊力-A
スピード-B
射程距離-E
持続力-C
精密動作性-D
成長性-C

28名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 23:04:04 ID:jFFQb5n20
■ No.7862
【案師】 ID:7697LKJB0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta?cmd=upload&act=open&pageid=1801&file=7862_01.jpg

【絵師】 ID:ECBDRmAB0


【スタンド名】
シンメトリック・ジェネレーション
【本体】
物心がつく前に親に捨てられ、『ディザスター』に拾われ一員となった少年。
無愛想でおおらかだが容赦無い性格であり、善悪の区別がつかない上に人を殺す事に躊躇いが無い。
【タイプ】
近距離型
【特徴】
人型のスタンド。
ラッシュ時の掛け声は「SEGAMIIIIII--!」。
【能力】
自身(本体とスタンド)の身体を再構成する能力。
腕や脚を再構成して長くしたり、ストーン・フリーの様に身体の一部を糸状にしたり、傷や骨折等を再構成で治したりできる。
自分以外のものを再構成することは出来ない。
破壊力-A
スピード-A
射程距離-C
持続力-A
精密動作性-A
成長性-A

29名無しのスタンド使い:2016/05/14(土) 23:07:58 ID:jFFQb5n20
2つイラストが有ったので、今作におけるイメージの方を掲載しますね

■ No.4221
【案師】 ID:sk8gvKRW0

h ttp://www2.atwiki.jp/orisuta/cmd/upload&act=open&pageid=981&file=%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%A0.jpg/

【絵師】 ID:fcMLHpc8o

【絵師】 ID:w5kVxd9A0


【スタンド名】
フェアウェル・キングダム
【本体】
『ディザスター』に所属する男。
元軍人の傭兵で、CQC(近接格闘術)を用いた白兵戦を得意とした。
【タイプ】
自動操縦型
【特徴】
スコープのような目で、右腕はスナイパーライフルに同化している。
【能力】
簡単に言えば『持ち運びできる狙撃兵』
スタンド自体は本体が指定したターゲットを狙撃するだけ。
右腕のライフルの性能もスタンドの狙撃の腕前も一般的な軍隊の狙撃兵と同じレベル。
自動操縦型だが、精密動作性は高く、本体の意志でスタンドを出し入れできる。
しかし、知能性は低く、スタンドは発動位置での狙撃体制からは全く移動しないし、
ターゲットの変更をするには本体が直接スタンドに伝えなければならない。
だが、狙撃をスタンドが自動で行うことで、
本体が周囲を見回していつでもスタンドを出し入れできるということの意義は大きい。
破壊力-C
スピード-C
射程距離-A
持続力-A
精密動作性-A
成長性-C

30名無しのスタンド使い:2016/05/16(月) 08:29:31 ID:Ax/quhXc0
第三話―精神を喰らう男―

31名無しのスタンド使い:2016/05/16(月) 09:58:59 ID:Ax/quhXc0
001

「リンダさん!」

幽谷君から無事であること、帰宅することを知らせるメールを受け取った後、僕はユウキと共に『拠点』に向かった。

「おう、無事だったか。こっちもまあ大丈夫だ。何事も無かった。」

「何も無かったの?ふーん、ってことはミオの先生はしくじったんだ。」

「ん・・・?おい、誰だこのガキは」

ユウキを見たリンダさんが怪訝な顔をした。

「ああ、気にしないで下さい。スタンド使いの友達です。」

ユウキの顔を見ると、嬉しそうにニコニコしている。

「・・・そうか。ならいい。しかし君、ディザスターの連中と面識があるようだな。」

「まあ一応、メンバーだからね。だけど心配しなくていいよ。ここでやる任務は僕にはないから。何なら仕事を手伝ってあげてもいいよ。友達のよしみで。」

「・・・・・・」
リンダさんは考え込んでいる。

「まぁまぁ、いいじゃあないですか!アメリカじゃあよく言いますぜ〜?『昨日の敵は今日の友』ってよォ〜」

「!?」

奥の部屋から、金髪の白人が入ってきた。年齢は二十歳ぐらいといったところか。

「ウ〜ッス、ナイストゥーミートゥ、スタンド使いさん。俺はデイモン=マクドナルドってモンだ。マックとでも呼んでくれや。」

「彼はSPW財団所属のスタンド使いだ。まだ若いが、スタンドの素養は十分に備えている。」

「す・・・SPW財団!?」

リンダさんの説明に、僕は仰天した。何しろSPW財団と言えば世界に名だたる大財団だ。そんな巨大な組織がバックについてるのか!

「そしてあと2人、この町で見つけたスタンド使いに集まってもらっている。おい、入ってきてくれ。」

ザッ「こんにちは・・・」

1人目はこちらも二十歳そこらの青年だった。だぼっとしたシャツを着ていて、目の下には何故かバーコードのようなタトゥーが入っている。髪色はエメラルドグリーンで、肉体的にも精神的にも線が細そうな印象を受ける。顔つきもまるで女性のようで、かなり美人の部類に入るだろう。あくまで女性なら、だが。

そして、

「お・・・お前は・・・・!!」

「あ・・・・・!」

もう1人の少女。

やや紫がかった髪色に、まるで漫画に出てくる探偵のような帽子とマント。小学四年生、
他県在住のはずのその少女は!

「お兄ちゃん!」

時任 音々(ときとう ねね)。

僕の、妹だった。

32名無しのスタンド使い:2016/05/16(月) 13:17:49 ID:JDg2LTGA0
「ヤッホー!元気してた?お兄ちゃん!何かねー、お兄ちゃんに会いに行こうと思って遥々出張ってきたら、町中でこのおじさんがスタンド出しててさー、警戒してたら出してもないのにスタンド使えるってバレちゃってね?その後」

「さっきの僕と同じリアクションするなーッ!!」

「何言ってんの?時系列的に真似してるのはお兄ちゃんの方じゃない。」

「むむむ・・・!」

僕は、妹のこの的確に痛い所を突いてくる性格が苦手だ。
とにかくアグレッシブな子で、思いついたアイデアはとにかく試してみようとする。それはまあ良いことではあるのだが、後先考えない所が危うい。
口も達者で、学校でいじめっ子を論破して丸め込み、今ではその子は音々に頭が上がらないそうだ。

しかし、だ。

「ちょっと待って下さいよ、リンダさん。音々のスタンドは戦闘にはまるで向かないんです!この仕事は荒事なんでしょう!?そんな危険な事・・・」

音々のスタンド『フロム・Y・トゥ・Y』(YからYへ)は『ダウジング』のスタンドだ。L字形の金属棒を持って歩き回るアレである。
『フロム・Y・トゥ・Y』の場合は頭部のY字形の角を使い、見つけたいものを探すことが出来る。もっと分かりやすく言うなら、指向性のレーダーといったところか。
しかし、こと戦闘においてはまるっきり非力、ネズミ程度の戦闘能力しかない。

「ああ、分かっている。彼女を戦闘に参加させるつもりはない。あくまで『保護』するという形だ。そのついでに、彼女には俺達のバックアップに回ってもらおうと思っている。『ダウジング』能力はきっと役にたってくれるからな。時期を見て安全になったら、家に帰ってもらう予定だ。」

「ということは、今は危険ってことですか?」

「ああ。詳しくは、俺達のボスから話してもらおうか。」

33命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/16(月) 19:49:38 ID:xC.dQqfY0
「はじめまして、だね。」

奥の部屋から、白衣を着た初老の男が姿を現した。

「紹介しよう。ジョン・オリスター、スタンド研究の世界的権威だ。現在はSPW財団の依頼を受け、この仕事のリーダーを務めてもらっている。」

「またSPW財団・・・もしかしてリンダさんもSPW財団の人間なんですか?」

「いや、そういう訳ではないんだが・・・何つーか、その、顔馴染みがいてな。成り行きって奴だ。」

「へぇ・・・・」

「リンダ君、そろそろ話を始めてもかまわないかい?」

「!ええ。どうぞ、始めて下さい。」

「よいしょっ、と」

ジョン博士は近くの椅子に腰掛けると、話しはじめた。

「えーと、君」

「あ、時任 代人です。」

「うん、時任君。君がスタンドの存在に気付いたのは、大体いつ頃かな?」

「え・・・?えーと、三年ぐらい前・・・この町にきてしばらくたった頃ですかね。」

「ふむ。その頃、何か『矢』のような物で刺された記憶はあるかい?」

さ、刺された!?

「い、いえ・・・そんな出来事は無かったと思います。でも、一体何故そんな質問を?」

「いいかい、時任君。スタンドが発現する要因は大きく分けて二つある。一つは生まれつき、若しくは遺伝といった内的要因、もう一つは『石の弓矢』を始めとする、ある特定のアイテムやスポットとの接触による外的要因だ。」

「・・・・・・」

「君はどうやら生まれつきという訳ではなさそうだね。何か他に要因が会ったのかも知れないな。若しくは・・・。」

「あ、あの、一体どういう・・・?」

「まあ気持ちは分かるが、落ち着きたまえ。いいかい、スタンドが先天的に発現するということは極めて稀有なケースだ。それ故に、スタンドは今まで超能力として認識されて来た。」

「・・・・・・」

「しかし、しかしだ。この町に住むスタンド使いの割合は・・・」

そこまで言われた時には、もうすでに察しがついていた。

「およそ十人に一人。その内七割以上が、先天的なスタンド使いなのだよ。」

34命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/17(火) 07:48:52 ID:2uwdMhEc0
スタンド使いが異常に多い町。

心当たりは在った。

わたべちゃん、幽谷君、その他にも、この町に住むスタンド使いの知り合いは数人いる。

僕はそれが正直嬉しかった。この町にやってきて、初めてスタンドが発現した時程恐ろしかったことはない。いくらスリルが好きとはいえ、ものには限度というものがある。あの時の記憶は恐怖でしかない。人の手に余るこの力が、暴れ、狂い、乱れ、

―何より、『あの人』を傷つけた。

だから嬉しかった。実感出来たからだ。

自分は一人じゃないと。この痛みを分け合える仲間が、周りにいると。

「・・・・・どうやら、思うところがあるようだね。」

気が付くと、ジョン博士が神妙な顔になっていた。いや、博士だけではない。リンダさん、音々、マック、バーコードの彼もそれぞれ複雑な顔つきをしている。

そうか。

そうだよな。彼等も、同士じゃあないか。

皆もそれぞれ、物語があったのだ。

「私が現在立てている仮説では、この町がまるごと、スタンドを開花させる『スポット』になっているのではないかと考えている。そして、その原因にも大体の目星はついている。」

「え、ついてるんですか!?」

「ああ。元凶の名は・・・・

『血界人』。そう呼ばれている『存在』だ。」

35命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/25(水) 01:25:15 ID:bzulc0Sg0
002

血界人。

その存在は先史時代の壁画にも記されており、1874年にギリシャで発見されたアラタナ遺跡に埋蔵されていた巨大石碑群によって、その生態がより詳しく判明するも、

動乱の時代の中で歴史の闇に埋もれ、僅かな研究者によって細々と研究がなされていた。

しかし1997年、事態は一変する。

ギリシャ南東部の無人島群、キクラデス諸島にて現地の研究グループが謎の生物群と遭遇。
洞窟内で休眠していた『彼ら』は『休眠したまま』研究スタッフに襲いかかり、10名のうち5名が重軽傷、3名が殺害された。

これが先史時代の後の人類と血界人との(勿論、資料が残されていることからそれ以前にも公にならない場所で何かしらの接触があったものとは思われるが)ファースト・コンタクトとされている。

生還したスタッフによると、血界人はどの個体も棒きれのように痩せ細っていたにもかかわらず、体を自在に変形させ瞬く間にスタッフを切り裂いたという。
所持していた催涙スプレーを使い命辛々逃げ切るも、被害は甚大であった。

地元では新種の猛獣の出現で一時騒然となったが、ギリシャ政府は情報規制を徹底し、その上でSPW財団に秘密裏に応援を要請した。
何故ならかつての『資料』に記された血界人の生態が、世界大戦のさなか突如出現し波紋戦士と死闘を繰り広げた『柱の男』のそれと非常によく似ていたからである。

彼らは並外れた身体機能を持ち、

触れるだけで生物を『削り喰』い、

人智を超えた生命力を誇る。

かつてのドイツ軍が誇る世界一の科学力を以てしても、まるで太刀打ち出来なかった『究極の生物』。

その怪物に酷似する、怪物。

そんなものを相手に生半可な武器を撃ち込んだところで、勝ち目が無いことは火を見るより明らかであった。

そしてこの要請を受諾したSPW財団は、『とあるスタンド使い達』と共にキクラデス諸島に突入した。

36命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/25(水) 03:17:14 ID:bzulc0Sg0
しかし、想定されていた死闘が起こることは無かった。

血界人達は力尽きていた。スタッフ達に対する攻撃は、最後の悪あがきであったのだ。

そして、そこに血界人達が隠していた『石碑』には彼らと柱の男との決定的な違いが記されていた。

それは、彼らは人間を捕食しないということ。

そのかわりに、生命が持つ超発達した精神エネルギー・・・・

つまり、『スタンド』を捕食する、ということ。

エネルギーを失い活動を停止した血界人達は、SPW財団によって外界から隔離され事件は収束を迎えた。

「なんだ、じゃあ今はその血界人って連中はいないんですね?」

言いながらちらりと横を見ると、ユウキと音々が余程話に納得したのか、こくこくと
しきりに頷いている。

「むー・・・・・むー・・・・・・・・・・・」

「・・・・・すー・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「起きろッッ!!」 コツン

「・・・・ふゆっ・・・・!?」

「・・・ふわっ!?」

「あー・・・・すいません、博士。それで、さっきの話なんですが」

「うむ・・・実を言うと、血界人達の脅威は消えてはいない。」

「え?・・・でも、血界人は隔離されたんじゃ・・・」

「そうだ。奴らは隔離された。しかし・・・」

「!!まさか!!」

「そう、そのまさかだ。」

血界人を・・・解放した者がいたのだ。

37名無しのスタンド使い:2016/05/25(水) 19:55:39 ID:r3GrHgxg0
今から5年前。

SPW財団の研究所が、『何者か』により襲撃を受けた。

襲撃者が誰なのかは未だに分かっていないという。襲撃を受けたことは事実だが、襲撃者自体を目撃した者は1人としていなかったのだ。

しかし、血界人は持ち出されたが、襲撃者の目論見は(おそらく)失敗した。原因は不明だが、数年間の間に血界人達はエネルギーを回復させていた。そして血界人の1人が襲撃者を足止めし、他の仲間を逃がしたのである。

「・・・それで・・・?一体どうなったんですか?」

「襲撃者にも血界人を仕留めることは出来なかった。結果として、足止め役を果たした血界人『エルヴィユ』を含む5体の血界人が外界に放たれてしまった。」

「・・・・・!!」

「以来、我々は血界人の行方を追い続けて来た。公にはなっていないが、既に実害が次々と出ている。そしてその捜査の過程で、この町を発見した。ここに着いた時に確信したよ。奴等が、ここに潜伏しているとな。」

「確信・・・?一体どうして?」

「1997年に血界人に襲われた研究スタッフ・・・その生き残りが、次々と『スタンド』を発現させたのだよ。」

そう言うと、ジョン博士は白衣の袖をまくった。さらにその背後から、カラフルな単眼の亜人型ヴィジョンが浮かび上がる。

「この・・・私のようにね」

博士の腕に刻まれた大きな傷痕は、語らずして全てを物語っていた。

38命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/28(土) 15:39:42 ID:zR9tovvc0
003

「奴らは他者を『スタンド』の才能に目覚めさせる能力を持っている。
能力の使い道は勿論、『食料』の生産だ。過去血界人が出現した地域では、一様に
『スタンド使い』の集団発生が起こっている。」

「つ・・・つまり・・・」

僕の言葉をバーコードの彼が継ぎ、

「この町は今、奴らの牧場になっている。」

「そういうことだな。」

リンダさんが腕を組み、ため息をついた。

「ヴレモン(まじか)・・・・」

「てことは、この町にいたらいずれはみんな食べられちゃうの?」

「・・・実はそこが不可解なところでね、人口においては目立つほどの減少は
見られない。変死なども殆ど報告されてはいないのだよ。」

「なにソレ・・・誰も食べられてないってこと?5年近くも?
だったらそもそも血界人なんて初めからいないんじゃないの?」

「いや・・・いると思うね。」

バーコードの彼が強ばった声で言う。

「・・・?」

その目線は僕らの方向に向いているが、僕らを見てはいない。

向いていたのはその向こう。

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2519/20160528_153321.jpg

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2520/20160528_153638.jpg

血界人はまるで『体の奥に秘められた何か』を探すかのように、僕らを見定めている。

「ふん・・・良いな、さっき喰った奴よりも格段と良質なエネルギーを感じる。
これなら本調子を取り戻せるだろう・・・。」

「貴様は・・・エルヴィユだなッ!!」

温厚そうだった博士が声を荒げた。他のみんなも突然の敵襲に緊張している。

・・・・ヤツをのぞいては。

「お兄ちゃーん、下がっててー」
そう言うとユウキはこれっぽっちも物怖じせず、てくてくとエルヴィユのほうへ向かっていく!

「ば、馬鹿!!何やってるんだよ!危ないぞ!!」

「いーからいーから。お兄ちゃんはそこでソファにでも座りながら、僕の闘いっぷりをよーくみてなよ。きひひっ!」

「却下だッ!!」

「ふえっ!?」

「やっぱり僕も闘うッ!!(てゆーか、最初から闘る気だったけどな)」

「な、なんでだよー。いいじゃん、僕強いんだからさー」ブーブー

「死亡フラグがおっ立ちまくってんだろーが!!駄目だ!!!」

「えー」

 まったく・・・この子どうやら戦闘狂のケがあるらしいな。

「・・・・なんつーか・・・お前らいい神経してんのな・・・。」

マックが呆れ顔で言った。

「まあ、そうは言っても闘るしかねえか!いいぜ!かかって来な血界人!本場アメリカの流儀ってヤツをみせてやるぜエ―!!!」

「アメリカでは戦闘時にも作法があるのかッ!?」

「そうだね。闘ろっか。」

バーコードの彼も臨戦態勢に入った。

「血界人との初戦・・・お前ら、気を抜くなよ・・・!!」

リンダさんがスタンドを発現させると、かつて無いほど辺りの空気が張り詰める!!

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・

その空気のなかで、エルヴィユは
「・・・・・ふん・・・・・つまらん」

ただ、そう言っていた。

To be continued・・・

39命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/05/28(土) 15:48:56 ID:zR9tovvc0
あとがき

今回のエルヴィユ登場シーンはずっと描きたかったところ・・・いよいよマジ戦開始で非常にテンションが上がっております!!
というわけで今回は血界人のモデル、柱の男について語ります。

僕個人としては、柱の男の魅力は彼らの超人類的立ち振る舞いにあると思いますね。
ワムウは微妙なところですが、(彼は彼でまた武人としての格好良さがあるし)
寄生獣よろしく人を超えた思考を持ち決して人とは相容れない生き方には何というか生命の神秘・・・神の領域を感じましたね
・・・伝わるかなあ・・・・?何だかものすごく中二病くさくなった気が・・・
アニメ二部ではアステカ文明的雰囲気によって、その『凄み』が見事に再現されていて、ホント秀逸でした!!!

自分の作品についても一言・・・今回も時任先生とユウキ君がやらかしてくれてますね。
これからマジ戦なのになにやってんだコイツら(笑)・・・でも、あんまりピリピリ続きでも息が詰まるので、これからも
彼らにはちょくちょく頑張ってもらいたいですね。

単発SSでのわたべちゃんとのコンビといい、どうも時任先生は子供との相性がいいようです。何気にマックもやらかしてるけど、
まあコイツはこういうキャラなので・・・アメリカ版シュトロハイムがコンセプトですから。あ、スタンド紹介は次回やりますね。
では今回はこれで!次回、『血戦-Hervieu-』

アリーヴェデルチ!!

40名無しのスタンド使い:2016/05/29(日) 21:59:38 ID:EVsb9B860
更新乙です!
血界人の設定、なかなか面白いですね
そして早くも次回は血界人とのガチバトルですか、期待してます!

41名無しのスタンド使い:2016/06/03(金) 00:25:06 ID:bRnJAAqA0
血界人って何?ジョジョに出てきたっけ?

42命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:45:08 ID:ONApRAAI0
第四話 〜血戦-Hervieu-〜

「博士!お嬢ちゃん!!後ろへ!!!」

「ああ、気をつけてくれ!!」

リンダさんの呼びかけを受け、博士と音々が素早く部屋の奥へ後退する。
どうやら博士のスタンドも戦闘能力は高くないらしい。

「お前ら、アイツにスタンドを捕まれるんじゃあねえぞ!もし捕まれば
即刻喰われる!!攻撃するときは遠距離からやるか、スタンドパワーがあるなら
全力で殴ってガードを弾き飛ばせ!!とにかく捕食のスキを与えるな!!」

リンダさんがさらに僕らにも注意を促す。

「あいよオオリンダの旦那アアア!!遠距離ならこのマック様の得意分野だぜエエエエ!!
先手エエエエエエ必勝オオオオオオオ!!!『ザ・カッター』!!!!」

マックが自らのスタンド、『ザ・カッター』を発現させた!

「ィいくぜエエエエエエエエ!“ハイアー・ヘル”!!」

『パパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウ!!』

フヒィィ—―ン!!!

『ザ・カッター』が高く飛び上がると、すかさず全身に付いた三日月型の刃を射出!!

刃が射出された場所からはすぐにまた新たな刃が生成され、さながらマシンガンのように
刃が撃ち出されていくッ!!

h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2601/20160704_234103.jpg

「ほう・・・・」

エルヴィユは飛んでくる刃を一瞥し、

バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシバシィィッ!!

次々に高速回転する刃を素手でキャッチ!!

しかし、

ザシュアアアアッ!!

流石に全てを裁ききることは叶わず、数十、数百という刃が全身を切り裂いていく!!!

「や、やったか!?」

「いや・・・」

シュウウウウうう・・・・

エルヴィユは倒れない。

傷口は斬られた先から、赤い霧を噴き出しみるみるうちに塞がっていく。

「ちっ・・・」

マックはエルヴィユの周りに散らばる無数の刃を消滅させた。捕食されてエネルギーになるのを防ぐためだ。

「それじゃコイツならどうだ!?」

僕とユウキは左右二手に分かれ、素早くエルヴィユに接近する。

「ぬっ・・・」

反応しようと身構えるエルヴィユの背後に

『ノープラン(無計画)!!』

バーコードの彼のスタンド、『ノープラン』が大きなテーブルを投げつける!

43命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:47:12 ID:ONApRAAI0
大きな質量の接近に思わず反応したエルヴィユはテーブルをたたき落とす為に体を後ろに回す。

「今だッ!!」

『ウルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!』

『マイ・ジェネレーション』と『シンメトリック・ジェネレーション』の高速ラッシュが、エルヴィユの身体に突き刺さる!!

「ぬううううううううううううううううっ!!!」

エルヴィユは大きく後ずさった。その体組織はかなりの損傷を受けている。

「勝ったッ!!もうお前は再生出来ないぜっ!!身体の自然治癒力を『吃らせて』やったからな!!!」

「ぬおおおおおおお・・・・・・」ブチブチブチ・・・

「!?」

「ば、馬鹿なっ・・・!!」

あろうことか、エルヴィユの身体は『マイ・ジェネレーション』の能力をものともせず、再び再生していく!!

「能力が効かない・・・!?こんなことが・・・・!!」

「耐性だ・・・!!」

「・・・!?」

「血界人は幾多のスタンドを喰らうことでその命を保つ・・・その過程でスタンドが持つ特殊能力に対する強力な耐性を手に入れるのだ・・・。」

リンダさんの説明に、場の皆が戦慄した。

「だ・・・だとしたらどうやってコイツを倒せば・・・」

そしてそこで気付いた。

その疑問に対する答えを持つ者はいないのだと。

何故なら血界人を倒した人間は、事実上一人としていないのだから。

幸運にも、交戦を避けてこれたが為に。

弱点に関する資料など、まるで残されてはいない。

僕らは・・・運が良すぎたのだ。

良すぎたが故に・・・もたらされた平和に甘んじた。

この瞬間が来ることなど、想像もしなかった。

あるいは、この瞬間が来ることを恐れ、目をつぶり続けていたのだろうか。

「ふん・・・やはりな」

エルヴィユが微かに嗤う。

「大方おれを倒す術などもっておらんのだろう。お前達人間はいつもそうだ。自分達は万能だ、この世の全てを支配下に置いている、などと思い上がっている。しかしそれは過去の先人の偉業を自分の一部だと思い込んでいるに過ぎない・・・哀れな生き物どもよ。凡夫に一体何が出来るというのか。」

「・・・・・・・・・」

「あ〜・・・・うん?」

バーコードの彼とユウキが揃って怪訝な顔をする。それを見たエルヴィユの顔から、先程までの優越感が失せていく。

「お前さあ・・・ひょっとして僕らが絶望してるとか思っちゃってる?」

「ふん・・・違うというのか?」

「ああ違うねッ!!僕らはこれっぽっちも絶望しちゃあいないぜ!!!」

44命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:48:37 ID:ONApRAAI0
「はっ・・・間抜けが、さっきも言っただろうが。そういう思い上がりがお前らの弱点だと・・・」

「だってお前はさっきから押されてるばかりで、傷一つ僕らに負わせてはいないじゃあないか。」

エルヴィユの笑顔が完全に消えた。しかしその表情に怒りは見られない。自分より下等な・・・猿か何かにからかわれて、やれやれ・・・と哀れみの目で見るような、そんな感じの表情だ。

「ふん・・・よかろう。分からんというのなら分からせてやろう、下等生物ども。攻撃『出来ない』ことと、攻撃『しない』ことは違うということをなあッ!!」

エルヴィユの肩甲骨が大きく盛り上がる!

さらに肩の皮膚を突き破り大量の骨針が表出!!その容貌はまるで肩にミサイルポッドが搭載されているかのよう!!!

「喰らえィ!!肩骨甲弾(ショルダーワインダー)!!!」

ドヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ!!!!

筋肉の超収縮により放たれる骨針の一発一発が美しく螺旋状に回転し、性格に急所目掛けて飛来する様は、スナイパーライフルとガトリング砲の融合を彷彿とさせる!!

「成る程ね、エルヴィユ・・・」

骨針は空気抵抗などものともせず、一瞬で目の前に到達!!

・・・・・した、が。

「お前が今までどんな人間と闘って来たのか知らないけどさ・・・」

『ウルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

ガキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキン!!

「お前舐めすぎだよ、人間のこと。」

ガトリング砲の弾ごとき、『マイ・ジェネレーション』にとってはまるで敵では無い。
一発残さず、骨針はたたき落とされた。

「・・・ふん、ふふふ・・・」

「!?」

「だから甘いというのだ!!だからお前達は弱いのだ!!おれの『肩骨甲弾』が只の弾丸だなんて誰が教えたというのだ!?」

「なっ・・・まさk」

とっさに足下を見ると、既にはち切れんばかりに骨針が膨張している!!

「しまっ・・・・・」

「お兄ちゃん!!」

ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!!

破裂した骨針はさらに小さな無数の骨刃となり、僕の身体を切りつけていった。

45命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:53:50 ID:ONApRAAI0
002

「・・・っ・・・・ぐう・・・・・」

全身を切られるなんて、当然ながら生まれて初めての経験だ。

痛い・・・というのもあるが、とにかく全身が熱い。

二つの感覚が同時に襲ってきて、どっちがどっちの苦痛なのか分からない。

筋肉を切断されてしまったのだろうか・・・身体に上手く力も入れられない・・・

ドサッ

「お・・・お兄ちゃん!!」

「くっ・・・・クソがああーーーーッ!!」

『パパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウパウ!!』

ユウキが駆け寄ってくる音が微かに聞こえる・・・・。

それにマックが『ザ・カッター』で足止めしてくれているようだ。

「酷い傷・・・とにかく血を止めなきゃ・・・ちょっとだけ我慢してね、お兄ちゃん」

ユウキは僕の傍らに座ると、袖をまくりてのひらを傷口に押し当てた。

「ぐ・・・」

激痛だが、幸いにも身体は動かないので治療の邪魔にはならなかった。

ユウキのてのひらを伝い、僕の細胞に変換されたユウキの細胞が皮膚の上を移動して傷口を少しずつ塞いでいく。


「無駄撃ちするんじゃあねえ!!マック!!!」

『ザ・カッター』による攻撃を乱発するマックを、リンダが牽制する。

「し、しかしよ・・・リンダの旦那・・・!!コイツを止めねえことにはトキトウが・・・」

「はあ・・・まったく・・・やるならもっと効果的にやれと言ってるんだ。少し頭冷やせ。アイツに刃を喰われた時のリスクを忘れたか?」

「ハッ・・・!!」

マックは急いで刃を風化させた。しかし少々遅かったらしい。

シュウウ・・・シュウ・・・・フシュウ・・・・

エルヴィユはキャッチした刃数枚を、いつの間にか咀嚼していた。

「しィィィィまったアアアアアアアア!!く、喰われているウウウーーーーッ!!」

「だから落ち着けっつってんだろうが!!焦るんじゃあねえ!!たった2,3枚じゃあ、あいつらには腹の足しにもならん!!」

「ADEFYUUUUUUUUUUUUUUUU・・・・・・・・・」

エルヴィユが勝ち誇ったように笑みを浮かべる。時任が治療されていることには気付いていない。

リンダは大胆にエルヴィユとの距離を詰めていく。歩みに一切の恐れは見られない。

そして目前で立ち止まると、手の平を上にし、自分の身体に向けて動かす。

「かかって来な・・・山猿野郎」

エルヴィユが捕食せんと大口を開ける!

しかしエルヴィユが跳びかかるより速く、リンダのスタンド『アリシア・ワン』の拳がうなりを上げ、エルヴィユの下腹部に突き刺さる!!

『ウラウラウラウラウラウラウラウラウラア!!』

「は、速ええっ・・・!!トキトウやガキのスタンドにもまったく劣っちゃあいねえ!!」

「ぬ、ぬうう・・・」

「どうした?エルヴィユ。貴様どうやらラッシュを見切れていないようだな。それに少し疲れも見え始めたようだが・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

エルヴィユはうなだれたまま、動かない。

「・・・なんだア?コイツ・・・返事ぐらいしたらど・・・ウッ!?」

急にエルヴィユが上げた顔は、元のエルヴィユのそれではない!

まるで仮面の如く、骨で出来た甲殻が顔を覆っている!!

「・・・っ!?何だ・・・・!?これは・・・!!」

「ADEFYUUUUUUUUU・・・・・・・・・」

さらにエルヴィユの身体から血のような霧が噴出し、エルヴィユの全身を覆っていく!!

「見せてやろうッ・・・!!このおれの『超血装状態』をなああああッ!!」

46命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/04(月) 23:58:20 ID:ONApRAAI0
h ttp://dl1.getuploader.com/g/orisuta/2602/20160704_234104.jpg

霧は完全に固体となり、まるでパワードスーツのようにエルヴィユの身体を包んでいる。さらに尾部では固まった霧が尻尾のような部位を形成し、うねうねと蠢いている!
________________________________________

『超血装状態』!!

それは血界人が同族間での争いの際に見せる戦闘形態!!

人間は沢山のエネルギー源を摂取すると、それをグリコーゲンと呼ばれる物質に変え体組織の中に蓄える!同じように血界人もまた、摂取した精神エネルギーを赤い液状の物質に変換し体内に蓄えている!!

この赤い液体は性質を自在に変化させられる!彼らは戦闘時に赤い液体を噴出させ、自らの身体整形能力と組み合わせ自分の戦闘スタイルに合わせて武装する!!これが彼らが『血界人』と呼ばれてきた所以である!!!
________________________________________

(おれは認識を誤っていた・・・エネルギーが極度に少ない今、万全の状態のつもりで能力を出し惜しんだり遊んだりすれば下手をすると敗北する恐れもある・・・。ここは早急にケリをつけなくては!!)

「・・・・・成る程・・・これが例の『超血装状態』ってやつか・・・さてどんなものか・・・」

『ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラア!! 』

「ふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんっ!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・!!

「な、何ィィーーーーッ!!あの野郎、リンダの旦那のラッシュに対応してやがる!!あの赤い甲皮が筋肉の瞬発力を補助してやがるのか・・・!!」

「ADEFYUUUUU!!貴様のスタンドとやら、スピードはそれなりにあるがパワーはたいしたことはないなアーーーーッ!!」

バチイッ!!

「マズイッ!!ガードを弾かれたアアアアーーー!!」

「オマケだ!!もう一つ見せてやろう!!おれの能力をなあッ!!」

エルヴィユの手甲から、細長い大量の銃身が露出!!

『流血驟雨(ブルートレーゲン)!!』
先程の骨針とは比べものにならないスピードで、大量の弾丸がリンダを直撃!!

「ぐわあああああああーーーーーっ!!!」

「だ、旦那アアア!!!」

スタンドで受けたおかげで致命傷は免れたが、それでもダメージは大きい。たまらず後ろに飛ばされ、地面に崩れた。

「フフフ・・・おれの『流血驟雨』は精神エネルギーの『射出』を基本形とする『血流法(ブルート)』・・・。先程の『奴』のスタンドのおかげでさらに強化されたようだな・・・使い勝手が段違いだ」

47命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:00:10 ID:oEyrQgzs0
『血流法(ブルート)』!!

それは血界人がもつ精神エネルギーの高等応用術!!

喰らったスタンドを体内で合成し、その能力を自らのスキルとして使用することが出来る!!
単に喰らった能力をそのまま使えるというものではなく、ベースとなる能力(エルヴィユの場合は精神エネルギーの『射出』)を、喰らった能力から抽出した有効な効果というパーツで強化していくと考えたほうが表現としては正確である!!

『血流法(ブルート)』使用時には、喰らったスタンドの一部が血界人の体表に発現する!!
________________________________________

「あ、あれは・・・ミオの先生のスタンド・・・!!そうか、ミオの先生はアイツに食べられてたのか・・・」

「ちっ・・・しょうがねえ・・・!!俺がなんとかするしか・・・って」

「「!?」」

マックとユウキが揃って天井を、エルヴィユの頭上を見上げる!!

「む・・・!?」

異変を感じたエルヴィユも顔を上げると、

落下!!

天井が大きく切り取られ、エルヴィユの頭上に落下してくる!!

「ぬうっ!!」

「くたばれ・・・!この怪物が・・・!!」

落下する天井の上に乗っていたのは、

目の下にバーコードの付いた青年だった。

48命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:02:01 ID:oEyrQgzs0
003

八十嶋 桐人(やそしま きりと)。

目の下にバーコードを持つ男。

八十嶋 桐人は自分のスタンド『ノープラン』を見て考える。

・・・君の胸にあるQRコード・・・・

・・・・一体どんな情報が入ってるんだ?

八十嶋 桐人がスタンドの存在に気付いたのは、彼が小学1年生の時である。

所葉町で生まれ、所葉町で育った彼は町の影響を受けスタンドを発現させた。
両親もまたスタンド使いであった。

スタンドを発現させる前から、桐人はバーコードやQRコードが好きだった。
小さな記号の中に沢山の情報が詰め込まれていることに、不思議な好奇心を覚え、魅力を感じたからだ。

桐人は自分のスタンドに刻まれた記号を何度も読み取ろうと試みたが、一度として読み取れた事は無かった。

桐人にとってのスタンドの思い出はその程度だった。

だから知らなかった。

自分は運命に選ばれたのだと。

そして

運命は不平等だと。

桐人が小学4年生の時生まれた弟。

彼が運命に選ばれる事は無かった。

弟は発現したスタンドに耐えられず衰弱し、やっと耐えられる精神力が身についた頃には、既に手遅れであった。

補助なしでは立ち上がることもままならず、車椅子なしでは外出も出来ない。

スタンドに破壊された身体がそれ以上改善する見込みはなかった。

桐人は苦しんだ。

あまりに残酷だ。 あまりに非情だ。

大事な家族を壊されたのに、怒りの矛先さえ分からない。

バーコードは多くの情報を持つ。

その小さな傍線の羅列の中に。

桐人は目の下にバーコードを刻んだ。

このあまりに膨大な怒りを、忘れてしまわないように。

いつかその矛先が分かった時のために。

・・・君と同じだな、このバーコードは他の誰にも読めない。

だけどそれでいい。

この怒りを知るのは、僕だけでいい。

49命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:04:03 ID:oEyrQgzs0
「ばっ・・・馬鹿野郎!!何考えてんだアア!!そんな高さから落下したらお前!!」

ドゴオッ!!

巨大な鉄筋コンクリート塊をエルヴィユは片手で受け止める。

『エデユアアアアーーーーッ!!』

『ノープラン』が怒り狂ったように叫び、ガンガンと鉄筋コンクリート塊をがむしゃらに殴りつける。

「だ、駄目だ・・・パワーもスピードもある方だとは思うが、エルヴィユにはまるで及ばねえ・・・!!俺の『ザ・カッター』で助太刀すれば何とかなるか・・・?」

エルヴィユがもう片手を構えた。

「くっそ・・・やるっきゃねエエエエ!!『ザ・カッター』、“ハイアー・ヘル”!!」

『パパウパウパウ!!』

フヒィーン!!

「またその技か・・・くだらん」

高速で放たれる刃すら、今のエルヴィユには通用しない!!

今度はその超スピードで全ての刃を片手でキャッチしている!!

「ふん・・・造作もない」

「かかったなアホが!!」

「!?」

エルヴィユがキャッチした刃は、ひび割れてエルヴィユの手の中で爆散!!!

さらに小さな無数の刃となり、エルヴィユの視界を遮る!

超血装状態のエルヴィユにこの程度の攻撃は全く通用しない。

しかし、計算し尽くされた刃の挙動は、大きなスキを生み出した。

「いっけええええっ!」

『エデユアアアアーーーーッ!!』

ドグワアアッ!!

『シンメトリック・ジェネレーション』と『ノープラン』の攻撃がエルヴィユのガードを抜け、命中する。

激しい怒りで漲る『ノープラン』の攻撃は堅い甲皮にヒビを入れ、『シンメトリック・ジェネレーション』の一撃は問答無用で甲皮の下のエルヴィユの体組織を抉った。

「ぬぐおっ・・・!」

「まだまだ・・・!!」

『SEGAMIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!!』

激しいラッシュを受け、エルヴィユがのけ反る!

さらにその先に、

「ダメ押しだ・・・・喰らえ!!」

『ウルアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

待ち構えていた僕の『マイ・ジェネレーション』が渾身のラッシュを叩き込んだ!!

「ご・・・ごおおおおおおおおおおおおっ!!」

甲皮を粉々に砕かれたエルヴィユは、そのまま奥の部屋までぶっ飛んでいった。

「小細工なんてメじゃないんだよ、このタコ!!」

「Oh・・・トキトウウウウウウ!!」

「時任さん・・・!!」

「お兄ちゃん!よかった!傷は大丈夫!?」

「大丈夫・・・とはいえないが、止血は何とかできたよ、有り難うな」

「さて、ヤツは・・・」

全員の視線がエルヴィユに集まる。

50命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:09:32 ID:oEyrQgzs0
「む・・・?」

「オ・・・オイ・・・何か様子が変じゃあないか?アイツ」

吹き飛ばされたエルヴィユはグチャグチャの肉塊のまま、赤く薄い煙を噴き痙攣している。

「再生・・・しない!?」

「ど・・・どうなってるんだ・・?僕の『マイ・ジェネレーション』の能力が今更効いてるのか?」

「・・・・が・・・・ガス欠だ・・・」

「リンダさん!」

「傷は!?大丈夫ですか!!」

「ああ、平気だ・・・。いいか、血界人は喰らった精神エネルギーを糧にして動く。
それはすなわち、再生や超人的な身体能力も、全ては精神エネルギー頼みということだ・・・。」

「じゃあ、それを無くせば・・・!」

「そうだ・・・。元々かなりエネルギーが不足していた上に『超血装状態』や『血流法』でエネルギーを使いすぎたのだろう・・・。オマケにお前達が甲皮ごと体組織を大破させてくれたおかげで、残ったエネルギーも完全に流出してしまったようだ。」

「じゃ・・・じゃあ」

「我々の勝ちだ。本当に、よくやってくれたな。」

「よっしゃああああああああっ!!」

「いやったあー!」

「ヴィクトリィィィィィィィ!!!」

「やった・・・結(ゆい)・・・」

がたっ。

!?

「何・・・だ?今の音・・・」

何の音か。

分からない。

それでも、皆が向く方向は同じだった。

「エルヴィユ・・・!!」

生きている!

原型を留めず、再生が出来なくなっても、まだ、生きている!

「マダ・・・ダ・・・・」

「オレハ・・・モウ・・・モタナイガ・・・キサマラハ・・・」

「何かする気か、コイツ!?気をつけろ!!」

「キサマラダケハ・・・・ニガサンッ!!」

エルヴィユの身体が一気に赤い煙になって蒸発していく!!

「ま、まさかコイツ、自分の身体を精神エネルギーに・・・!!

『最終血流法(ファイナルブルート)・・・永結血弾城(エーヴィヒブルートシュロス)!!』

「う・・・うああああああああああ――――――ッ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
所葉町の外れ、深い深い森の奥に街の雰囲気に似合わない、大きな洋館がある。
その大きさは幽谷が住まう館など比べものにならないほどのものだが、その存在を知る者は誰もいない。
「エルヴィユ、しんじゃった。」

 ベランダに立つ、金髪の少女が呟く。

「そうね。死んでしまったわ。」

部屋の中にいる銀髪の少女が答える。

「だけどラウラ、見える?」

「ええ、見えるわ、レアお姉様。
あの大きな赤い水晶の塔・・・あれがエルヴィユの置き土産なのね。」

「可哀想なエルヴィユ、私たちのところへ辿り着く前に、死んでしまうなんて。」

「だけど、これでとるべき道は見えたわね、お姉様」

「そうね。この世界はまだ、私たちにとって住みよいものではない。」

「変えなくてはならないわ。私たちの理想郷を作るために・・・ね」

深い森の闇の中。姉の声を聞いた金髪の少女は、狂気の滲む笑みを浮かべた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

命知らずのマイ・ジェネレーション

-END-

51命知らずのマイ・ジェネレーション:2016/07/05(火) 00:12:00 ID:oEyrQgzs0
あとがき

というわけで、命知らずのマイ・ジェネレーションはひとまず完結となります!
かなり更新に時間がかかってしまいましたが、見てくださった方、ありがとうございました!

最後となる今回は、このSSのオリジナル(?)キャラである血界人のエルヴィユについて
語ろうと思います。

コイツは展開的にサンタナみたいな役どころになってしまいましたが、仲間内での立場としては決して低い地位ではなく、エネルギーさえあれば結構強いっていう設定のキャラでした。
エネルギーさえあれば・・・!運には恵まれなかったようです。

さて、もう終わり方からしてあからさまなんですが・・・・

このストーリー、まだ続きます。

新章突入、ってやつです。

この話とはかなり趣が違う感じになると思いますが、どうぞ宜しくお願いします!
では、次回作での再会を祈って・・・

アリーヴェデルチ!!

52名無しのスタンド使い:2016/07/07(木) 16:02:29 ID:bkToS/X.0
血で血を洗うガチバトル!
血界人の超血装状態とか血流法とか、
途中途中に入る説明に至るまで実に少年漫画っぽいと言うか、二部っぽくていいね!
随所のイラストも想像を補完してくれてベネ!
一章完結乙です!

53名無しのスタンド使い:2016/07/07(木) 23:21:39 ID:ImqJUQJQ0
乙です!
血界人想像してた以上にやっかいで、バトルシーンとか面白かったです!最後に出てきた
二人の血界人も気になりますし、二章が楽しみです!

あと、余談ですがずっと気になっていたマックのスタンドが「ザ・カッター」だったこと
には驚きました(二つ目の自デザなもので……) 九割九分九厘(もっとかも)が案師の方の
手柄ですが、それでも嬉しいです!


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板