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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13
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深い、濃い市街地の闇の中に、神を自称する男――エネルは居た。
怒りと憤怒に歪んだその表情を、一言で例えるならばまさしく鬼神。
激情の余り全身から漏れ出した電流が、鬼のような形相を怪しく照らして、それは余計に際立って見えた。
本来ならば夜の市街地を照らす筈の電灯も、最早まともに機能してはいない。
市街地を淡く照らす筈の月明かりも、空を覆う……というよりもエネルの周囲の空を覆う雷雲のお陰で届きはしない。
ゆらりゆらりと、一歩を進める度に、電灯がちかちかと点灯し、消えていく。
時たまごろごろと音を立てて、常人なら一瞬で焼け死ぬような雷が、エネルの周囲のアスファルトへと落ちる。
闇の中を歩く鬼神と、鬼神が伴う雷雲が、周囲のありとあらゆる電力を根こそぎ奪っているのだ。
電気がまた一つ消える度に、エネルの周囲を走る青白い電流が、夜空で光る雷が、より一層の輝きを放つ。
首輪で制限されているとはいえ、彼は自然(ロギア)系でも最強の部類に入る、ゴロゴロの実の能力者。
エネルがスカイピアでやってきた事を考えれば、この程度の芸当は至って簡単な事なのだ。
しかし、それはエネルが意図してやっている事ではなかった。
「許さん……絶対に許さんぞ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード!」
それも全ては、自分ですらも抑えきれない激情が成せる業。
怒りで顔まで真っ赤にしたエネルが、無意識のうちに周囲の電気を奪っていたのだ。
ここまで歩いた数キロの道のり、未だに電力が残っている建物など一軒も無い。
初期の電力を遥かに上回る力を身に付けたエネルの標的はただ一人。
神である自分を跪かせ、あまつさえ神である自分を騙くらかしたあの男。
赤いコートに、トンガリ頭。白い翼のヴァッシュ・ザ・スタンピード。
エネルは先程、そのヴァッシュに良く似た白の翼を見掛けた。
空を羽ばたく白き翼に、はためく赤のコート。それが、南東の方角へと飛翔して行った。
それを視界に捉えた時には、翼の影はかなり小さくなっていたが、それでも見まごう訳が無い
スカイピアの奴らに生えたちっぽけな翼とは違う、本当の天使の如き翼。
神を死の恐怖へと追いやった、憎たらしい翼。偉大なる神を失墜させる、天使の様な悪魔の翼。
全ての嘘を見抜いた以上、最早神に歯向う不届き者を生かしておく理由も無い。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
何度も何度も心中で反芻しながら、翼が消えた南東へと歩を進める。
ヴァッシュをこの手でブチ殺した上で、全ての参加者を血祭りに上げる。
最早そうする事でしか、失った威信を取り戻す事は出来はしない。
それが神の名にすがるちっぽけな男に、たった一つ残されたプライドだからだ。
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