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オリロワA part3
430
:
REMATCH
◆H3bky6/SCY
:2025/12/18(木) 20:44:55 ID:IzfH5kf60
数秒の沈黙。
やがて、ギャルがふっと口元を緩める。
「……ま、天井から奇襲ってアイデアは、正直おもろかったし。チャラにしといたげる」
漂っていた殺気が、嘘のように消え去った。
霧散したと言うより引っ込んだと言う方が正しいだろう。
エネリットの指示書きに記されていたのは、二階床面を破壊し、上方から一気に仕掛ける奇襲案。
それを彼女たちは応用し、キングへの直接奇襲へと転用したのだ。
「――――今はね☆」
目元に指をやりながら、明るく一言を付け足す。
そう言う情の深い女だ。借りも因縁も保留はすれど忘れはしない。
征十郎は口を挟まず、ただ一度、小さく頷いた。
エネリットも肩を竦めて、ひとまず話を先に進める。
「既に、エントランスホールでの戦いは始まっている頃でしょう。
かなり遅れてしまいましたが……今からでも、被験体との戦いに合流します」
迷いのない宣言だった。
キングに足止めを喰らったことで、挟撃を前提とした作戦は完全に瓦解している。
もしエンダたちの側に死者が出ていれば、相当な恨みを買うことになるだろう。
それでも――行かねばならない。
「お二人は、どうされます? どうせ、被験体とは戦うつもりだったのでしょう?」
「そうだな。そのつもりだ」
視線を向けられ、征十郎は間を置かずに応じた。
地獄の釜に蓋をする門番。
奴を排除せねば、中にいる者に生き残る術はない。
だが、征十郎にとっては、それだけではなかった。
「――奴は、私が戦うべき相手だ」
決意の籠ったような断定的な声。
征十郎は山折の人間として、刀を抜く。
被験体が何者で、どこから来た存在なのか。
山折村と、あの忌まわしい因縁に、どこまで踏み込んでいるのか。
それを確かめる責務が、この身にはある。
逃げる理由など、最初から存在しなかった。
「あーしもルーさんのことは気にかかるけど――今度はとりまそっち優先かなぁ」
ギャルが頭の後ろに手を組みながら軽い調子で言った。
「いいのか?」
征十郎が問う。
手傷を負ったキングを追わなくていいのか、と言う問いだ。
「いいの。征タンが行くって言うなら、付き合わないと、でしょ」
被験体との戦いを望んでいた征十郎が、ギャル望んだキングとの戦いにつき合った、ように。
今度は、ギャルが征十郎の戦いにつき合う番だった。
三人の目的は微妙に異なり、完全には重なっていない。
それでも、目先の目的地だけは一致していた。
エネリットが小さく息を吐き、頷く。
「了解しました。では急ぎましょう。被験体:Oとの戦いに合流します」
誰かの背中を守るためでも、命令に従うためでもない。
それぞれの理由を胸に抱いたまま、三人は走り出す。
ブラックペンタゴンの正門――エントランスホールへ。
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