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【第1回放送〜】平成漫画バトル・ロワイヤル【part.2】

713『焔のはにかみや』 ◆UC8j8TfjHw:2025/06/02(月) 20:22:03 ID:cFeuEibI0




 食べ方が美しい女性、というのもいる。
給食時間。僕の周りのクラスメイトなんか、飯を食べてる最中だというのに、ギャハギャハ笑いながら口を開いて、咀嚼物が丸見えだというのだから品がないことこの上ない。

ただ、その点野咲閣下は違ったのさ。
食べるという行為をまるで恥じらうかのように、慎みを以って食す。
横髪をかき上げ、ハムスターかリスのようにハンバーガーを頬張っては、清く正しく一回一回咀嚼し、飲み込む。
僕が話しかけた際には、必ず飲み込んでから声を発する。
たまにトマトソースが口元に付着したら、こっそりと指で拭い、そのタレを一舐めしたりさ。
最後はカフェラテでハンバーガーを胃へ流し込むという完成形だ。

彼女の食事風景は芸術的価値さえあった。
そして、この珍奇な料理提供、空腹の満たしこそ、僕と彼女を繋ぐ架け橋でもあったのさ。
──…もっとも、僕自身が健気に笑顔と愛想を振りまいた面もあるんだけどね。

ただ、ここで一つ。しょうもない事だけども疑問が湧く訳なんだ。


「………ご馳走様でした」

「…しかもしっかり『ご馳走さま』まで言う礼儀の良さ…。やはり閣下は美だよ、美の骨頂だ……」

「…え、…何………?」

「あ、ごめんごめん!!! 独り言だから触れなくてもいいよ、野咲くん」


Question.
『このハンバーガーの『調理工程』は一体どうなっているのか』────ってね。


 結果には必ず過程、料理には必ず調理工程がつくものさ。
ボタンを押したらポーンと何処からか出てくる、このモスバーガーであるものの、僕が気になった点は『ラグ』。
ハンバーガーが出てくるまでの『三十秒』という謎のラグが、妙に引っ掛かって仕方ない訳なんだ。
…もしかしたら、そのラグは調理時間。つまり、バックヤードには調理人がいるのではないのか……? ってさ。


「………ハンバーガーありがとう。………じゃあ私、もう行くから……」

「…え?! いやちょっと待ってくれよ野咲くん!!!」

「………………ごめん。………私、時間がもう──…、」

「そ、それは分かってるさ!! ただ君はまだ食後間もない! 焦らずともまだまだ時間はあると思うけどね……?!」

「………何? ……………私、池川君とは…もう──…、」


「気にならないかい? 君も、…バックヤードではどうなってるのかをさ…」

「………え?」



 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピ……

 ──『モ●バーガー 単品x10 3300円』



「……えっ?!」

「見てみようじゃないか…! 未知なる世界を!!」



だから、僕はボタンを連打した。

…僕の見立て通り、さっきまでは気付かなかったけども、奥のバックヤードからはジュゥ…と調理開始の音が聞こえ出す。

……調理工程の真実なんて、ぶっちゃけどうでも良いんだけどね。
本当にクソほど興味なんかなかったよ。
ただ、未だ警戒心が解けてないとはいえ、ハンバーガーの魔法のお陰で、閣下とは距離感を縮められつつある。
閣下はこの不思議な現象に興味をいだいているのさ。

ならば、この機会を逃してたまるかってね。


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