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決闘バトルロイヤル part4
802
:
EPISODE99.5『DUEL ROYALE SPECIAL③』
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:19:06 ID:dyk1XPSI0
(こりゃ、もう一人の方は黙って正解だったかもなァ)
カイザーインサイト本人の話に嘘はないが、みかげ以外に引き連れている参加者は別。
「放送前にはおらず、多分放送後に仲間へ引き入れたろう参加者なので自分は知らない」、とイリヤ達には言った。
無論嘘だ、少女の名前が保登心愛だとはオーエド町での騒動後に聞いている。
かといって馬鹿正直に伝えるつもりはない。
都合良く利用されてるとはいえ、意識を明確に保っているみかげはまだ誤魔化しも効く。
が、みかげ以上に強く暗示の影響を受けたココアは無理だ。
まず間違いなく、リゼの友人を守ろうと張り切ってる橘の反感を強く買う。
下手すればココアを助けるべく、フェントホープへ殴り込んだって不思議はない。
悪辣な面を聞かされても顔色一つ変えない黒死牟はともかく、他の面々はココア奪還に賛成するだろう。
別に、カイザーインサイトの身を案じてはいない。
ただ利用価値がまだある相手を、切り捨てるにはまだ早い。
フォローに感謝してくれよと内心苦笑いし、表向きは何でもない風を装う。
カイザーインサイト達とは一旦別れた後、エーデルフェルト邸での件はイリヤ達の説明通り。
D-1が禁止エリアになった関係で、戦兎達との合流を先回しにして単独での探索を続行。
フェントホープでの騒動に繋がった。
「シロウさん……」
「お、やっぱりあの坊主を知ってたか。美遊の見た目になったら、今にも殺されそうなくらい睨まれちまってな」
『的確に地雷をぶち抜くのが上手過ぎて、ルビーちゃんも流石に引いてますよ…』
遊戯達だけでなくエボルトの話で、ゲームにおける士郎の方針は最早確定と言っていい。
改めて現実を突き付けられ、唇を強く噛み締める。
本音を言うなら勿論止めたいが、士郎達がど何処へ行ったのか分からないのがもどかしい。
カイザーインサイトが振るった聖剣の巻き添えを受け死亡、とはなっていないとのこと。
退避寸前の一瞬だけだが士郎が協力者らしき少女共々、天高くへ飛び上がるのを見た。
肝心のどこまで飛んで行ったかは、残念ながら不明。
「じゃあ最後はわたし達、ですね」
おずおずと片手を上げる少女へ視線が集まる。
最後に番が回って来たいろは達の話が、病院での情報開示の際と然して変わらない。
但し天津達から聞いた内容も含み、そこへ加えて放送後に起きた戦闘も伝えるのだ。
情報量は必然的に多くなった。
803
:
EPISODE99.5『DUEL ROYALE SPECIAL③』
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:19:59 ID:dyk1XPSI0
(城之内くんらしいね……)
「(ああ……)」
千年パズルを通し、相棒と共に親友へ思いを馳せる。
少女を庇って命を落とす、自分の身を案じる前に迷わず動く。
知らされた城之内の最期は、どちらの遊戯にとっても驚く内容じゃあない。
自分達の知る彼なら、固く友情を結んだ城之内克也なら。
そうするだろうと納得があり、本田の死でショックを受けても変わらない城之内らしさに寂し気な笑みが零れる。
城之内の取った行動を間違いと言う気はない、ただ親友に生きて欲しかったのも本音だ。
良いか悪いかの判別は難しいが、遊戯にとって驚くべき話が他にある。
「いろは、それは本当のことなのか…?」
「は、はい。直接戦ったのはキャルちゃん達だけど、わたし達にも見えましたから」
(ねえもう一人の僕、まさか本当に……)
「間違いないぜ。その男が変身したのは、オシリスだ……!」
放送後に病院を襲った者の一人、曰くどことなく不潔そうな感じの男の人。
なるべくオブラートに包んだ言い方であり、淫夢動画で笑ってるホモガキもIRHちゃんを見習って、どうぞ。
それはさておき、その汚い男が姿を変えた巨大な竜を遊戯が知らない訳がない。
決闘都市でマリクが繰り出し、圧倒的な力に一度は勝利を諦めかけた神。
三幻神の一体、オシリスの天空竜以外に有り得なかった。
「単にそいつが支給品を使って、オシリスだかってのを呼び出したんじゃないのか?凌牙みたいなデッキを持ってなくても、カード一枚で呼べるんだろ?」
「いや、ただ召喚するだけじゃない。おかしいのは、男自身がオシリスに姿を変えたってことだぜ」
遊戯が持つエアトスや、遊馬に支給されたカガリ等。
デッキが無くとも召喚条件を無視し、呼び出せるカードは複数存在する。
だがロード・オブ・ザ・レッドのように身に纏うならまだしも、参加者自身がモンスターに変身するのは初耳だ。
マリクと同じくラーの翼神竜を使い、一体化を果たすなら分かる。
しかし何度思い返してもオシリスにそういった効果はなく、益々疑問は深まるばかり。
804
:
EPISODE99.5『DUEL ROYALE SPECIAL③』
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:20:40 ID:dyk1XPSI0
正体不明の男が持つのは、オシリスへの変身能力だけではない。
遊戯以外にもう一人、引っ掛かりを覚える者がいた。
「その男が変身したライダーについて、もっと詳しく教えてくれ」
「ええっと…最初は確か銀色と青色で、頭に一本の角?みたいなのがあって…」
「…金色の武具を纏い……大剣と札を得物とした……そう記憶している……」
直接対峙した天津と承太郎ならまだしも、遠目に見ただけな上にデェムシュとの戦闘に意識を割いた為注視してはいない。
思い出すのに苦戦中のいろはを見兼ねたのか、埒が明かないと呆れたのか。
淡々と黒死牟から告げられた特徴で、橘も正体を察し愕然とする他ない。
「何てことだ……本当にブレイドなのか……!」
「その様子じゃ、お前の知ってるライダーシステムで間違いないみてぇだな?」
「ああ、認めたくはないが……」
剣崎が参加していなくとも、ブレイバックルは支給品で利用されている。
それだけでも許し難いが、変身者の話を聞き橘の怒りは一層の激しさを増す。
戦えない全ての人々の代わりに戦う、剣崎の覚悟の証をただの暴力にまで貶めた。
永遠の孤独という代償を支払い、友と世界の両方を救った仲間の戦いへ唾を吐くに等しい。
(剣崎、ブレイバックルは俺が必ず取り返す。ブレイドの力で、これ以上誰かを泣かせる真似はさせない)
ここにはいない仲間へ一つの誓いを立てる。
身勝手な願いを叶える為に、他者へ理不尽な犠牲を強いる男を。
剣崎の魂を汚す外道を、決して許す気はなかった。
「にしても話を聞いた感じ、遊星は集めたカードを使いこなしてるんじゃねぇか?」
「それだけ遊星くんの実力が高いってことだぜ」
現地捕獲のモンスターと他者のデッキ。
不利な状態で強敵達と渡り合えるのは、遊星が非常に優れたデュエルタクティクスの持ち主だからに他ならない。
一度は肩を並べて戦った戦友の話に、どこか誇らしさがあった。
同時に城之内のデッキを遊星が持っているのに安堵を抱く。
良からぬ目的を持った参加者ではなく、信頼出来る決闘者なら決して間違った使い方はしないだろう。
予期せぬ形で仲間達と引き離され、辿り着いたのがフェントホープ。
紺色の剣士との戦闘以外は、エボルトの話と相違ない内容だった。
話はこれで終わり、と言うにはまだ早い。
805
:
EPISODE99.5『DUEL ROYALE SPECIAL③』
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:21:20 ID:dyk1XPSI0
「敵キャラクターだかって侍を、前々から知ってるんだろ?でなきゃ、俺にあそこまでキレた理由が思い付かねぇな」
「……」
予想通りの問い掛けに睨み返すも、向こうが引き下がる様子はない。
言葉に出さないだけで、いろは以外の全員が同様に聞きたがっている様子。
縁壱に擬態したエボルトへ見せた反応に、無関係だと考える方がどうかしてる。
「あ、あの!そのことは…」
「やめろ……」
咄嗟に割って入ったいろはを制し、重々しく口を開く。
人間との関係を断つ機会を悉く、自ら潰して来たツケと言うのか。
参加者達と不要に関わり続けていれば、いずれは縁壱が見ず知らずの他人でないのに気付かれるのが自然。
自分で蒔いた種と理解しており、尚の事己への苛立ちが湧き上がる。
とはいえ、既に病院で会った者達にはいろはを含めて知られた。
各地へ散らばった連中が触れ回ったとて、何らおかしくない。
今知るか後で知るか、結局その程度の違いでしかないのなら。
幼き頃より燻らせた内面は決して明かさず、簡潔に告げる。
弟だ、と。
案の定、大なり小なり驚きが広まった。
主催者直々に用意した鬼札と、血縁関係を持つ。
詳しく話を聞きたいのが各々本音だろうが、生憎と当人が発する威圧感が安易な質問を拒む。
そんな空気の中、一つ思い出したように六眼が橘へ向けられた。
「日が昇らぬ内に……あのお方の襲撃を受けたと言ったな……」
「あ、ああ。それがどうかしたのか?」
「…あのお方を……敗死寸前に追い詰めたのが……奴だ……」
「なっ……!?」
無惨を殺した男へ、何か思う所がまだあったのか。
情報開示の場にいる最低限の義理のつもりか。
深い理由はない気まぐれか。
黒死牟にも理由は釈然としないまま、釘を刺すとも恐れを煽るとも取れる言を吐き出す。
昏い衝動に突き動かされ、いろはに苛立ちを吐露したのと同じ轍を踏む気はなく。
話はそれで終わりとばかりに、今度こそ黙り込む。
一歩間違えればリゼ一人の犠牲では済まなかった強さの無惨すら、縁壱には及ばない。
そのような男が自分達の敵として立ち塞がるだろう光景に、図書室内は自然と重苦しい雰囲気となる。
806
:
EPISODE99.5『DUEL ROYALE SPECIAL③』
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:22:22 ID:dyk1XPSI0
「ま、そこそこ強い程度で敵キャラクターは務まらないからなァ。手に負えない力があるのはむしろ当然だろうよ」
元気付ける意図はないが、黙り込んで話が進まないのは望んでいない。
エボルトにしては非常に珍しく、余計な軽口抜きでやや強引に話を纏めた。
兄弟関係で頭を抱える羽目になったのは、全く持って不愉快ながらエボルトも経験者だ。
うんざりする程の異常者(キルバス)を思い出す、それは精神衛生上宜しくない。
全員が桜ノ館中学に来る経緯は話し終えたのもあり、ここいらで別の話題を切り出す。
「決闘者の遊戯くんに是非意見を伺いたくてな、取り敢えずは聞いてくれ」
殺し合いでデュエルを推したのは黎斗以外の者ではないか。
戦兎と移動中に立てた仮説を否定せず、神妙な顔つきで遊戯は頷く。
「その可能性は俺も低くないと思うぜ。デッキ以外の支給品を後から没収して、奴自身に関係が深い仮面ライダーじゃなくあえてデュエルを主軸に据えている。
ゲームマスターを名乗る割には、どうもちぐはぐだ」
「だろ?単に殺し合わせたいだけなら、ライダーに変身する道具でもばら撒いた方が手っ取り早い。
なのに自称神様は、自分でも扱い切れてない節があるデュエルを取り入れた。あいつ自身はそもそもデュエルとは無縁だってのに、だぜ?」
橘が会った花家大我や、いろは達が会ったポッピーピポパポ。
殺し合い以前から黎斗を知る者達の話で、デュエルに関しては一度も触れられていない。
元々デュエルモンスターズを一切知らない黎斗が、調整の甘さが目立つ結果となって尚ゲームに取り入れたのは何故か。
主催側にいる別の何者かに吹き込まれ、急遽デュエルの導入を決めたからでは。
仮説が正しいとする場合、それは一体誰なのかという疑問が新たに浮かび上がる。
「磯野かハ・デスって線は?」
「いや、磯野はあくまで海馬コーポレーションの一社員だ。デュエルの知識があるだけで、檀黎斗に強く意見できる思えないぜ」
「冥王は自分がカードのモンスターになってる事を知らなかった。ハ・デスも同じだとしたら、デュエルに深い知識を持つとは限らないんじゃないか?」
『ふーむ、ということは……遊戯さん達と同じ決闘者が檀黎斗に協力してるんでしょうかね?』
「殺し合いを起こすような奴か…」
パッと思い付くのはマリクや乃亜、ダーツと言った過去に戦った強敵達。
黎斗が時間を操れると分かった以上、遊戯に敗れる前の彼らが主催側にいる可能性は否定できない。
或いは遊星や遊馬に因縁を持つ決闘者が、黎斗の協力者とも考えられる。
「ま、デュエリスト以外にも参加者と関係ある奴が、檀黎斗に協力してるってのも有り得ない話じゃないかもな」
『或いは、檀黎斗ですら黒幕的な存在に操られてるってことも、なくはないですねぇ』
「まさか神威の野郎が……いや、魔界孔をもう一度開くのと関係があるのか?」
「天王寺なら関わっていてもおかしくはないが…」
「もし本当にいるならアリナさん、かな……?」
磯野、ハ・デス、黎斗、黒い鎧の男。
判明している面々以外にもまだ、運営側に参加者と関係する者がいるのかもしれない。
そういった「主催に協力してそうな人物」には、それぞれ心当たりがない訳でもなかった。
現状は可能性止まりに過ぎないが。
807
:
EPISODE99.5『DUEL ROYALE SPECIAL③』
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:23:13 ID:dyk1XPSI0
「餅は餅屋って地球の言葉に倣って、決闘者の相手は遊戯くんに任せるとしてだ。美遊ってお嬢ちゃんの話をしても良いか?」
「っ、美遊がなに……?」
親友の名を出され表情が強張るのは無理からぬこと。
エーデルフェルト邸で仲間達に話したのと同じ内容を、エボルトに伝える気はない。
いろは達だけならともかく、この男に美遊の正体を知られるのは危険だ。
遊戯と蛇王院も分かってるようで、厳しい顔付きになる。
露骨な警戒もエボルトを怯ませるには至らない、何より『答え』はとっくに自分で出してる。
「まどろっこしいの抜きで聞くが、優勝した奴の願いを叶える方法ってのがズバリ美遊なんだろ?」
「っ!?」
「おっとォ?その反応は大正解って訳だな。教えてくれてありがとよ」
絶対に話すまいと決めた真実を、向こうは何故か知っていた。
自分は教えていない、士郎だって言う筈がない。
予想外の言葉に全身が跳ね、喉がヒュッと音を立てこれ以上ないくらいの反応を見せてしまった。
「な、なんで……」
「小難しく考えた訳じゃねぇさ。ただ人質って前提を外した時、こう思ったんだよ。
元々殺し合いに必要不可欠だから確保したんであって、囚われのお姫様扱いは後から思い付いたなんじゃないかってな」
『くっ、いらんところで脳細胞をトップギアにしやがりましたね!』
「…で、それを知ってお前はどうする気だ?」
最悪の相手に美遊の情報を知られ青褪めるイリヤに代わり、蛇王院が問い掛ける。
瞳に宿すは仲間に見せた豪気さとは違う、因縁深い聖女相手にぶつけるのに劣らない殺気。
魔界孔を再び開く為に自分を利用した神威同様、ロクでもない目的を果たすつもりでイリヤの親友を狙うなら。
返答次第ではタダで済ましてはやらない。
「別にィ?俺はただ黎斗を始末して、生きて帰れりゃ文句はねぇよ。お前さんらといきなり事を構える程、余裕があるとも言えないんでな」
「それを信じろってか?」
「イリヤ達の命の恩人の言葉を、信じてもらえないのは悲しいね」
殺意を向けられるのなど、数多の星を滅ぼして来て飽きる程経験した。
今になって動じる素振りも見せず、涼しい顔で受け流す。
「……いいよ。わたしとチノさんがあなたに助けられたのは本当だから、今は何もしない」
「そいつは有難いこって」
「だけど!美遊には指一本触れさせない」
幼いながらに修羅場を潜り、年齢とは不釣り合いな気迫で以て応える。
人類最古の英雄王へ、身一つで立ち向かったように。
親友を犠牲に大望を掲げる魔術師へ、己が我儘(願い)を返したように。
一歩も退かず睨み付けるイリヤに、重なるのは自身へ敗北を刻んだヒーロー。
誰にも気付かせない一瞬、愛憎入り交じった顔を浮かべ。
すぐに元の飄々とした態度を取り戻す。
「了解だお姫様。肝に銘じといてやるよ。人間じゃない俺に肝なんてないがなァ。あ、今のは笑うとこだぜ?」
『笑ってるのあなたしかいなんですがそれは……』
808
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:25:17 ID:dyk1XPSI0
◆
一通りの話が終わり、張り詰めた空気からも解放。
ある程度の休憩を挟み頃合いを見計らい、最初に桜ノ館中学を出たのは蛇王院。
橘からの情報で、明石達とはD-2で別れたと聞いた。
であれば当初の予定通りD-4へ向かうだろうし、自分も元々そちらへ行くつもりだったのだ。
本当なら遊星もそこで合流する手筈だが、残念ながら現在位置は不明。
いろは達と同じく、会場の何処かへランダムに転移させられたのだろう。
運良くD-4に近いエリアにいる、とは流石に期待し過ぎか。
「一旦お別れだな。海馬ってのにも俺から言っとく、お前らも気を付けろよ」
首尾よく遊星と合流出来た時の為にと、橘から首輪を一つ譲渡された。
リゼを殺した男のとは別に、デイパックに入っていたらしい。
誰のかは知らないが、打倒ゲームマスターの為にも使わせてもらう。
明石は凄腕のデュエリストである海馬が同行中。
遊星の方にも結芽という、ちびっ子ながらに優れた剣術の使い手が付いている。
どちらかというと、単独行動を取った蛇王院自身の方が危険だろう。
大抵の相手に後れを取る程軟じゃないが、大抵以上の怪物がゴロゴロ参加してるのが殺し合いなのだから。
(あいつらも絶対に大丈夫って保障はないけどな……)
ジャンヌを始め、脅威と呼べる参加者は未だ複数健在。
明石達を信じていない訳ではないが、万が一が起きないとは言い切れない。
記憶に焼き付く、苦い喪失の光景がリピートされる。
キュウシュウの裏切りに遭って、ホーリーフレイムに作戦が筒抜けとなったあの時。
自分の右腕だけならまだ良い、だが仲間を失うのだけは耐えられない。
恐いのはいつだって己の死ではなく、スカルサーペントの者達が殺されることだ。
だから望まぬ全国統一にも身を投じ、狼牙との一騎打ちでは人質を取るという卑劣な真似にすら出た。
自分の在り方を曲げてでも、守りたい連中がいたから。
「死ぬんじゃねえぞ、お前ら……」
無事を祈る言葉を仲間に届けてくれる、お優しい神様はいない。
間に合わせるには自力でどうにかする他なく、気付けば早足になっていた。
【D-2/一日目/午前】
【蛇王院空也@大番長 -Big Bang Age-】
[状態]:胸に真一文字の傷(治療済み)、疲労(中)
[装備]:ティアドロップ@Caligula2、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(薄緑ほど使えないかつ回復系ではない)、ボーちゃんの首輪
[思考・状況]基本方針:普段どれだけキレても殺しはしないが、てめえらは別だ。
1:うちの傘下や同じ考えの奴がいるならなるべく優先する。
2:九時間後に指定されたエリアの一つに向かい、再度作戦会議。
3:仮面ライダーの参加者(駆紋戒斗、深海マコト、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳、天津垓)とチノ、遊戯、凌牙の仲間を探す
4:明石、いい女なんだが残念だな。
5:ジャンヌとは必ず決着をつけてやる。
6:明石の無事は分かったし合流に行く。
7:村雨を持った奴を警戒
8:遊馬に何が起こったかを、凌牙に言わない訳にはいかないよな…。
[備考]
※参戦時期は扇奈ルート、狼牙に敗北後。
※異形の腕はそのままです。そのためゲーム上の攻撃で使ってる砲撃も可能です。
細い触手を切られてもダメージはありません。
※遊星、明石と情報交換しました。
809
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:26:21 ID:dyk1XPSI0
◆◆◆
『#&%$+#』
『何やら頭が高いですねぇ。登場話から出てるルビーちゃんが先輩だってのを、お忘れですか?』
『%$#&@@+#&』
『ひぎええええええ!?噛みやがりましたよこの円盤!』
「あっ、駄目だよそんなことしたら…!」
一人が抜けた後に起こったのは、正規参加者ではない支給品同士の小競り合い。
骨に齧りつく犬のように、サガークに牙を突き立てられルビーが悲鳴を上げる。
すかさずいろはが引き離し、両腕に閉じ込め事なきを得た。
「落ち着いて、ね?ルビーさんもごめんなさい、大丈夫ですか…?」
『どっかの元マスターのお陰で、バイオレンスには耐性がありますので』
「自慢気に言うことじゃないでしょ……」
「す、凄い人の所にいたんですね…」
人間であれば胸を張ってるだろう程に、堂々とした物言いである。
一体全体元マスターとやらは、どんな人だったんだろうか。
想像しか出来ないいろはの腕から、サガークが抜け出し現在の主の元へ飛ぶ。
旧ファンガイア語で語り掛ける人工生命体が、何を伝えたいのか黒死牟には分からない。
興味も抱かず、掴んでデイパックに放った。
「いろはさん達は、ここから南東の街に行くんだよね?」
「うん。やちよさんと、そこで会えるかもしれないから…」
思わぬ所で聞いた仲間の情報を、無視はできない。
恐らく、自分が記憶ミュージアムの崩壊に巻き込まれて間もない頃。
一人でマギウスの翼を追っていた時のやちよが、殺し合いに参加している。
そんな状態でフェリシア達の死を知ったら、更に心が追い詰められてしまう。
やちよを放って置く選択肢など、最初から存在しない。
「だから、黒死牟さん。わたしの我儘だけど、その、一緒に来て欲しいってお願いしても良いですか……?」
「……」
一刻も早く、やちよの元へ行きたいのに嘘はない。
しかし黒死牟を助けたい決意も、微塵も揺らいでいない。
彼を一人にしたくなくて、結果いろは自身の都合に付き合わせる形となり申し訳なさそうに頭を下げた。
言葉無く見下ろし、呆れと苛立ちのため息を小さく零す。
縁壱が何処へ転移させられたかは見当も付かず、無惨も既に永き生を終えた。
積極的に赴きたい場所は自分になく、いろはから離れ一人動き回ったとて何の問題もなし。
故に、お前だけで行けと返す事だって出来る。
810
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:27:00 ID:dyk1XPSI0
だけどこの娘はきっと、今別れても生きていれば自分を探し出してまた付いて回る。
一時別行動を取っただけで、鬼を助けるとの戯言を撤回しはしないと。
煩わしくも、そうだと分かってしまうから。
突き放し別れる選択ではなく、ソレを口にする己への不可解さで眉間に皺が寄った。
「勝手にしろと……言った筈だ……一々私の顔色を窺うな……」
吐き捨てた言葉へ、気遣いの類は欠片も宿っていない。
だというのに目の前の娘は、驚いた顔をした後すぐに表情を崩し。
微笑み礼を伝えて来る。
『めんどくさいですねー!めんどくさいが着物着て刀ぶら下げてるようなもんじゃないで――あっ冗談!ルビーちゃん流の小粋なジョークですので!』
「ちょっと!?言うだけ言って隠れないで…ひぃっ!?あ、あのウチのステッキがとんだ失礼を…!」
『現役JCのヒモみたいになってるとか、恥ずかしくないんですか♪(CV.エセ門○舞以)』
「ぎゃーっ!?違います!言ってません!言ったのわたしじゃありませんから!」
「お、落ち着いて二人とも。それにヒ……もう、黒死牟さんはそんなことしませんよ?わたしの方がずっと助けてもらって…」
「『えっ、自覚なし?』」
やいのやいの姦しく、絶妙に怒気を削ぐ連中に辟易し視線を外す。
硝子窓に映った自分の顔、人を捨てた日からとうに見慣れた異形の証。
瞳へ刻まれた十二鬼月の頂点も、主亡き今や何の意味があるという。
無惨の死とは即ち、人間達の完全勝利を意味する。
始祖が息絶えた瞬間に、血を与えられた配下も引き摺られ地獄へ落ちる。
最後の十二鬼月であった琵琶の弾き手は勿論、各地へ散らばった全員が消滅を免れない。
唯一の例外は自分だけ。
神の気まぐれで蘇生を受け、始祖の呪いを断たれた上弦の壱だけが生存を許された。
無惨が死んだとて、何かが大きく変わりはしない。
恥ずべき醜態と理解しつつ、黒死牟が終ぞ忠節の誓いを取り戻せなかったように。
縁壱もまた、操り人形の滅殺者として剣を振るうのだろう。
結局のところ、屠り合いの幕が開いた時とほとんど同じ。
それでも、他者へ命をくれてやることは。
生きながらに恥を晒す我が身を、弟に及ばぬ輩の手で滅ぼされるのは。
たとえ相手が神であっても、受け入れる気はなかった。
【D-2 桜ノ館中学校/一日目/午前】
【環いろは@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、魔力消費(大)、悲しみと怒り
[装備]:ストライクマーク@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:黒死牟さんを放って置けない、助けになりたい。
2:やちよさん達と病院で会った皆を探す。E-4へ行きやちよさんと合流する。
3:もし灯花ちゃんとねむちゃんがまた間違いを起こすのなら、絶対に止める。
4:フェリシアちゃんを殺した男の人(滅)には怒ってる。でも、我を忘れたりはしない。
5:真紅の騎士(デェムシュ)を警戒。
6:どうしてドッペルが使えたんだろう?
7:縁壱さんは、黒死牟さんの弟さん……。
8:キャルちゃんに渡したメダル、本当に良かったのかな…?
[備考]
※参戦時期はファイナルシーズン終了後。
※ドッペルは使用可能なようです。
【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:魔皇力継承、精神的疲労、縁壱への形容し難い感情(大)、エボルトへの不快感(大)、黎斗への怒り、いろはへの…?
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃、木彫りの笛@鬼滅の刃、ザンバットソード@仮面ライダーキバ
[道具]:基本支給品一式、サガーク&ジャコーダー@仮面ライダーキバ、闇(1時間使用不可)@遊戯王OCG、ランダム支給品×0〜1
【思考・状況】
基本方針:分からない。……が、少なくとも縁壱以外の者に殺される気は失せた。
1:この娘は本当に何なのだろうか……。
2:縁壱……お前は…………。
3:無惨様が……そう、か…………。
4:日を避ける道具は手に入ったか……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※無惨の呪いが切れていると考えています。
※魔皇力が使用可能になりました。キバット族のサポート無しで活性化出来るようです。
※サガークの資格者に認められました。ククルカンの召喚も可能なようです。
811
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:27:59 ID:dyk1XPSI0
◆◆◆
「良かったのか?蛇王院と一緒に行けば海馬と会える筈だが」
「デッキを持ってる海馬なら、そう簡単に倒れやしないさ。それに今は、他に気になることがあってな…」
明確に目的地を決めた者とは反対に、未だ決めあぐねる者もいた。
橘の言う通り、蛇王院に同行し明石達の元へ行くのも間違ってはいない。
海馬なら「デッキを持たない今の貴様など、凡骨にも劣るわ!」、と言いそうだが。
但し遊戯が海馬の元へすぐに行かなかったのは、怒声を浴びせられるのを嫌ったなんて理由じゃない。
好敵手(ライバル)へ一種の信頼を向けているが故、それも理由の一つ。
だが何より、先の情報交換で気にかかるものがあったから。
「司の友達を連れているカイザーインサイトを、放って置いて良いとは思えないぜ」
殺し合いに乗っていないとはいえ、真っ当な倫理観や善性を持ち合わせているとは言い難い。
エボルト同様、何の切っ掛けで牙を剥くか分からない危険人物。
そんなカイザーインサイトの所へ、このままみかげを預けて本当に大丈夫なのか。
遊戯とイリヤ共通の危惧であり、自分達の目で確かめに行くべきではと思い始めている。
しかし、カイザーインサイトが現在根城にしている場所はフェントホープ。
いろはの話では、魔法少女の巨大組織が拠点に使った廃ホテル。
オリジナルのフェントホープに近い形で機能を再現した場合、魔女やウワサ等が多数配置されてる可能性が高い。
こちらから出向くというのはつまり、敵の有利なフィールドへ飛び込むのに他ならない。
更にカイザーインサイト自身、相当な強さを発揮可能なライダーに変身出来る。
キャルから聞いた内容だけでも、強力な魔法の使い手らしい。
必ずしも戦闘に発展するとは言えないが、二人だけで行くにはリスクが低くない。
ただエボルト曰く、カイザーインサイトとは二回目の放送後に桜ノ館中学で合流を約束してるとのこと。
それならフェントホープには行かず、付近の探索を行った後時間を見計らいここへ戻って来るのも有りではないか。
運が良ければ近くのエリアで遊星達が見付かるかもしれない。
加えてもう一人、出来れば優先的に探したいのは天津垓だ。
仮面ライダーで尚且つ、檀黎斗を前々から知る参加者。
今現在天津と共にいるだろうポッピー共々、黎斗との因縁を持つ彼らとは接触を図っておきたい。
無論仮面ライダーの括りで言えば、万丈や戒斗達も捜索の対象だ。
「遊星くん達のようにどこかへ飛ばされたのか、それともいろは達がいた病院に残っているのか…」
「もし病院に残っていたとしても、仲間を探して出発した後じゃないか?」
天津達がどうなったかを知る前に、いろはも黒死牟もブラックホールに吸い込まれたのだ。
スタンド使いが命を落とし、日輪がまたしても罪を重ねたのを知る由もない。
812
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:28:40 ID:dyk1XPSI0
「橘さんこそどうするんだ?向こうにトラブルが起きてないなら、チノ達に追い付けるかもしれないぜ?」
「そうだな……」
どこへ行くかで悩むのは橘も同様である。
明石に待っていると言われた手前、直接会いに行って無事を知らせるのが正しい。
だというのに蛇王院へ同行しなかった訳は、選択肢が複数存在するが故。
単独でもぐも救出に向かった大我の加勢に行き、取り戻したガシャットを渡すのも手。
大我の実力を信じていない訳じゃないが、不安が全くないとも言い切れない。
もう一つ、遊戯達からチノの情報を得たのも橘を悩ませる。
今は亡き弟子へ誓ったように、リゼの友人達を守りたい。
リゼと交流し、彼女から託された者として、チノやココア達にもそれを伝えたい。
なので現在別行動中のチノを追う選択も、無視は出来なかった。
(さぁて、俺はどう動きますかねぇ)
人間達を眺めながらエボルトもまた考える。
イリヤ達がフェントホープに向かう気なら、同行の必要が出て来るかもしれない。
ココアの件も含めてある程度はフォローを入れ、利用出来る駒同士ぶつかり共倒れとなるのは回避したいところだ。
一方いい加減戦兎と合流すべく、いろは達と共にE-4へ行くべきではなかろうか。
流石にこれ以上の寄り道を繰り返せば、戦兎とて堪忍袋の緒が切れるに違いない。
一応いろはに伝言を頼み、今更過ぎるがモニカの回復用に手に入れた道具と、解析用の首輪を渡して自分はイリヤ達の方へ。
といった方法も取れないとは言わないが。
(美遊に関しても、面白いことになってきたからなァ)
推測は正しく、囚われのお姫様は生きた願望器。
自身の生還が最優先だとはいえ、あわよくば未知の力を手に入れたい方針も変わらない。
そこへ齎された美遊の真実に、一切手出ししませんと素直に引き下がるようなら地球滅亡など目論見はしなかった。
首輪解除も済んでいない状態では、当然何も出来ないが。
(それに、美遊の話で目の色を変える奴は必ず出て来るだろうよ)
人質の少女の正体に、驚きはあるだろう。
だが同じく願いを叶える力が本物と知れば、方針をガラリと変える者が現れても不思議じゃあない。
脱落になった者達を取り戻したがってるプレイヤーなど、正しくそれに該当する。
三都の戦争で幾度も見た人間の愚かさがきっと、神のゲームでも互いを蝕む。
そんな中でも、折れず曲がらず正しさを貫ける奴など――
「なんて、な」
嘗て自分が創造(ビルド)した人間(ヒーロー)くらいだろうと、そう余計なことまで考えてしまう前に。
皮肉気な、或いは自嘲するように誤魔化しを呟いた。
813
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:30:05 ID:dyk1XPSI0
【武藤遊戯@遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ版)】
[状態]:疲労(小)、無力感、主催者への怒り
[装備]:千年パズル@遊戯王デュエルモンスターズ、ガーディアン・エアトス@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品一式、結束 UNITY@遊戯王OCG
[思考]
基本:ハ・デスを倒し、殺し合いを止める
0:ここからどう動くか…
1:仮面ライダーの参加者(駆紋戒斗、深海マコト、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳、天津垓)とチノ、凌牙の仲間を探す
2:仲間達との合流と、デッキも取り戻したい。
3:衛宮士郎は殺し合いに乗っているのか…?
4:ロゼはデュエルモンスターズが存在しない平行世界の人間なのかもしれない。
5:相棒の言うように、神(ゲームマスター)も完璧じゃない。そこに攻略法があるかもしれないぜ。
6:このカード…何で相棒や城之内くん達が描かれてるんだ?
[備考]
※参戦時期は最低でもドーマ編終了後。
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中・治療促進により回復中)、悲しみと悔しさ、エボルトへの警戒心(大)
[装備]:マジカルルビー@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード『セイバー』@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード『バーサーカー(マグニ)』@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ、光の主霊石@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。元の世界に帰ってやることがある
1:みかげさんのことが気掛かり。こっちから行くか、それともここで待つかどうしよう…。
2:仮面ライダーの参加者(駆紋戒斗、深海マコト、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳、天津垓)とチノ、遊戯、凌牙の仲間を探す
3:美遊を必ず助けに行く。
4:エボルトを警戒。美遊に手を出す気なら許さない。
5:シロウさん殺し合いに…?
6:ジャンヌを警戒。
[備考]
※参戦時期はドライ!!66話、6千年前に向かった直後
※心意システムによりバーサーカー(マグニ)のクラスカードを創造しました。
814
:
誓いの螺旋と色褪せぬ想い
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:31:02 ID:dyk1XPSI0
【橘朔也@仮面ライダー剣】
[状態]:ダメージ(大、包帯やガーゼにより止血済み)、疲労(中)、心意によりリゼの姿・声に変化
[装備]:ギャレンラウザー&ラウズカード@仮面ライダー剣、リゼ専用スピアー@きららファンタジア
[道具]:基本支給品×2、バンバンシューティングガシャット@仮面ライダーエグゼイド、ハイパームテキガシャット@仮面ライダーエグゼイド、ランダム支給品×1、無惨の首輪、包帯やガーゼなどの治療道具@現地調達
[思考・状況]基本方針:剣崎とリゼの分まで人々やリゼの友達を助ける。ゲームマスターも倒す
0:チノを追い掛けるか、それとも……
1:ありがとう、リゼ。君は睦月と並んで最高の弟子だ
2:まさか俺自身がリゼになるとはな……
3:リゼの友達を探す。リゼの分まで俺が守る
[備考]
※参戦時期は最終回後。
※遊戯王OCGのルールを多少把握しました
※脚の負傷具合については少なくとも完治してます
※心意により見た目と声がリゼと同じになりました。生身でギャレンのスペックで、融合係数の変動で強さが変わるシステムを常に発揮しています。ギャレンラウザーを用いることでラウズカードやコンボ技も使えます
※リゼの姿になったことでリゼ専用スピアーで変身可能になりました
【エボルト@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、石動惣一に擬態中
[装備]:トランスチームガン(ワープ機能3時間使用不可)+ブラックコブラロストフルボトル@仮面ライダービルド、ラストパンドラパネルブラック+ブラックロストフルボトル×6@仮面ライダービルド、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト
[道具]:基本支給品一式×3、じわじわキノコカン@スーパーペーパーマリオ、ブレイクスルー・スキル@遊戯王OCG((1)の効果3時間使用不可能)、ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト、呪い移し(現在使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ、ルナの首輪、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:生存優先。あわよくば未知の技術や檀黎斗の持つ力を手に入れる。
0:どうすっかなぁ俺もなァ。
1:戦兎達の元へ戻る。流石にそろそろ我慢の限界かねぇ。
2:戦兎と共闘しつつどこまで足掻くのか楽しむ。仲良くやろうぜ?
3:エボルドライバーを取り戻す。元は内海の?知らねぇなァ。
4:ロストボトルを回収しパンドラパネルを完成させる。手間を掛けさせないで欲しいんだがな。
5:正攻法じゃあ檀黎斗を倒すのは難しいか。
6:カイザーインサイトを利用。2回目の放送後に桜ノ館中学校で合流。戦兎には何て言おうかねぇ。
7:やちよの声はどうにも苦手。手土産でいろはを連れてきゃ機嫌も良くなるだろ。
8:猿渡死んじまったか。戦兎の奴どうなるかな。
9:美遊、ねぇ…………。
[備考]
※参戦時期は『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』で地球を去った後。
※環いろはの姿を写真で確認した為、いろはに擬態可能となりました。
※トランスチームガンのワープ機能は一度の使用後、6時間経過しなければ再使用不可能になっています。
『全体備考』
※遊戯、イリヤ、橘、エボルトがそれぞれどこへ行くかは後続の書き手に任せます。
815
:
◆ytUSxp038U
:2025/05/19(月) 19:31:30 ID:dyk1XPSI0
投下終了です
816
:
◆ytUSxp038U
:2025/05/26(月) 00:30:26 ID:0BfwVKfc0
冴島鋼牙、柊ねむ、氷室幻徳を予約します
817
:
◆EPyDv9DKJs
:2025/05/26(月) 12:11:45 ID:oNudDAtg0
拙作「激瀧神 『王者の調和』」において凡ミスによる修正があったので報告しておきます
ポセイドンの遺体が幸いなことに後の作品で特に何も描写されてなかったので、
明石の乗るフライング・ペガサスに一緒に乗せたという感じで修正しています
(この描写には修正箇所が余りに少ないので修正内容は省いてます)
この件で問題がありましたら、再修正します
また、海馬の支給品に冥王の首輪が追加されてます
これは表記ミスなので前述の修正内容とは関係ありません
818
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/01(日) 16:38:34 ID:gMzOif3A0
>>761
の予約から2週間が経ちましたので、破棄とさせていただきます
また破棄後にすぐ再予約を防ぐために◆2fTKbH9/12 氏の当該キャラの予約…つまりキリト、空、宮川尊徳、ユキ、直見真嗣、クウカ、奈津恵、コッコロ、継国縁壱、肉体派おじゃる丸の予約を1週間禁じさせていただきます
819
:
◆2fTKbH9/12
:2025/06/01(日) 16:51:32 ID:???0
♦QUsdteUiKY氏リアルが忙しくて自己申告が遅れてしまい、申し訳ありません。
もう少しで完成しますが、間に合わないので一旦、予約を破棄します。
820
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/01(日) 16:59:13 ID:gMzOif3A0
キャル、継国縁壱で予約します
821
:
◆ytUSxp038U
:2025/06/01(日) 19:25:53 ID:Z.O0shPU0
延長します
822
:
コレが血を吐きながら続ける悲しいマラソン
◆QUsdteUiKY
:2025/06/02(月) 01:28:32 ID:PsOMhbvg0
投下します
823
:
コレが血を吐きながら続ける悲しいマラソン
◆QUsdteUiKY
:2025/06/02(月) 01:28:49 ID:PsOMhbvg0
キャルが空中を飛行でき、破壊力もある怪獣ではなくE・HERO Core(エレメンタルヒーロー コア)に変身したのには理由がある。
単純に仲間を探すだけならば怪獣や飛行できるモンスターの方が簡単だが、この殺し合いの参加者はかなりの強豪がいることも熟知した。
怪獣ならばその大きさも相俟って散り散りになった仲間たちが見つけてくれる可能性も高いが、あえてここは慎重に動くことに決めて守備向けの能力を持つCoreでひとまず活動することに決めた。
この姿は散り散りになった仲間も知らない姿だから向こうから発見されて気付いてもらえる可能性は低いが、それでもやはりここは慎重にいきたい。正直、疲労も溜まってるし単独で誰かと戦うというのはかなりしんどいだろう。怪獣は大きいからこそ目に付きやすく、仲間からも発見されやすいが残念ながら危険人物に遭遇するリスクもある。
新しい力を得たし、万全の状態ならば強敵が相手でもやり合えるとは思っているが今は妙に疲れている。身体が重い。
ゆえにキャルは慎重な行動を取らざるを得ないのだ。
(バンジョウに同行した方が良かったかしら……)
当然のことながら、一人よりも二人で行動した方が良いに決まってる。
万丈に同行しなかったことを若干惜しく思うが――
(でもあの急ぎっぷりだと同行してもきっと足を引っ張るだけよね)
万丈は飛電或人を探していた。
もしも遭遇したら、止めるようにも言われている。
ということは、相当焦っているだろうことは想像するに難しくない。
(アルトに会ったら止めると言ったけど、この疲労なんとかならないかしら)
誰かと戦い、止めるには体力は重要だ。
この疲弊しきった肉体、それも単独で止めるというのは難しい可能性もある。
万丈には〝分かったわ〟と言ったが正直、止められる自信があるかといえば微妙なところだ。
しかし本当に身体が重い。
Coreに変身して身体能力が上がってる。普通に走るよりは速く走れているが、万全の状態ならもっと速く走れるような気がする。
そして当然、走るのを止めない限り疲労は減らない。本当は一休みしたいところだが、誰かと合流しなければ安心して休むことも出来ない。
ゆえにキャルは止まらない。
止まれない。
本当は飛ぶ方が速いのだが、慎重に行動しなければいけないのはわかりきっている。
だがその慎重に行動した結果が、裏目に出た。
――空気がズシリと、一変する。
キャルが前方を眺めると、そこには見覚えがある剣士の姿。
キャルは野獣先輩と戦っていたことで、彼とは戦っていないが――その威圧感は今でも忘れられない。
キャルの足が恐怖で竦む。
(どうしてよりによってあいつがいるのよ……!)
手足が震え、あまりもの存在感に気圧されそうになる。
しかし相手は大地に立っている。流石に飛ぶことは出来ないはずだ。
ならばここは怪獣か他のモンスターに変身して――。
キャルは咄嗟にメダルを取り出す。
――壱の型 円舞
キャルが怪獣に変身するよりも速く、円を描くように振り下ろされた日輪刀がキャルを攻撃していた。
824
:
コレが血を吐きながら続ける悲しいマラソン
◆QUsdteUiKY
:2025/06/02(月) 01:29:27 ID:PsOMhbvg0
「かかったわね!この瞬間、E・HERO Coreの効果を発動するわ!」
E・HERO Coreの (1)の効果。1ターンに1度、このカードが攻撃対象になった時に発動できる。
このカードの攻撃力はそのダメージステップ終了時まで倍になる。
キャルはこの効果に期待して、あえて攻撃を誘っていたのだ。
もっとも手足の震えはブラフではなく、本当に恐怖心に駆られていたのだが――。
「これで私の攻撃力は5400!これで――決めるわよ!エレクトロマグネティックインダクション!」
Coreの拳と日輪刀がぶつかり合い――勢い良く縁壱がふっ飛ばされる。
この攻撃力でも破壊されないのは、主催者の用意した駒であるゆえか。それとも只々、業物なのか。
凄まじい勢いでぶっ飛ばされ、大地を二転三転した縁壱だが――勢いは止まらない。
眼前に居るのは鬼。それも途轍もない破壊力を持っている。
それを逃すなど継国縁壱にとって有り得ないことで、どれだけ負傷しようとも狩らなければならない。
しかしキャルとて相手がヤバいことは知っている。
ゆえにキャルは咄嗟に変身解除。
<Momochi Access Granted!>
念のために用意していた3枚のメダルをセット。
Coreの効果は強いが1ターンに一度というのがネック。ならばこれで倒せないならば、逃げるしか今は道がない。
<Golza. Melba. Super C.O.V!>
「チェンジ・テリブルモンスタ――がっ!?」
――壱の型 円舞
――刹那、キャルの首が跳ね飛ばされそうになる。
咄嗟に重心を左にズラしたことで致命傷に留まったが、もしも直撃していたらあの世へ逝っていただろう。
(危ないわね……っ!でも私はまだ死ぬわけにはいかないわ!そうよね、コロ助――!)
瞬間――キャルの右手に何かの書物が現れる。それはケイオスグリモワール。
キャルの力を万全に引き出すための専用装備だ。
「アーマーダウン!」
――次なる型を繰り出そうとする縁壱の動きが、僅かに止まる。
専用装備を持てばアーマーダウンに麻痺効果が3秒間のみ、付与されるからだ。
「まだまだよ!サンダーボール!」
縁壱は魔法というものを知らない。ゆえにこれを血鬼術だと認識するが、そう考えたところで策は思い浮かばない。
ちなみにキャルの必殺技――ユニオンバーストは全体攻撃だが威力がサンダーボールより劣る。ゆえにキャルはサンダーボールを選んだ
(どうしていきなり出てきたのかわからないけど――このチャンスは逃さないわ!)
サンダーボールを被弾して縁壱がダメージを受けてる今こそが好機。
「今度こそ――チェンジ・テリブルモンスターフォーム!」
<Tri-King!>
そしてトライキングに変身したキャルは翼をはためかせて――
――壱の型 円舞
その翼の片方が縁壱の日輪刀によって豪快に切り裂かれ、バランスを失ったトライキングはその場に倒れてしまう。当然だが、片翼では飛べない。
(ど……どうなってるのよ、この化け物!)
化け物。
今まで人々のために剣を振り続けた侍にはあまりにも似つかわしくない言葉だがキャルにとって縁壱は正真正銘の化け物だった。
檀黎斗によって在り方を捻じ曲げられ、人を守るための日輪刀は殺戮を繰り返す剣に。
なんとも皮肉なことだが、きっと檀黎斗はこの状況を楽しんでいることだろう。
縁壱はもう何人もの善良な者を斬ってきた。
その剣は純血に染まり、鬼から人間を救ってきた者の面影などない。
されども縁壱は殺戮を続けるだろう。
それが人々を鬼から守るためのものだと思い込んで。
「それなら……これはどう!?」
トライキングが思い切り大地に拳を叩き付け、粉塵が舞う。
この間、流石の縁壱でも相手の姿を視認出来ない。怪獣の身体の構造なんて透き通る世界でも理解出来ず、先読みも不可能。
そしてキャルは変身を解除する。
825
:
コレが血を吐きながら続ける悲しいマラソン
◆QUsdteUiKY
:2025/06/02(月) 01:29:50 ID:PsOMhbvg0
『モモチ・アクセスグラッテド!』
「グリムフュージョン!」
『ギアソルジャー! ワイバーン! ギアボックス!』
「チェンジ・モンスターフォーム!」
『アンティーク・ギア・メガトン・ゴーレム!!』
キャルは幾多もの腕を持つ巨大な機械族のモンスター――古代の機械超巨人(アンティーク・ギア・メガトン・ゴーレム)に変身した。
「あんたがどれだけ凄腕の剣士でも、これだけ腕があればなんとかなるはずよ!」
古代の機械超巨人が幾多もの腕で縁壱を殴ろうとする。
どれも変則的な動きで、軌道が読めない。モンスターゆえに透き通る世界も無意味。
されども経験とその才能は素晴らしく、眼前に迫る剛腕を、難なく日輪刀で弾こうとする。
しかし完全には弾き切れず、攻撃の余波で無様に吹っ飛び、ダメージも受ける。
だが、この一撃で縁壱は完全に見切った。
再び迫る剛腕に
――壱の型 円舞
円を描くように日輪刀を振り下ろし、斬り裂く
「いぎゃああああ!」
あまりもの激痛にキャルは絶叫するが、鬼がのたうち回ろうと縁壱からしたら自業自得。
――弐の型 碧羅の天
そして縁壱は連撃で絡繰と化した鬼の頸にあたる部位を狙うが、古代の機械超巨人は全ての腕でその一撃を防ぐ――が大半の腕が千切れる
「きゃああああ――!」
激痛に再び絶叫するキャルだが、まだ死ぬわけにはいかない。
咄嗟に強靭な脚で縁壱を蹴ろうとするが、日輪刀で防がれた。だがその余波で縁壱が吹っ飛び、多少は距離を開けられた
(――ッ!こんなやつ、どうしろっていうのよ!)
相手はあまりにも強く、自分だけでは倒せそうにない。
ならばキャルが取るべき行動は――。
(アレを使うしかないっていうの……?)
キャルは自分に支給されたカード――地縛神CcapacApuを脳裏に浮かべる。
アレはどう見ても危険なカードだから使わないでいた。だがこの剣士を殺すためなら、大切なコッコロたち仲間を救うためなら――。
(――ッ!なにをウジウジしてるのよ、私は!これ以上仲間の死体が増えるなら、悪魔に魂を売ったって構わないって決めたはずじゃない!)
そうだ。
この殺し合いには大切な仲間が――コロ助がいる。
絶対に殺されたくない。こんな目にも遭わせたくない。だからコロ助を守るために――私がこいつを倒す!
キャルが変身を解除して地縛神CcapacApuのカードを天に掲げる。
どくん、どくん、どくん――。
心臓のような歪な物体が現れるとこの地で散っていった者達の魂の一部を吸収して――地縛神CcapacApuが顕現した
「――ヒャハハハハ」
――瞬間、キャルの様子に変化が起こる。
大切な仲間を守ろうとした少女は、巨人の地縛神の肩に乗って笑い狂っていた。
この高さでは、流石の縁壱でも届かない。いや、それ以前に魂を吸い取られた者の悲痛の声が縁壱の心を大きく揺さぶる。
この鬼だけは、必ず倒さねばならない――
縁壱がそう決めると同時にCcapacApuはキャルを乗せてひとっ飛び。どこかへ姿を消した
「キャハハハ!私は強くなったわよ!さっきの男も、もっと強くなって殺してみせるわ!」
今のままでは勝てない。そんなことはわかっている。
だから更に強くなって、縁壱を殺すために逃げた。縁壱だけじゃない。野獣先輩も殺さなきよダメだ。
「――待ってなさい、コロ助。コロ助を危険な目に遭わせるような奴は全員、私が殺すわ!キャハハハ!」
――このゲームにおける地縛神の効果。
それは召喚した者の負の感情と悪しき感情を増大させることだ。
もしもキャルを危険人物だと思い込んで、対処しようとする者が現れたらキャルは容赦なく相手を殺そうとするだろう。それが不動遊星たち、散り散りになった仲間だとしてもだ。
そして当然、コッコロに害を与えるような危険人物も殺す。
地縛神の力に頼ったキャルは、もはや暴走状態に近かった。
縁壱から受けた傷も大きいのに、彼女は止まるのをやめない
キャルも、縁壱も。
それはまるで血を吐きながら続ける悲しいマラソンのようで……彼らの道は、未だ続く。
826
:
コレが血を吐きながら続ける悲しいマラソン
◆QUsdteUiKY
:2025/06/02(月) 01:30:27 ID:PsOMhbvg0
【F-5/一日目/午前】
【キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
[状態]:疲労(絶大)、ダメージ(絶大)、首の左側に切り傷、地縛神CcapacApuの肩に乗っている、負の感情増幅中、悪しき感情増幅中、好戦的
[装備]:ウルトラゼットライザー+ウルトラアクセスカード@ウルトラマンZ、怪獣メダル(ゴルザ、メルバ、超コッヴ、ガンQ、レイキュバス)@ウルトラマンZ」、地縛神CcapacApu@遊戯王5D's、ケイオスグリモワール@プリンセスコネクト!Re:DIVE
[道具]:基本支給品、詳細地図アプリ@ロワオリジナル、ウルトラマンベリアルメダル@ウルトラマンZ、メダル(古代の機械兵士、古代の機械飛竜、古代の機械箱、月光???、月光???、月光???、E・HERO??? E・HERO??? E・HERO??? ???×6)
[思考・状況]
基本方針:クロトや覇瞳皇帝や縁壱からコッコロたちを守るために更なる力を求める。
0:キャハハハ!もっと強い力がほしいわ!
1:メダルは手に入った。あとはやるだけよ。でももっと強いメダルもあるかしら?
2:途中誰かに出会ったら、覇瞳皇帝に関して警告し、コロ助への伝言を頼む。
3:エボルト、里見灯花、柊ねむ、カイザーインサイトを警戒。場合によってはコロ助のためにぶっ殺すわよ
4:この力こそ強さよ!もっともっと強くなりたいわ!
5:あの茶色野郎(野獣先輩)ふざけんじゃないわよ、次会ったらぶっ殺すわ
6:強くなるために首輪を集める?
[備考]
※ウルトラゼットライザーは、アクセスカード、
ファイブキングを構成する怪獣のメダル5枚で一個の支給品扱いです。
※ウルトラアクセスカードは、一番最初に支給された参加者の物のみ支給されています。
※ウルトラゼットライザーは変身の際に、
インナースペース(安全圏)にいる時間が短くなる様に、
怪獣の力が本来のスケールで出せない調整されています。
恐らく、ウルトラマンに変身する際も、同様であると考えられます。
※回収したNPCの残骸の詳細は、後の書き手様にお任せします。
※万丈と情報交換しました。
※キャルの他の変身できるモンスター、怪人が何かは後続の書き手にお任せします
※地縛神を使ったことで負の感情や悪しき感情が増幅しています。地縛神を召喚してる時間が長いほど、更に増幅します
※心意で専用装備を獲得しました
※地縛神CcapacApuの大きさは原作より小さいです。詳細は後続の書き手さんにお任せします
【F-6/一日目/午前】
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(中)、胸部に裂傷(中)、肩に切り傷(微小)、頬に傷(微小)、ダメージ(小)
[装備]:継国縁壱の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:鬼狩り
1:鬼である(と縁壱には見えている)紅渡(名前未把握)が死ぬ寸前、柔らかな笑みを浮かべたことに違和感
2:兄上、あなたは鬼となって尚も……
3:死者すら苦しめる巨人を従える鬼(キャル)は絶対に許せない
[備考]
※首輪による制限が行われていません
※思考が矛盾を感じた場合、それを疑問に思わなくなるようプログラムを受けています。
『支給品紹介』
【地縛神CcapacApu@遊戯王5D's】
デュエルモンスターズのカード。
効果モンスター
星10/闇属性/悪魔族/攻3000/守2500
このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、
「地縛神」と名のつくカードを召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができない。
フィールド上にフィールド魔法が表側表示で存在しない場合、
このカードの以下の効果は無効となり、このカードはエンドフェイズ時に破壊される。
●このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。
●相手モンスターはこのカードを攻撃対象にする事ができない。
●このカードは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
●このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
主催により細工を施され、フィールド魔法がなければ破壊される効果は無効になっている。
また召喚者は召喚してる限り負の感情や悪しき感情が増幅され、好戦的になる
●相手モンスターはこのカードを攻撃対象にする事ができない。効果は決闘者以外があまりにも不利になるので無効化されている
また元の世界(原作)のままだと巨大過ぎるのでサイズダウンしている
827
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/02(月) 01:31:03 ID:PsOMhbvg0
投下終了です
828
:
インタールーダー
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 02:52:31 ID:CDerigb60
投下します
829
:
インタールーダー
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 02:54:25 ID:CDerigb60
空を駆け抜ける列車、フライング・ペガサス。
それはまるで御伽噺や物語のような光景なのでしょう。
海で戦う艦娘が、空を駆ける。駆逐艦の多くには羨ましがられるんだろうなぁ。
なんて、此処が殺し合いである以上、そんな話をしても楽しくないのは間違いないけども。
艦娘が海神を倒してしまうという、ある意味とんでもない罰当たりなことをした後、
私こと、工作艦明石は海馬さんと共にフライング・ペガサスに乗車して現在移動中です。
列車と言っても快速と言うわけではなく、速度が緩やかなのは、逃げを防ぐための速度制限なのでしょう。
もっとも、それでも追いかけてくる少女(ルナ)やポセイドンがいたことを考えると、
もうちょっと速度があってもいいんじゃあないかな、なんて思ってたりもしてます。
ゆっくりな動きは殺し合いなんてものを忘れさせてくれる感じがしてしまい、
安心感と同時に、殺し合いなんてないんじゃないかと思わせてくる不安感もあります。
だから私はあえて見る。野原さんと、ジャックさん、そしてポセイドンの遺体を。
これが殺し合いの中にいると、再認識するために。
「あの、差し支えなければでよろしいのですが。」
「何か用か。」
相席ではなく向かいの席で周囲を見渡しながら哨戒する海馬さん。
もし海馬さん達が戦った怪物(無惨)がこちらに来てる可能性もある以上、
警戒するのは当然なことでしょうけど、視線を向けることがなかったり、
どこか冷たい眼差し……なのは多分、彼だからなのでちょっと思い込みかも。
そうは思いつつも、尋ねずにはいられませんでした。
「もしかして、私のこと避けられてます?」
一瞬の沈黙。
地雷を踏んでしまったのか、
少しばかり不安になったものの、
「ただの偏見だ。俺は軍需産業には手を出さん主義だ。
俺にとっての敵であった男の、忌まわしき遺物。それだけに過ぎん。」
そういえば遊星さんが海馬コーポレーションは軍需産業には手を出してないとか、
そういう話は先に聞いていたから納得はできた。人類を守る艦娘とは言え、
軍事兵器と言われてしまえばそれを否定ができないから間違ってはないのかも。
勿論、偏見だってことぐらいは分かっているようですし海馬さんは見たところ、
随分棘と言うか癖のある人物のようなので、私も特に思うところはありませんでした。
「ジャックに冥王か……遊戯のことを、
アテムのことを聞く機会を逃したのは痛いな。」
リゼさんに対しての自責か、或いは敵に対して相当腹が立っていたのか、
ポセイドンの戦いが終わって、ようやく知り合いの名を口にしました。
一応最初の情報交換で話はある程度のことは伺ってこそいたものの、
冥界に帰ってしまったアテムさんなる人を海馬さんは追いかけてるようです。
死んだ人……と言うのとはちょっと違う複雑な事情を抱えてるみたいでして。
「遊戯さんのもう一人の人格、アテムさんに会ってどうするんですか?」
「決まっている。決着をつける。それだけだ。
奴が帰還する前に俺とデュエルをさせればいいだけのことだ。
たとえもう一つの世界の俺が認めたとしても、この俺は認めたわけではない。」
複雑な事情を抱えているようですね。
海馬さんは、どうしても再戦したいのでしょう。
その為に元の世界では色々やっていたとのことですし。
「……さて、確認だけでもしておきましょうか。」
此処は殺し合いの舞台。
いつまでもこうやって雑談に興じているつもりはありません。
一度目を閉じ、深呼吸をしてから私は席を立ち、死体と向き合います。
今まで観察すらもできなかった首輪。偶然や、別れこそ色々あったものの、
ついにこれを調べることができる状況にはなったのは紛れもない事実でしょう。
830
:
インタールーダー
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 02:55:49 ID:CDerigb60
常に進化と言う前を向き続けたジャックさん、
自分の死すら厭わず勝利のために貢献した冥王さん、
死ぬと分かっていても全力で戦い抜いていった野原さん。
誰よりも一般人でありながら一歩を踏み出した百雲さん、
彼を助けようと一人で謎の存在を追いかけていった大我さん。
神を降臨させるという偉業を成し遂げて勝利に導いた海馬さん。
そして、一人怪物に立ち向かうのを決意して残った橘さん。
あの場にいた皆は散り散りに、別れたり亡くなったりしましたが、
誰もが絶望的な状況の中でも抗い続けた、鎮守府の皆と同じような存在。
私も立ち止まってはいられない。制海権を奪還すると決めたあの時のように、
前に進まないと、今まで亡くなってしまった方達にも示しがつかない。
冥王さん曰く凄まじい妖刀(村雨)があるので、首を絶つことは大丈夫だと思い、
支給品から取り出そうとすると、柄を握ると同時に、ぞわりと来る悪寒が全身に駆け巡る。
(これ、何? こういうのに詳しくない私でもこれはダメだって思える……!)
妖刀から『握るな』とでも言わんばかりの不穏な感じに背筋が凍る。
これが帝具と知らない以上、帝具による相性問題と私は気づくことはなかった。
斬られるだけで死を確定させるとされるとんでもない妖刀だと言うことがよく分かる。
これは……こういう時には使えるとしても、あんまり使いたくはないとなるものだ。
なんて言えばいいのかな。握ってるだけで蝕まれてるとでも言うべきなのかな。
とにかく、早急にこの刀から手を放したい。そんな気分に襲われていた。
「海馬さん。別室で待機をお願いできますか?
血が飛び散るでしょうし、その、余り見られたくないので。」
殺した相手ではあるし、神なのはあの戦いで確定している。
それでも、やはり参加者の首を絶つ行為には抵抗はあるし、覚悟も必要だ。
人に見られるというのも気分がいいものではないので席を立つように促し、
「俺は哨戒でもしておく。早急に終わらせろと急かすことはせん。」
冷たいものの気遣ってるのかどうかわからない発言と共に、
海馬さんは席を立って後ろの車両へと移動してくれました。
うーん、難しい。あの人との接し方は何が最適解なのでしょうか。
アテムさん、基遊戯さんならわかるのかもしれないことですけども。
「……よし。」
覚悟はできた。後は実行に移すだけである。
自分を斬らないように、ゆっくりと狙いを定め、首を絶つ。
人の首ってうまくやらないと中々切断できないって言うけれど、
この妖刀が凄まじい業物だからなのか、私でも簡単に断つことができた。
軍刀を持つ木曾とかが此処にいたのなら、もっと驚いていたのかもしれませんね。
ゴロン、とポセイドンの何も見ていないその冷たい瞳がこちらを見るように転がっていく。
凄く嫌な気分だ。敵だとしてこの気持ちなら、仲間だった人達ならどんな気分なんだろう。
死体だからか、それとも大量に血液を流し終えてしまった後だったからか、血はそれほど出なかった。
元々片足を喪って腕もあり得ない方向にぐちゃぐちゃの、あの状態で動けてたのが奇跡な程の状態だ。
多分、その辺が理由なんじゃあないかなと考えるものの、それは今考える必要のないことなので隅に置きましょうか。
敵ではあったのは間違いないし、人間なんかの私に触られるのも許されないとは思いつつも、
そのままというのも忍びないので、私は目を閉じさせてから、首輪を回収することに成功しました。
これで冥王さんと合わせて自由になってる首輪は二つ。首を遺体のところへと置いた後、
海馬さんがいる別室の方へと向かうことに。
「明石、確か貴様の支給品に余っていたのがあったな。
それが工具か何か……があれば、直ぐに使っているか。」
831
:
インタールーダー
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 02:56:32 ID:CDerigb60
「はい。残念ながら工具とかそういう類ではありませんでした。」
海馬さんもデュエルディスクを開発したりと、
相当にメカニックとしての腕が立つようではあります。
しかし、私達には肝心の解体して中身を確かめる手段がありません。
最悪村雨とかで斬って中身を見てしまえばいいのかもしれませんが、
サンプルがいくらジャックさんや野原さんのが余ってるとは言え貴重でしょう。
放送では首輪をトレードできるNPCもいるとのことなので、無暗な破壊は厳禁だ。
檀黎斗って人はゲームを、殺し合いをクリアすることも視野に入れてる発言が多かった。
だから首輪の数は、この戦いで敵となる侍(縁壱)や倒したとはいえポセイドンのような、
強力な敵と対抗できる武器になるかもしれない。だったら首輪の状態は間違いなく大事だ。
「んー……ん?」
外れた首輪の内側とかを試しに調べてみる。
裏側を凝視してみるけれど、出た答えは……普通の一言でした。
サイズ的に考えて、爆薬が本田って人のを想定すれば人は殺せるでしょう。
……でも。これ───人しか殺せるだけの爆発が発生するとは思えなかった。
これはただの爆弾付きの首輪。そうとしか言えないぐらい普通の出来でしかない。
こんなもの作るつもりはないけど、作ろうと思えば私でも作れてしまうような代物だ。
これで本当にポセイドンとか、それに比肩する参加者が殺せるのかと言う疑問は尽きなかった。
「海馬さん!」
流石に気になったので、海馬さんにも伺います。
冥王さんの首輪は彼が持ってるのでそれと比較したいと。
止める理由もなかったのですぐに渡され、それを見比べてみます。
首の大きさによるサイズ差はあれど、やはり構造はどちらでも同じに近い。
同じく海馬さんに意見を伺おうと、逆にポセイドンの首輪を渡しておきます。
「……確かに、異様に簡素なつくりになっているな。何が入ってるか次第、だが。」
「そうですよね……神を殺すなら爆薬ではなく、もっと違う何かを使うと思いますし。」
「ヒュドラの毒でケイローンやヘラクレスが死ぬ神話もあるからな。
仕込まれてるのが爆発だけでなく、毒とかであれば話は別なのだろう。」
「毒やウイルスですか……」
少なくとも艦娘の世界、デュエルモンスターズの世界、仮面ライダーの世界。
様々なものが混ざり合ったこの世界において未知の毒があるかどうかで言えば、あるはずだ。
跡形も残らず消えてしまうような、特殊な毒素とかがあるとしても別におかしくはないはず。
……下手に壊そう、なんて発想に至らなくてよかったかも。私の世界だと毒とかあんまり縁がないから、
海馬さんからの助言は中々に助かりました。
「となると、毒への耐性か毒に詳しい方……これだと、大我さんと別れたのは勿体ないですね。」
「同じ医者である宝生永夢が死んだ今、奴が現状把握できる唯一の医者だ。
そういうのに詳しい奴が他にいない現状、奴の生存に賭けるしかあるまい。」
百雲さんと大我さん、無事だといいんだけどなぁ。
でもあのNPC、今まで見たのと雰囲気が違うっぽいし、
なんだか大丈夫かなと不安にさせられてしまうところがある。
『悲観的だな、小娘よ。』
……もっと前向きにならないといけない。
なんだか冥王さんにそういうつもりはなかったとしても、
あの言葉は私にはそれなりに意味のある言葉だったと思ってます。
後ろ向きでいるだけじゃだめだ。復讐とちょっと危ない目的だったけど、
あの人(モンスター?)のようにもっと邁進するようにいかなくちゃ。
「当面必要なのは工具、それと中身が何かを知る手段ですね。
参加者ごとに爆弾とも限りませんから、その辺も警戒しておかないと。」
「機械弄りができるモンスターがいれば安全策だろうが、
そう簡単にいるわけもない、か。解析できる場所を探すのも視野に入れよう。」
電車の中で二人きり。目的は次々と増えていきます。
遊星さん達との合流、首輪の中身の解析、そして首輪の解除の手段。
或いは、生きてる人にしか機能しないとかの可能性も視野に入れておきたいところかも。
やることは本当に山積み……でも、慣れたものだ。鎮守府のショップに装備の改修に修理に、
更に出撃も兼ねていたのがこの私、工作艦明石ですから。これぐらいのことは大丈夫ですよ。
ですから、必ず戻りますので待っていてください───提督。
832
:
インタールーダー
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 02:59:14 ID:CDerigb60
【D-3/午前手前 爆走軌道フライング・ペガサス内/1日目】
【海馬瀬人@遊☆戯☆王】
[状態]:心身の疲労(中)、リゼを見捨てた後悔、フライング・ペガサスに乗車中
[装備]:海馬瀬人のデッキ(オベリスク入り)&新型デュエルディスク@遊☆戯☆王THE DARK SIDE OF DIMENSIONS
[道具]:基本支給品×2(自分、無惨)、深淵の冥王の首輪
[思考・状況]基本方針:この決闘を粉砕したのち、アテムと決着をつける
1:檀黎斗と、あの異形(無惨)と闘うための方法を模索する。あの自称神はこのオレが粉砕してくれるわ!
2:首輪を解除したい。遊星とやらはどれほどのものか。
3:アテム及び共に存在しているであろう遊戯を探す。だが今は遊星とやらと合流だ。
そうそう死ぬとも思えないが、凡骨共が死んで心に隙が生まれれば万が一があるかもしれない。
器の遊戯の実力にも興味がある
4:残酷にも殺された少女(条河麻耶)のように闘う意志も牙も持たぬ参加者と遭遇した場合、保護も検討してやろう。
5:ジャック、冥王、貴様らを認めてやろう。貴様達も王だとな。
6:首輪の解析ができそうな場所を探しておきたい
[備考]
※参戦時期は本編終了後から映画本編開始前のどこか。
※心意でオベリスクの巨神兵@遊☆戯☆王を手に入れました
※首輪に毒素か何かが参加者次第であると思っています
【明石@艦隊これくしょん】
[状態]:ケッコンカッコカリによる強化(耐久や幸運以外意味なし)、両足に傷(走るのに少し苦労する程度に負傷)、疲労(大)、精神疲労(大)、フライング・ペガサスに乗車中
[装備]:指輪@艦隊これくしょん、大地鳴動『ヘヴィプレッシャー』@アカメが斬る!、神月アンナのデュエルディスクとデッキ@遊☆戯☆王ZEXAL
[道具]:基本支給品×5(自分・ジャック・しんのすけ・ポセイドン・うさぎ)、一斬必殺村雨@アカメが斬る!、454カスールカスタムオートマチック@HELLSING、オルタナティブ・ゼロのデッキ(サイコローグは消滅のためブランク状態)@仮面ライダー龍騎、ランダム支給品×0〜1(確認済み、治療系の類ではない)、ジャックのデュエルディスクとデッキ(心意カード+冥王結界波入り)@遊☆戯☆王5D’s
[思考・状況]基本方針:ハ・デスを倒して生きて提督の下(元の世界の方)へ帰る。
1 :蛇王院さん……無事でしたけど、素直に喜んでいいのかなぁ。
2 :九時間ほど散策して、指定の場所に遊星さんと合流。
3 :帝具、ちょっと調べたくなってしまいますねー。
4 :首輪を解除できるだけの装備や環境を整えないと。首輪は確保できましたが。
5 :特体生って艦娘余裕で超えてるじゃないですかやだー!
6 :ジャンヌには最大限警戒。あれがゴロゴロいたら艦娘ですらかませなりますよ!
7 :あの寺何怖いんだけど!?
8 :ジャックさん、冥王さん、野原さん……
9 :フライング・ペガサスで真っすぐ向かいましょう
[備考]
※改装後、ケッコンカッコカリ済み、所謂ジュウコンなし、轟沈経験ありの鎮守府の明石です。
※艤装はありませんが、水上スキーそのものは可能です。
時間制限については特に設けてませんが長時間は無理かなと。
※指輪は没収されていませんが、偽装がないため耐久以外ほぼ意味がありません。
※蛇王院、遊星と情報交換しました。
※ジャックのデッキで心意システムで生成できるカードはレッド・デーモンズ(或いはレッド・デーモン)関係のみで、
かつ必ずシンクロ素材にレッド・デーモンズ・ドラゴンを素材としたものでなければ発生しません。
必要なものが指定されてる代わりに、心意の条件は他の参加者よりも緩い条件になってます。
現在生成されたのは以下の通り
レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント@遊戯王ARC-V
琰魔竜 レッド・デーモン@遊戯王OCG
琰魔竜 レッド・デーモン・アビス@遊戯王OCG
琰魔竜 レッド・デーモン・ベリアル@遊戯王OCG
琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ@遊戯王OCG
※シグナーの痣がないため現時点では赤き竜の由来カード、
スカーレッド・ノヴァとセイヴァー・デモンは出せません。
※サイコローグはオベリスクの攻撃で消滅したため、
ブランク状態になっています
※首輪に毒素か何かが参加者次第であると思っています
833
:
インタールーダー
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 02:59:29 ID:CDerigb60
投下終了です
834
:
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:00:50 ID:zKXIPIHA0
皆様投下お疲れ様です。自分も投下します
835
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:01:57 ID:zKXIPIHA0
敵に背を向け逃走に徹するのは、冴島鋼牙にとってあるまじき行動だった。
深追いを諫められたことはあれど、剣の届く距離に敵がいて尚戦闘の中断を選択。
しかも本来なら率先し盾となるべき己が、他者へその役目を押し付けたのだ。
魔戒騎士として恥ずべき失態と罵られても、当然である。
自らの不甲斐なさへ多大な怒りを燃やし、威圧感が狭い車内をたちまち満たす。
尤も、同乗者もまた鋼牙と似たり寄ったりの状態であった。
運転に集中する間、無力感と力への渇望に苛まれ気を抜けば爆発し兼ねない。
安易に話しかけるのを憚れる幻徳も鋼牙同様、無言を貫き早数十分。
重苦しい空気が一向に消えない中、静寂を木っ端微塵へ変える声が響き渡った。
「っ、あれは……!」
突如天空へ映し出された男へ、流石に猛スピードの運転を続けてはいられない。
定時放送を聞き逃せば後々困り果てるのは自分達だ。
急停車し聞く態勢を取らざるを得なかった。
相も変わらぬハイテンションぶりで参加者を苛立たせる神を、三者三様に見上げる。
怒りを籠めた瞳は前の席の二人から、眠た気で感情を読み取れないのは後部座席から。
必要不可欠な情報へ頼んでもいない挑発染みた言動をプラスし、傲慢さをこれでもかと表す高笑いで放送は終了。
今後も6時間毎にストレスを味合わされると思うと、非常に頭が痛むがともかく。
「そう、か…みふゆはやっぱり……」
明るい色の混じらない声が、意識しないままねむから零れ出る。
何もおかしくはない、むしろ呼ばれなければ不自然な名前だ。
異常と言う他ない金髪の偉丈夫の強さを考えれば、みふゆが助かる確率は1%あるかも怪しい。
最期を見ずとも、こうなると車内の全員が理解出来た。
運良く生き延び何食わぬ顔で合流、などと都合の良い展開が起きる筈もない。
836
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:02:43 ID:zKXIPIHA0
そう分かっていて、みふゆが足止め役を引き受けたのに反対もしなかった。
自分の選択に後悔はない。
なのに改めて死を告げられ、「そうだろうな」と簡単に流せないでいる。
痛みと呼ぶには小さく、けれど無視するには何故か躊躇が生じる感覚。
ドッペルの暴走を止める為に命を賭した時とは違う。
自分に後を託し逝った彼女へ、何一つ感じられない程心を冷たくは出来ず。
みふゆの最後の頼みを受け入れらないと、あっさり切り捨てるのに後ろめたさを隠せない。
いろはと灯花以外の参加者は皆、利用可排除の二択と既に覚悟を決めた。
だから一番初めに会った御伽龍児だって、魔力温存を理由に助けなかったのに。
今更になって罪悪感でも感じたのかと、自身へ内心吐き捨てる。
(後は、彼女も生き延びられなかったようだね)
少なからず波打った胸中を誤魔化すように、知っているもう一人の脱落者へ意識を傾けた。
フェリシアの死亡に強く動揺は抱かない。
自分とは接点が薄く、まして元々敵対関係にあった魔法少女。
他参加者にマギウスの警戒を触れて回る者が、一人減った事実は歓迎すべき。
灯花も同じように思うに違いない。
ただ前々からフェリシアと仲間だったいろはは、きっと深く悲しむ
ういと自分達を失い、また新たに喪失の痛みを刻み付けられ頬を濡らしているだろう。
よりにもよって自分と灯花が、いろはが最も望まない形で魔法少女の救済に動いてると。
傍にいて欲しいという願いを裏切り、悲しませる側になったのにはあえて深く考えずにおく。
「あいつが……」
脱落者の発表で、ねむ以上に動揺を引き出されたのは幻徳だ。
猿渡一海。パンドラタワーでの決戦で消滅した仲間は、殺し合いで二度目の死を迎えた。
既に喪失を味わった相手だからと、軽々しくは扱えない。
再会し、他愛のない軽口を叩き合い、肩を並べてもう一度戦う。
思い描いた光景が実現する、そう心のどこかで根拠もなく信じていたのだろう。
自身の知らぬ所で一海が死んだ事実へ、涙こそ流れずとも殴られたような衝撃が走る。
自分も一海も本来なら死んだ身。
新世界創造は戦兎達に託しており、この地で力尽きても構わない。
ただそれでも、叶うのであれば仲間達には生きて欲しかった。
野心に憑りつかれ、引き返せない程の罪に手を汚した自分とは違う。
本当だったら戦争とは無縁の、仲間に慕われる農場の気さくな兄貴分の一海は。
戦いの中で死んで良い人間じゃあなかった。
837
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:03:29 ID:zKXIPIHA0
「零……」
そして最後の一人、鋼牙にも喪失感は容赦なく襲い掛かる。
自身を仇として付け狙い、時に幾度も斬り結んだ銀牙騎士。
衝突の果てに無二の友情を結んだ涼邑零もまた、6時間を生き延びれられなかったらしい。
有り得ないと、親友の実力を知るが故の激しい否定は出来ない。
牙狼の鎧を纏って尚、勝ち目がまるで見えなかった存在と一戦交えているのだ。
魔戒騎士の命を奪う程の参加者が他に複数人いても、何らおかしくはない。
かといって、はいそうですかで簡単に割り切れはしない。
心からの信頼を置く友が、もうこの世にはいないと告げられた。
それも神を自称する狂人の口から、嘲笑うも同然にだ。
バラゴに父を侮蔑された時にも劣らない、猛烈な怒りが渦巻く。
同時に自身を形作る大切なものが一つ、零れ落ちて二度と戻らない喪失感が苛む。
広く大きな背を見続けた父、同じ釜の飯を食い強くなると誓い合った同胞(はらから)。
彼らと同じ場所へ零も旅立った。
決して慣れない痛みは、暗黒騎士や海神に斬られた以上に深く傷を残す。
檀黎斗に命じられるまま優勝を目指し、死者の蘇生に縋り付く気はない。
最期をこの目で見ずとも、共に戦った男達には分かる。
一海も零も、誰かを守る為に足掻き命を散らしたのだと。
守るべき者を理不尽に奪われた彼らが、自分達の蘇生の為に罪なき命が犠牲となるのを喜ぶ訳がない。
屍を積み上げた先の奇跡を望まないことを、幻徳と鋼牙は理解している。
なれば方針を変えるつもりもなし、必ずやゲームマスターを討つ。
尤も、それはそれとしてやはり仲間の死は精神的も堪える。
加えて十分予想が付いた事とはいえ、みふゆの死も放送で確定となった。
生き返った理由を見出せず悩み、もう少し頑張ろうと告げた彼女の顔を思い出す。
殺し合いから生きて帰り、失った筈の未来へやり直す機会があった筈。
彼女の犠牲により生かされた幻徳はただ、己の弱さを何度恨んでも恨み足りない。
もっと力さえあれば、強ければこうはならなかったんじゃないか。
そう悔やんだ所で後の祭り、失われた命が帰って来る奇跡は起きない。
838
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:04:56 ID:zKXIPIHA0
「……取り敢えず、どこか休める場所に行った方が良い。僕はともかく、お兄さん達は座ってるだけでもつらいだろう?」
重々しい沈黙が長続きする前に、抑揚のない声で休息を提案された。
言われた途端、思い出したように体中が痛みを訴える。
逃走に集中し意識が外れていたが、自分達は重症の身だ。
特に鋼牙の傷は深い、魔戒騎士の並外れた体力と気力で持ち堪えているが放置すれば死は時間の問題。
これ程の傷、医療機関で処置を行う以外どうにもならないのではないか。
「僕の、いや、正確に言うとみふゆの支給品に治せる道具があった。それを使うといいよ」
「それは……」
「まあ、僕の言葉が信じられない気持ちは分かるけどね」
ねむ自身、信頼を容易く勝ち取れるなど微塵も思っていない。
みふゆから自分と灯花の悪評を聞かされ、警戒心を抱くのは当たり前のこと。
助ける振りをして、実は弱り切った所へトドメを刺す気じゃあるまいか。
なんて疑念を幻徳が抱いたとしても、当然だろうなとしか思わない。
尚も信じようとする人間は、それこそいろはくらいだろう。
「いや……俺は信じる……」
助手席からの苦し気な声に、眠た気な瞳が僅かに揺らぐ。
額に汗を浮かばせ、迫りつつある死へ必死に抗う表情は最初に会った時以上に険しい。
けれどねむを見つめる瞳に、怒りや責める意志は宿っていない。
治療に必要な道具欲しさで、機嫌を取るのとも異なる。
「身を隠せる場所に向かってくれ……ねむなら大丈夫だ……」
「……分かった。どの道ここで議論を続けても、時間を無駄にするだけだな」
鋼牙の言葉を受け、多少の戸惑いを残し車を再発進。
今言った通りだ、行動に移さねば何も変わらない。
みふゆに生かされた命が無意味に尽きるのは、幻徳だって望んでないのだから
839
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:05:43 ID:zKXIPIHA0
雪がそこら中に積もった道を走らせ、やがて錆び付いたゲートの前に到着。
白井農場、塗装の剥がれた柵に貼り付けられた名前を三人は知らない。
耕作や牧畜目的の施設なれど、本来の用途で使われた痕跡は見当たらなかった。
一本道を進んだ先に一軒家がポツンと建ち、一先ずそこを休憩場所に決定。
玄関扉に手をかけ、開けた途端に冷えた空気が来訪者達を迎え入れる。
鋼牙に比べれば幾分消耗もマシな幻徳が先頭を行き、室内をざっと確認。
自分達以外の気配は感じられず、取り敢えずは多少警戒を緩めても問題無し。
一先ずの安全を確保し終えたなら、次にやるのは傷の治療。
ねむの言葉に嘘は無く、デイパックから件の道具を取り出した。
巨大な花の蕾、そうとしか表現できない奇妙な物体。
床に置くと花開き、上に乗るよう二人の男へ指示。
困惑を挟み言われた通りにしてみれば、すぐに効果が表れた。
一瞬で、とまではいかずとも傷が徐々に塞がり出す。
思考を鈍らせる痛みが引いていき、ふと疑問が声に出た。
「さっきの戦いでもしこれを使っていれば……」
「それは難しいと思うよ。この道具の上でじっとしてないと、傷も治らないからね」
回復が済むのを大人しく待ってくれる敵でなかったのは、三人全員理解している。
だからみふゆも、あの場で道具を呑気に使う選択を真っ先に外したのだろう。
やがて効果時間も切れ、展開した道具は跡形も無く消失。
完治まではいかずとも、重症からは復帰出来た。
後は残る負傷箇所へ処置を施し、休憩も兼ねて各々の持つ情報を改めて開示。
体力の回復を見計らって再度出発。
となる前に、ハッキリさせねばならない事がある。
840
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:06:26 ID:zKXIPIHA0
「さてと、そのままでいいから聞いて欲しい。いや、どちらかと言うとお兄さんの方が僕に聞きたいことがあるのかな」
切り出した声色はこれまでと同じ、緊張の類が宿らぬもの。
しかし他愛のない雑談でないとは鋼牙にも分かる。
聞きたいことがあるか否か、答えは勿論前者。
先の戦闘でねむが見せた奇妙な力一体何なのか、何故自分に力を隠していたのか。
至極当然の問い掛けを口に出すより早く、ねむの瞳がもう一人へ向けられる。
「みふゆから聞いた話を、お兄さんにも伝えてあげてくれないかい?」
「……良いのか?」
「構わないよ。何を言われたかは想像が付くし、間違ってもいないだろうからね」
自身の立場が危うくなるだろうに、問題ないと言う。
これには幻徳の方が却って戸惑いを覚えるも、ややあって口を開く。
みふゆから聞いたマギウスの二人について、危険性と元居た世界で何をやったのかを。
「俺が梓から聞いたのはこれが全部だ。それで、お前は本当に……」
「そうだね、みふゆの話に嘘はないよ」
あっけらかんと肯定すれば案の定、黙って聞いていた鋼牙の顔も険しさが増す。
争いを知らない少女なら怯えるだろう表情にも怯まず、眼鏡越しに視線を合わせる。
分かり切っていた反応だ、警戒するなと言う方がおかしい。
殺すまではしなくても、拘束と無力化くらいはされても不思議はない。
傍から見れば自分の方が良からぬ真似をされてそうだと、どこか能天気に思う。
「二つ程聞いておきたい。檀黎斗に従って殺し合いに乗る気はないんだな?」
「無いよ。彼の持つ願いを叶える力に興味はあるけどね」
嘘は言ってない。
魔法少女…最優先でいろはの救済を目的にしてはいるが、優勝を目指す気は皆無。
黎斗が素直に願いを叶える保障はどこにも無く。
何より、いろはと灯花が参加している以上プレイヤーの皆殺しを選ぶ筈もない。
主催者の持つ力を奪い取って、自分達の望みを叶える。
その過程で犠牲が必要なら、躊躇なく切り捨てるが。
841
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:08:00 ID:zKXIPIHA0
「それで、もう一つは何を聞きたいのかな?」
「環いろはを守って欲しいと言った事は、打算のない本心か?」
「…………」
今度はねむの方が言葉に詰まる番だった。
神に選ばれた駒の中で、最も心を掻き乱す存在。
己の幸福全てを投げ打ってでも、助けたいと心から望む魔法少女。
最愛の二文字が最も当て嵌まるいろはの話に、偽りを混ぜたのか。
尋問されている訳でなく、怒声を放たれてもいない。
だけど、この問いにだけは下手な誤魔化しを言う気になれなくて。
「……本当のことだよ。少なくともいろはお姉さんは、お兄さんに警戒されるような人じゃない。
僕を敵と見なしても構わないけど、お姉さんだけは守ってあげて欲しい」
放送で名前が呼ばれなかった以上、先の6時間はいろはもどうにか生き延びたのだろう。
なれどこの先もずっと無事が保障される訳じゃない。
自分達や七海やちよよりも付き合いの浅い者を助けようと、無茶ばかりを繰り返してやいないか。
下手をすれば、自分と灯花が魔法少女の救済を果たす前に命を落とす可能性とてゼロに非ず。
鋼牙からすればムシの良い話と取られても、反論は出来ない。
それでも、いろはを守ってくれと伝えたのは嘘偽りない本心からだ。
「分かった。なら約束を違えるつもりはない。お前も、お前が大切に想う者も必ず守る」
だから迷わず返って来た言葉へ、訳も分からず動揺が走った。
「いろはお姉さんのことは感謝するけど、僕も、かい?」
「真実を隠していたとしても、それでお前を守らない理由にはならないだろう」
「都合良く利用されて、用が済んだら切り捨てられるかもしれないのに?」
「なら余計に、お前の手を汚させない為にも離れるつもりはない」
ねむが隠していた魔法少女の情報を知り、気を張っておくべきとは考えた。
だが彼女を見捨てる、或いは今後敵として扱うなど。
謂わばねむが予想したような行動に出るつもりはない。
たとえ打算込みの選択であっても、自分や幻徳達を助ける為に魔法少女の力を使ったのなら。
いろはを守って欲しいという願いに、偽りが宿らないなら。
それだけで鋼牙が戦う理由になる。
守りし者の使命を果たす事へ、一切の躊躇を必要としない。
842
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:08:50 ID:zKXIPIHA0
「……、……そうか。じゃあ、好意として有難く受け取らせてもらうよ」
本気で言ってるのかとか、どうしてそうまで自分を信じられるのかとか。
寸での所で疑問を飲み込み、動揺を隠し淡々と返す。
監視の目が厳しくなるとはいえ、今後も戦力として期待出来るのだ。
なら別に問題ないだろう。
一体全体何をムキになって、言い返そうとしたのか。
睨み付けてはいなくとも、力強い眼差しの鋼牙から瞳を逸らす。
話さなくても良い事まで言ってしまいそうな、自分の間違いと真正面から向き合わされるような。
後ろめたさにも似た居心地の悪さがあった。
「君も、お兄さんと同じ考えなのかな」
「お前が誰かを傷付けないよう、近くで見張っておくなら俺も賛成だ」
問われた幻徳の答えは、鋼牙同様ねむへ危害を齎す気はないというもの。
この目で力の一端や、小学生らしからぬ落ち着きようを見ても。
エボルト並に危険な少女とは、未だ実感が湧かない。
かといってみふゆが嘘を吐いたとも思えず、警戒は払うつもりだ。
ただそれとは別に、言っておきたい事があった。
「もし過去にやって来た事や、梓の死に少しでも思う所があるなら……それから目を逸らすな。
罪の意識すら感じなくなった時は、本当の意味で手遅れになる」
パンドラボックスのエネルギーを浴びたせいと、言い訳する気はない。
禁断の箱が齎す悪影響で野心に憑りつかれ、どれだけの罪に手を汚して来たのか。
何人を実験で使い潰した、幾つの悲劇を生み出した。
今更になって過去の行いを悔いても、失った命は戻って来ない。
「お前の罪は消えない」、元凶である星狩りの言葉は何も間違いじゃあないのだ。
罪の意識に苦しまない自分であったら。
腕の中で息絶えた父に、涙を流さない己であったら。
戦兎達と共に、ヒーローとして戦う光景は実現しなかった。
最後の最後まで救いようのない悪党(ローグ)として終わる、有り得たかもしれない末路を。
ねむが辿るのを、幻徳も望んではいない。
843
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:09:47 ID:zKXIPIHA0
「……忠告は受け取っておくよ」
痛い所を突かれた自覚があるのか、僅かに言い淀んだ後。
結局返せたのは、そんな無難な一言だけだった。
鋼牙との決裂も覚悟していたが、そうならずに済んだ。
放送前よりも監視の目が強くなるとはいえ、荒事を押し付けられる人材としては今後も期待出来るだろう。
(悪くはない、筈なんだけどね……)
最悪の事態と悲観するにはまだ早過ぎる。
自分も灯花も、いろはも未だ生存中。
金髪の偉丈夫のような桁外れた参加者こそ存在すれど、立て直しは十分利く範疇内。
やることは変わらない、何を犠牲にしてでもいろはを救う。
だというのにどうしてか、心の何処が微かに軋むような錯覚を覚えた。
【B-2 白井農場/一日目/朝】
【冴島鋼牙@牙狼-GARO-シリーズ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、自分への強い怒り
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、魔導火のライター@牙狼-GARO-、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜4、首輪(星合翔李)
[思考・状況]
基本方針:守りし者として人々を守る。この決闘も終わらせる。
1:ねむを守り、彼女の友人を探す。約束を違える気はない。
2:逃げた男(野獣先輩)から必ず仮面ライダーの力を取り戻す。
3:首輪の解析が出来そうな参加者を探し、この首輪を託す。
4:零……
5:葛葉紘汰、あの男の事は忘れない。
6:あの黒い騎士(葉霧)は何者だ…?
[備考]
※参戦時期は牙狼-GARO- 〜MAKAISENKI〜終了後
【柊ねむ@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:健康、魔力消費(中)、いろはの存在へ動揺、黄金騎士への複雑な感情
[装備]:フリーザの小型ポッド@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品一式×2、ガシャットギアデュアル@仮面ライダーエグゼイド、ランダム支給品×0〜3(みふゆの分含む)
[思考・状況]
基本方針:手段を問わずに主催者の力を奪って魔法少女を救済する。
1:これで良い、筈……。
2:鋼牙お兄さん達と行動。荒事に関しては彼らに任せよう。
3:魔法少女への変身はなるべく控える。つもりだったけど…。
4:灯花とも合流しておきたい。
5:七海やちよは邪魔になるなら排除。
6:もしいろはお姉さんと会ったら僕は……。
7:希望…馬鹿馬鹿しいよ……。
8:ドッペルが使えたのは何故だろう?
[備考]
※参戦時期は死亡後。
844
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:10:38 ID:zKXIPIHA0
【氷室幻徳@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、無力感と力への渇望(大)
[装備]:ロストドライバー+スカルメモリ@仮面ライダーW、軍刀@ゴールデンカムイ
[道具]:黒塗りの高級車@真夏の夜の淫夢
[思考・状況]
基本方針:黎斗達を倒して殺し合いを止める。
1:冴島達と行動。柊に警戒しておくが、間違いを犯す気なら止めたい。
2:梓…すまない……。
3:エルフの少女(コッコロ)とユウキを知る者にキャルの伝言を伝える。
4:エボルト、里見灯花、カイザーインサイトを警戒。
5:俺にもっと力があればこうならなかったのか…?
[備考]
※参戦時期はTV版で死亡後。
『支給品解説』
【回復フィールド@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ】
『スマブラSP』に登場する回復アイテム。
最初はつぼみのような形をした投擲アイテムで、投げて地形に付けるとフィールドが展開され中に入っている間だけ回復できる。
自分(味方)だけでなく相手も回復させるが、相手の回復量は自分よりも少ない。
相手にぶつけた時は然程威力はないものの、低い角度でふっとばせる。
『施設解説』
【白井農場@仮面ライダー剣】
B-2に設置。
白井虎太郎の親代わりの叔父が、虎太郎に遺した物件である農場。
広い敷地内に虎太郎の自宅である古い2階建ての一軒家があり、玄関先には『白鳥号』と呼ばれるクラシックカーが駐車されている。
第1話でアパートを追い出された剣崎が、第2話からBOARDを失った栞がそれぞれ居候を始めアンデッド対策の拠点となった。
845
:
それから目を逸らすな
◆ytUSxp038U
:2025/06/06(金) 16:11:20 ID:zKXIPIHA0
投下終了です
846
:
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/06(金) 16:35:12 ID:CDerigb60
拙作「Successor Soul」ですが、
MNRの首輪を回収した描写が抜けていたので修正しました
同時に、Lの支給品にMNRの首輪があります
847
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:33:22 ID:JcD8bctM0
ゲリラ投下します
848
:
百四之巻 始まりの君へ
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:35:46 ID:JcD8bctM0
日常を謳歌していた二人の少女は、己が刃に想いを乗せる――
永遠の刹那。そんなありもしない幻想を懐くのは罪なのだろうか――?
◯
何かを考え込むように、チノの視線の様子がおかしい。
そう気付いた私だけど、なんて声を掛ければいいのかわからない。
もしもここに零が居たら気さくに振る舞ったり、チノのメンタルケアをしてくれたかもしれないけど――零は死んだから。
チノが何を考えてるのか、だいたい察しはついている。
それはきっと檀黎斗が話していた〝願いを叶える権利〟について。
マヤという友人に続いて、リゼという友人もチノは失っている。ここで僅かな時間とはいえ交流して、仲間になった零や司も殺されている。
『なんで私達がこんな目に遭わなきゃいけないんですか……!
マヤさんが、リゼさんが、零さんが、司さんが……何か悪いことをしたんですか……!!
私達が一体、あの檀黎斗って人に何をしたっていうんですか……!!』
チノがあの時に叫んだ言葉は全くその通りで――だから私は何も答えられなかった。
私は閃刀姫として戦い抜く過程で、たくさん殺したし喪った。それこそが、戦争だから。
もしもレイに会う前にチノの問いを聞いていたら〝それが戦争〟なんてあまりにも残酷な真実を突き付けていたかもしれない。
……そう、これは戦争とほとんど変わらない。殺し合いだとか、デスゲームと言ってるけど――その残酷さや醜さは戦争と同じ。
それはいつかチノにも自覚してもらう必要があるけど……二の足を踏んでしまうのは私がレイに出会って我ながら甘くなったから。レイはそんな私を〝好き〟と言ってくれるけど、この甘さはこういう時に困る……。本音を言えば、チノにこのデスゲームの過酷さを伝えたいけど――伝え切れない。
それでもチノの薄暗くなった瞳はあまりにも哀しくて――私はチノを抱き寄せて、ぎこちなく彼女の頭を撫でる。
「ロゼ、さん……?急にどうしたんですか?」
チノの少しダウナーな声。
けれどもその声はいつもより暗くて、か細いように聞こえた。
「チノ。私はチノと――刃を交えたくない」
だから私は単刀直入に言葉をハッキリと伝える。
だってここでチノを手放したら、彼女は永遠に暗い道を歩むことになりそうで――それはまるで、過去の私みたいに。
……事情は違う。過去の私は列強国に騙されてた、ただの殺戮者で――チノはおそらく尊い願いのために闇が連なる道を歩もうとしている。
「……ロゼさんには、わかってたんですね」
チノが申し訳なさそうな声音と表情で私を見る。
そう。私はチノの迷いを、理解していた。出会ってまだ短いけど……チノとその友人。特にココアとの関係性はよく知っている。……チノがココアを特別、好きということも。
そのココアの名前が放送で呼ばれなかったのは幸いだけど、チノはリゼを含めて多く取り零した。……司や零のことも考えられる優しい少女だから、余計にそう思う。
「……お前が自称神の言葉で心が揺れてることくらい、俺にもわかるぜ」
凌牙も私と同じで、チノの変化に気づいていたらしい。まだ子供なのに――随分と洞察力に長けてる。というか異常なくらい場数を踏んでるように見える。
零みたいな明るい雰囲気じゃないけど、彼もまた頼りになる戦士。……あまり子供を戦場に巻き込むのは気が引けるけど、このデスゲームでは戦わなければ生き残れない。だから戦う手段を持つ凌牙は、そういう意味では有利。
だけどその雰囲気は今、険しくて――チノを警戒してるのがわかる。
……きっと私と違って接近戦が得意じゃないから、余計に警戒してる。チノが剣を振るって、それが凌牙に当たれば凌牙が命を落とすか、致命傷を負うことになるから。
「私は……正直、わからないんです」
必死に絞り出すような、チノの声。
そこに込められた彼女の苦悶が、よく伝わる。
「それは優勝を狙うべきか、私達と抗うべきか?」
「はい。……優勝をしたら、死んだ人を生き返らせれると放送で言っていました。そしてきっと――そのために必要なのは、人質の美遊さんです」
「なるほど……。たしかにイリヤの話を聞く限り、そういうことになる」
「認めるのかよ。まあ俺も否定はしねぇけど――ロゼ、お前は敵か味方かどっちだ?」
「私は殺し合いに抗って、レイと再び日常を送る。……そこにはチノやここで出会った仲間も居ていいと思ってる」
「ロゼさんは……」
「?」
チノが僅かに怒気を含んだ声で口を開く。
「ロゼさんはいいですよね!まだ帰るべき日常があって!レイさんが居て――!」
849
:
百四之巻 始まりの君へ
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:39:27 ID:JcD8bctM0
「チ、ノッ!」
ダッ!
チノが剣を片手に私に斬りかかる。
「私の日常はもうグチャグチャです!マヤさんもいなくて、リゼさんもいなくて――喪ってばかりです!」
「それはそう……。チノはあまりにも失い過ぎた……」
私はチノの言葉を否定出来ない。
「だから私が優勝して、みんなを生き返らせます!変身!」
――瞬間、チノの服装が変わった。
軽い力で受け止めていた刀が、金属音を鳴り響かせて鍔迫り合いする!
「ッチ!こうなったら――」
「凌牙はそこで見ていて。これは私とチノの問題……!」
「随分と余裕ですね、ロゼさん。その余裕はまだレイさんが生きてるからですか!?」
「……たしかにレイが死んだらどうなるかわからないけど――それは違う。冷静に戦わないと、今のチノは止められない」
「止める?このグチャグチャになった私をですか!?」
――たしかにチノの表情(かお)はグチャグチャだった。
色々な感情が混ざって、すごくグチャグチャ。
そしてチノが鍔迫り合いの状態から剣を弾いて、再び斬りかかる。
私もまた剣で受け止める。
そんなことを、何回も繰り返した。
「チノは私が止める。誰も、殺させない」
「ごちゃごちゃ綺麗事をうるさいですね……!」
「たしかに綺麗事かもしれない。でも、チノにだってまだココアが居る!」
「ココアさんが居ても、マヤさんやリゼさんはいないです!」
「それはそうかもしれない!だけど優勝を目指すには、ココアを殺す必要がある!」
お互い剣戟に交えて言葉を語り合う。
そして私の言葉に――チノは大きく目を開いた。
「え?私がココアさんを――」
「ロゼの言う通りだぜ、チノ。優勝を狙うなら皆殺しにする必要がある。――その覚悟がお前にはあんのか?」
「……そう。だからチノが優勝するには、ココアも殺さなければいけない。もちろん、他の友も」
「そんな……それだと私が日常を壊してるみたいじゃないですか……」
「……優勝を目指すなら、そうなる」
その可能性を考慮してなかったのか、チノが一瞬だけ膠着する。
「それなら……!それならどうしたら私の日常は取り戻せるんですか!」
――ヒュンッ!
チノが勢い良く剣を振るう
――ガキィィン!
凄まじい金属音が鳴り響き、私が剣で受け止める。
「残念だけど、一度喪ったものは取り戻せない……」
「取り戻せます!優勝してみんなを生き返らせるのはどうですか!?」
チノが激情に駆られたように激しく剣を振るい、私は剣でそれらを弾く。
エンゲージするまでもない。技術の差で身体能力の差は埋められるし――今はこのチノの激情を受け止めてあげたい。荒波のように押し寄せる、チノの怒りを。そして哀しみを。
そしてチノと対話して、分かり合いたい。
「……その過程でココアを殺すとしても?」
「ココアさんはたしかに一度、死ぬかもしれません。でもまた生き返らせれば、ココアさんはきっとまた笑ってくれるはずです!」
「……本気でそう思ってる?」
「当たり前です。ココアさんなら、ココアさんならきっとわかってくれるはずです!」
……嘘だ。
チノは嘘をついて、自分の本心を誤魔化そうとしてる。
そして私はそんな嘘偽りで覆い隠した心を放置したくない。チノはそんな子じゃないと思うから――助けたい。
「チノ。もう一度言う。喪ったものを――命を軽んじるのは良くない」
850
:
百四之巻 始まりの君へ
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:40:30 ID:JcD8bctM0
チノの瞳を真っ直ぐと見て、そう言った。
そう。命は軽いものじゃない。その重さは――皮肉にも、閃刀姫だからよく理解している。
――だから灰色(グリザイユ)の迷宮を彷徨うチノに容赦のない言葉を浴びせる。
それは彼女を止めたいからでもあるし、しっかり本心と向き合ってほしいから。
――チノを殺すのも、制圧するのも。力で止めるのは難しくない。私には凌牙もいる。
でもそれじゃダメ。そんなやり方は間違っている。
力で勝つだけじゃ、何かが足りないから。
時にはこうして剣を交えることも大事かもしれない。そうすることでチノの気持ちを受け止められるなら……。
でもこれは殺し合いじゃない。私はチノを死なせる気がない。
『時には拳を、時には花を――ですよ、ロゼ』
――過去にレイが口にしていた言葉が脳裏に蘇る。
『……よく、わからない』
当時の私はそんなふうに返事をしていた。もしかしたら困惑気味の表情になっていたかもしれない。
『いいですか?ロゼ。――闘いの場所は心の中なんですよ』
――レイは微笑みながらそう言っていた。
そしてその言葉は――本当にその通りだと思う。私たちは――閃刀姫は殺戮兵器じゃないから。人間だから。
殺して、制圧して、身動きを取れなくして――そうやって力で勝つだけだと、殺戮兵器と変わらない。
だから自分にだけは決して負けない。それが私の誓い。
「……命を軽んじてなんて、ないですよ。むしろ重いです。マヤさんの分も、リゼさんの分も。すごく……重たいです。
だから――」
「――それなら!」
私が珍しく発する大きな声に、チノがビクリと怯える。
でも私の目的はそれじゃない。
私が言いたいのは――
「それなら、気軽に全員生き返らせるなんて言わない方がいい。それは死者への冒涜」
「……気軽に言ってなんか、ないですよ。ただ私はどうしたらいいのかわからなくて、またみんなで他愛もない話をして日常を過ごしたいだけです。そのために、覚悟を決めたんです!」
「それがココアやチノの友達や、私達ここで出来た仲間を殺すことになっても?」
851
:
百四之巻 始まりの君へ
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:41:15 ID:JcD8bctM0
「はい。だからみんな生き返らせるんです……!」
「……チノ。自分の言ってる意味がわかってる?」
「わかってますよ!もう私は奇跡に縋るしかないんです……!」
「何もわかってない。マヤやリゼを〝奇跡〟で生き返らせても、きっと彼女達は良く思わない」
「……!」
チノが一瞬だけ大きく目を見開き――首を左右に振る。
「それはわからないじゃないですか!どうしてマヤさんやリゼさんを大して知らないロゼさんがそんなことを断言出来るんですか!」
必死に現実を否定するように、チノは怒号と共に剣を何度も振るう。
私はそれらを自分の剣で弾きながら、口を開いた。
「――それは、チノを信じてるから」
「そんなことマヤさんやリゼさんには無関係じゃないですか!」
「そんなことない。チノを信じてるから――チノの友も優しい心の持ち主だと信じられる」
それは嘘偽りない私の本音だった。
レイと深く関わるようになってから本当に考え方が変わった――と我ながら思う。
以前の私なら、危険要素を秘めたチノは迅速に殺していた。説得なんてしなかった。
でも今の私は、違う。
チノを殺戮者にしたくない。チノを殺したくない。私と同じ気持ち――と言っても恋愛感情まではないけど。
ココアのことをまるで家族のように話すチノを同志と思ってるから……余計にどうしても、肩入れしてしまう。
「……っ!」
チノが言葉を詰まらせる。
それでも剣は振り続けていた。まるで現実を否定するような、ヤケクソ気味に我武者羅な太刀筋で。
そんなチノの気持ちを剣で受け止めながら、私は続ける。
「今のチノをココアが見たら、きっと悲しむ。ココアすら一度殺して元通りなんて――世界はそんなにも甘くない。チノに殺されたココアの心は変わり果てるかもしれない」
「それ、は……!」
「チノがやろうとしてることは、みんなの命を奪うと同時に魂の殺人。――それはわかってる?」
「それは……たしかにそうかもしれません。でも、じゃあどうしたらいいんですか!」
「悔いが残らねぇ選択をすることだな。ただしチノ、テメェが皆殺しにする覚悟を決めたなら俺やロゼが全力で止める」
凌牙がそんなことを言う。
その口調は重くて、彼も何かを背負ってるように見えた。
「俺はダチの遊馬を殺された。だが他人を殺し回ってあいつを生き返らせるつもりもねぇ。そんなことしても――あいつは喜ばねぇし、悲しむって信じてるからだ。――チノ、お前のダチは違うのか?」
レイがまだ生きてる私と違って友を失った――チノと同じ境遇の凌牙の言葉。
それはもしかしたら私の言葉よりもチノの心に届いてるかもしれない。
「マヤさんやリゼさんも同じですよ!でも私は日常を取り戻したくて――だから、そのために!」
「――チノ。元通りの日常には戻れないかもしれない。でもココアやメグの名前はまだ放送で呼ばれてない。つまりまだ生きてる可能性が高い」
「……そうですね。ココアさんやメグさんはまだ生きてます。でもリゼさんのいないラビットハウスやマヤさんのいないチマメ隊なんて、そんなの嫌です……!」
「……気持ちはわかる。私もレイを失いたくないから。でもココアやメグまで殺したら、チノは本当に日常に帰れなくなる。たとえ死者蘇生させたとしても……きっとチノの心は壊れて、戻らない」
「じゃあ、私はどうしたら……!」
「まだ生き残っているココアとメグを大切にしたら良い。マヤとリゼは失ったかもしれないけど――この二人とならまだ日常に戻れる可能性がある」
852
:
百四之巻 始まりの君へ
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:41:54 ID:JcD8bctM0
「……言ったじゃないですか。リゼさんがいないラビットハウス。マヤさんがいないチマメ隊なんて……嫌なんです。もうこうなったら自殺でもした方が――」
――パシンッ!
私がチノをビンタした音が、鳴り響いた。
「な――何をするんですか!」
チノが動揺気味になりながらも、声を荒げる。
「……チノ。言っていいことと、悪いことがある。チノが自殺なんてしたら、みんなが――私も、悲しむ。だから、やめてほしい」
「こんな地獄みたいな状況でまだ足掻けと、ロゼさんはそう言うんですか!?」
「そう。その代わり――チノやココアやメグは私が守る。約束する」
そう言って、小指を差し出す。
『いいですか?ロゼ。何かを約束する時はこうするんですよ。指切りげんまん……って!』
過去にレイに教わった〝約束〟の方法。
それを実行するために私は小指を差し出した。
「……わかりました」
チノも剣を仕舞い、互いの小指と小指を組ませて――
「指切りげんまん。嘘をついたら針千本飲む」
「ありがとうございます。ロゼさん……」
そうするとチノが瞳からまた雫を垂れ流したから――私は彼女を抱き締めて、ぎこちない手付きで撫でる。
「本当はココアにしてもらいたいだろうけど、今は私で我慢してほしい……」
「我慢なんて……そんなことありません。ロゼさんが優しい人で良かったです……」
涙声になり、私に抱き締めながらチノはそんな言葉を口にした。
「私も……チノが強くて優しい子で良かった……」
私や凌牙の言葉で誰かを殺す前に止まったチノは、強くて優しい子だと思った。
もしもチノが止まらなかったら――本当にどうなっていたかわからない。
平静を装ってたけど、本当は緊張していたし、不安だった。
緊張から解放された身体が――思わずよろめきかけて。
「わわっ!大丈夫ですか!?ロゼさん」
「大丈夫。緊張感が抜けて、よろけただけ」
よろけた私をチノが受け止めて、心配そうに声を掛けてくる。
「それなら良かったですが……ロゼさんも緊張してたんですね……」
「そう。少しだけ……」
「そうですか。本当にありがとうございます、ロゼさん」
そんな私をチノは不器用な手付きで撫でてきた。
よろけた態勢を受け止められた状態だったから私の頭はチノの手が届く範囲にもあって……チノのそのぎこちない撫でが、どことなく心地好い。
「でも……ロゼさん。私は、強くないですよ」
「いや……チノは強い。私と凌牙の言葉で止まったチノの心は……強い」
「……それは二人のおかげです。私一人では弱いです。……だからまた私に力を貸してくれないですか?私一人だと、ココアさんやメグさんを守ったりこの殺し合いから抜け出すのは難しいですから」
チノの言葉に、私は微笑む。
……あまりこういう表情にはまだ自信がないから、上手く微笑めてるかはわからないけど。
「言われるまでもない。――さっき言った通り、チノとココアとメグは私が守る。そしてこの殺し合いは私が終わらせる」
「ッたく、しょうがねぇ奴らだな。俺もお前らに手を貸してやるよ。……遊馬でもそうするだろうからな」
そう口にする凌牙は、言葉とは裏腹にそんなに嫌そうな表情や顰めっ面はしてない。
「ロゼさん、凌牙さん……ありがとうございます!」
チノは涙を拭うと、私達に微笑んできた。
そんな彼女を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
本当に強くて、優しい子だと思った。――だから私はチノの笑顔を守れたいと、改めて誓う。
◯
やがて真上に太陽昇り、全てに影を作るように。
君が不安を感じたとしても――1人きりじゃない。
君の周りには想いが溢れ……。
雨上がり虹、大空に青。
君に自由な翼……。
迷った時でも、常に前を見て。心届く声、こだまする木々。
足音は響き……。――さぁ、始まりの君へ
853
:
百四之巻 始まりの君へ
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:42:36 ID:JcD8bctM0
【D-3 エーデルフェルト邸/一日目/午前】
【閃刀姫-ロゼ@遊戯王OCG】
[状態]:疲労(大)、左肩に斬傷(治癒済み)
[装備]:閃刀姫-ロゼの剣@遊戯王OCG、
[道具]:基本支給品×2、涼邑零の魔戒剣@牙狼-GARO-、チームみかづき荘のロケット@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)
モウヤンのカレー@遊戯王OCG、閃刀姫-カガリ(現在召喚不可能)@遊戯王OCG、ランダム支給品×0〜2(零の分含む。)
[思考・状況]
基本方針:檀黎斗やハ・デスを斬り、大切な人(レイ)の待つ平和な日常に帰る
1:零……司……。
2:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)とチノ、遊戯、凌牙の仲間を探す
3:レイを見つけて守る。
4:私やレイがカードに?どういうこと? それに彼女(カガリ)ってレイの……
5:チノとその友(ココア、メグ)は私が守る
[備考]
※遊戯王カードについての知識はありません。
※どの方角に向かったかは次の書き手氏にお任せします
【香風智乃@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(小)
[装備]: チノ(せんし)の剣@きららファンタジア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1、ご隠居の猛毒薬@遊戯王OCG(4時間発動不可)
[思考・状況]
基本方針:ハ・デスや檀黎斗達を倒して平和な日常に――ココアさんのいる場所に帰りたいです
1:仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)と遊戯さん、凌牙さんの友人を探したいです
2:ロゼさんや凌牙さんに協力します。
3:ココアさんやみんなを探したいです
4:ティッピーはここにはいないんでしょうか……?
5:マヤさん……リゼさん……
6:平行世界のココアさん…私の知ってるココアさんとは違うんですか?
7:エボルトを警戒。何なんですかこの人……。
8:私はもう迷いません。ロゼさんや凌牙さんと一緒にこの殺し合いに抗います
[備考]
※どの方角に向かったかは次の書き手氏にお任せします
【神代凌牙@遊☆戯☆王ZEXAL】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(神代凌牙)@遊☆戯☆王ZEXAL
[道具]:基本支給品×2(自分、遊馬)
[思考・状況]基本方針:遊馬の導いた希望の未来のために主催者を倒す
1:カイトは協力を頼んでおく。ベクターは……会ってから判断
2:不動遊星、仮面ライダーらしき参加者(駆紋戒斗、花家大我、桐生戦兎、万丈龍我、氷室幻徳)と遊戯、チノの友人を探す。
3:魔法を破壊出来る上にあの攻撃力……あの女(ジャンヌ)厄介だな。
4:こいつ(蛇王院)の怪我はもう大丈夫か
5:遊馬を殺した奴は気になるが、復讐心にはかられるな
6:村雨を持った奴を警戒
7:どうやらチノの迷いは晴れたようだな
[備考]
※参戦時期は最終回後。
※どの方角に向かったかは次の書き手氏にお任せします
854
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 01:42:59 ID:JcD8bctM0
投下終了です
855
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/10(火) 07:36:34 ID:JcD8bctM0
拙作「切なさも、胸の痛みも全て秘めた勇気に変え」以降の肉体派おじゃる丸ですが所持品から異次元からの埋葬@遊戯王OCGが抜けていたので修正しました
また異次元からの埋葬@遊戯王OCGの説明文を追記しました
856
:
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:53:37 ID:RGAcntrk0
投下お疲れ様です。自分もゲリラ投下します
857
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:54:46 ID:RGAcntrk0
桜ノ館中学に思う所があるかと聞かれ、首を縦に振る者はここにいない。
白鳥司は施設の存在を知る事なく、定時放送前に脱落。
琴岡みかげは覇瞳皇帝に心を委ね、今は廃ホテルへ身を潜ませている。
鷲尾撫子に至っては、本選出場の権利自体を与えられなかった。
数時間前に集まった面々からすると、神が戯れに再現した学び舎の一つに過ぎない。
出発準備を終え、正面出入り口へ向かう二人にとってもそう。
もし再びエリアへ来る機会があったら、目印になるかといった程度。
名残惜しさは抱かず、いろはの意識はこれより向かう場所へ。
正確に言うと、そこで待ってるだろう者に大きく割かれる。
少しだけ過去の時間から来たやちよは、今どうなっているのだろうか。
6時間を生き延びたがしかし、安堵を長続きさせられる環境ではない。
他の魔法少女の追随を許さぬ強さとはいえ、殺し合いのプレイヤーは油断ならない強者ばかり。
まして放送で親しい存在が二人も呼ばれたのだ。
打ちのめされ、澄んだ心に澱みが生まれてもおかしくない。
悲しみのぶつけ先に迷い、自分自身を傷付けてしまうようなら。
会いに行き、受け止めてあげたい。
生きている自分の姿を見せ、交わした約束が偽りじゃないと伝えたい。
たった一人でも強くあろうとし、その実孤独を嫌う不器用な優しい人。
時間軸が違えどいろはにとっては、大切で時に憧れ以上の想いを向ける相手で――
「そんじゃあ宜しく頼むぜお二人さん。暫くは三人旅になるんだ、これを機にお互い友情を深るのも良いかもなァ?」
海の色をした、青く輝く三日月へ馳せる時間は強引に幕を下ろされる。
慈悲や配慮の真逆に位置するモノを籠めた、赤い蛇の軽口がいろはの意識を引き戻す。
自分達を追い越し前に出た男が、ヘラリと笑うのが見えた。
男性モデルと言われても通用する長身は、あくまで仮の姿でしかなく。
顔を変え、体を変え、性別を変え。
どれだけ変えても背筋が寒くなる本性だけは、常に付き纏う。
858
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:55:31 ID:RGAcntrk0
「は、はい。よろしくお願いします」
「……」
緊張感を隠せずとも、生来のお人好しさ故かいろはは律儀に頭を下げる。
反対に言葉を発さぬまま、貼り付けた貌から殊更に気色を削ぎ落とすのが黒死牟だった。
人の皮を被り、隙あらば癪に障る戯言を垂れ流す男へ何を思うか。
説明するまでもなく、それでもあえて言うのならば。
屠り合いの参加者に向けた中で、最も冷え切った視線が答えだろう。
「おっかない顔すんなって。いろはとの二人きりを邪魔されて、不機嫌になる気持ちは分かるけどよ。
俺もいい加減道草食うのは終わりにしなきゃ、戦兎から雷落とされちまうんでな」
何が原因で怒りを買ったか、理由を分からない筈はなく。
分かった上で見当違いも甚だしい、妄言を嫌悪の理由に当て嵌める。
まっこと不快極まる物言いに、しかし殺意を刃へ宿す真似には出ない。
首に剣を添えられたとて、黙る男でないとは情報開示の場でうんざりする程理解出来た。
戯言へ馬鹿正直に付き合って得るものといえば、無駄に蓄積される不快感のみ。
まともに相手をする方が損だと、結論へ辿り着くのに時間は掛からなかった。
思い浮かべるは嘗ての同胞、始祖に仕えた上弦の弐。
滅多な事が起きねば百年以上顔を合わせないが、招集が掛かればその空白を埋めるが如く馴れ馴れしく接する。
序列が一つ下であった上弦の参には特に、傍目にもうんざりする程纏わり付いていたか。
今更になって憐憫だ何だのを抱く気はない。
ただ似たような事が降り掛かり、これは確かに鬱陶しいとの納得はあった。
「ま、お喋りはこれくらいにしてだ。のんびりし過ぎて待たせちゃ悪いんで、そろそろ行きますかね」
自分から余計な会話を始めたと自覚しつつ、エボルトは出発を促す。
いろは達かイリヤ達、どちらに付くか悩むこと数分と十数秒。
選んだのは前者、当初の予定通りやちよとの合流場所へ向かう。
D-1が禁止エリアに指定される予想外の自体を含めても、流石に戦兎と別行動を取り過ぎた。
元々信頼関係など皆無に等しい間柄とはいえ、エボルトからすれば万丈と並んで利用価値の高い人間。
道草食ったせいで決裂となっては、こちらとしても少々頭が痛い。
イリヤ達がカイザーインサイトの元へ行き、衝突が起きやしないかとの懸念はある。
だが天秤に掛けた時、前々から能力の高さを知る戦兎が勝った。
859
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:56:30 ID:RGAcntrk0
戦兎に顔を見せに戻るついでに、いろはをやちよの元へ送り届ける。
そう決めた以上、長々と桜ノ館中学に居座っていられない。
「で、遠足気分で歩いて行くのか?あの馬鹿デカい鰻を使えば、楽出来そうなんだけどな」
「うな……えっ、蛇じゃないんですか…?」
「貴様が的を一手に引き受けるならば……呼び出すのも吝かではない……」
「ナイスアイディアだが、今回は却下にしといてくれ」
フェントホープから三人をここまで運んだ大蛇、ククルカンの再召喚は可能。
優秀な飛行速度を誇るサガの眷属だったら、移動時間の大幅な短縮になる。
巨体故に目立ち過ぎる欠点へ、目を瞑ればという前提が付くが。
地上から狙い撃たれたとしても、対処不可能と断じるつもりはない。
しかし身動きの制限された宙で、鎧を剥がされるもしもの可能性を黒死牟は低く見れなかった。
「鰻のタクシーは別の機会に持ち越しってか。そりゃ残念だ」
何故この男はさも当たり前のように、こちらが使役する大蛇へ次も乗れると思えるのか。
ロクな答えが返って来ないのは確実な為、あえて聞きはしない。
「バイクはこの人数じゃ無理か。どっかに都合良く車でも転がってりゃ、軽く飛ばして行けるってのになァ」
「運転、出来るんですか?」
「これでも地球暮らしが長かったんでね。家族サービスのドライブは、残念ながら一度もやれなかったが」
旧世界を懐かしむエボルトが本心から言ってるかはともかく。
車を走らせるのが可能というのは大きい。
何せ運転技術を発揮するのにお誂え向きな足が、どこにあるのか知っている。
遠慮がちに横を向くと、彼の六眼と目が合う。
言いたい内容を察したのだろう、どことなく機嫌の悪さが見て取れた。
「……」
別に、黒死牟とていろはの考えが間違いだとは思わない。
使い道の生まれた道具を死蔵する方が、遥かに愚行。
散々不快感を煽った化生へ譲渡しなければならない、その一点が気に食わないだけだ。
とはいえ童さながらの駄々を捏ねてまで、拒否を示す程の恥知らずに非ず。
仏頂面で支給品袋に手を突っ込み、望みの物を引き上げる。
外へ飛び出たソレへ向けた蛇の笑いは、当然のように黙殺した。
860
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:57:05 ID:RGAcntrk0
○
振背後で桜ノ館中学が見えなくなり早数分。
舗装も何もされていない砂利道を抜け、灰色のアスファルトを発見。
信号や標識のない一本道を、エボルトが運転する車が駆けていた。
軽自動車と言うにはサイズが違う。
トラックと言うには形が異なる。
現代社会で見かける瞬間はあれど、一般人が乗り回す機会は普通なら永遠にない。
犯罪者の移送目的に使われる大型車両。
囚人護送車が、上弦の壱に宛がわれた最後の支給品であった。
車がなにかを、黒死牟が知識で知らない訳ではない。
大正時代の日本でも、自動車は徐々に普及が始まった。
人力車や馬車に大きく取って代わる程ではなく、本格的な生産はまだ先の話。
けれどそういった乗り物があるとは、黒死牟が生きた日本においても事実として存在する。
人とは異なる世界、異なる時間を生きる身なれど。
時代と共に変化していく社会と文化を知らぬまま、年号を跨いで来たつもりも無し。
元々は武家の長男に生まれ、教養があり、文字の読み書きを正しく学んだ男なのだ。
そういった生来の生真面目さが少なからず影響したか、定かでなくとも。
人間の世は知識となり蓄えられた。
尤も、知っているのと実際に運転可能かは別の話。
檀黎斗が蘇生させる際、都合良く現代の自動車を操れる技術も授けた。
などと都合の良い展開は起きず、折角の移動手段も宝の持ち腐れ。
仮に聖都大学附属病院に留まっていれば、天津あたりに譲渡したかもしれない。
襲撃で散り散りになった以上、起こらなかったIFの話だ。
「しっかし、運転出来ない奴に渡してどうしたかったのかねぇ?神様と馬鹿は何とやらってか?」
ゲームマスターへの嘲りを独り言ちるも、不敬と咎める者は付近に不在。
単なる面白半分かどうかは不明だが、正解が何であれ然して興味はない。
丁度良い足が手に入ったなら、エボルトには十分だ。
護送車の運転は初めてといっても、少し走らせれば慣れたも同然。
鼻歌交じりにハンドル操作し、チラと金網越しの後部を見やる。
861
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:58:06 ID:RGAcntrk0
被疑者用の座席に、向かい合って座る少女と男。
あくまで支給品だと分かってはいるが、いろはは妙な緊張感を覚えた。
真っ当に生きていれば、一生乗る機会の無い空間なら無理もない。
正面に腰を下ろす黒死牟は動揺もなく、黙したままルーフを見上げる。
透明度が最も低いスモークフィルムに加え、全ての窓部分にカーテンが常備。
外から被疑者の顔を隠す為の措置は都合良く、鬼の天敵を遮断する役目を果たす。
日を避けたまま最短での移動が可能なら、付ける文句も見当たらない。
確固たる方針は見付けられぬ身、だが闘争に臨む牙を腐らせる気も無し。
鉄の箱に座り込みながらも気を張り、襲撃への警戒は怠らなかった。
「……」
ふと、視線を屋根から正面に移す。
視界に閉じ込められた娘は気付いておらず、閉じた膝に目を落としている。
これより向かう先で待つのは、いろはが信頼を置く仲間。
しかもエボルトの話を聞く限り、並々ならぬ重さの感情をいろはに抱く者。
知己の友と再会するなら、願ったり叶ったりだろう。
但しそこに鬼という異物が混ざれば、果たして何が起こるやら。
「にしてもやちよの奴、お気に入りのいろはが男同伴で来て荒れなきゃ良いけどな」
「…やちよさんは、そんなことしません」
心を読んだかのタイミングで、運転席から戯言が飛び出す。
偶然に過ぎなくとも良い気分にはならず、僅かに目を細める。
ムッと反論したいろはも黒死牟の様子に気付き、困ったような表情を作った。
「ちょっとだけ驚くかもしれないけど、でも、話も聞かないで黒死牟さんを傷付ける人じゃありませんよ?厳しい所もあるけど、優しくて…繊細な人だから」
「……」
何を勘違いしてか、やちよのことを伝えて来るいろはへ返すのは沈黙。
恐怖や嫌悪が己に集まったとて、何一つ感じ入るものはない。
鬼とはそういう存在と分かり切った上で、始祖に魂を売り渡したのだ。
今更掌を返し、受け入れてくれと願う訳がないだろうに。
仮にエボルトの言った通りになっても、当たり前だとしか思わない。
ただ、いろはの表情が和らぐのを見て。
宿るのが紛れもない、七海やちよという女へ向けた信頼の証明と察し。
そのような者と自分を引き合わせるのに、何の抵抗もないのかと。
一抹の疑念が浮かぶも、問いが口を突いて出はしなかった。
聞いた所で、返される言葉は安易に予想が付く。
862
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 19:59:06 ID:RGAcntrk0
予想が付くくらいには、環いろはへ思考を割き続けて今に至る。
という雑念に顔を顰めるより早く、意識が闘争へ飛び込むソレへ切り替わった。
鼻を衝く戦のにおい、複数の敵意が肌を裂く痛みとなって駆け巡る。
獣の唸りに近いようで異なる、腸まで揺さぶる低い音。
「おっと?呼んでもいないお客さんが来ちまったか?」
同じ感覚を味わったエボルトも、サイドミラーで後部を確認。
先程から響いて止まない重低音の正体は、現代に生きるが故に即座に分かった。
排気ガスを吐き散らすバイクのマフラー音、それも一台ではなく複数。
護送車を追って現れた一団をしかと目に入れ、浮かべたのは呆れ笑い。
見覚えは無い、しかしどういった存在かエボルトも良く知っている。
「冗談にしちゃ、気が利き過ぎだぜ?ゲームマスター様」
呟きを掻き消すように、一段とエンジンを吹かしソレらが迫り来る。
黄金色(こがねいろ)のグローブにブーツ、胸部装甲は日を浴び一層輝く。
ライダースジャケットに似た強化服が全身を覆い、微かに地肌が見え隠れするのは首部分のみ。
スピードを上げる度に黄色のマフラーが靡くが、ダークグリーンの瞳は獲物を捉えて離さない。
どこか飛蝗に似た仮面のデザインと、風車を思わせるベルトに知る者は口を揃え言うだろう。
仮面ライダーと。
尤も、正確に言うとコレらは仮面ライダーの括りに入らない。
名をショッカーライダー。
秘密結社SHOCKERが、裏切り者の改造人間をベースに開発した上級戦闘員。
仮面ライダー1号、否、ホッパー1号と酷似した外見なのはそれが理由だ。
更に付け加えるなら、ショッカーライダー達は参加者ですらなかった。
「どいつもこいつも首輪は無し、と。解除方法を知ってるなら是非教えて欲しいね」
「戯けるな……自我無き人形の群れが……仕掛けて来たのだろう……」
「ルールにあったNPCが襲って来た、ってことですか…?」
参加者同士の戦闘だけを経験し、NPCに襲われたのは今が初。
しかしそういった存在が会場に解き放たれてると、いろはと黒死牟も把握済。
起こり得ない事態ではなく、動揺で慌てふためく醜態は晒さない。
863
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:00:30 ID:RGAcntrk0
「うおっ…とォ!」
単にバイクで追走するだけなら、振り切るのは困難じゃない。
生憎煽り運転程度で済ます程、お優しい行動はプログラムされていないらしかった。
ショッカーライダーの一体が護送車目掛けて、ダーツを投擲。
当たった所で大きな破損は起きないが、爆弾付きなら話は別だ。
ハンドルを操作しどうにか回避、爆風が車体を撫でるも走行不可能には至らない。
最初の放送で既に言われたが、NPCは積極的に参加者を殺さない。
あくまで参加者同士の殺し合いこそがメインであって、主軸は外れていない。
最強の敵キャラクターと謳う縁壱はともかく、有象無象のNPCがプレイヤーを殺すのは黎斗が望むゲームに非ず。
但し、積極的に『殺さない』だけで『襲わない』とは一言も言っていない。
つまり対処せずに放って置けば、いらぬ傷ばかりを増やされる。
最悪の場合、護送車の爆発に巻き込まれたっておかしくはない。
戦わない選択肢は真っ先に外し、
立ち上がり掛けたいろはを、黒死牟が片手で制した。
「えっ、黒死牟さん?」
「無意味に体力を削る暇があれば……脆い肉体を万全に近付けるよう努め……次に備えておけ……」
魔法少女は常人を遥かに超えた能力を持つ。
最大の特徴として、ソウルジェムが破壊されない限りは死なない。
とはいえ、何もかも全てが人の枠組みを超えたかと言うなら違う。
動けば動いた分消耗し、汗を掻き、腹は減り、喉が乾き、眠気に襲われる。
傷付けられれば痛みを感じて、当然の如く出血だって起こる。
一方鬼は太陽を浴びるか日輪刀で頸を断たれなければ、あらゆる負傷も無意味。
再生の度合いによっては体力の消費が起きるが、その点も現在の黒死牟には問題無し。
屠り合いで受けた傷は、縁壱に頸を薄く斬られた一つのみ。
既に完治しており、この程度で疲労など感じよう筈もなかった。
いろはが不要に体力と魔力を奪われるよりは、黒死牟が蹴散らす方が手っ取り早い。
合理的に考えた末の結論を、ニコリともせずに告げる。
「要は面倒事は自分に任せて、いろはには休んでろって言いたいんだろ?お侍殿はお優しいこって」
「貴様の頭は……言葉一つすら歪曲する程に……腐り切っているのか……?」
「お堅い言い方をソフト表現にしてやった、俺なりの優しさと思って欲しいね。とにかく相手すんなら任せるぜ!こっちは手が放せないんでな!」
一体全体自分の話のどこを聞いていたのかと、睨み付けるも効果無し。
運転を放り投げてまで戯言を叩く程、現状を見れていないのではない。
であれば一々青筋を浮かべ、食って掛かるのは無駄の二文字に他ならなかった。
背を向け、意志に応じて人工生命体がデイパックから飛び出す。
必要に駆られなければ頼る気も起きないが、日を防ぐ鎧無くして屋外での戦闘は不可能。
慣れぬ力でどこまで戦えるか、試運転の良い機会でもある。
『HEN-SHIN』
縦笛に似た得物をサガークへ装填し、白い鎧で我が身を覆い隠す。
後は生身を晒す無様を避けつつ、人形達を斬るのみ。
戦場を移すべくドアに手を掛け、
「あの!ありがとうございます!」
飛び出す寸前で、そんな声を拾った。
864
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:01:34 ID:RGAcntrk0
○
機動性強化を施したバイクが4台、内2台には二体ずつが乗車。
計6体のショッカーライダーが護送車を襲撃。
屋根へ軽やかに飛び乗った黒死牟を、前後から挟むように敵も跳躍。
走行中の狭いスペースが、今宵の闘争の舞台となる。
運転手を失い道路を転がるマシンには目もくれず、ショッカーライダーが仕掛ける。
得物の類は握られておらずとも、拳一発蹴り一撃が過剰なまでの凶器と化す。
ホッパー1号をベースに開発されただけあって、徒手空拳特化の性能だ。
無駄のない、鋭く重い鉄拳が放たれた。
顔面狙いの拳は仮面を砕き、顔面すら突き破り兼ねない勢い。
わざと攻撃を受け入れる被虐趣味を持ち合わせない以上、対処は至極当然。
銀の鎖を巻き付けた腕を添え、力の向かう先を逸らす。
立て直しまでの数秒を、むざむざ許さない。
逆に一撃食らわせんとするが、もう一体が妨害に動く。
背後からの蹴りが脇腹を叩こうと走り、感じた手応えは苦痛を与えたのとは別物。
ザンバットソードの眩い刀身を翳し、己が身へは掠らせもしない。
続けて黒死牟が斬り掛かるのを待たず、前方から再度拳が振るわれた。
時に躱し、時に受け流し、時に防ぎながら敵の力を冷静に見極める。
十数の殴打から分かったのは、敵が連携に慣れているということ。
互いに隙を埋め合い、且つ足を引っ張り合わない猛攻を実現していた。
(絡繰り仕掛けの人形故に……乱れぬ動きを物とするか……)
サガの仮面越しに、透き通る世界で人形兵達を奥まで捉える。
臓器や筋肉、骨以外に複数の異物を確認。
人体に無機物が組み合わさり、運動能力を大きく引き上げている。
改造人間、ふいにその四文字が浮かんだ。
ショッカーライダーはホッパー1号をベースに開発されたが、性能はオリジナルに劣る。
数年に渡って組織の追手と戦い続けた本郷猛と、スペックだけ同じ量産型の兵士。
大きく開けた経験値の差を埋めるのが、計6体の集団戦法。
原典の世界でのナノマシンロボ散布計画時には、数回に渡ってホッパー1号と渡り合った
あくまで精巧なコピーに過ぎないNPCであっても、連携の巧さは健在。
標的が動けなくなるまで、拳と蹴りが浴びせられるだろう。
865
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:02:11 ID:RGAcntrk0
敵の力の程を租借し、同時に黒死牟が思考を割くのは自身の状態。
仮面ライダーサガ。
時に運命の鎧とも称された姿が、果たして如何程使い物になるか。
何が出来て出来ないかを、この機会に把握せねばなるまい。
鎧を纏い、単なる移動ではなく実戦に身を投じるのはこれが初めて。
率直な感想としては、違和感を拭えない。
甲冑を身に着けた最も新しい記憶と言えば、鬼の存在を知った夜。
弟との再会で己が魂が再び狂い始めた、あの時が最後。
頑強な鎧も鬼の膂力や牙の前には、書道紙と何ら変わりない。
却って機動力を削がれる枷を、無意味と知りつつ着込む気にはならなかった。
数百年越しに鎧を纏っての戦闘だが、予想していた動きにくさはほとんどない。
まるで、前々から装着を続けたような着心地がある。
不可思議な感覚の正体は、サガの四肢へ絡み付く鎖によって齎される恩恵。
この装飾はデュミナスカテナと呼ばれ、拘束目的で備わったのではない。
変身者の意志を先読みし伸縮、挙動に合わせた最適な運動能力強化を行う。
黒死牟が動き一つに出る毎に、サポート装置が効果を発揮しているのだ。
だから全く思い通りの動きが出来ない、といった事態は防げる。
その事実を加味した上で、使い心地の悪さを拭い切れない。
慣れぬ筈の力が、最初から慣れた感覚として使用可能。
違和感が無い事こそ、逆に大きな違和感になっていた。
サガの機能とは別に、現状は黒死牟本来の戦法も取れなかった。
愛刀たる虚哭神去は自身の血肉から生み出しており、鬼の体と同等の性質を持つ。
即ち、陽光を浴びれば瞬く間に燃え盛り消失。
血鬼術と組み合わせた月の呼吸も、必須となる刀無くして発動出来ず。
屠り合いで手に入れた、鎧と魔剣を要に変え戦う他ない。
敵の力と自身の戦力。
双方を驕り抜きにしかと見極め、間髪入れず襲い来るは鉄拳の嵐。
人形兵が繰り出す怒涛の連撃を前に、枷を付けられた鬼は――
866
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:02:59 ID:RGAcntrk0
「もう十分だ……児戯に付き合う理由も失せた……」
拳の間をすり抜けた魔剣が、両腕を斬り落とした。
標的を砕く得物を両方失い、ショッカーライダーの動きが硬直。
自ら死を受け入れるに等しい隙と、理解出来たかどうか。
一刀両断、頭部から股まで二つに断たれ終わりだ。
地面へ落下し数回のバウンドを経て爆散、悲鳴一つ聞こえて来ない。
そもそもの話、黒死牟はショッカーライダーを最初から脅威とは思っていない。
牙を剥く拳の何たる脆いことか。
同じ主に仕えた拳鬼の、足元にも及ばぬ弱さではないか。
連携に慣れているから何だと言う。
この身を滅ぼした柱達と鬼食いの小僧、彼奴等のが遥かに上等だった。
本来の戦法が封じられたとはいえ、この程度の輩に後れを取る程我が刃を錆び付かせた覚えも無し。
破壊された分の穴を埋めるように、二人乗りのバイクから一体が屋根へ飛び乗る。
更にはマシンを駆る者達がダーツを投擲し援護。
拙雑な狙いに非ずとも、鬼を射抜くにはまるで足りない。
魔剣の一振りで斬り落とし、爆発が起きるもそれすら無駄。
膂力を十全に乗せ薙ぎ払えば、途端に暴風か発生。
たちまち熱風が掻き消され、すかさず背後の標的へと駆け出す。
迎撃で蹴りを繰り出す、そんな指令を脳が与える暇もやらない。
強化服諸共、袈裟斬りの餌食に遭い機能停止。
先んじて道路を転がる上半身を追って、下半身も地面へダイブ。
木っ端微塵の末路を見届けずに、残る一体の元へ跳躍。
走行中の屋根で足を離せば、普通は落下確実なれど黒死牟には関係無い。
標的から目を離さぬまま、投擲されたダーツを叩き落とす。
援護一つ取っても、所詮は自我無き人形の児戯。
己へ付き纏う、あの娘の光矢の方が余程――
867
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:03:50 ID:RGAcntrk0
「……」
余計な事へ思考を沈ませ掛けた、己への苛立ちも籠め魔剣を突き刺す。
喉を貫かれ、流れる夥しい血がマフラーを濁った赤に染める。
貫通したままの剣を持ち上げ、振り回せばショッカーライダーは枯れ葉のように舞い飛んで行った。
空中に焼け付く花を咲かせ、これで三体目も撃破。
血鬼術が封じられ、日中の屋外故に鬼の生命力も無に等しい。
しかし培った剣技と、数百年に渡り得た経験。
これら二つが失われなかった事こそ、無惨との最大の違いなのだろう。
鬼殺が完遂された今となっては、何を言っても空しいだけだが。
上弦全てを束ねても、到底敵わぬ高みへ無惨は君臨した。
あらゆる武の極致、あらゆる洗練された術。
そのどれもが無惨にとって、吹けば消える塵芥に等しい。
ただの一度も時を鍛錬へ費やさず、絶対的な力を我が物とする。
故にこそ始祖はいつの時代も、鬼舞辻無惨という完成された一個体として在り続けた。
ならば全く持って、皮肉と言う以外にない。
強さに裏打ちされた始祖の在り方こそが、屠り合いの末路の原因の一つになったのだから。
日の遮断と引き換えに、己の持つ生物としての強さを悉く削がれ。
武を知らぬ為、後れを取る結果へ繋がった。
一方で黒死牟もまた血鬼術こそ封じられたが、培った剣技と経験は健在。
無慈悲で理不尽な半月の檻を生み出す、月の呼吸を抜きにしても。
剣士としての腕だけ見た場合、黒死牟は非常に高い実力の持ち主だ。
仮に無惨と同じく、血鬼術や身体機能のみへ頼る鬼であったら。
遠くない内に主の後を追う最期が訪れたとて、不思議はない。
鬼に成り果てても侍である事は捨て切れず、修練を重ねて来た。
物心ついた時に学んだ剣術の基礎を、人を捨てた後も絶えず伸ばし続けた。
根付いた執着がよもや、こういった形で意味を為すとは――
868
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:05:16 ID:RGAcntrk0
――『兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?』
「…………」
浮かんだ言葉を払うように頭を振る。
何の意味がある、今更思い出した所で何も変わらない。
侍とは程遠い末路を引き寄せたのが誰かなど、吐き気がする程に理解している。
軋む痛みが内より湧き出るも、続く雑音に似た声が苦痛を薄れさせた。
発生源は鎧を纏わせた、円盤状の生命体。
相も変らぬ理解不能の言語なれど、この時ばかりは過去から目を逸らすのに一役買った。
ついでに鎧を装着中だからか、伝えたい内容も何となく察せる。
元よりこの状態でどこまで戦えるかを、試す意図もあったのだ。
指図されてるようで良い気分とは言い難いが、無視を決め込む選択もない。
装着時以外で使わなかった縦笛から、真紅の刀身が生えたちまち剣へ早変わり。
すかさず腹部の機械へ、笛に似た道具を差し込む。
『Wake Up』
不安を掻き立てる、不気味な音楽が鳴り響く。
仮面ライダーキバがそうしたように、フエッスルを吹き魔皇力を上昇。
鮮血色の刃が輝きを増し、必殺の準備が整ったと理解。
道路を疾走中のショッカーライダーへ向け、得物を振り被る。
獲物へ飛び掛かる蛇のように、刀身が鞭へ変化。
巻き付くや大量の魔皇力を流し込み、内部機器と生身の肉体の両方を蹂躙。
火花を散らし痙攣、やがて動かなくなると同時に爆発が起きた。
4体目も難なく撃破し、手元へ戻した鞭を見つめる。
こういった使い道があると知れたが、やはり慣れない得物だ。
これならばまだ、真紅の光剣のままで振るう方が手に馴染む。
と、技を終えたにも関わらず輝きが発せられているのに気付く。
不審に思うも、すぐ自身の勘違いと分かった。
紅い輝きは握り締めた得物、ジャコーダーとは別の所。
現在走行中の護送車が、血よりも濃い色へ包まれていた。
869
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:05:58 ID:RGAcntrk0
「こ、これどうなってるんですか!?」
「そんな驚くようなもんじゃねぇさ。ちょいとばかし、俺好みにペイントしてやっただけだ」
明らかな異常事態へ、いろはも聞かずにはいられない。
混乱を多大に含んだ声もなんのその。
軽い調子で返された内容は、答えてるようで微妙に答えになってなかった。
エボルトが何をしたか、種明かしすれば実に単純極まる。
自身が持つブラッド族のエネルギーを、護送車に流し込んだ。
旧世界で戦兎達を相手取った時にも、度々やった戦法だ。
合体状態のガーディアンを支配下に置いた事もあり、トランスチームガンを強化しスクラッシュドライバーを破壊した事だってある。
時にはエボルト自身にエネルギーを流し、能力の上昇を図ったのも一度や二度じゃない。
だが現在のエボルトは、嘗て石動惣一の体を乗っ取った時よりも力が上。
未完成とはいえ取り込んだパンドラパネルの影響し、当然並の強化じゃ収まらない。
「しっかり捕まっとけ!少しだけ荒れるぞ!」
警告もそこそこにハンドルを操作。
車体が大回転し、タイヤが擦れる音がいろはの悲鳴と重なる。
鮮血のエネルギー波を放射しながら、装甲車がショッカーライダーへ激突。
バイク共々一瞬でスクラップに変わり、原型を留めぬ部品となって道路に散らばった。
進路を戻しつつ、運転席の窓を開ける。
すると間を置かず、強引に侵入しようとする者が出現。
辛うじて破壊を免れた、最後の一体のショッカーライダーだ。
下半身はひしゃげ使い物にならなくなったが、死に物狂いでしがみ付いたらしい。
「大した根性だねぇ。それを見込んでとびっきりのプレゼントだ。遠慮しなくていいぜ?」
尤も、儚い悪足掻きで終わるが。
片手でハンドルを動かし、もう片方の手を頭部へ向ける。
握り締めた得物、トランスチームガンが吐き出す高熱硬化弾が全弾命中。
マスクを突き抜け脳まで破壊、意識の接続も瞬く間に途切れた。
「CIA〜O♪」
力無く道路へ横たわった個体に、その声は届かない。
背後で起こる爆発を、クラシック音楽のような気分で聞きながら護送車を走らせる。
ちょっとした退屈凌ぎが済み、やがて車体を覆う真紅も消え失せた。
870
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:06:42 ID:RGAcntrk0
○
エボルトの運転のせいで振り落とされ、空き缶のように道路を転がる羽目になった。
なんて事態にはならず、扉を開け黒死牟は屋根から悠々と帰還。
鎧を解除し、先程と同じ座席に腰を下ろす。
数だけ揃えた所で、所詮は参加者ですらないNPC。
殲滅へ追いやるのは、赤子の手を捻るより容易い。
戦闘に勝利したからといって、戦利品は手に入らない。
支給品や首輪など、プレイヤーならあって然るべき物もNPCには無関係。
残ったのは爆発の被害で焦げた地面と、ブラッド族のエネルギー波で薙ぎ払われた周囲の地面のみ。
だが全く意味のない戦いだったと言い切るのは違う。
(凡そは把握した……やはり必要が無ければ……使う気が起きるものでもない……)
サガの鎧に思う所はこれまで同様、必要に迫られない限り積極的に纏う気はなかった。
しかし日が沈む前に、屋外での戦闘がこの先いつ起こるか分からないのだ。
遊星から譲渡された闇を発生させる札とて、制限が課せられた為使い所は考える必要がある。
となれば、サガの力を把握して正解だったと言えるだろう。
慣れぬ力と慌てふためき、右往左往する事態は避けられた筈。
縁壱相手に通用するとは到底思えないが。
見方を変えれば、無惨の最期を反面教師にしたとも捉えられる。
始祖が地獄で知ったら、大災害の如き憤怒が巻き起こるに違いない。
気付いているのかいないのか、最後の鬼は黙して目的地への到着を待つ。
正面の黒死牟の様子に、ホッと安堵がいろはの中に広まる。
彼の強さは知っているし、信じてなかった訳じゃない。
それでも一度は太陽に炙られ、苦悶の声を上げる場面を見たのもあってか。
惨たらしく肉の焼けた痕は無く、無傷で戻って来た姿に心から良かったと思えた。
今回は彼の言葉に頷いたけど、毎回自分だけ休んではいられない。
来るべき時に備え、言われた通り少しでも万全に近付けておく。
何だか前に、やちよから無茶を諫められた時のようだと思い、
871
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:07:31 ID:RGAcntrk0
(あっ……)
これからの為に休めと言われたのは。
この先起きるだろう戦いに、いろはが加わる事は黒死牟にとって自然な認識になっていて。
余計な真似をせず引っ込んでろじゃなく、次に備えろと言ったのは。
ああつまり、邪魔な奴とか足手纏いとかじゃない。
真紅の騎士を相手にした時と同じ、一緒に戦っても構わないと思う程度に。
自分を認めてくれているのなら。
(そうだったら、嬉しいな……)
都合の良い解釈かもしれないけど、じんわりと胸が温かくなる。
「……」
「…えっと……」
じっと見つめられ、流石に向こうも気付いたのだろう。
六眼へ訝しさを宿し、言いたい事でもあるのかと問われた。
暫し目を泳がせた末に口を開き、
「何でもない、です」
困ったように、気恥ずかしさを浮かべ。
だけどどこか、嬉しそうに微笑み告げる。
神の遊戯盤の一画で、闘争とも言えない小競り合いを挟んで起きた。
移動中の、他愛のない一幕だった。
872
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:08:08 ID:RGAcntrk0
「めんどくせぇ年上ばっかり引き寄せる超能力でも持ってるんじゃねぇのか、お前」
「急に何の話ですか!?」
【E-2 道路上/一日目/昼】
【環いろは@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、魔力消費(大)、悲しみと怒り、乗車中
[装備]:ストライクマーク@テイルズオブアライズ
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:黒死牟さんを放って置けない、助けになりたい。
2:やちよさん達と病院で会った皆を探す。E-4へ行きやちよさんと合流する。
3:もし灯花ちゃんとねむちゃんがまた間違いを起こすのなら、絶対に止める。
4:フェリシアちゃんを殺した男の人(滅)には怒ってる。でも、我を忘れたりはしない。
5:真紅の騎士(デェムシュ)を警戒。
6:どうしてドッペルが使えたんだろう?
7:縁壱さんは、黒死牟さんの弟さん……。
8:キャルちゃんに渡したメダル、本当に良かったのかな…?
[備考]
※参戦時期はファイナルシーズン終了後。
※ドッペルは使用可能なようです。
【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:魔皇力継承、精神的疲労、縁壱への形容し難い感情(大)、エボルトへの不快感(大)、黎斗への怒り、いろはへの…?、乗車中
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃、木彫りの笛@鬼滅の刃、ザンバットソード@仮面ライダーキバ
[道具]:基本支給品一式、サガーク&ジャコーダー@仮面ライダーキバ、闇@遊戯王OCG
【思考・状況】
基本方針:分からない。……が、少なくとも縁壱以外の者に殺される気は失せた。
1:この娘は本当に何なのだろうか……。
2:縁壱……お前は…………。
3:無惨様が……そう、か…………。
4:日を避ける道具は手に入ったか……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※無惨の呪いが切れていると考えています。
※魔皇力が使用可能になりました。キバット族のサポート無しで活性化出来るようです。
※サガークの資格者に認められました。ククルカンの召喚も可能なようです。
873
:
SNAKE PIT
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:09:15 ID:RGAcntrk0
【エボルト@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、石動惣一に擬態中、運転中
[装備]:トランスチームガン(ワープ機能2時間使用不可)+ブラックコブラロストフルボトル@仮面ライダービルド、ラストパンドラパネルブラック+ブラックロストフルボトル×6@仮面ライダービルド、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト、大型護送車@DEATH NOTE
[道具]:基本支給品一式×3、じわじわキノコカン@スーパーペーパーマリオ、ブレイクスルー・スキル@遊戯王OCG((1)の効果2時間使用不可能)、ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト、呪い移し(現在使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ、ルナの首輪、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:生存優先。あわよくば未知の技術や檀黎斗の持つ力を手に入れる。
1:戦兎達の元へ戻る。流石にそろそろ我慢の限界かねぇ。
2:戦兎と共闘しつつどこまで足掻くのか楽しむ。仲良くやろうぜ?
3:エボルドライバーを取り戻す。元は内海の?知らねぇなァ。
4:ロストボトルを回収しパンドラパネルを完成させる。手間を掛けさせないで欲しいんだがな。
5:正攻法じゃあ檀黎斗を倒すのは難しいか。
6:カイザーインサイトを利用。2回目の放送後に桜ノ館中学校で合流。戦兎には何て言おうかねぇ。
7:やちよの声はどうにも苦手。手土産でいろはを連れてきゃ機嫌も良くなるだろ。
8:猿渡死んじまったか。戦兎の奴どうなるかな。
9:美遊、ねぇ…………。
[備考]
※参戦時期は『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』で地球を去った後。
※環いろはの姿を写真で確認した為、いろはに擬態可能となりました。
※トランスチームガンのワープ機能は一度の使用後、6時間経過しなければ再使用不可能になっています。
『支給品解説』
【大型護送車@DEATH NOTE】
日本の警察が被疑者を警察署や地方検察庁・区検察庁・裁判所・拘置所へ移送する為の特殊車両。
作中内では第二のキラのビデオテープを回収する為、夜神総一郎がさくらTVへの突入に使用。
『NPC解説』
【ショッカーライダー@仮面ライダー THE NEXT】
全員がナノロボットで改造されたバッタ型の改造人間。
ホッパー2号とは色違いの特殊強化服とマスクを着用。
邪魔者の抹殺が使命で、どの戦闘にも常に6人1チームで登場。
戦力の劣っていた戦闘員に代わって他の改造人間の戦闘を補佐する上級戦闘員のような役割を果たし、1人1人ではなく6人1組による集団戦法を得意とする。
能力は一般戦闘員を大きく上回り、強力な爆薬を仕込んだダーツ型爆弾といったオリジナルのホッパーにはない武器も装備する。
しかしオリジナルとの戦闘経験量の違いや量産化仕様に伴う性能劣化など、単体の戦闘力では1・2号に及ばず見劣りする。
874
:
◆ytUSxp038U
:2025/06/10(火) 20:09:46 ID:RGAcntrk0
投下終了です
875
:
◆2fTKbH9/12
:2025/06/13(金) 07:46:08 ID:???0
キリト、空、宮川尊徳、ユキ、肉体派おじゃる丸を予約と延長をします。
876
:
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/13(金) 21:16:03 ID:xfKg7IJs0
道満、Poh、戒斗、L、ベクター、カイト、ミカン、クレヨン予約します
877
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:42:23 ID:POawdWDU0
投下します
878
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:43:30 ID:POawdWDU0
魔導雑貨商人との交渉だが、
DIOと違ってカイトとミカンは水と食料が必需品になる。
なのでDIOが消費したものから食料をを差し引いたものを消費し、
ほどほどのものを手に入れるが、彼らが欲したのは情報を選ぶことにした。
元々三者はクレヨンが現状かなり苦しい立場にあるのは事実ではあるものの、
カイトもミカンもこれだけの材料で得られる武器で補強できるほどやわでもない。
かといって、クレヨンの腕を治せるような支給品がこの程度では得られないだろう。
「桃やシャミ子の位置を知りたいところだけど……」
「提示しておいてなんですが、アタシはお勧めしやせんぜ?
この程度だとあっちとかこっちとか、指差し程度にしかならないんで。」
そう言いながら複腕であちらこちらを指して見せる魔導雑貨商人。
ミカン達がいる場所は南東。大雑把な方角を示されても、
探せる要素がはっきり言って皆無に等しいものになる状況だ。
元々E-4辺りに向かうつもりだったが、そこで出会わなければまず方角が不明に近い。
「……他の戦闘を要求しないNPCの紹介はできるか?」
「え? 旦那珍しい選択をしやすね。」
『カイト なんで?』
「友好的なNPCならまずこのモンスターと同じで交渉が必要だ。
つまり、出会っても必ずデメリットがある。デメリットのある存在なら、
補正がかかってある程度の位置を示してくれる可能性を考えてみているが……」
「確かに、探してる人でなければ友好的かは選択次第、
支給品や大事な首輪の消費……情報として売ってもいいですぜ。
ただそうですなぁ……どれだけ多くてもこれだと二名が限界ですぜ。」
「ミカン、クレヨン、それでいいか。」
「確かに、カタログを見ても三人共そんなに利益はないし、
かといって大雑把な情報で行けるほど近くもないならそれがいいのかも。」
『カイト まかせた!』
「ほいじゃ一度しか言わないんで聞いといてください。
一人目は『物資調達員』。参加者の中には死体のまま、
放置された参加者がちらほらいらっしゃるみたいでして、
原型が残ってたり首輪や支給品を回収して、ある場所へ運ぶのが仕事のNPCです。
やることはあっしと同じで物資の交換ですが、あっしと違って目新しいもんはございません。
あくまで参加者の支給品等でありますから。」
二人から確認をもらうと、魔導雑貨商人が、
何処から用意したのかホワイトボードと画像を取り出す。
大量の荷物と荷車を運ぶ中年の男性は古くから存在する、
融合関係のモンスターであり、見覚えがあるとアプリで確認すれば、
彼もまた魔導雑貨商人同様デュエルモンスターズの一枚であることが伺えた。
死体や支給品の改修。それを妨害してくるのは事実かもしれないが、
ある場所であれば、一か所に集まりやすくあてどなく探すよりましだろう。
問題は、首輪を手に入れるにしても対価を支払う必要があるのが手痛いので、
なるべく……と言うのも不謹慎だが、死体は自分達で見つけるのが先決だと考えた。
なお死体が残ってると言った情報はいいのかと思ったが「まあサービス程度でいいでしょう」
と軽く受け流されたので、特に何事もなく話が進んでいく。
「そしてもう一人は魔導闇商人(マジカル・ブローカー)。
こちらはあっしと違って何処かのカードショップに常駐していて、
レートも高いですがその分いいものが揃ってて中々便利ですぜ?
あ、流石にどこのエリアにそのショップがあるかまでは教えれませんぜ。
ただ、第一放送が来るまで開店しない決まりがあって時期開店と言ったところでしょうな。
因みに物資調達員の行き先が魔導闇商人になりやすんで、うまく行けば一石二鳥かもしれませんな。」
もう一人の画像は、
マジカルと名がつくだけあって、
魔法使いらしさが全面的に押し出されたデザインだ。
ブローカーらしさは薄いが、それ言えば魔導雑貨商人も似たようなものである。
879
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:44:15 ID:POawdWDU0
地味に物資調達員を追いかけ続ければ、
いずれそのショップに辿り着ける情報も得られた。
もっとも、どちらにせよ見つけなければ何も始まらないが。
「まあ情報はこんなとこですかね。」
安い消耗で得られた情報としては悪くはないだろう。
カードショップに常駐しているということはカードは確定である。
場合によっては今手元にないフォトン、またはギャラクシーもある可能性は高い。
レートについては悩ませることではあるが、優秀なのがあるのは間違いないだろう。
「カードショップか……カードショップだからと言って、
街中にあるとも限らないだろう。だがおおよそ見当はつく。」
『けんとう?』
「少なくとも端にはない。
手間のかかるNPCのことを考えると、
参加者が利用できる機会が少ない場所は選ばない。
参加者が砂漠や雪原を選ばず中央に集まるのを考えると、
ある程度中央のエリアにいるとみていい。その方角で探すのがいいはずだ。」
「そうよね。誰も利用しない施設になったら勿体ないもの。」
『だれもつかわない さみしい』
方針や考えを述べると先のときとは別のモンスター、
光る光子の竜であるフォトン・ワイバーンを召喚する。
先ほどのデルタ・ウィングと違い乗れる場所はあるのか、
そう思う二人ではあったが乗ること自体は問題なく行えた。
魔導雑貨商人と別れると、空へと飛翔して彼方へと消えていく。
「……あ。あんだけ女子がいたならラヴリカ紹介しても……まあいいや。」
いなくなったこと相手のことを考えても仕方ないし、
他に参加者の気配もないとのことで、昆虫族らしく身軽に走り出す。
暫くすると戻ってきて、ホワイトボードを持った状態でその場を去った。
結局は主催のNPCの一体に過ぎない。追いかけてまで教える義理もないのだから。
「ってなんかすごい派手なことになってるんだけど!?」
空中を、しかし高所と言うよりは比較的低空で飛行するカイト達。
だが空中では丁度海馬の猛攻と、それを避けるDIOよの戦いで熾烈を極めている。
遠巻きにも見えるXYZのモンスターの巨大さから相当な戦いだと言うことは伺えた。
「敵か味方か分からないが介入はでできそうにないな。
あれだけ激しい中。空中戦が苦手なお前たちを守りながら、
俺一人でデュエルをするというのは、かなり至難の業になる。」
いくらカイトが強いデュエリストだからと言って
不安定な足場で二人を守りつつのデュエルの経験はない。
全てが自分に依存してる状況であの戦いに介入するのは危険極まりない。
猛烈な攻撃をしてるのが味方でなかった場合、最悪な状況にもなりかねなかった。
その攻撃を受けているのが、彼らの知るDIOであると知れば駆け付けたことだろうが、
残念ながらそれらについては、たらればの結果論に過ぎない。
『御機嫌ようプレイヤー諸君。』
檀黎斗の放送が始まり、移動と哨戒はしつつもモニターを見やる。
倒さなければならない、到達しなければならない存在が姿を見せた。
未だ到達できるだけの材料はないが、必ず行かなければならないだろう。
向こうの戦いがほぼ終わったのか、攻撃音は殆ど鳴りやみ空中は段々と静けさを取り戻す。
『小倉しおん』
『吉田清子』
だがその名前を聞いた瞬間、フォトン・ワイバーンが破壊された。
変な人ではあるが、彼女にとっては大事な学友の一人でもあるし、
もう一人はシャミ子の母親であり、聖母のような優しい人物である。
その彼女達が、開始早々に殺された事実。当然動揺するだろうが、
最初は大丈夫だと思っていたが、そうはならなかった。
DIOの時間停止能力が戻ったように、ウガルルの呪いも戻ってしまった。
その影響か、破壊され墜落する神威の車輪がフォトン・ワイバーンを直撃し、破壊。
全員が突如として空中に身を投げ出すことになってしまう。
幸い高空飛行していたわけではないので、
「クッ、フォトン・デルタ・ウィングを召喚!」
万丈たちと合流する前にやった時と同じだ。
フォトン・デルタ・ウィングを召喚することで、
更に追加で同名モンスターを召喚し、二人を一体に、
もう一体をカイト自身が乗ることで対処しようとするのだが、
召喚と着地と同時に、もう一体の神威の車輪の一頭の牛の遺体がモンスターを破壊する。
「何!?」
880
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:45:00 ID:POawdWDU0
ミカンの呪いは続いている。
学友だけではない。友人の母親である吉田清子までもが死亡した。
ささやかな困難が降り注ぐとは言うが、それは魔法少女基準のものも多い。
情報交換でミカンの呪いについては伺っていたが、実体験で起こるとなると、
予測不能で回避も困難と、中々に厄介であり彼女が気を付けてるのも分かることが伺えた。
幸い、直ぐにデルタ・ウィングが駆けつけてミカンが咄嗟に手を掴んだことで事なきを得る。
「ごめんなさい! 私の呪い、再び発動したみたい……」
「みたいだな。この戦いで要求することじゃないが、
なるべく平静を……いや、長い付き合いなら分かっているか。」
この呪いとは何年も関わっているということが分かっている。
今更出会って六時間程度の人間に言われるまでもないだろう。
そう思うと、今度は自分のことの方へと思考を割く。
落ちてる間にもちゃんと聞こえた。あの男の名前が。
「……」
分かってはいた。
DIOの言葉が真偽は不明にせよ、
遊馬が長生きできるとは思っていなかった。
これは生き残ってる三人の共通認識なのは間違いない。
どうしようもないことだ。デュエルを復讐の道具とするのを善しとせず、
誰とでも手を繋ごうとして、改心させて行くその善性はっこの殺し合いでは無力に近しい。
せめて、誰かがその善性を引き継いでくれるならばいいのだが……などとは思うものの、
そう甘いことを期待することはせず、南東と言う人気のない場所から脱却出たことをよしとする。
「大分距離は稼げたはずだ。
店を探すにしろ、NPCを探すにしろ、
此処からは空よりも地上を優先して移動したい。」
「ええ、そうね。あんな事故二度とごめんだもの。」
「真月さん。死体です。」
「あー……こりゃさっきの奴(MNR)にやられた奴か。」
町に続くアスファルトの道路の上。
惨たらしく、割礼されている少女の遺体。
女性器を切除されて血だまりの死体ならば、
先ほど戦った青年が下手人なのは想像がつく。
ベクターであってもこれについては流石にドン引きである。
精神的に追い詰めることには定評のある男ではあるし、
消滅という形で味方を殆ど殺し回った男ではあるが、
流石にこの光景を前にして平然とするのは無理があった。
裏切りはお手の物だが、猟奇趣味は別に持ち合わせていない。
かっとビングも相まって、善性に寄ったベクターも顰めた顔になる。
「とりあえず、失礼するとして……」
先の四人にも行った首輪のサンプル集め、
或いは今後NPCとの遭遇で交換に必要になるかもしれない。
せめて有効活用させてもらう。それが彼女への鎮魂となると願いたい。
そう思いながら、ホープを使役してその首を切断して首輪を回収していく。
「真月さん。遊星のデッキと、一部のカードを私に譲っていただけませんか?
一部と言うよりは、遊星のデッキから抜いたカードですが。」
Lの体力は大分辛いものになっている。
いくら仮面ライダーになれるとしても限度があるだろう。
一応ある程度カードのルールは頭に入っている。麻耶のように、
シンクロ召喚すらもできずに戦いが終わることはないだろう。
仮面ライダーで防御しつつデュエルモンスターズで戦う。
中々理にかなった行為であると残る二人も理解する。
「レベル4のカードはなるべく残させてもらうぜ。
俺のデッキはホープが出せなきゃ困るからよ。」
「分かってます。」
ジャンク・シンクロンなどのカードをデッキから引き抜いて、
それを遊星のデッキに戻しながら持っていたデュエルディスクをLに渡す。
マックス・ウォリアーなどはベクターとしては残しておきたいカードなので、
できるだけこちらの手元に残しておくのがベストだと思っておきたくもある。
「……何かが追ってきているな。」
空を裂く音が遠くから聞こえる。
移動速度は速い。そして真っすぐ此方へ向かうかのように、
次第に音が大きくなっていくことから対象は自分達だと理解する。
「敵か?」
「さて、どうでしょうね。」
881
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:45:30 ID:POawdWDU0
デュエルディスクを腕に装備し、
更に先にバロンに変身することでLは不意打ちの対策をしておく。
音は陽動であり、既に来ている可能性もあることを視野に入れているからだ。
首輪を回収し、全員が身構えながら相手の到着を待つことにする。
照の遺体についてはどう説明したものかとベクターが内心考えていると、
空飛ぶじゅうたんとともにPoHとキャスター・リンボこと蘆屋道満が到着する。
「おーより取り見取り……って随分悲惨な死に方してる奴がいるな。てめえらがやったのか?」
「違うな。俺達にこういった趣味はない。そしてその趣味の男もこいつが始末している。」
あんな猟奇趣味の奴の罪を着せられる。
同族でもない限り嫌と言うほかないだろう。
特に戒斗はああいう弱者を生まないために行動した男だ。
冤罪をかけられることそのものに嫌気がさしてるかのように顔を顰める。
その視線だけで人を突き貫くのではないかと言う顔つきに口笛を鳴らすPoH。
「ぷー殿。どちらであっても油断はなりませぬぞ。
腕のアレ、でゅえるでぃすくなる式神召喚の類にて間違いないかと。
それと仮面らいだーなる人物を含めた人物相手するというのは、中々骨が折れますなぁ。」
「まーたやべえ奴かよ。此処にはまともな奴はいねえのかよ。」
「殺し合いなんですから当然でしょう。
平和主義者だけで構成されていれば、此処まで40人も死にませんよ。」
「ハッ、ちげえねえ。」
話し合いの内容から恐らく敵なのだということは分かっている。
その割にはLはまるでティータイムの雑談のようにPoHとの会話に参加していた。
こいつの感性はどうなっているんだとベクターが少しばかり呆れ顔をしていると、
「おい、そこのオレンジ頭の奴。」
「あ? 俺か?」
PoHからの直接の指名をされるベクター。
今のところ何か声をかけられるようなことはした覚えはないと思うが、
「お前さん、俺と同類だろ? どうせだ、
そいつらを見限って俺達につく気はねえか?
そいつらと同じ世界で親睦を深めあった親友ってわけじゃねえだろ?」
デュエルディスクの構え方はよくは知らないが、
少なくとも不格好と呼ぶには程遠く様になっている。
何よりも、こいつもあの男、夜神月と同類の人殺しの類の顔だ。
前世でドン・サウザンドによって歪められた王になり果て、
バリアン世界でも仲間を何人も手にかけてきたのでそれは事実だ。
紛れもないろくでなし。それを否定するつもりは彼は余りなかった。
残る二人も大概だが、仮面ライダーとオーバーロードでは表情が読めない。
結果、ベクターだけがそのお眼鏡にかなうこととなる。
「ん-、そうだな。悪かねえ相談だなぁ。」
向こうの二人もこの六時間以上は生き残ってる。
その上デュエリスト二名を相手に警戒はしつつも、
臆することなく対峙している様は、間違いなく強者なのだろう。
オーバーロードとどこまでやりあえるかまでは判断しかねるものの、
何とか仮面ライダーになって取り繕ってるLの体力も無視はできない。
このチームが瓦解するのを考えると、生存率を上げるなら鞍替えもありだ。
「けど、思ってより此処は居心地がいいみてぇだなぁ。
そっちとつるむには、死ぬ前でなきゃありえねえみてえだわ。」
と、もう少し前のベクターであれば考えていたのだろう。
しかし今のベクターはあのベクターから変わりすぎている。
友情ごっこを本物に昇華させ、かっとビングチャレンジをして、
光の希望を手にした今のベクターとしては、その提案は受けいれる気はない。
「その答えの洗礼だ。ヘルウェイ・パトロールを召喚!」
バイクの前面に悪魔の顔が施された、
人型の悪魔が召喚されバイクを走らせていく。
今回は先行からのスタートなので攻撃はできないので、
二人の周囲を走ってただ牽制をするだけにとどまる。
「ああそうかい。そりゃ残念だなぁ!」
パトロールの動きの合間を縫って、肉薄するPoH。
デュエリストなんて本体を狙ってしまえばいいだけの話だ。
いくら集団だとしてもリーダーを失えば後は散り散りになる。
そういうパーティはいくらでもいた。自分達が下そうと下すまいと。
とは言え、そう簡単にいかないのがこのバトル・ロワイアルである。
Lが召喚していた緑色の身体が特徴的な白銀の翼のモンスターが守りに入った。
デュエリストはそんな簡単に倒せるようならば、もっと楽に多くの参加者が倒している。
882
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:46:08 ID:POawdWDU0
「おいおい、エリュシデータで切れねえってなんだよそのモンスター。」
シールド・ウィングは1ターンに2度までバトルで破壊されない。
遊星の使用するモンスターでもとりわけ頑強で多くの守りに使われていた。
三度殴らねばならぬ頑丈なモンスターではあるが、リンボの呪符が叩きつけられると、
血飛沫を上げながら、容易く消滅してしまう。
「札遊びならば、拙僧もお手の物ですぞ?」
(攻撃、と言うよりはカード効果でのようなもの破壊された?
異様な風貌だが。札の形状と服装も合わせ陰陽師……呪いの類か?
私も随分とオカルトに染まってしまったようで……まあ、デスノートがオカルトですが。
どちらにせよ、此処は不動遊星のような最適解は望めないでしょうがやってみましょう。)
一応ベクターを守ることは成功した。
相手の力量もある程度の理解はできたことだ。
此処からやっていくのは予測できる範囲での対応をしつつ、
自分ができる最大限のこの場における貢献、それだけだ。
「真月さんは私の援護を、戒斗さんはそちらの僧侶の相手を。難敵です。」
「あいよ。」
「分かっている。」
言葉は必要なかった。
既に呪符を投げたリンボに戒斗は肉薄していた。
ギリギリ、しかし余裕そうな表情で戒斗の攻撃を避けていく。
リンボの敏捷はサーヴァントとしてのステータス上ではE判定と極めて遅い。
だが敏捷Bが敏捷Aを上回るように、ステータスが全ての決定づけるものにあらず。
事実、リンボの黄緑色の爪が戒斗の攻撃をかいくぐりながらその身を切り刻んでいく。
もっとも、その程度で傷つくようなものでもなく、あららとおどける程度にとどまった。
「ンンン、仮面らいだーなるものではないようですが、
かといって魑魅魍魎の類にも非ず……色々と興味は尽きませぬな。」
「戦極みたいなことを口にするな。」
極めて冷静に、しかし怒りは募っていく。
性格は戦極凌馬、だが強さはオーバーロードに近しい存在。
異星の使途の一人でありハイ・サーヴァントたるアルター・エゴのリンボの存在は、
少なくとも並のアーマードライダーよりもずっと格上なのは間違いなかった。
戒斗の攻撃は当たらず、しかしリンボの物理攻撃は通用することはない。
となれば当然のことだが、キャスター・リンボの名にふさわしく呪符を使う。
空舞う呪符から雷が降り注ぐが、オーバーロード・バロン持つ反射能力で雷を逆に空へと飛ばす。
ンンン? といつもの口癖と疑念、どちらを意味するか不明な言葉を漏らしながらも、
迫りくる夜空の剣の斬撃をのらりくらりと紙一重で躱していく。
オーバーロードと異星の神の使途による、
ハイレベルな戦いの横でも激闘は繰り広げられていく。
ヘルウェイ・パトロールに相乗りしたベクターは、
常人よりもはるかに速い動きで来るPoHの攻撃を躱していく。
露骨に腕を狙ってくるあたり狙い目が分かりやすいのが救いなのだが、
腕をやられればそれだけでデュエリストとしての生命線が失われかねない。
ロボットがデュエリストだったことを考えるとそれほど重要かとも思うが、
やはり回避しておくには越したことはない。
「俺のターン! チューナーモンスターのジュッテ・ナイトを召喚!
レベル4のヘルウェイ・パトロールに、レベル2のジュッテ・ナイトをチューニング!
今度こそミスのないシンクロ召喚だ! 行け、ゴヨウ・ガーディアン!」
バイクで時間を稼ぎながら自分のターンへと持ち込み、
召喚権やカードの発動の準備を整えるという、
生身でのデュエルを経験したベクターだからこその発想での達真理をする。
シンクロ召喚する際にバイクからジャンプで飛び出し、ショットオブザスターを放つ。
もっともやはりエイムは絶望的であり、放たれた光弾は頬をかすめ取るだけにとどまる。
「こいつぁやばそうなのが出てきたなぁ!」
883
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:47:16 ID:POawdWDU0
デモンストレーションでもシンクロ召喚はお披露目された。
そのときのダーク・ダイブ・ボンバーの攻撃力は2600。
それを上回る、2800の攻撃力の表示は警戒に値するものだ。
「カード三枚セットして、ゴヨウ・ガーディアンで攻撃!」
紐のついた十手がPoHを襲う。
首をそらし避けると、後方にあった木を十手が突き貫く。
木が悲鳴を上げながら倒れていく様を見て少しだけだが焦りを見せる。
あんなのが直撃、或いは捕縛されてしまえば、いくらPoHでも抜け出すのは容易ではない。
「なめてかかるとやばいなら、虎の子だなんだ言ってる場合じゃねえなぁ。」
ライダーブレスにカブティックゼクターが装備され、
形状こそ戦極ドライバーとは異なるものではあれども、
仮面ライダーの類のものであると二人は警戒する。
「変身ッ!」
『HEN-SHIN』
『CHANGE BEETLE』
おもちゃを手にしたような最高の笑みと共に、
黄金の仮面ライダーの姿へと変貌していくPoH。
仮面ライダーコーカサスに変身し、ゴヨウ・ガーディアンの十手とエリュシデータがぶつかり合う。
本来ならばカブトとガタック、二人のライダーを徒手空拳のみで優位に立つことができるものだが、
PoHの基本戦術は友切包丁(メイト・チョッパー)を使った剣術がメインとなっているのと、
まだ仮面ライダーとしての初戦闘なのも相まって練度が低いのもことにによりまだ優位に戦えない。
しかしもとより数々の人物をPKしてきたラフィン・コフィンのリーダーであるのは不変の事実。
コーカサスの名に恥じぬ大立ち回りをするのも、いずれ時間の問題なのは、
攻撃力の高いゴヨウ・ガーディアンでタメを張れてることから伺えることだ。
「まあ、こんなところでしょう。」
何処か機械的で無機質な言葉と共に迫る、緑色の人型の拳。
仮面ライダーに変身していなければ頭蓋を破壊されていそうな一撃を受け、吹き飛ばされるPoH。
この程度の不測の事態別に大したものではなく、エリュシデータを地面に突き刺しダウンを回避。
だがそこに高速で迫る赤と白に配色された人型のモンスターの機械的な足が迫り、跳躍して回避。
更にそこへ、白く煌めくドラゴンが宙を舞ってることに気づくも、既に手遅れだった。
ドラゴンから放たれる風のようなブレスを避けられる状況ではなく、直撃。
地面に叩きつけられ、数度バウンドしながら受け身を取ってなんとか立ち上がる。
「おいおい、よそ見してる間に何したらそんなことになるんだよ。」
攻撃力2500、ターボ・ウォリアー。
攻撃力2800、ニトロ・ウォリアー。
攻撃力2500、スターダスト・ドラゴン。
ほんの数分よそ見していただけなのに、Lのフィールドはベクターとは別物の盤面を築いていた。
時は少しばかり遡り、
戒斗がリンボを、ベクターがPoHから逃げ回ってる時。
バロンになったLは盤面と手札を一瞥しながら次の一手を模索する。
(時間がありません。此処はとにかく展開をしなければ。)
ベクターがヘイトを買ってる間に、Lも動かなければならない。
ベクターの使うホープ・ザ・ライトニングは強力ではあるものの、
元々牛尾のデッキはレベル4が多いとはいえシンクロに重きを置いたデッキ。
いくらレベル4モンスターを複数枚積んでも狙って出すには少々厳しくある。
加えて戒斗の方もリンボとは実力伯仲。互いに決定打を与えられてない状況だ。
だからLは両者のサポートをしつつ、遊星のデッキを回さなければならなくなっている。
遊星のデッキは低レベルによるシンクロ召喚の複雑で難解なデッキあり、常人にはまず扱えない。
はっきり言って、流石のLであっても初見のゲームで最適解が何かを見出すことはできなかった。
加えて遊星のデッキはアクセル・シンクロによってさらなる大型モンスターを出すのがセオリーだが、
それらのカードは当然Lは生み出す、基使用することはできない。必然的に単純な効果力を狙うなら、
攻撃力2800のニトロ・ウォリアーか3000のロード・ウォリアーを出すのが吉と判断していた。
「まずはレベル・スティーラーを捨ててクイック・シンクロンを特殊召喚し、
クイック・シンクロンのレベルを1つ下げ、墓地のレベル・スティーラーを特殊召喚。
レベル1のレベル・スティーラーに、レベル4となったクイック・シンクロンをチューニング。」
884
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:48:56 ID:POawdWDU0
ガンマンのようなモンスターと背中に星のついたてんとう虫。
それらがシンクロ素材となって出てくるのは白いマフラーが目立つ白銀の戦士。
ベクターが出そうとして失敗した、ジャンク・スピーダーを出すこと。これが最善の一手。
ジャンク・スピーダーはシンクロ召喚に成功した場合の効果は余りにも破格の効果を持っており、
デッキからレベルの異なるシンクロンと名のついたチューナーモンスターを、
フィールドを埋め尽くす勢いで特殊召喚でき、これに伴い一気にモンスターが展開されていく。
「ジャンク・スピーダーをシンクロ召喚し、その効果でこれらのモンスターを特殊召喚。」
遊星のDホイールに似た機械を乗りこなすモンスター、レベル5ホイール・シンクロン。
スターダスト・ドラゴンを小型にしたようなモンスター、レベル4スターダスト・シンクロン。
赤い筒に手足やメーターがついた機械のようなモンスター、レベル2ニトロ・シンクロン、
背中にジェットパックのようなものを背負った緑の小型モンスター、レベル1ターボ・シンクロン。
それぞれのモンスターが一気に場に召喚され、リンボはおもむろに呪符を適当に何枚か投げ込むが、
庇うように戒斗の夜空の剣に全てが両断されてしまい、妨害には至らなかった。
因みに、EXモンスターゾーンは遊星のデュエルディスクには当然ないので、
野獣先輩のデュエルディスクと違って、チューナーを五体展開するという行為はできない。
(この辺のルールの違いについては、ベクターの世界にシンクロがないことから察してはいる)
「それほどの強さを持ちながら臆しているのか?」
「ええ、ええ。拙僧、式神召喚は一通りこの通り得手なのですが、
でゅえるもんすたーずとやらは拙僧にとっても未知の代物にて。
使用者を先に仕留めてしまえばそれで済むやもと狙ってみたものの、
いやはや。貴殿は並のサーヴァントかそれ以上の傑物にあられるようで。」
「当たり前だ。その程度の力なくして、世界を作り直そうなどと思わないからな!」
「なんと、世界を作り直すとは。
そういう人物と拙僧は縁があるのやもしれませぬな。
拙僧と貴殿、案外ご友人になれなくはない気がしますぞ?」
異星の神が蘇らせたクリプターは、
己が担当する世界を存続させようと、
汎人類史を白紙化させるにまで至っている。
言うなれば世界を作り変えると同義の行為である。
「黙れ。貴様のような輩と同類とみなされるだけで虫唾が走る!」
人を己の悦楽の為にしか見ていない。
やはり戦極凌馬と同類の類であるのが分かるし、
こんな奴と同類など吐き気すら覚えるぐらいだ。
「スターダスト・シンクロンが特殊召喚されたことで、
デッキからセイヴァー・アブソープションを手札に加え、
レベル5のジャンク・スピーダーにレベル2のニトロ・シンクロンをチューニング。
ニトロ・ウォリアーをシンクロ召喚し、ニトロ・シンクロンの効果でカードを一枚ドロー。
ターボ・シンクロンをリリースしサルベージ・ウォリアーをアドバンス召喚。
アドバンス召喚に成功したサルベージ・ウォリアーの効果で墓地のチューナー、
ターボ・シンクロンを特殊召喚し、レベル5のサルベージ・ウォリアーに、
レベル1のターボ・シンクロンをチューニング。ターボ・ウォリアーをシンクロ召喚。
ホイール・シンクロンの効果で手札のレベル4以下のモンスター、ドリル・シンクロンを通常召喚。
ホイール・シンクロンの効果でこのカードをチューナー以外として扱う効果を適用し、
レベル5のホイール・シンクロンにレベル3のドリル・シンクロンをチューニング。
スターダスト・ドラゴンをシンクロ召喚。更にレベル・スティーラーの効果で、
再びニトロ・ウォリアーのレベルを下げることで復活、墓地のホイール・シンクロンの効果を発動。
このカードを除外しフィールドのモンスターのレベルを4つまで下げる効果を適用することで、
スターダスト・シンクロンのレベルを3に変更し、レベル1のレベル・スティーラーにチューニング。
アームズ・エイドをシンクロ召喚。」
885
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:49:30 ID:POawdWDU0
Lの思考の中をデュエリスト以外が見たら、
脳が焼ききれそうなぐらい意味の分からない展開だろう。
こんなものを一学生である麻耶に支給した、主催者の嫌がらせが伺える。
これでさえも遊星の最適解ではないのだから、末恐ろしいデッキでもあった。
不動遊星はどれだけこのデッキを使いこなし、信頼してきたのかがよく分かる。
同時に、合理的な目線ばかりで見る自分には扱いきれないなともLは思えた。
「アームズ・エイドは……念のため、
此処は戒斗さんに装備させておきましょう。受け取ってください。」
先のように、モンスターではなく他人に装備させることを優先。
夜空の剣を一時的に左手に持ち替えながら、アームズ・エイドを装備。
今度はオーバーロード・バロン・アームズ・エイドスタイルと言ったところだろうか。
攻撃力が上昇したことで拮抗が崩れたのか、リンボが力量を見誤ったのか。
どちらにせよアームズ・エイドの赤い爪が、リンボの露出した肌に複数の裂傷を刻む。
「ンンン? なるほどなるほど。そのような使い方もあるのですなぁ。
ですが!その腕の装飾そのものは貴殿の装甲程のものではないでしょう!」
所詮は外部による援助あっての攻撃である。
今の攻撃も受けこそしたが所詮は掠り傷程度だ。
だから何も問題はなく、爪には爪て対抗せんと、
一度距離を取ってから変わらず敏捷Eらしからぬ速度で肉薄。
獣のような長い爪がアームズ・エイドが装填された右腕を狙う。
それを夜空の剣の斬撃で拮抗に留めるが、生身の腕と拮抗すると言うのは、
相手が規格外な存在であることを示しているかのようでもあった。
「ぷー殿、いささか数の利で不利なご様子。
此処は拙僧の支給品を提供すると致しましょうぞ。」
ゴヨウ、ターボ、ニトロ、スターダスト。
これだけいてはいくらコーカサスであっても限度がある。
クロックアップもあるが、一度使えば暫くは扱えなくなってしまう。
此処にはリンボがいる。つまり、リンボが参加者として許されるだけの強い参加者の可能性。
安易にクロックアップをすることは手の内を晒すことになるし、死に直結しかねない。
それでは『つまらない』。たったそれだけの理由で、この男は奥の手を使わなかった。
リンボから飛ばされたカードを手にし、それを見て下卑た笑みを浮かべながら掲げる。
「だったら、遠慮なく使わせてもらうぜ、来い!」
PoHの眼前に現れたモンスターは、正統派な戦士と呼ぶべきだろう。
青と黄金の鎧を纏った戦士は、少なくともPoHが使うべきカードでも、
ましてやリンボが持つべきものでもなく、ベクター達で正直似合わないだろう。
これを手にするのが相応しいのは、キリトや遊戯と言った人物が持ち主であるべきだ。
そのモンスターの名を───
「カオス・ソルジャー -開闢の使者- 降臨!」
降臨したカオス・ソルジャーはPoHの手足のように、
彼の願った通りにゴヨウ・ガーディアンとニトロ・ウォリアーを切り裂いた。
このカオス・ソルジャーはモンスターを戦闘で破壊した場合、
続けてもう一度だけ攻撃することができる連続攻撃効果を持つ。
そして攻撃力はブルーアイズ同様の3000。その攻撃性能は、
少なくともこの場のどのモンスターよりも高いものだと伺えた。
「そーらもういっちょ!!」
モンスターの力を借りたことで、
手が空いたPoHによるベクターへのダイレクトアタック。
デュエルモンスターズのルールは軽くしか目を通してないとはいえ、
罠カードがあることは分かっている。だから不明瞭なままで置くのは危険だ。
あの中に開闢の使者を倒しうるカードがあってはこちらとしても困りかねる。
「チッ、罠発動! ピンポイント・ガード!
墓地のレベル4以下のヘルウェイ・パトロールを復活させる!」
886
:
無情の抹殺 群雄割拠
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:49:55 ID:POawdWDU0
格下のモンスターを召喚して何になるのか、
そう思っていたところ、パンチを叩き込んでも手ごたえがなさすぎる。
いや、どちらかと言えば硬すぎるに等しく、一度距離を取って様子を伺う。
ピンポイント・ガードには蘇生したモンスターがそのターンバトルで破壊されない効果を持つ。
いくら強くなっても、破壊できないのでは意味がない。
(クソッ、あいつが仮面ライダーの時点で守備力は高いだろうし、開闢も2500もありやがる!
その上これは自他全員だ。ターボもズターダストも守備力が越えられねえ、
だが大損覚悟でこれはやるしかねえ! 開闢を残すのは間違いなくやべえ!)
開闢には攻撃宣言を放棄する代わりに場のモンスターを除外できる。
それで参加者が除外されてしまったらどうなるか分かったものではない。
だから此処は他者を巻き添えにするつもりでも、倒すことが先決だと理解する。
「永続罠リビングデッドの呼び声発動!
俺の墓地のゴヨウ・ガーディアンを特殊召喚する効果にチェーンし、
反転世界(リバーサル・ワールド)を発動! 俺たち全員、攻守が逆転する!」
どの程度の弱体化か、或いは強化が発生するか全くわからない。
ただ言えるのは、開闢の危険性を知ってるのはベクターただ一人のみ。
ターボ・ウォリアーは1500、スターダストは2000、カオス・ソルジャーは2500
しかしその効果を適用後に復活したゴヨウ・ガーディアンにはこの効果は適用されることはない。
つまり、攻撃力は2800。開闢を殴り倒すことができる上に、更なる効果が期待できる。
「おっと。」
何か嫌な予感がしたのもあり、
リンボ達二名は距離を取り反転世界の射程の外へと逃げる。
円形状に色彩が反転するフィールドが広がっており、
何処まで逃げれば射程外かはおおよそ理解できるものになっていたからだ。
無論、避けながらも互いの攻防は続くが、互いに決定打は与えられないままである。
「俺のターン! ゴヨウ・ガーディアンで開闢を攻撃しろ!」
ゴヨウ・ラリアットによる捕縛がカオス・ソルジャーを締め上げる。
破壊されて粒子のように砕け散るも、直ぐにベクターの場へと姿を現す。
ゴヨウ・ガーディアンにはバトルで破壊したモンスターを守備表示で奪う効果を持つ。
その上開闢の使者は反転世界のデメリットが消え、元に戻っている。
あっという間に形勢逆転の状況へと追い込むことに成功し、歓喜の声を上げるベクター。
「うっしゃあ!!」
「何だと!?」
「ゴヨウ・ガーディアンは倒したモンスターを奪えるんだよ!
さて開闢の使者には除外効果がある。これでテメエを除外してやるぜ!!」
回避は不可能ではない。
持っているシフトチェンジにクロックアップと手段はある。
だがそれらは使用制限がある。下手に使えば自分を追い詰める材料になりうる。
自分より格上だと分かっているリンボが実力伯仲であることが揺るがぬ証拠だ。
こんな奴相手に使うには早すぎる。除外する効果を避けることへ専念しよう。
「破滅のフォトン・ストリーム!!」
887
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:50:52 ID:POawdWDU0
光のブレスが、その瞬間カオス・ソルジャーを消し飛ばした。
今の声、今の攻撃。誰で、何が攻撃してきたかをベクターは予想する。
視線の先にいたのはデュエルディスクを構えるカイト、
クロスボウを構えるミカン、片手でナイフを持つクレヨンの三名。
それを見た瞬間『最悪だ』と同じ舞台にいる科学者の口癖のような感想が出てきた。
「まさか貴様と会うことになるとはな、ベクター!」
カイトとベクター因縁的にはあまり縁がない方だ。
バリアン世界の住人とカイトの相手は基本ミザエル一人であり、
あるとするならば父であるDr.フェイカーを乗っ取ったぐらいだ。
しかも、それはベクターが一方的に知っているだけにすぎないことで、
カイトからすれば遊馬を罠に陥れたバリアン以外の感想は出てこない。
元々E-4に向かうところだったが、近くのエリアからスターダスト・ドラゴンが見えた。
他の参加者がいると確定しているならば優先順位はそちらの方だということで北上して今に至る。
「てかこれ、どういう状況!?」
ミカンからすれば、この状況は余りにも異質だった
オーバーロードの戒斗も、リンボもどちらもまぞくに近しいものを感じる。
当然シャミ子のものとは別の意味で比にならないような存在感を放つ。
だからこの場の誰が敵で、誰が味方になりうるのか判断がつかない状況だ。
精々、今目の前にいる男がカイトの言うベクターだということぐらいである。
狡猾で、卑劣な手を使ってくると言うあの町にはいないタイプの、邪悪な存在。
「丁度助かったぜ! こいつらに襲われちまってたところでなぁ!」
「な、てめ……!!」
PoHはそれに便乗してきた。
何か言い返そうとするが、厄介なことに返す言葉がない。
下手に返せば相手のペースに吞まれることを理解してるからだ。
そう、散々自分が敵を煽って利用してきたことが返ってくる。
まさに因果応報を形どった光景とも言えるだろう。
(まずい……此処には彼が味方と証明する材料がない。
真月さんの予想通り天城カイトは彼を敵とみなしている。
セイヴァー・アブソープションの効果で相手のどちらかを装備カード、
もとい拘束させたかったものの、彼方に他に面識のある人物も関係者もいない。
一応手段はあると言えばあるが、ちゃんと機能するかは賭けになってしまうのが厳しいか。)
「ああクソがッ! 月で死んだせいで俺の顛末知らねえのが厄介だな!
信じねえだろうが、俺は殺し合いに乗るつもりなんざはなからねえんだよ!
てめえが死んだあと、こっちもドン・サウザンドに裏切られて吸収されちまったよ!
んであのかっとビング野郎に感化されちまって、今じゃ新たなホープが俺のエースだ!」
進化したホープこと、ホープ・ザ・ライトニングを見せるベクター。
あのベクターが、希望を進化させるなどいくら謎のシステムがあると聞いても、
驚きが隠せなかった。
「ホープが進化だと……? だとして、貴様が乗らない理由は……」
「待ってください。私はL、探偵をやっています。
此処は全員一時休戦として、話を聞いてはもらえないでしょうか。」
これ以上ベクターと会話させると話が拗れかなかった。
遮りつつ、会話の主導権を握ろうとするも、リンボが許さない。
「ンンン、そうはいきませぬぞ。える殿。
申し遅れました。拙僧、名簿上ではキャスター・リンボと申します。
吉田良子殿のことから陽夏木ミカン殿のことは伺っておりまする。
そして、我々は吉田優子殿も近くで保護している……どちらが悪か決まってるのでは?」
「シャミ子達が近くにいるの!?」
知人の二人の訃報はあれど、
此処二きて二人の吉報も来てくれた。
せめて二人を、桃を助けられればいい。
そう願っていたので安堵の表情をするも、Lが水を差す。
「……おかしな話ですね。
あなた方が殺し合いに乗ってないなら、
保護対象は今、何故放置しているんですか?」
「勿論、拙僧の信頼する味方が、最上啓示殿が保護しておりますれば。
と言っても伝わらないかと。知人の方は誰もいないとのことですので。」
「……なるほど。では此方は最後の手段と行きましょう。
ミカンさんとPoHさん、でよろしいでしょうか。名前は。」
「え? 私?」
「あ? 俺?」
「ミカンさん。貴女にまず、ある支給品の説明書を渡します。
そしてその後、PoHさん。貴方にはその支給品であるこの杖を渡します。」
取り出したるは時計のように見えなくもない、形容しがたい杖。
888
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:51:40 ID:POawdWDU0
「……何がしたいんだ?」
展開が全く見えてこなかった。
一触即発のこの状況において、
支給品と説明書を別々に渡してくる。
説明の意図が読めないし、罠の可能性もあると思い怪訝な顔を浮かべた。
それはミカンも同様だ。相手は仮面ライダーであるのでいつでも変身可能だし、
そもそもLがどういう人物かも分からない。桃みたいに生身で怪力の可能性もある。
此処で下手に動いて何かを起こしてしまうわけにはいかず、平常心を保つ。
「それで誰が身の潔白かを証明できます。
武器を持ってない証明として、一応この双眼鏡も捨てますか。
私の支給品はベルトとロックシード、この双眼鏡と言う名の杖、最後がこれです。
ああ、因みに私は一般人ですから生身で絶対に勝てないので、警戒はほどほどでお願いします。」
「……そのデュエルディスクは誰のものだ?」
「槍の男に殺された少女のを回収してお借りしています。
不動遊星のデッキなので、可能なら彼に返したいところですが、
それを今言ったところで、信用を得られるかどうかは怪しいところですね。」
ベルトを外し、不健康そうで同時に疲弊しきった表情を全員に見せるL。
ベルトとデュエルディスクはその場において、あおの杖もベクターに投げ渡す。
「おいおい、何するつもりだよ!?
名探偵様と言えどこの状況の打開なんぞ……」
「すみません。今回真月さんは黙っていてください。
貴方が喋ると今の状況においては話が拗れる可能性が非常に高いので。
まずはミカンさんにこれを。危険物ではないことを証明になるでしょう。」
何も武装してる様子もなく、両手に杖と説明書を持ったまま歩き出す。
先にミカンに来るように言われ、その説明書を手に取り、読み取っていく。
彼が何をしたいのかについて説明書を見て理解し、うんと静かに頷いた。
「……そうね。これは手にしても大丈夫よ。私も保障する。」
「ふーん、それがねえ……」
乗ってない参加者からの信頼を得るため。
そうして身内同士で内輪もめしているのを見届ける。
彼のもっとも楽しい要素でもあり、笑える時の一つだ。
だから早くこんなことを終えてしまえればいいのにと思い受け取る。
Lから杖を受け取った時、カチリと何か鳴った気がしたが気にも留めず。
オーバーロードも異星の使徒も下手に動けばそこで信用の均衡は崩れる。
なので彼らとて動くことはなかった。
「ぷー殿。何か魔術的な要素があるようで。
拙僧の見立てでは少なくともただの杖ではございませぬ。」
「それが分かったところで俺にどうしろって話だがな。」
ゲームの世界と言うのを経験こそしているが、
魔術的とか言われても、オカルト系についてはさっぱりだ。
後に世に出るALOすらも未経験の彼の知るところではないのだから。
「ではPoHさん。貴方、殺し合いに乗ってませんね?」
「あ? 何意味わかんねえことを言ってるんだ。
乗ってるに決まってんだろ。こんな楽しい祭りを楽しまないで一体何を───!?」
ありえない言葉を紡いだことに、
全員が何かしらの反応を示した表情で彼を見やる。
PoHが貰ったものについて、厳密な杖の名前はない。
とりあえず、此処では『マイナスの杖』と言う仮称とする。
デュエルモンスターズの精霊世界にて、猿魔王ゼーマンの軍勢が用いていた杖は、
自分が口にしようとしていた言葉と真逆の言葉が出てしまうと言うものではあるが、
使い方によっては真実を口にしてしまう。事実、そのデュエルモンスターズの精霊世界では、
トルンカと呼ばれる精霊がゼーマンに作戦の全てを暴露してしまう事態が発生してしまっている。
何より、それを笑顔で答えるPoHの表情は、ミカン達からすれば余りにも似合いすぎるものだ。
顔だけの印象で決めるべきものではないが、ミカンだけは説明書を見ていて真実を知っている。
これは彼の本心から出ている言葉なのだと。故に距離を取りながらボウガンを彼へと構えた。
889
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:52:19 ID:POawdWDU0
「ンンン、やはり何かしらの呪物か何かの類と思いましたが、
まさか真意を喋らせる杖とは。中々面白い魔道具の類ですな。」
「ふざけてる場合か! 分かってたなら何故止めなかった!?」
「止めれば疑われるでしょう。それに、拙僧は愉しければよいので。貴殿もそうでしょう?」
そうリンボに言われると、グヌヌと言った顔はするが反論はできなかった。
自分でも分かっていたらやっていたかどうかで言えば、間違いなくやっていただろう。
それを考えれば、リンボの考えや楽しみ方を否定する要素は皆無に等しい。
「チッ……だがバレちまったものは仕方ねえか。
じゃあ仕方ねえ、この場で存分に蹴散らして───」
「ぷー殿。先のお詫びにこれを。」
動き出そうとするPoHの背中に、ぺたりと貼られる何か。
リンボが使う何かで貼られたものなど、想像するに難くない。
思わずそれに対してぞわりと寒気が走るように鳥肌が立つ。
「てめえ! 俺に呪符を……」
「おっと、剥がしてしまうと……どうなっても知りませぬぞ?」
三日月のような裂けた笑み。
散々PKをしてきたPoHですら気圧される雰囲気。
彼は外道ではあるが、所詮は対立煽り大好き人間に過ぎない。
本物の巨悪や邪悪と言った存在とは、次元が違うのだ。
「まずいです。スターダスト・ドラゴン、ターボ・ウォリアー! 攻撃───」
持てる全速力でデュエルディスクを手に取り、
ロックシード付きの戦極ドライバーも装備して変身しつつ、
反転世界でステータスが下がってるとは言え攻撃の優先順位を変更する。
今まで多くの犯罪者と出会ってきたLだから分かる。何かを起こすときの顔だと。
そしてそれは、Lの頭脳を遥かに超えた、史上最悪のものとなって顕現した。
口と無数の瞳が浮かぶ暗黒の太陽。
それを使役するかのように浮かぶ謎の存在。
二つの何かが、リンボの頭上にて鎮座していた。
キャスター・リンボの操る陰陽術の奥義が一つ。
悪辣の極みにして、怖気のする悪逆非道の真骨頂。
問答無用に命を歪める強制変換。同意も拒絶も不可能。
人間を怪物へと書き換えるという、完全なる外道の術。
此処には参加者が、モンスターが集いすぎた。最早、
戦況は圧倒的に不利だ。最悪六対二に加え、三つのデュエルディスク。
デュエルモンスターズによってもっと数を増やすだろうことは明白だ。
ならば、さっさと終わらせるに限る。もっと楽しみたかったという点はあるものの、
此処では異星の使徒と言えども、あくまで一参加者に過ぎないことを、忘れないがために。
「顕光殿、お目覚めを! 来たれ、暗黒の帳! 太陽は此処に生まれ変わる!」
この術の何より恐ろしいのはその悪辣な男の性格を反映させるかの如く、
全ての者にこの効果は作用せず、ある意味公平な確率によって変化していく。
その博打に勝てば今まで通り人の姿を保ち、博打に負ければ悪鬼羅刹の魑魅魍魎と化す。
隣人が、妻が、子が、友が、仲間が、この場で育んだ絆を奪う、最凶最悪の宝具。
「狂 乱 怒 濤 ・ 悪 霊 左 府 ! !」
ただ変わり、ただ置き換わり、そして人を喰らい始める。それを行使するのが頭上に浮かぶ、
藤原道長を呪殺せんとして仕掛けた、都市そのものを殺すに等しい驚天動地なる大呪術の再現。
藤原顕光の怨霊、悪霊左府が黒き太陽から放たれた黒光を、周囲にいた参加者へと降り注いでいく。
あらかじめ呪詛を防ぐ札を渡されたPoHだけはこの術においては一切関わらない。
では、残った者達はどうなったかと言うと。
戒斗はオーバーロードだ。もとより怪物であり、通じることはまずない。
ベクターはバリアンではあるもののおおよそは人に近い。しかし変化はなかった。、
クレヨンはHANOIであるため所謂ロボット。まず人間そのものですらないので無傷。
ミカンは魔法少女だが、ウガルルの呪いの影響か、或いはベクター同様勝ち取ったのか。
そうやって見ていけば、通用していない者達には何も変化がなくて困惑してしまう。
そも、この宝具は『半数程度にしか効かない』呪詛なのである。
それ即ち、全員が全員無事であるわけがなかった。
「さあさあ始まりますぞ! 阿鼻叫喚! 地獄絵図!
陰惨極まれり光景が! 瞬間が! 此処展開されるううううう!!
フハハハハハハハ、フゥーハハハハハハ!!」
890
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:52:50 ID:POawdWDU0
歓喜と狂喜乱舞の表情と笑みを浮かべながら、
目を赤くするほど、怪物のような表情を浮かべるリンボ。
隙を見て斬りかかる戒斗だったが、流石の彼とて隙だらけではない。
彼がいることを忘れてはおらず、避けに徹していると戦況に変化が訪れる。
漆黒の太陽光を浴びたLと、カイトの二名に。
L、と言うよりも仮面ライダーバロンの姿が変わっていく。
ボコボコと筋肉は風船のように膨らみ、ひょろひょろだったとは思えない程に筋肉質に、
細身だったバロンは、最早怪物と言っても差し支えない状態へと至っている。
カイトもバリアンの力を、フォトンを使ってるが根本は人間だ。
だからリンボの呪詛に対して耐性はなく、耐えきれるものではなかった。
カイトもまた最早天城カイトの姿ではなくなってしまっている。
魑魅魍魎───否、これはモンスターと言うべきだろうか。
人の姿ではある。だが、金色だった髪は黒く染まり果て、
光子の翼や変貌したスーツは、最早別人と呼ぶべきである。
もし、今の彼に名前を付けるとするならば───
モンスターカード『ナンバーズハンター』と呼ぶべきだろう。
『カイ、ト?』
「おい名探偵、大丈夫か……」
「近づいちゃダメ!!」
明らかに異質なことが起きているのだけは全員分かる。
特に、呪いと向き合い続けてきたミカンにとってはなおさらだ。
近づこうとした瞬間、バナスピアーを振るい、文字通り殺しにかかった。
咄嗟に躱したことで無傷で済むようになったが、思わぬ行動に冷や汗が飛び出す。
「おい貴様!! 奴らを元に戻せ!!」
「ンンンンンン!! 水道の蛇口をひねった水を戻せとは、
何とも無茶なことを強いてきますなぁ貴殿殿は! あれはもう、
魑魅魍魎のやモンスターの類、もう既に『死んでおります』が故に!
蘇生などと言う奇跡など拙僧にはとてもとても……クハハハ、ハハハハハ!!」
「貴様ああああ!!」
リンボの言う通り、魑魅魍魎に変じた時点で既に死んでいる為、元に戻す手段はない。
なので、殺す以外の選択肢などどこにもないが、当然これは当人しか知らないことだ。
全部私のせいだと言って調子にのる戦極凌馬が可愛く思えるほどの所業に怒りを露わにする。
「畜生、やるしかねえか! 俺のターン! ゴヨウ・ガーディアンで攻撃!」
ベクターもこれは普通の状況ではないと分かっている。
だからゴヨウ・ガーディアンで直接Lを攻撃することを選んだ。
幸い他のモンスターは攻撃力が下回っているので負けることはない。
バナスピアーを振るったことから、デュエルもできない状態だとは分かった。
「俺のターン。手札から魔法カードトレード・インを発動。
手札のフォトン・カイザーを捨て二枚ドローし、手札のフォトン・カイザーを魅せ、
手札から銀河剣聖(ギャラクシー・ブレイバー)を特殊召喚。」
一方で、カイトの方は別だった。
魑魅魍魎と言うよりモンスターに変質したからか、
耐性はなくとも強靭なデュエリストの本能故か。
その状態になってもデュエルは可能だった。
カイトの矛先はクレヨン。
ギャラクシーアイズのブレスや、
青と白銀の剣士の銀河剣聖の斬撃が次々と襲い掛かる。
動き自体はそこまで複雑になってるわけではないので、
クレヨンであっても避けることはそう難しくはなかった。
「カイト、何をしてるのよ!? 敵は向こうで……ッ!」
変質したカイトが死んでいることには気づけず、
ミカンは正気に戻るよう問いかけるものの、
迫りくるエリュシデータの斬撃を華麗によけながら距離を取り、クロスボウを放つ。
しかしミカンは近ければ近いほど矢を当てられないのもあり、エイムが絶望的だ。
「そのクロスボウは飾りか? 武器が泣くぜ?」
891
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:53:54 ID:POawdWDU0
「貴方……ッ。この状況を、何故何とも思わないの?
あの人はその気になれば貴方も何かされてたのかもしれないのよ!?」
「奴は今値踏みをしてるところさ。
俺を使うか捨てるか利用するかの最中。
最初は冷や汗をかいたが今思えば、値踏み中のところを、
なんの理由もなく斬り捨てるほど、考えなしの奴じゃねえのさ。
それに、見てみろよ。この戦場。俺の理想郷はここにあったんだよ!!」
本当のところリンボは考えなしの男な部分もあるのだが、
その部分を露呈させるには相応のモノがなければならないだろう。
と言うより、それが原因で死亡してるので多分懲りてる説すらある。
そしてPoHが見せつける光景は、リンボの言う通り地獄絵図に等しい。
先ほどまで味方同士だったはずのLとベクターがデュエルに近い形で戦い、
戒斗は未だリンボと斬り合いを、カイトは変貌した姿でクレヨンにモンスターを向けて仕掛けていく。
なんだこれは。先ほどまで休戦状態だったはずの戦況は、彼女が望みたくない最悪の状態と化した。
「貴方だって巻き添えになるのかもしれないのよ!?」
「まあそこはいただけないが、此処は特等席じゃあねえか。
味方同士で潰し合い、味方同士で殺し合う。最高以外にねえさ。」
「貴方、狂ってるわ……!!」
その通りさと肯定すると程なくして、
おっと、と口にしながらカイトの動きの隙をついて、
クレヨンが嫌悪を露わにした表情でナイフで斬りかかる。
HANOIにとって悪意のある人間と言うものは嫌と言うほど見てきた。
TOWERにいた誰もが、そう思うだろう。監察官のコーラルだってそうだ。
コーラルはHANOIがどのような経緯でTOWERに召集されたか知っている。
軍事用が現代に不要共なり、ただの古い殺人兵器として見下されるようになったローランド。
人によって使い倒され、犯罪にも手を染め人間を信用しなくなった名もなき男だったナナシ。
仲間が暴力にさらされ、機能停止になるまで殴られたHANOIを知っているキャメロン。
ほかにも様々な人間の悪意や、自身のせいで周囲の人間が狂わされたことにより、
ストレスを抱えた者達が集っていた。だからPoHの言うことを理解したくない。
しかし、いくら戦闘補正があるとはいえ攻撃力の低いペーパーナイフでは、
とてもエリュシデータの相手にはならず、寧ろ損壊しかけてる右腕は一撃を入れるたびに、
ミシミシと歪で嫌な音を立てていく。攻撃する側の方が傷ついてるかのような光景だ。
「その程度じゃまるで足りねえよ。」
これなら月の方がまだましだ。
そう言わんばかりに彼女の左足をエリュシデータが斬り落とす。
血が出ず、明らかに人間の感触ではないそれに少しばかり面食らうも、
そんなことを言ってる場合ではなくなった。
「手札ksts速攻魔法破滅のフォトン・ストリーム発動。
ギャラクシーアイズが存在する場合、相手フィールドのカードを除外する。
除外するのは───貴様だ。」
静かに、死刑宣告のように指されるのはクレヨン。
何故これほどまでに執拗にクレヨンを狙うのかは定かではない。
単に、生前オービタルと言うロボットに縁があったからだけなのかも。
いや、深い理由はないだろう。彼はもう死者だ。宝具を受けた時点で、
彼と言う存在は既に死に絶えている。だから彼の考えを読み取るなど無意味だ。
ギャラクシーアイズの口に光が集っていく。ただの攻撃ではなく専用に近い魔法カードの効果だ。
「カイト! 正気に戻って!!」
攻撃に巻き込まれまいとPoHは距離を取るが、
ミカンはカイトがまだ生きてると思い込み声をかけ続ける。
だがその声は届くことはなく、死へのカウントダウンが迫っていた。
ドン、と突き飛ばされてアスファルトの大地を転がるように倒れるミカン。
片足と右腕だけで何とか立ち上がり、近くにいたミカンをクレヨンは思いきり突き飛ばした。
ギャラクシーアイズの攻撃から、彼女を守るために。
「クレ、ヨン?」
同時に、光のブレスが放たれた。
誰が見てもこれを受ければまず死ぬ。
彼女は、それをミカンから守りたかった。
そして、声の出ないクレヨンはデイバックを彼女に投げ渡しながら口を動かす。
『ごめん えがお できない』
出るはずのない声で、彼女はそう紡いだ。
えがおで できないとは、自分ではなくミカンのことだ
バイバイと手を振りながらもそれが伝わることなく、
光の中へと彼女は飲み込まれ、光が収束すると残されたのは、
彼女が伸ばしたことで偶然にも残された機械の右腕残骸だけだ。
「いや……嘘でしょ? クレヨン!! イヤアアアアアアアアアアアア!!!」」
892
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:54:34 ID:POawdWDU0
そして、大災害がこの場に訪れる。
慟哭するミカンを中心に、凄まじい風が吹きすさぶ。
「な、なんだ!? 何が起き、うおおおおお!!!」
ウガルルの呪い。
それは桃の姉である桜によって鎮静化し、
ささやかな呪い(魔法少女の視点で)にまで下がった。
しかし。リンボの宝具によりウガルルの呪いにも悪影響が発生し、
まるで嘗ての時のような、建物すら破壊しかねない暴風が巻き起こされる。
最も近くにいたPoHはあっという間に巻き込まれ、彼方へと飛ばされていく。
「ンンン!? これは、拙僧に負けず劣らずの呪い!?
これほどまでの呪いを持つとは! これは退避せねば拙僧とてただでは───」
暢気なことを言ってるようでリンボも少しばかり焦り気味だ。
ウガルルは古代メソポタミアのまぞく。英霊で言えば相当な歴史を持つ。
いくら異星の使徒と言えども無事では済まないので逃げを選ぼうとするも、
どさくさに紛れて夜空の剣が、吹き荒ぶ台風の中袈裟斬りをリンボへと刻む。
「カハッ!!」
「チッ、少し浅かったか……これだけの惨状を作り、
背を向けるとは……貴様、どこまでも許さんぞ!!」
「おのれぇ!! 今それどころではないと……」
「おい名探偵! いい加減目を覚まし……やべえ、なんか来るぞ!!」
口論も戦闘もする暇もない。
オーバーロードも、サーヴァントも。
バリアンも、魑魅魍魎も、そして死体も支給品も。
彼女の中心にある右腕と形見の支給品以外は全てが吹き飛んでいく。
まさに、大災害と言うほかなきものが街を包む様に巻き起こされていった。
「クレ、ヨン……」
最後に振った右腕と投げ渡された支給品。
それだけが残された台風の中心地で、彼女は一人孤独に泣いた。
精神を安定させるなどできない。目の前で仲間を喪い、何人も魔族とは違う化け物に変えられた。
もっと早く、リンボの悪辣さに気づいていればと思うが、後悔しても出てくるのは悲しみと、
それに伴う呪いの影響による大雨だけだった。
【D-5/ 大雨の外 /一日目】
【陽夏木ミカン@まちカドまぞく】
[状態]:精神疲労(超極大)、魔法少女モード、ウガルルの呪いの強化或いは暴走
[装備]:クロスボウ、クレヨンの右腕
[道具]:基本支給品×2(自分とクレヨン、食べ物とタブレット以外は売却)、ランダム支給品×1〜5(解毒系のものはなし、自分×0〜2、クレヨン×1〜3)
[思考・状況]基本方針:???
1:???
[備考]
※参戦時期は、原作49話(アニメでは2丁目11話)で呪いが発動し、
シャミ子・桃と別れた後、かつ再会する前からです。
※クレヨンとの会話からこの舞台が仮想世界TOWERの可能性を考えています。
※カイト、クレヨン、海馬(アニメ版)、万丈と情報交換してます。
DIOの時を止める能力も把握してます。
※魔導雑貨商人から物資調達員、魔導闇商人の情報を得ました。
※キャスター・リンボの宝具の影響でウガルルの呪いが強化されています。
普段よりも強い呪いや影響が周囲にかかります。
「空中でもデュエルする気かよ、名探偵様よぉ!?」
台風で運よくか運悪くか、
偶然にも同じ方向へ飛ばされ落下しながらデュエルを、
殺し合いを続けていることになったLとベクターの二人。
元々ライディングデュエルで空中にモンスターは浮くので、
ゴヨウ・ガーディアンも空中を浮いているのは救いではあるが。
「……真月、サン。」
893
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:55:16 ID:POawdWDU0
台風で運よくか運悪くか、
偶然にも同じ方向へ飛ばされ落下しながらデュエルを、
殺し合いを続けていることになったLとベクターの二人。
元々ライディングデュエルで空中にモンスターは浮くので、
ゴヨウ・ガーディアンも空中を浮いているのは救いではあるが。
「……真月、サン。」
「やっと意識を取り戻しやがったか。おせーぞ名探偵……」
ゆっくりと、言葉が紡がれる。
それに安堵の息を吐くベクターだったが、
「イイ、エ 私 限界 ミタイ デス。
仮面 ライダー ノ オ陰 デショウカ。
辛ウジテ 少シダケ 理性 取リ戻セマシタ。」
は? と間抜けな声が出てきた。
助かったんじゃねえのかよ。そう思ったところを、
叩き落とす。これが外道の術。キャスター・リンボの宝具である。
「デスガ モウ自我ハ 時期ニ消エルデショウ。後ハ 頼ミ マシタ。」
後は頼む。殺し合いを打開する。
最初に三人で出会った時のことを思い出す。
ほんの六時間から八時間程度の間柄の関係だ。
仲良しこよしの友情を育んだわけでもない。
けれど、それがどこか彼にとっては居心地がよかったのだ。
九十九遊馬の周りに仲間がいたように、ナッシュの周りに仲間がいたように。
ドン・サウザンドやMr.ハートランドのように打算的な手を組む意味ではなく、
本当の仲間のような関係が、彼とは築けていたような気がしてならなかったのだ。
それこそ、打算目的であろうとヴォルカザウルスからホープを守ってくれたあの時のように。
ベクターは今、それを自分の手ずから失わなければならないことを理解し、歯を食いしばる。
「……ッ!! 俺は!! ヘルウェイ・パトロールとマックス・ウォリアーでオーバーレイ!
希望皇ホープをエクシーズ召喚! そして、そのまま重ねてランクアップ・エクシーズ!
ホープ・ザ・ライトニングを召喚! そして───攻撃だ畜生がああああああああああ!!」
ホープがLの身体を切り裂き、上半身と下半身を稲妻の如く両断する。
同時にデュエルディスクを破壊し、機能を停止させるが同時にカードが大きく散らばっていく。
そのままホープを乗り物として扱いながらLの上半身や壊れたデュエルディスクを回収する。
辛うじてスターダストなどのシンクロモンスターを回収はできたが、全てのカードは不可能だろう。
不動遊星には申し訳なく思うものの、もしLが死んでも命令が機能する可能性を危惧したら、
念のためデュエルディスクを破壊するのが吉だと言うのがベクターの選んだ判断だった。
正解かどうかは分からない。だが、万が一を考えての行動はするべきである。
これは様々な憶測を吟味したうえで行動した名探偵から学んだ教訓である。
「すみ、ません……後を、任せっきりにしてしまって。」
ああ、また私は最後まで辿り着けないのか。
そんな後悔と共にLはゆっくりと瞳を閉じる。
変身が解除されると、そこにはLとは程遠い、
異形の怪物の姿があり、あの男の悪辣さをより思い出し、
ホープの背中を強くたたきつけ、怒りの形相でベクターは誓う。
「名探偵様が、事件解決前に死んでんじゃねえよ……!!」
やってやろうじゃねえか。
嘗ての自分並に腐り切ったあの男をぶっ飛ばして、
ついでと言うレベルではないが、神を倒して目的を果たそうと。
【L@DEATH NOTE 死亡】
【クレヨン@TOWER of HANOI 除外(死亡)】
【天城カイト@遊☆戯☆王ZEXAL 魑魅魍魎化(死亡)】
【???/ 午前 /一日目】
【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:夜空の剣@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを力で叩き潰す。
1:殺し合いに乗っている参加者は潰す。
2:首輪を外せる参加者を見つける。
3:L、ベクターと共に行動する。
4:槍の男、デェムシュは要警戒。
5:大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
6:あの僧侶(リンボ)は絶対に許さん。この俺が叩き潰す。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※クラックを開き、インベスを呼び出すことは禁止されています。
※Lの考察については半信半疑です。
※攻撃の消滅、反射に制限がかかってます。
どの程度の制限かは後続にお任せします。
※ミカンの台風で飛びました。オーバーロードのため死亡することはないでしょうが、
何処へ飛んだかは後続にお任せします
894
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:55:55 ID:POawdWDU0
【真月零(ベクター)@遊戯王ZEXAL】
[状態]:精神疲労(大)、かなりセンチな気分、疲労(中)、ダメージ(中)、ホープ・ザ・ライトニングに乗ってる
[装備]:ショット・オブ・ザ・スター@グランブルーファンタジー、九十九遊馬のデュエルディスク@遊戯王ZEXAL、No.39希望皇ホープ@遊戯王ZEXAL、牛尾デュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s
[道具]:基本支給品一式×4(牛尾、麻耶、自分、L)、不動遊星のデュエルディスクとデッキ@遊戯王5D’s(メインデッキの大半は消失。エクストラデッキはほぼすべて残ってる)、量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武、真中あおの杖@きららファンタジア
[思考・状況]基本方針:主催にとって良からぬことを始めようじゃねえか。
1 :……まったく、とんだお人よしだったぜ。てめえはよ。
2 :ナッシュがいることだし少しだけ協力は考えて……いややっぱやめとくか?
3 :帰宅部ねぇ。ま、いたら声はかけるか。
4 :Lに駆紋、アウトローで構成されてるねぇ。ま、俺らしく外道な手段でやってやるさ。
5 :ドン・サウザンドの復活ねぇ……どうだか。
6 :槍の男には要警戒。
7 :大我、遊星、ジャック、遊戯、海馬かその知人、或いは会った参加者と接触。必要なら知り合いを装う。
8 :エクシーズ召喚できるデッキをくれ。と言うかなんだよシンクロって。
9 :ホープ・ザ・ライトニングねぇ……まさか俺が新しいホープを手にするとはな。
10:あばよ、名探偵……これが、仲間って奴か。
11:不動遊星に謝っておく(デッキがほぼなくなってる)
12:あのクソ僧侶(リンボ)だけは許さねえ。
[備考]
※参戦時期はドン・サウザンドに吸収による消滅後。
※ドン・サウザンドの力、及びバリアン態等の行使は現状できません。
力が残っていて、バリアンスフィアキューブがあれば別かも。
※Lの考察については半信半疑です。
※ミカンの台風で飛びました。ホープ・ザ・ライトニングに乗ってるため死亡することはないでしょうが、
何処へ飛んだかは後続にお任せします
※魑魅魍魎と化したLの死体(上半身のみ)を乗せています。
下半身は何処かへと落ちました。
【PoH@ソードアート・オンライン】
[状態]:ダメージ(中)、仮面ライダーコーカサスに変身中
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン、カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト、シフトチェンジ@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:この決闘を楽しむ。
1:陰陽師一味に手を組むはずがどうしてこうなった?。
2:あのアジア人(月)は今後どうなるやら。楽しみだ。
3:この剣でキリトだけなくその相棒或いは同行者も殺す。
4:アジア人は優先的に殺すか扇動していく。
5:手を組めた場合はメスガキ(良子)の姉(シャミ子)をレッドプレイヤー側にさせるのも悪くない考えだ。
6:主催も皆殺しにするのも視野に入れる。
7:猿共と手を組むのは癪だが、こいつら(リンボ)は化け物連中で悪くねえな。
[備考]
※参戦時期はラフィン・コフィン討伐戦より後です。
※コーカサスの資格者に選ばれました。
※アニメ版で披露した扇動の心意は問題なく作用します。
※ミカンの台風で飛びました。仮面ライダーなので死亡することはないでしょうが、
何処へ飛んだかは後続にお任せします
895
:
無情の抹殺 陰陽師 蘆屋道満
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:56:45 ID:POawdWDU0
【キャスター・リンボ@Fate/Grand order】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、魔力消費(大)、上機嫌
[装備]:
[道具]:基本支給品一式×1、ランダム支給品×0〜2(シャミ子の分含む)、光の護封剣(ゴールドシリーズ)@遊戯王OCG、空飛ぶじゅうたん@ドラえもん、小倉しおんの首輪、フグ田タラオの首輪
[思考]
基本:ただ、己の衝動と欲望の赴くままに
1:最上啓示、悪霊の集合体であろうかの御方の行く末、見届けて差し上げましょう。
2:吉田良子、どう利用してやりましょうか……ンンンンン。
3:里見灯花、まあそちらは式神の方に任せておきましょう。
それはそれとしてでゅえるもんすたーずの情報はありがたや。
4:吉田優子、こちらで目覚めを促してやるのもまた一興。
5:件の生物に乗った参加者に接触、或いは戦闘。
6:ええ、ええ。真に最高にて。
7:ところで拙僧、何処に?
[備考]
※参戦時期は地獄界曼荼羅、退場後
※ミカンの台風で飛びました。サーヴァントなので死亡することはないでしょうが、
何処へ飛んだかは後続にお任せします
※D-5で大規模の台風が発生しました
これはデェムシュ、移動ルート次第で万丈、天津、灯花もこれの巻き添えになります
最上、優子、良子は離れた位置にいるため風が強いぐらいしか感じません。
また、その後にミカンの周囲に大雨が降り注いでいます。
※クレヨンの身体は右腕以外全て除外され(消え)ました。
※天城カイトは死亡してますがナンバーズハンター@遊戯王OCGの姿になって、
参加者を食らうため行動しています。いわゆるゾンビの状態に近いものになります。
ただし、いかなる方法でも元に戻した時点で死亡して、完全に死体になります。
また、デュエルはできます。カイトが所持しているものは以下の通りになります。
デュエルディスクとデッキ(天城カイト)@遊☆戯☆王ZEXAL、NO.107 銀河眼の時空竜@遊☆戯☆王ZEXAL、基本支給品
台風で吹き飛ばされてたため、現在位置は不明です。
※照の死体、及びマイナスの杖@遊戯王5D’sも巻き添えで何処かへ飛んだかもしれません。
もしも何処へ飛んだかは後続の書き手にお任せします。
支給品解説
【カオス・ソルジャー -開闢の使者-(ゴールドシリーズ)@遊戯王OCG】
キャスター・リンボに支給。ゴールドシリーズについては他参照、
テキストは以下の通り。ゴールドシリーズである為召喚条件は無視できるものとされる。
特殊召喚・効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光・闇属性モンスターを1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。
このカードの(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる
(この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない)。
そのモンスターを除外する。
②:このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。
このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。
【マイナスの杖@遊戯王5D’s】
Lに支給。正式名称は不明なので一先ずこの扱いで行く。
デュエルモンスターズの精霊世界を牛耳っていた猿魔王ゼーマン、
並びにその部下がほぼ常備していた杖。これの光線の効果の影響下に入ると、
言ってることがすべてマイナスになってしまう、聞こえてしまう。
制限として使用した場合対象の状態は一時間後に元に戻る。
896
:
◆EPyDv9DKJs
:2025/06/15(日) 18:57:14 ID:POawdWDU0
以上で投下終了になります
897
:
◆ytUSxp038U
:2025/06/22(日) 22:09:17 ID:833uIoXI0
投下お疲れ様です
カイザーインサイト、保登心愛(きらファン)、琴岡みかげ、里見灯花、キャスター・リンボ(式神)を予約します
898
:
◆ytUSxp038U
:2025/06/22(日) 22:10:59 ID:833uIoXI0
失礼、
>>897
にキャスター・リンボを追加します
899
:
◆QUsdteUiKY
:2025/06/26(木) 01:21:48 ID:m/NatcQY0
ゲリラ投下します
900
:
溺れるサカナ、水槽(みず)の中の悪夢(ゆめ)
◆QUsdteUiKY
:2025/06/26(木) 01:22:47 ID:m/NatcQY0
マサツグ様はある程度移動すると苛立ちながらも、デイパックを漁っていた。
あまり認めたくないことだが、自分は卑劣な恥知らず共に負けて極めて大きなダメージを受けた。
901
:
溺れるサカナ、水槽(みず)の中の悪夢(ゆめ)
◆QUsdteUiKY
:2025/06/26(木) 01:23:09 ID:m/NatcQY0
ゆえに何らかの手段で回復しなければ非常に危うい状態だ。
もしも直見真嗣が並行世界のマサツグ様だとしたなら、そのスキルも同じ――つまり「守る」スキルを有している可能性がある。
この強さのスキルの利便性や強さはマサツグ様自身が誰より理解している。ゆえに並行世界の自分と出会ったら。もしも虫唾が走るような存在ならば容赦なく殺してやりたいが、もしもスキルが自分と同じならばそれなりに強い可能性がある。
もちろんマサツグ様ほど強いだなんて考えたくもないが、この殺し合いが始まって、偽りのエリンを殺してから連敗続きだ。まるであの偽物が呪っているかのように、忌々しい状況に追いやられている。
ゆえにマサツグ様は慢心を捨て去り、油断もしない。卑劣な輩や気持ち悪い連中に再び遭遇して命を落とすのは勘弁だ。――コレはマサツグ様が無意識的に死への恐怖を抱いているからであるが、そのおかげでマサツグ様は慢心を捨て去り、まずは子の多大なるダメージをどうにかするべきだと冷静に考えることが出来た。
マサツグ様は非常に強力な聖剣――刃王剣十聖刃を持っている。クロスセイバーは途轍もなく強いことはマサツグ様も感じている。
だが並行世界の自分や他の参加者がどんな支給品やあの憎き女――カイザーインサイトのような卑劣な手段を用いてくるかわからない。
それに度重なる傷の痛みも忌々しい。一歩、また一歩と歩くだけで肉体が悲鳴をあげている。
それでもマサツグ様自身が自覚していない無意識の〝恐怖心〟が彼の身体を突き動かしたが、ある程度の距離を開けたら流石に大丈夫だろうとこれまた無意識的に安堵する。
ゆえにデイパックを漁るという行為に出たのだ。
そして目的の物はすぐに見つかった。
「グランポーションか。ふう、まるでゲームのアイテムのような説明文だが本当に効果があるんだろうな」
説明書には大幅にダメージを回復させると書いてあるが、まるでゲームのアイテムのような文章だ。
しかしマサツグ様は数時間前にコロッケパンという食べ物で実際にダメージを回復している。パン如きでもダメージが回復したのだし、説明書をあまり疑う必要はないだろう。
この殺し合いの説明でも何かと〝ゲーム〟という単語を使っていたし、主催者のくだらない趣味だろうと考える。
それにパン如きで体力が回復するより、異世界ではメジャーなアイテムであるポーションで回復する方がよっぽど自然だ。
だからマサツグ様は躊躇なくグランポーションを使う。
「……!は、ははは……!」
みるみるうちにマサツグ様の傷が塞がり、痛みも一気に減った。
不思議と身体が軽くなったような錯覚さえ覚え、マサツグ様は声をあげて笑う。
しかし整った女顔に似合わず、その笑みは邪悪さすら含まれていそうなもの。
「これで今度こそ気持ち悪い奴らや卑劣な輩を蹂躙出来る!!」
死への恐怖も多少はマシになり、脳裏に思い浮かべるのはこれまで戦った者達。
傷が回復したからといって彼らを倒せると考えるのはあまりにも楽観的だが、残念ながらマサツグ様は俺TUEEEのような要素も混ぜ込まれている。ゆえにこれだけのことで楽観的に考えてしまう。
もちろん原因は檀黎斗と茅場晶彦にあるのだが、マサツグ様はそんなこと知らない。
否。主催陣営によって自分がそういうふうに生み出されたとすら気付いてない彼は、さながら哀れな道化(ピエロ)。
このマサツグ様に物語なんてない。
このマサツグ様は神を称すると過去にもデスゲームのゲームマスターを務めたことのある男のただの興味本位によって生み出されたのに、自分が本物のナオミ・マサツグだと思い込む哀れで滑稽な生き物に他ならない。
彼が過去に体験したと思っている苦い記憶の数々も、彼がリュシア達と出会い、トリタやミヤモトに仕返したのも――総て檀黎斗と茅場晶彦に植え付けられた――謂わば捏造された偽りの記憶。
マサツグ様はこのデスゲームのためだけに生み出された主催者の駒。
それこそがマサツグ様本人すら知らない彼の真実だ。
何故、そんな非人道的なことが出来るのか。
名前を剥奪された肉体派おじゃる丸のように、このデスゲームには主催者により酷い仕打ちを受けたプレイヤーもいる。
だがマサツグ様は無から有を生み出し、挙句の果てに苦しくて悲しい記憶を植え付け、都合の良いハーレム要員と共にいじめっ子達に仕返しするという思い出まで捏造した。性格も悪いようにした。
それこそ、他者から嫌われるような。ヘイト役になるような歪んだ性格に。
過去にいじめっ子からイジメを受けてきた。その時、誰も助けてくれなかった、と。マサツグ様はそんな偽りの記憶を捏造されたせいで他者に攻撃的になり、絆や友情を嫌悪する。そして同時に羨ましくもある。
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