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決闘バトルロイヤル part4

837それから目を逸らすな ◆ytUSxp038U:2025/06/06(金) 16:03:29 ID:zKXIPIHA0
「零……」

そして最後の一人、鋼牙にも喪失感は容赦なく襲い掛かる。
自身を仇として付け狙い、時に幾度も斬り結んだ銀牙騎士。
衝突の果てに無二の友情を結んだ涼邑零もまた、6時間を生き延びれられなかったらしい。
有り得ないと、親友の実力を知るが故の激しい否定は出来ない。
牙狼の鎧を纏って尚、勝ち目がまるで見えなかった存在と一戦交えているのだ。
魔戒騎士の命を奪う程の参加者が他に複数人いても、何らおかしくはない。

かといって、はいそうですかで簡単に割り切れはしない。
心からの信頼を置く友が、もうこの世にはいないと告げられた。
それも神を自称する狂人の口から、嘲笑うも同然にだ。
バラゴに父を侮蔑された時にも劣らない、猛烈な怒りが渦巻く。
同時に自身を形作る大切なものが一つ、零れ落ちて二度と戻らない喪失感が苛む。
広く大きな背を見続けた父、同じ釜の飯を食い強くなると誓い合った同胞(はらから)。
彼らと同じ場所へ零も旅立った。
決して慣れない痛みは、暗黒騎士や海神に斬られた以上に深く傷を残す。

檀黎斗に命じられるまま優勝を目指し、死者の蘇生に縋り付く気はない。
最期をこの目で見ずとも、共に戦った男達には分かる。
一海も零も、誰かを守る為に足掻き命を散らしたのだと。
守るべき者を理不尽に奪われた彼らが、自分達の蘇生の為に罪なき命が犠牲となるのを喜ぶ訳がない。
屍を積み上げた先の奇跡を望まないことを、幻徳と鋼牙は理解している。
なれば方針を変えるつもりもなし、必ずやゲームマスターを討つ。

尤も、それはそれとしてやはり仲間の死は精神的も堪える。
加えて十分予想が付いた事とはいえ、みふゆの死も放送で確定となった。
生き返った理由を見出せず悩み、もう少し頑張ろうと告げた彼女の顔を思い出す。
殺し合いから生きて帰り、失った筈の未来へやり直す機会があった筈。
彼女の犠牲により生かされた幻徳はただ、己の弱さを何度恨んでも恨み足りない。
もっと力さえあれば、強ければこうはならなかったんじゃないか。
そう悔やんだ所で後の祭り、失われた命が帰って来る奇跡は起きない。


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