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決闘バトルロイヤル part4

721リローデッド ―コレがカレらの選ぶ道─ ◆ytUSxp038U:2025/05/08(木) 01:46:02 ID:VQtoL8aQ0



或人がそれに気付いたのは偶然だった。
のっそりと体を起こした万丈の後方で、こちらをじっと見据える術師が視界に映った時。
猛烈な悪寒に急かされるまま、無我夢中で突き飛ばした。
自分のどこにまだこんな体力が残っていたのか、不思議でならない。
とはいえ、直に消え失せる些細な疑問に過ぎないだろう。

「がふ……げほっ……」

体の内側が燃え盛っているように熱い。
吐き出しても吐き出しても、血がせり上がるのが抑えられない。
ゼロワンとして戦い続け、時にはヒューマギア顔負けの打たれ強さで立ち上がって来た。
しかし或人はどこまでいっても、肉体的にはただの人間。
鬼やブラッド族、神ならば耐えられたろう呪符も命を刈り取るのに過剰な凶器。
内より腐らせ、溶かし、呪い殺される末路は避けられない。

「或人!おいしっかりしろ!」

大声で自分を呼ぶ青年を力無く見上げる。
朧気な視界の中でも、彼が焦燥を露わにしてるのが分かった。

「万丈、さん……」

悪い事をしたと、心から思う。
もしあのまま滅を破壊していたら。
きっと万丈が言うように、二度と仮面ライダーには戻れなかった。
イズを裏切り、本当の意味で取り返しが付かなくなっていた。
そうなる前に引き戻してくれたのに、こうも早く命を失ってしまうなんて。
万丈にも、自分と滅の争いを止めようとした天津にも、ただただ申し訳ない。

「ありがとう……俺を止めてくれて……」

伝えたい言葉を全部口にする時間も、もう残されていない。
だからせめて、感謝を告げたかった。
自分を二度もアークから引き戻した彼に。
決定的に道を踏み外すのを、止めてくれたヒーローに。

顔を動かし、呆然とこちらを見つめるヒューマギアと視線を合わす。
正直、完全に許す事は今も難しい。
けど天津が言った通り、自分の行いに後悔と罪悪感を抱いてるなら。
悪意から抜け出す方法が分からず、苦しんでいるなら。
彼の息子を未来で自分が奪ったなら、最後に放って置くのは出来ない。

「滅……お前の悪意を止められるのは……お前自身だけだ……」

復讐の連鎖は、悪意の支配は自分達で断ち切らねばならない。
どうか彼が恐怖した自身の心を受け入れ、間違った道をこれ以上行かないように。
強く願い、瞼が静かに閉じられる。

夢に向かってもう一度、高く跳んだ未来へ踏み出すことは叶わず。
己を蝕んだ悪意共々、異界の地で眠りに就いた。


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