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UnHoly Grail War―電脳世界大戦―Part2
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:
tartarus_0d01
◆sYailYm.NA
:2024/04/18(木) 04:06:45 ID:exJQf8rQ0
「自分が誰の前に立っているのかを自覚しろ。俺が上で、貴様が下だ」
殺到する“捌”に、黒い剣が唸りをあげる。
それもその筈。星界無双は圧倒的なまでに最強だったが、恐れられていた理由は只強いからというだけではない。
彼は、いっそ笑えるほどに煽り耐性というものを持ち合わせていないのだ。
本来なら一笑に付していい程の雑魚が少し悪評を叩いただけでも、無限の剣を従えてお礼参りにやって来る絶望的なまでの身近さ。
たとえ再現体とはいえ、いや再現だからこそ、星界無双は宿儺の発するあらゆる嘲笑を許さない。
宿儺の言葉が耳朶を叩いたと同時に目に見えて動きの精度が向上した。徒手を掻い潜って攻撃の片手間に“捌”を斬殺し、無双に楯突いた不遜な格下を滅する為に剣の雨を降らせていく。
目視でも千本以上と分かる本数が、時速数百kmという超高速で迫って来る悪夢。それを余さず捌いていく宿儺も大概に冗談じみていたが、興の乗った呪いの王を相手に一歩も退かず切り込む星界無双の異質さがその荒唐無稽に狂犬の如く喰らいついていた。
「人形の分際で癪にでも障ったか? 当然詫びんぞ、撤回させたくば俺の首でも取ってみろ」
宿儺の首筋に、応と答えるように剣閃が傷を作る。
この悪魔が、負傷を許容する程の殺陣を実現させている事実は驚嘆に値するが、同時に其処までの相手と殺し合いながら未だに高揚の笑みを崩していない宿儺の異様さも戦況の苛烈化と共に際立っていく。
千と三百から成る全方位刺突を切り抜けながら空に飛んだ宿儺が、斬撃を地に向け降り注がせる。
星界無双はこれを一つ余さず自らの略式で以って斬殺。見下される事が許せないとばかりに同じ視点まで跳んで斬撃を放つ。
宿儺もこれに応じた結果、足場もない空中で目にも留まらぬ秒間三桁の殺し合いが平然と繰り広げられる異次元が具現化する。
本家本元の星界であればとっくに白血球が飛んで来て、強制中断とアカウントBANが科される事請け合いの戦闘だったが、妄念だけが作り上げるこの世界においては彼らの決闘を止めるモノは皆無だった。
宿儺の拳が星界無双の腹を打ち据えて血を吐かせるが、それと同時に剣が彼の右足を肉塊に変える。墜落する宿儺へ落ちて来るのは断頭台、特段深く強く練り上げられた略式の剣だ。
宿儺を唐竹割りにせんとするそれを、呪いの王は無数の斬撃を一点に束ねた攻防一体の刃によって防ぐ。切り刻まれた右足は既に反転術式での再生を終えており、それが迫る死からの高速離脱を可能とする。
返す刀に放たれた“捌”が星界無双の進軍を強制的に停滞させ、その停滞を縫って彼のお株を奪う数百単位の斬撃が吹き荒れる――
……そんな神話級の殺し合いを、有馬小次郎は諦念と共に見つめていた。
(分かっていた事だが……怪物だな。これほどか、両面宿儺)
諸刃の剣どころの騒ぎではない。宛ら柄にも刃のあしらわれた、握る事の叶わない妖刀だ。
仮に天童アリスの略取が成功していたとしても、令呪の一つ二つでこれを御し切れる気はまるでしなかった。
何しろ宿儺は単なる狂戦士ではないのだ。彼はそれだけで余人を圧する力を持っていながら、極めて高度に思考し最適な手を打って来る。
生半可な首輪は逆にこちらの命運を手繰られる結果しか生まなかっただろうと小次郎は思う。
それと同時に思ったのは、この悪魔の混ざった陣営が対抗手段を持つ自分のそれであった事は、きっと他のあらゆる陣営にとっても僥倖だったろうという事。
場合によってはこの試練じみた強襲すら跳ね除けられずに挽き肉に変えられていたに違いない。
そういう意味ではやはり、両面宿儺を陣営に交えてしまった自分はどちらかと言えば不運だったのだろうと思い至る。
狂犬では番犬は務まらない。少なくとも有馬小次郎に、両面宿儺を飼い慣らす器はなかった。彼自身でさえその結論に至るしかなかった。
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