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UnHoly Grail War―電脳世界大戦―Part2

146ガールズ・イン・ザ・フロンティア ◆T9Gw6qZZpg:2024/01/09(火) 06:27:27 ID:9OIw6V/M0
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――20XX年某月某日、人理継続保障機関フィニス・カルデア内、医療室にて――

 『千夜一夜物語』。よければ感想を聞かせてくれるかな。

 無謀……だと感じました。
 多くの女性が殺されているという前提がありながら、凶王の改心に期待するというのは分の悪い賭けです。
 生物の原則として自身の命を最優先に考えるならば、逃げるのが合理的です。

 ……かもしれないね。
 でも――人間の善性とはそういうものなんじゃないかな。
 特別な力を持たず特別な生まれでもない、そんな“普通の人”でも、自分以外の誰かのために立ち上がる事ができる。だからこそ人類という種は、今日まで生き続けてきたんだろう。
 ボクはそれを好ましく思うんだ。そして――いつかマシュも同じように感じてくれたら嬉しいな。







 どこかで気持ちが浮き足立っていたか、もしくは希望的観測に縋りたかったのかもしれないと、ちとせは己を顧みた。
 着回しができるくらいの背格好であるキャスターに手持ちの衣類一式を貸し出して、久々の二人揃っての外出。クリスマス特有の賑やかな街のムードを眺めながら、名もなき人々の成す空間に溶け込みながら。コンビニで買ったカップ入りのホットコーヒーを手に勤しむ、軒下での会話。
 この構図自体が、一時の気分転換の意図も含んでのことであることは、お互いに理解しているつもりだった。それでも、ちとせの憂鬱の元凶である人物への楽観視まではするべきでなかったか。

「『両面宿儺』との和解は不可能。その前提で考えるべきです」

 ぴしゃりと、キャスターは言い切った。
 その雄弁な、しかし冷徹に諌めるようでもある声が、キャスターの断固とした態度を物語っていた。

「…………うん、まあ、私も全然期待できそうにはないなあとは思ったけど、本当にゼロなんだね」
「はい。万に一つの可能性もありません」

 『黒の陣営』の会合を終えてから暫くの後、既に目星をつけていた人物との接触というキャスターの提案に乗り、街へ出ている最中の会話だ。
 アイドルとしての黒埼ちとせのプロデュース方針である、高潔に高貴に大衆を従わせる魔の女王……というキャラ付けとは、根本的に別物。人の理の外側に在る者であると、只人のちとせですらその身で確信せざるを得なかった、本物の邪悪。
 プリテンダーのサーヴァント、両面宿儺。
 彼がちとせ達にとって協調的な働きに終始することは、どの程度期待できるものだろうか。そんな問いかけへのキャスターの返答が、断絶の確信だった。


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