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UnHoly Grail War―電脳世界大戦―Part2

135方舟の救いと洪水の救い ◆WutzLL0xx2:2023/12/27(水) 02:34:20 ID:4Rbxc5TA0
「話は、もういいよね?」
「私達に手を貸してくれないのは残念。みんなが幸せになれる未来が、すぐそこにあるはずなのに」

(来るか)
"孔富、手下どもを連れて下がれ"

キャスターは杖を構える。
キャスターは戦闘に特化したサーヴァントでこそないが、アポロン神の子たる神話の英霊だ。
耳を封じた孔富と倒れた極道たちというハンデを抱えた上で、不明な攻撃手段を持つバーサーカーを牽制し退路を作る。
その程度のことは、十分可能なはずだ。

──そこで。
キャスターの背後から、声がする。

「いいえ。もうちょっとお話ししましょ」
「私のサーヴァントは気に入らなかったみたいだけど…私は貴女の救済(すく)い、とっても興味深かったワァ」

(孔富、貴様…)

「なんだ」
「話を聞いてたの。なら、最初から私の歌をいてくれてれば良かったのに…」

(話が始まった時点で、イヤホンの電源を切っていたのか…!)

思えば、あれほど関心を持っていたサーヴァントを前に孔富は静かすぎた。
念話で、バーサーカーの話の内容をキャスターに逐次確認する程度のことはして良かったはずだ。
それをしなかったのは、最初から話を全て聞いていたから。

(イカれた愚患者共め)

確かに、相手は対話を仕掛けてくる姿勢を示していた。
一度仕掛けて通用しなかった攻撃である歌を、明らかに耳を封じている相手に再度ただ試すのは考えにくい。

それでも、相手が気まぐれで一声歌えばその時点で目論見は破綻する危うい賭けだ。

キャスターは沈黙する。どのようにこの状況を打開すべきか。

「それで、極道のお医者さん。あなたは私たちに、協力してくれるの?」

バーサーカーは冷徹に、話を進める。

「ええ勿論。あなたの救いはとても賛同出来るものだし──"宿儺"と"羂索"とやらは、間違いなく落とさなければならない相手でしょう」

「もう一度確認するね。あなたたちの陣営には、どっちもいないって意味だよね?」

「ええ。"白の陣営"には、そいつらに当てはまるようなのはいないわ──ところで、バーサーカーちゃん。あなたの陣営を聞いても?」

あっさりと自分の陣営を明かした孔富に、寧ろバーサーカーが動揺する。それを補うように、オモリが応える。

『"青"だ』

「ありがとうオモリくん。助かるわ」

気を取り直したバーサーカーが、なおも詰問する。

「それだけで、信用するとは思わないで」
「あなたが本当に、私たちに協力してくれるって言うんなら──"白"の他主従の、情報を教えてくれる?」
「大丈夫。あなたが、聖杯戦争に勝つ必要なんてないんだよ。協力してくれるならちゃんと、私が救ってあげるから」

「‥ちょっと待って(タンマ)。オモリくん、説明を貰ってもいいかしら?」

あまりにも一方的な要求と、意図の読めない宣言に孔富は狼狽する。

『バーサーカー。その言い方では伝わらない』
『Dr.アナトミー。この聖杯戦争のルールには穴がある。聖杯大戦の勝者は、他陣営のサーヴァントが全滅した段階で決まる。一方マスターの消滅には、サーヴァントの消滅から六時間の余裕がある』
『つまり、この聖杯戦争を勝ち残る方法は、最後の陣営になることだけじゃない。勝ち残る陣営に協力し、最後に自分のサーヴァントを自害させる。そして勝利した陣営の願いで、この聖杯戦争から生き残ればいい』

「私は約束するよ。もしあなたが、本当に協力してくれるなら、私のファンと一緒にあなたも、この狂った聖杯戦争から絶対に救うって」

「──成る程、ねェ」


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