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UnHoly Grail War―電脳世界大戦―Part2
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:
方舟の救いと洪水の救い
◆WutzLL0xx2
:2023/12/27(水) 02:28:26 ID:4Rbxc5TA0
「ただ眼の前のものを否定したくて、感情のままに暴力を振るう。それで何かが変わるとでも」
「──ぁ」
極道の一人が振るう警棒が、白黒の少年──オモリに届く前に落ちる。極道は喉を押さえ、白い床に倒れ込む。
(思考を乱す、呼吸を封じる、奇妙な戦闘技術。"地獄の回数券"で強化された視覚でも、全く攻撃の予兆が見えねえ。こいつは──なんだ?本当に人間か?)
既に立っている極道は一人だけ。
他の極道たちは、このただ白い空間の床で、どこからともなく伸びる"赤い手"で拘束されていた。
赤い令呪が、オモリがマスターであることを表している。
彼ら極道はまだ、自分たちが夢に落ちたことすら自覚せずオモリと相対している。
それゆえにマスターを拘束するために彼に襲い掛かり、このザマだ。
「あなたたちは、ただ他人に求めることしか考えていないクズだ。誰かに与えようとしたことなんてないクセに」
オモリの悪罵は、いっそ自嘲のようにすら響く。
全く、相手にされているように思えない。
ただゆっくりと、オモリが歩いてくる。拳銃を持っているというのに、まるで通用する気がしない。
「怪物(バケモン)ガァ…」
それでも恐怖に抗って、引き金を引く。何回も何回も。
あっさりと弾丸はオモリに当たる。
「本当は解っているのに、それでもまだ間違い続けているんだ。自分でそれを選んでいる」
オモリは明らかな致命傷を負いながら、なんら意に介さずこちらにナイフを向ける。そのナイフは赤く染まっている。
「手前(テメ)ェ…死ねよ!」
弾切れを起こした銃を投擲(な)げるも、ナイフで弾かれる。その隙をついて、素手でオモリの首を狙う。
オモリが僅かに体を屈める。
極道の目が、オモリと合う。
「そうだね」
「あなたたちみたいな人は、死ねばいいのに」
オモリの目の奥底を、見てしまう。
それは自閉した精神の果てだ。
闇を深く見てきた極道ですら、一瞬足を止める程の。
きっとここが現実なら、こうはならない。
極道の精神は闇に擦れていて、可哀想な子供だろうが狂人だろうが殺すことに躊躇いはない。
けれどここは夢世界(ホワイトスペース)。精神の世界。
擦れて鈍った共感力を飛び越えて、精神の奥底に直接オモリの精神が干渉する。
それは不可避の一撃だ。
その手がオモリの首に届く前に、極道は赤い手に捕われた。
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