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児童文庫ロワイヤル

44◆BrXLNuUpHQ:2024/03/02(土) 06:29:29 ID:???0



「うぅぅ、い、痛い……なんで、こんなこと……」

 そしてタマネギ頭の少年こと永沢君男は校舎をさまよっていた。
 永沢がこの学校に来たのはつい最近のことだ。それまで非現実的な状況を受け入れられずに、初期位置の民家で引き篭もっていたが、近くの学校でメタモンによる銃撃の音をきっかけに外に出る決意をした。
 そもそも永沢からすれば、こんな異様な街など歩きたくはない。だが一人でいることはもっと心細かった。だから銃声であっても、人の気配には近づいていく。なあに、自分だって殺し合う気なんて全く無いのだ、他に人がいたって殺し合おうとする人はいないだろう。きっと銃声だって、たまたま試し撃ちか何かしただけだ。

「どうして……どうして簡単に殺し合うんだ!」
(ヒッ! もう何人いるんだよこの学校!)
(……)

 だがそこはメタモンの狩場であった。
 学校から逃げたマリモ達を追ったメタモンは、途中で彼女たちがとって返してくるのを見つけた。メタモンにとっては好都合な展開、すぐに追跡から待ち伏せへと方針を変えて学校に一足早く戻った。
 そして永沢を見つけたメタモンは、方針を変えることにした。
 これまでの戦闘ではどうしても殺し損ねることがあった。だが永沢という第三者を見て発想を変える。これはポケモンバトルではないのだ、自分で他の参加者全てを倒す必要は無く、参加者同士を潰し合わせればいいと。
 あとは簡単だった。カラ松にへんしんすると落ちていた手榴弾を適当に投げ込んだ。別に死ななくてもいい、これをきっかけに永沢と殺し合ってくれればいいと、やるだけやって後は成り行きに任せた。
 予想外だったのは、カラ松が兄弟の草野球に付き合っていたので人並みには肩があったことと、宇美原が永沢に素早く勘づいたことだ。メタモンが天井に変身してすぐに宇美原が飛び込んできて瞬く間に永沢を制圧してしまったのは指物メタモンも驚いた。だがむしろ好都合、光矢に変身しながら自由落下の勢いを乗せて後頭部を強打し、倒れる宇美原の陰になるように床へとへんしん、駆けつけた二階堂とマリモが宇美原と永沢へと注目している間に、メタモンは堂々と供託の陰でカラ松へと再度変身する。後は近くに落ちていた手榴弾を転がせば全員殺害となるはずだった。
 しかし、メタモンにとって不都合な予想外もあった。手榴弾への警戒を強めていた二階堂は投げて直ぐに気づくと抱えて壁を隔てる廊下へと走った。おかげで誰も殺せなかった。更にトド松はマリモ達を恐れて逃げていた。永沢の悲鳴とマリモの怒号は、彼の足を遠さげるのには充分だった。更に、手榴弾の音で一度は学校を離れて迷子になっていたギュービッドが戻ってきた。おかげでメタモンは音楽室に永沢とマリモと宇美原が逃げ込んだのを追撃したのに。安全策を取ることにした。これはマリモが永沢と殺し合うこと、そこにギュービッドも加わることという予想のものだが、誰も死なないのは予想外であった。

「ヒック、ヒック、い、痛いよ……にゅ、乳歯かな、折れた歯は……うぅ……」
(あの声、さっきの子か? アイツらあんな小さい子もボコボコにしてたのかよ!)
(……)

 メタモンは考える。学校を脱出しようとする永沢をトド松が見つけたようだ。彼らは殺し合うだろうか。それともメタモンが直接手を下して確実に数を減らすべきなのだろうか。


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