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児童文庫ロワイヤル

42◆BrXLNuUpHQ:2024/03/02(土) 06:27:11 ID:???0



(──気持ち悪い、なにが、起こった……)

 四宮と蓮華が学校にくる少し前。マリモは耳鳴りが酷い頭を抑えながらなんとか立ち上がる。仲間に呼びかけるが、返事は無い。ヨロヨロと廊下に歩き出て、息を呑んだ。

「大河!」
「……逃げ、ろ……包帯、持ってこい……」

 つい数秒前まで横にいた二階堂が、なぜか廊下で上半身と下半身が千切れて血まみれになっている。手は吹き飛び、顔は誰なのか一瞬わからないほどに損壊していた。

(やられた! 爆弾、さっきの、いやそれより。)
「さ、先にタツキを逃がすから!」

 教室に取って返して、未だ気絶している宇美原を担ぐ。衝撃波に襲われた直後、自分よりも体格の良い少女を動かすのは、いかに空手をやっていて運動には自信のあるマリモでも難しい。
 試行錯誤して、肩を貸すようにして引きずることにする。最後に顔を見ておこうと二階堂の方を見れば、既に事切れていた。

(お、重い! こんなの運ぶなんて無理! な、なんとか、近くの教室に……)

 感傷に浸る余裕はない。明日は我が身、急いで避難する。宇美原を見捨てたいのは山々だが、このままでは確実に殺される。せめてどこかに隠してから一人で逃げよう。そう考えたマリモは、転がるように音楽室へと入り込んだ。
 分厚いカーテンと窓の間に二人して入り込む。一応隠れられて、マリモはうめき声と共に大きく息を吐いた。
 状況がわからない。何が起こったのだろう。理解できないが、おそらく攻撃された。誰に。

(やばっ、誰か来たっ。)

 回らない頭で考え込んでいたところに、扉の開く音がした。他とは違う防音仕様の独特の音と、カーペットの上を歩く音。考えている間に宇美原を置いて逃げていれば、そう考えてももう遅い。一歩一歩と近づいて来る足音に、ポケットのハンドガンを取り出すことすら気づかれそうで、ただ息を潜める。
 かすかな足音に耳をそばだてる。カーテンに邪魔されてか気配もわからず、ただ呼吸することに恐怖を感じるしかない。
 もし、カーテンを開けられたら即座に撃とう。誰かなどと確認している暇は無い。マリモはポケットに手を添えて睨む。カーテンが僅かに動き。

「──行ったみたいね。」

 間近に聞こえた足音が遠のき、ドアの開く音が聞こえて、マリモは安堵の声を漏らした。
 恐る恐るカーテンから顔を覗かせる。夜の学校という不気味なロケーションもあって肝が冷えるが、それでも誰もいないことへの安心は大きい。
 ひとまずは一難去ったというところだろう。頭や体の痛みもだいぶ引き、冷静さが戻ってきた。そうすると気になったのは宇美原の容態だった。

「ちょっと、アンタ起きなさいよ。あ〜ダメだ、伸びてる。置いてくしかないわね。」

 指でつついたり呼びかけたりしてみても、宇美原は全く反応を示さない。完全に気絶している。こうなっては仕方ないとマリモは窓を開けた。光矢だけでなくタマネギ頭の少年に姿が見えない敵までいるのだ、こんなところに長く居るのはナンセンスである。死んだ人間には悪いが、大事なのは自分の命だ。最低限匿ってやったのだし、ここからは逃げることだけ考えてとっとと行動する。
 窓から地面を見た。廊下で死んでる二階堂はたしかロープか何かを持ってきていたなと思い、振り返ってカーテンから顔を出したその時。


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