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児童文庫ロワイヤル

16◆BrXLNuUpHQ:2023/12/24(日) 00:12:36 ID:???0



「だから、俺はツノウサギとかの仲間じゃないんだって。信じてくれよ。」
「はう〜〜……」
「はう〜って言われても……」

 一ノ瀬悠真はオメガ困惑していた。
 突然殺し合えと言われたのは、まあそりゃ人並みには驚いたが、彼は死神だ。バイトだけど。
 護廷十三隊的なアレに所属し、現世を彷徨う虚「虚って言うな死者の魂って言ってくれ」地の文にツッコむんじゃねえ初期のBLEACHみたいな設定なんだからこの方がわかりやすいんだ上等だろう。
 それはともかく、つまり悠真はふつうの中学生よりは多少は異常事態への心得があり、今回のこれは自分では手に負えないレベルの悪霊が襲撃を仕掛けてきた、という認識であった。
 なって日は浅いが、これでもバトルものの少年マンガの主人公みたいな境遇だ。やるべきことはもちろん、巻き込まれた人を助けること、というのは何も特別な力を手に入れてからの話ではない。病気の弟のために何かできないかともがくぐらいには、力を託されるに足る資質がある。というわけで早速周囲を偵察に向かったわけだが。

「やっぱり怪しいよね、ステファニーちゃん。殺し合えって言われてるのに助け合おうなんて。裏切る気だよね?」

 数分して出会ったのは、片手でぬいぐるみのうさぎに話しかけ、もう片手で拳銃を油断無く構える、ゴスロリの同年代の少女だった。
 いや中1ぐらいにもなって人形持ち歩くなよ話すなよとか、その銃どっから持ってきたんだエアガンだよなとか、その服めちゃくちゃ高そうだなとか、よく見たらカワイイなこの子とか、色々考えてしまい困惑していたのだ。

(くっそー、安全装置かかってたりしないかなあれ。マジでいつ撃たれるかわかんないぞ。)

 だんだん疲れてきたのか銃口がブレているとはいえ、拳銃を突きつけられたらさすがに動揺してしまう。なかなか冷静になれない自分を自覚しながらもなんとか打開策を探す。とはいえそれが見つからないから今の状況なのだが。
 壁際でハンズアップしたまま、少女の視線を受け続ける。今まで悠真が話していたので会話も続いていたが、ついには沈黙が場に鎮座するようになった。
 これなら色々うるさいクラスメイトの方がマシだ──などと動揺よりも困惑よりも気まずさから変なことを考えだして、ふと気づく。そう言えば少女の名前も知らない。というかよく見たら少女も気まずそうだ。

(よく考えたら、本当に撃つ気なら最初から撃ってないか……?)
「あのさぁ……」
「な、なに?」
「この手、手上げてんのキツいんだよ。おろしちゃだめか?」
「え〜〜……どうしようかなぁ〜〜。」
「なあ、頼むよ。そんぐらいならいいだろ。手おろすぐらいなら。」
「手おろすだけ? ほんとぉ?」
「本当に本当。神に誓う。」
「神に誓って言う人だいたい嘘じゃ〜ん。」
「いや俺の神に誓うは一味違うから、死神に誓うから、頼むよ一生のお願いだよ、俺小学校の時も一生のお願い使ってこなかったタイプだぜ。」
「あ、中学生なんだぁ。」
「ああ、一ノ瀬悠真。中1だ。て制服見ればわかんだろ。」
「ちっちゃいしコスプレかなって思ったぁ。」
「ちっちゃくねぇよ平均はあるよ!」
(よし、銃口はおりた。)

 胸襟を開いたトークをしつつ、悠真は銃口に気を配る。悠真に戦う力はあるとはいえ、それは死神化的なアレなので生身では単なる中学生だ。もちろん銃で撃たれたらめちゃくちゃ死ぬ。ここはなんとか穏便に済ませるしかない。

(なにやってんだアイツら……)

 それをずっと眺めていたカイの前で2人が落ち着いて話し出すのはかれこれ10分後のことだった。


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