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バトル・ロワイアル 〜狭間〜
547
:
共に沈めよカルネアデス(後編)
◆2zEnKfaCDc
:2021/11/29(月) 20:38:13 ID:jig807Q60
岩永としても、真以外に原因を置く自身の死によって、真や怪盗団に不当な不名誉を被せるのは面白くない。真が自分を殺すことさえ封じられれば、ひとまず同行関係は築けるのだから、それで良い。
だからこそ、その不義理をも『岩永琴子ならやりかねない』とまで思わせるために、ルブランでは根拠の揃わぬ内に真を殺人犯と糾弾した。証拠もなく、疑惑の段階で真相に先走り得るという印象を真に植え付けた。
その一方で、岩永は真を殺人犯だと明らかにした根拠を『女の勘』と曖昧にしか説明していない。仮に岩永の死亡が次の放送で明らかになった場合、ハヤテは真を警戒することはあっても、確信を持って殺人犯だと触れ回るようなことはないだろう。
ただ一つ、不安要素があるとするならば、『ハヤテごと口封じができるのなら真は岩永を心置き無く殺せる』ということだ。ハヤテが負け犬公園に向かうことは真も想像している通りだろう。岩永を殺害し、負け犬公園でナギの捜索をしている最中のハヤテの口封じに向かうことが、岩永の推理に対する最大のカウンターであった。
「……そして、これまで長く話してきたことにより、すでにハヤテさんは負け犬公園の探索を終えている頃でしょう。ナギさんを見つけられていれば良いですが……どちらにせよ、捜索を終えた彼がどこに向かっているか、もう私たちには分かりません。」
だからこそ、あの脅迫を語りの最後の一撃に据えた。真が現状に気付いた時に、ハヤテを追う猶予を与えないために。
――怪盗攻略議会は、今ここに終結を迎えた。
和解は、成功。真は岩永を殺せない状況が形成され、そして心の怪盗団のブレインと妖怪怪異の知恵の神が、主催者への反逆のために情報を統合するに至った。ふたつの世界の叡智が揃うこの談合は、殺し合いの世界を打ち破る鍵となるか。
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