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Fate/Fessenden's World-箱庭聖杯戦争- Part3

82sister's voice ◆aptFsfXzZw:2021/07/04(日) 21:36:48 ID:yxZPsspE0

「そして――御坂さんが、あなたの言う一線を越えてしまう前に、彼女に私たちと向き合って貰う場を整えるためにも。もう、先延ばしにはできないわ」
「……そうですね。それが、彼女たちを口裂け女から守る一番の手段にもなるでしょう」

 譲れぬ想いを抱えた美琴への侮辱になるような気がして、直接は口に出すことも憚られたようなマミの考えを、アーチャーは代わりに口にした。
 ――それが、決して間違いではないと背を押すように。
 
「……とはいえ。急がば回れ、ということも、あるのやもしれませんが」

 充分にマスターの考えを肯定した上で、今度は水を差すような現状分析を、アーチャーが述べ始めた。

「口裂け女はまさに神出鬼没の怪物。無闇に事件を追いかけたところで、これまでのようなイタチごっことなる可能性が高いでしょう」
「……かと言って、私たちを狙ってくるところを待つ、なんて罠に簡単に乗ってくれるとも限らないし……」

 アーチャーの示した課題に、マミは嘆息した。

「それでは、マスター。少し発想を変えましょう」

 それから暫しの間を置いて、アーチャーは柔らかに微笑んだ。

「敵に未知の要素が多いことはわかりました。それを解き明かそうとしても容易ではない、ということも。ですが、既知の要素を数えることは、そう労力を要さないのではないでしょうか?」
「既知の要素……?」
「あの怪物も、『階位(カテゴリー)』を与えられたこの聖杯戦争の正規のサーヴァントである、ということですよ。我がマスター」

 的確なヒントに、マミは彼が何を言わんとしているのかに思い至った。

「そっか、口裂け女のマスターを追えば……!」
「はい。無論、あの怪物の対となるとムーンセルに判断されたマスターです。一筋縄とは行かないかもしれませんが――それでもサーヴァントより、実体のない概念に成り果てているということも、まずないでしょう」

 サーヴァントという霊体の、現世における要石足らねばならない仕様上。マスターというものは本来、サーヴァントよりはまだ、物理的な実体を有しているはずだ。
 ならば、口裂け女に比べれば、その痕跡には掴みどころが残されているはずだ。

「それこそ現時点では、口裂け女以上に情報が足りないこともまた事実。しかしマスターという生命線を捉えられれば、あの怪物も今度は逃げてばかりとは行かないでしょう。そこで決着をつけます」

 聖杯戦争における索敵の基本。そこに立ち返るというアーチャーの示した解法に感心し、己の思考の筋道に取り込みながら、マミはしかしまだ、答えを述べきれていなかった。

「……でも、どうやって追えば?」
「先程、マスターと御坂美琴殿が目撃した……ホームページ、と言いましたか。電脳上に築かれた、サーヴァントを文字通り運用するための魔術式。あれを仕掛けたのは十中八九、敵マスターの仕業と考えられるでしょう。そこから何らかの形で追うことができるかもしれません」

 あるいは、とアーチャーは言葉を継ぐ。


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