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Fate/Fessenden's World-箱庭聖杯戦争- Part3

65BB Channel 2nd/Beauty and the Beast ◆yy7mpGr1KA:2021/06/09(水) 12:59:09 ID:u8pAsDrg0

バキリ。
先ほどまで警察と繋がっていたスマートフォンを粉々に握りつぶし、車窓から放り捨てる。
この程度の端末、そこらからいくらでも奪えるし、アトラスの錬金術師の頭脳の方が比べ物にならない演算機能をしている。

「さて、匂いは落とせた。追うならばこちらではなく、第六階位の方に向かってくれるといいのだが」

とは言うもののそう都合よくはいってくれないだろうとも分かっている。
投げた石がマスターに当たったのは想定外だが、もとより舞台上に役者を呼び込む算段ではあった。
オファーをしたのが思ったより大物だっただけのこと。脚本は変わらない。

「引き絞った弓は放たれぬわけにはいかぬ。幕が下りるまで、退場するまで演者は舞台で踊らなければ……だが脚本、演出、助演の兼ね役は忙しくてかなわん」

そう言ってズェピアは気怠そうに首を回し、道が混み始めているのを見てさらに表情に倦怠感を増す。
信号の破壊と乗用車の逆走、ここにも第八階位の影響が届いていた。

「徒歩の方がマシだなこれでは」

アトラシアの演算は速い。
渋滞を予想するアプリなどなくとも、人の流れ物の動きを捉え、予測し、未来を描く。
丁度マンホールを視界に捉えたのを幸いとズェピアの手からエーテライトが二本飛んだ。
一つはマンホールへ伸びて下水への入り口を開く。
もう一つは運転席のライダーの頭部へ繋がり、ズェピアに思考・感覚をリンクさせる。

「…おや、これは面白いことになっている。いばら姫の棘に刺され、アリスは夢の世界に堕ちていたか。ドレスアップは済んだというわけだ」

くく、と笑いを漏らして開いた地下への入り口を見やる。
ライダー、サーヴァントと知覚をリンクしたことでズェピアはその先にいるモノに気付いた。
サーヴァントはサーヴァントの気配を知覚する。そしてマスターはサーヴァントを認識することでそのカテゴリーを知る。
予期せぬ再会に、ズェピアとライダーは踊るように地下への穴に飛び込み

「また会えてうれしいね、番外位(カテゴリー・ジョーカー)。そして麗しのナーサリーライム」
「■■■■……!!」

少女(ありす)と野獣(ジョーカーアンデッド)の姿がそこにあった。
存在を薄れさせつつあるありすを守るように腕に抱き、威嚇するような声をバーサーカーは上げるが、ズェピアはまるで意に介さない。

「『地上の衣』か?私も悪性情報は扱うが……それすら子供のおもちゃに見えてしまう。ライダーの中身よりも非道いかもしれんな。
 くくっ。まったくいい衣装、いい趣味をしている。皮肉ではなく心底そう思うよ」

存在感を失くしつつあるありすの姿と、それに纏わりつく悪性情報(アンリ・マユ)もアトラシアの知性で見切り、それすらも舞台の小道具大道具に取り込もうとズェピアは胸中で算盤を弾く。

「斯様な奈落の底は君たちのような名優にはふさわしくない。約束通り大舞台のチケットを渡そうじゃないか」

大鎌まで取り出したバーサーカーをよそに、ズェピアの独り舞台は続く。

「君たちに我々の代役を頼みたい」

その言葉と共にズェピアはエーテライトをその手に握り、傍に控えるライダーに視線をやる。
そして爪と共にゆっくりと

「一時退場だ、我がヒロイン」

彼女の頭部へと突き立てた。
頭蓋を砕き、脳を抉り、その奥の奥の霊核へ。

「噂をすれば影、という。風聞に乗るライダーよ、君を通じて私が世界に語り掛けよう」

エーテライトを通じて、悪性情報が口裂け女を変質させる。魂の改竄とかつて月で呼ばれた行為に近しいそれ。
さらにはムーンセルにより呼ばれた端末(サーヴァント)を通じることでSE.RA.PHそのものにも干渉し。
ウワサが世界に浸透していく………………


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