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Fate/Fessenden's World-箱庭聖杯戦争- Part3

25悪竜(ドラゴン)と吸血鬼(ドラクル)と剪定される世界 ◆yy7mpGr1KA:2020/07/12(日) 00:12:36 ID:eZvTf9Qg0

重圧をレジストしようと『今は無き欲亡の顎(メダガブリュー)』が一級の武装であることには変わらず、バーサーカーの振り下ろした戦斧が口裂け女の生み出した斧を砕き格の違いを見せつけた。
武器を失った口裂け女の腕を飛ばし、そのままズェピアへと刃が向く。
だがズェピアはそれを片手で掴み受け止める。
斧刃が僅かに掌を裂くも、死徒の再生能力が傷を塞ぎそのまま戦況の天秤はどちらにも傾かない。

「ハ、ハハハハハハ!!そうか、面白いな第六階位(カテゴリーシックス)!英霊の身でありながら我ら死徒と同質の否定の力を身に宿すとは!!
 反英雄ではないようだが、深淵を覗き込み深淵に飲まれたな!毒を制するために自ら毒に身を染めるとは何たる喜劇か!
 しかし見事、その覚悟は祖たるこの身に刃を届かせた!凡百の英雄ではこうはいくまい。君の英雄譚に敬意を表そう!」

人類史を汚染する死徒に対して、人類史を肯定する英霊が振るう宝具は相性が悪い。
宝具の持つ加護そのものを否定し、もしも担い手が本来と異なったり贋作であったりすれば完全に無力化されてしまうほどだ。
死徒の中でも最上位の二十七祖の一角であるならばサーヴァントの振るう宝具すら受け止めると、ズェピアは自負していた。
だが仮面ライダーオーズという英霊の強度もさることながら、欲望を否定するその特性は死徒に近しい。
そのため宝具の加護を完全には無効化できず、刃はズェピアを僅かながら傷つけた。
死徒の再生能力によってそのダメージが癒えると、そこからは純粋な力比べとなる。

「真祖の姫君にも劣らぬ剛力。また見事……!よい演者(タタリ)になれるだろうな君も」

かつてタタリにより顕現した魔王アルクェイド並の力がタタリならざるズェピアに迫る。
狂化と宝具によって獲得した最上級のステータスで押すバーサーカーだが、ズェピアはかろうじてこれを抑えた。
一瞬の拮抗だが、それすらも気に食わないと言わんばかりにバーサーカーは唸りをあげ畳みかける。
プテラの顎に魔力が集まり、唸りが咆哮に変わるとともに衝撃波を放ったのだ。

「失礼するよ」

クリーチャー・チャンネル(エス)、短距離ながらも空間転移をズェピアは発動しそれを回避する。
魔力の収束を起こりと予見したアトラシアの未来予測による産物だ。
情報と霊子によって形成された電子の海でなら最上級の魔術師(ウィザード)であるズェピアならば魔法に近しい空間転移すらも可能とする。
地上では霊子化して世界を渡るタタリの影響が色濃い中でなければ難しかったが、ムーンセルでアトラシアは水を得た魚の如くより優れた性能を発揮できるのだ。
そうして標的を外れた衝撃波が一帯を呑み込み、アムプーラも口裂け女も吹き飛ばされて戦線から引きはがされる。

「ブレイク!」

回避した先からズェピアが爪を振るい、どす黒い斬撃をバーサーカーに向けて放つ。
攻撃後の隙をつかれバーサーカーは回避行動には移れないが、翼から魔力を冷気として放ち迎え撃った。
だがそれはすでに一度ズェピアの見た技であり、つまりはアトラシアの予見の範疇である。

吹き飛ばされた口裂け女の一人が勢いそのままに乗ってきた赤いスポーツカーを掴む。
自身の数倍のサイズを武器とする狂気の光景だが、今さらそれに驚く者もなく。
アムプーラが特に感嘆もなく腕を振るい、その一撃に介入した。
躱せない……いや、躱さない。
背後から〈石骸触腫掌〉に心臓を抉られながらも意に介さず車を投擲し、口裂け女は嘲笑うようにして振り向く。
そしてなんと自らを貫く腕をさらに深く突き立てて口裂け女は突如自害した。
この奇行にはアムプーラも目を疑う。

投げられた車が投石のような勢いでバーサーカーに向かうが、当然それだけならバーサーカーには取るに足らない。魔力放出によりあえなく撃墜されるだろう。
それはズェピアにも当然の認識であり、もちろん次の矢が飛んでいる。
アムプーラを捉えるべく張り巡らされていたエーテライトの一つが口裂け女の手で車内に伸ばされており、それはズェピアの手元に繋がっていた。
ズェピアがエーテライトを繰ると、車内にあったものが引かれて飛び出しバーサーカーに叩きつけられる……口の裂かれた男の死体が!
バーサーカーは何のことかと魔力放出を続けてそれも砕こうとするが、死体が突如形を変える。そう、口裂け女に変じたのだ。
そして魔力放出(氷)によって二体の口裂け女がすでに砕かれており、『末妹不成功譚〜この灰かぶりは小鳥に出会わない〜(ポマード、ポマード、ポマード)』の発動条件は満たされている。
冷気の中を、それこそ涼しい顔で口裂け女は飛びかかり、飛行スキルの速度にズェピアの膂力も載せたあらん限りの怪力で拳をバーサーカーに叩き込む。
グリード化が進行した肉体からいくつものセルメダルが散らばるほどのダメージがバーサーカーに刻まれた。


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