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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

771一世の夢と名も無き鳥 ◆e9TEVgec3U:2020/11/09(月) 01:40:24 ID:7dG6hTvE0


「こん、のっ!!!!山に行かせろよ青女!!」


「あぁらこわいこぉわい」


全身青女の顔面目掛けて放った渾身の蹴り上げが僅か数寸で届かない。コイツは余裕綽々に首先を軽く動かしただけなのに、いとも容易く避けられた。
お前の攻撃は見切ってるだなんて煽ってくるみたいでムカついてしょうがないな。
それに左足で力強く振り上げたハズなのに、引っ付いた瓶はぴくりとも動かないまま。
どんな幻術が魔法か、ソレは私の左足に癒着して一体化したかの様で、足から離れるという挙動を知らないとでも言いたげに振舞っている。

それにしても一体なんなんだよコイツは。私の蹴りを避ける時に明らかに笑ってやがった。満面の笑みってヤツ。
私みたいなのを甚振って何がそんなに楽しそうなんだ。弱い人間を虐めるのがそんなに愉快だってのか?
クソッ、私は八ヶ岳に行きたいんだよ、それなのに……。


……?
頭が、ズキズキする。


「あんなに激しく動いたら早く回るのも当然でしょうに、本当にお可哀想なお人。
 にしても不老不死の肝でもちゃあんと酒精ってキッチリ回るんですのね。興味深いわ」


不老不死……?
何を言って。まだ、私は……。
目の前の、青が、滲んで、霞む。


「こんなに速いのは予想外でしたわ、あの魔女の子ったら随分と焦らしてくれたのですねえ?
 ま、私の躰が強靭であってこそなのかもしれませんけれども」


立っていられない。
立たな、きゃ……。
私は、山に行って、それで……。

それで……?


「それでは次は天国でお会いしましょう、再見♪」



……。




掠れながら埋没していく妹紅の五感の中で嗅覚に届いたソレがうっすらと輪郭を残して、捷急に脳へと情報を伝える。
鼻に付く様な強い妖香。白檀とはまた違ったむせ返りそうになる匂い。それでも何故だかそれ程までに嫌気を感じないのは何故だっただろうか。
至近距離で感じたソレは、手で撫でられるかの様な誰かの温かさ。


「よ、しか……?」


無意識に不意に出た単語。自らの発したその意味する所がなんであったかも分からず。
知らない単語を他でも無い自分が呟いているという事実に困惑を催せる暇も無く。

半分以上も閉じた蕩けつつある視界に明晰に映ったのは、頬がドロリと溶ける女の顔。


――――顔が溶けて溶けて、ドロリと液状化して輝夜が溶けてあれはあれは泥で私の目の前で輝夜で泥で顔が私の下に落ちて輝夜の顔であれは喋って私は私は、私は?



狂乱した思考回路は果たして夢と現実のどちらを視界に捉えていたのだろうか。胡蝶の夢も甚だしく、自問自答には至れない。
僅かに残っている物全てを最後の最後で掌の上から零れ落として手放して狂いに狂え。
そのまま妹紅の意識は闇の更に深くへと沈む、沈む。


一世の紅焔の夢よ、さようなら。


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