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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

548夢見るさだめ ◆753g193UYk:2019/03/27(水) 18:19:30 ID:1qUWgLbM0
 


「フン……、まずはひとりか」

 ジョースター邸の食堂の隣室に設えられたベッドに少女としての体で浅く腰かけながら、ディアボロはぽつりと呟いた。
 迷宮のような地下通路を彷徨い歩くうちに、ディアボロはちょうどエシディシが梯子を登って地上に出ていく瞬間を見かけた。それはディアボロにとって、新たな標的だった。
 エシディシに追随するかたちで地下からジョースター邸へと乗り込んだディアボロは、魔法使いとエシディシによる凄絶な戦いの顛末を、この部屋から壁抜けののみで見届けた。尤も、ずっと覗いているとこちらの存在に気取られる可能性があったので、部分的に覗き見ただけに過ぎない。
 わかったのは、エシディシが魔法使いの女に仕留められたこと。それから、仲間にはなんらかのスタンドを使う男がひとりと、十字架の弾幕を展開する女がひとり、それから能力不明の女がひとり。魔法使い含めて、計四人ということだ。
 ひとまず、気絶している魔法使いの女は後回しにして、ディアボロは殺せるやつから殺すことにした。
 エシディシに勝利し気が緩みきっている瞬間を狙って、壁抜けののみで壁に穴を開けたディアボロは、ホールにあった女神像から拝借した水差しをキングクリムゾンに構えさせ、そして、――時を吹き飛ばした。

 あまりにも容易い殺人だった。
 標的となったのは、一番無防備に心臓部をこちらに向けていた十字架の女だ。
 如何な弾幕を繰り出せる女とはいえ、時の飛んでいる間に急迫した凶器を食い止める術はない。キングクリムゾンの能力が解除され、水差しが女の胸に突き刺さるのを見届けると同時、壁に空いた穴は渦を描きながら閉じられていった。

「残りふたりも確実に『始末』したいところだが……、やつらはいったいどんな能力を使うのだ」

 それ次第では、挑み方を変える必要がある。
 もう一度、ディアボロは壁抜けののみで部屋の壁をつついた。小さく穿たれた穴は、そこから螺旋を描きながら巨大化してゆく。ディアボロの視界を確保するに足る大きさまで拡大したところで、ディアボロの意思に従い、穴の拡大は止まった。
 そっとのぞき穴に視線をやる。

「――なッ……なにィィ!?」

 思わずディアボロは声を上げ、壁抜けののみを取り落とした。空いていた穴も、開いた時とは逆方向に渦を巻きながら閉じられてゆく。
 見間違いでなければ、ディアボロが穴の向こうに見咎めたのは、特徴的な黄金の頭髪の男と、ディアボロに恐怖を刻み込んだ黄金のスタンドだった。

「ジョ……ジョルノ・ジョバァーナと……『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』……だとォォ!?」

 見間違いでなければ、魔法使いを抱き抱える男のそばに、ジョルノ・ジョバァーナと、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの姿が確認できた。思えば最後にジョルノの姿を見てからそれなりに時間も経過しているが、やつはこのジョースター邸に移動していたのだろうか。
 もしもジョルノがレクイエムを使用できる状態で隣室にいるとするなら、ディアボロにとってこれは非常にまずい事態といえる。

「いや……違うッ! あれがオレの『恐怖』というのならば……乗り越える必要がある! これは『試練』だ……!」

 そこで思いとどまったディアボロは、眦を決し、独りごちた。
 ここで再びレクイエムに背を向け逃げ出すことは、帝王としてのプライドに反することだ。許されない。絶対にあってはならない。今度出くわすことがあったとしたなら、それは確実に息の根を止める時だ。逃げる時ではない。
 殺意に満ちた瞳に決意の炎を再燃させて、ディアボロは再度闘志を燃やす。

「そうだ……どうせ全員殺すことには変わらないのだ」

 己自身に言い聞かせる。
 隣室にいるのがジョルノであろうとそうでなかろうと、ここで絶対に始末する。おそらく、不意打ちで仕留められるのはひとりが限度だろう。残りのふたりは、不意打ちが難しいなら正面から叩き潰す必要がある。
 キングクリムゾンならば、勝てる。そういう確信があった。

「だが……勝負は外のやつらがこの館に入館するまでだ。流石に多勢に無勢では分が悪いからな……それまでに必ず『始末』してやるぞ」

 肌にじわりと汗がにじむ。熱い思いが、胸の中で滾っている。
 この思いと願いを実現させるための力は、この手の中にある。
 壁抜けののみを拾い上げたディアボロは、殺意の衝動に突き動かされるまま、決然と立ち上がった。


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