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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

420黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/11/20(火) 04:02:34 ID:mCm9debw0


「何だろうな…………そう、なんと言うか。
 君は『面白い』人材かもしれない。凄く……面白いよ。
 空っぽだったが故にか、吸収するのも早そうだ。
 いや……物事を、という意味で、物理的な食事の方の意味ではない」


 頭部を霧化させ、攻撃を回避したサンタナが。
 今度は体全体をも霧状とさせ、そこから消えた。
 先程、DIOの背後を容易に取れた手段も同じ技によるものだろう。
 あれも『鬼の流法』とやらの恩恵か? 以前よりも輪をかけて変則的だ。
 滅多に披露しない必殺技を躱されたにも関わらず、帝王は感心するように唇を吊り上げる。

 瞬間、霧状となった鬼人が猛烈な勢いで突っ込んで来る。
 ただの回避に終わらず、そのまま移動・攻撃に繋げられる幅広い形態は脅威の一言だ。速度も充分に伴っている。
 迎え撃たせた『世界』は、当然の様にすり抜けられてしまう。勿論狙うは、DIO本体への絶望的な一撃だろう。

 ヒットの直前、霧が集結して人型へと戻った。
 鬼人の構えはシンプルにして強大。

 ───握り締めた右拳を一瞬、DIOの体躯並に巨大化させ、殴り抜けるという暴虐だ。

 どこぞの波紋使いは『ズームパンチ』などという、関節を外して腕を伸ばすように見せかけて殴る子供騙しを好んでいたが。
 目の前のこれは錯覚ではなく、実際に拳が巨大になっている。受ければ重傷は免れそうにないが、そもそもパワー以前にこのサイズの皮膚と接触すれば全身を捕食されかねない。

 さて。カラクリは何だ?
 先の霧状化といい、体積をこれ程まで極端に増減させる事は人体の理屈に合わない。風船ではあるまいし。
 吸血鬼というよりは、どちらかと言えばスタンド使いや妖怪じみた『種』がありそうだ。

 仮説を立ててみた……が、まずは避けなければ。
 いや。身を捻って躱すまでもない。


 これまでの中で、最も巨大な爆破音が空間を歪ませた。鬼人がその規格外なパワーで『壁』を殴りつけ、大穴を開けた振動音だ。
 生物に命中したならば、ミンチと同時に一瞬にて取り込まれる凶暴さ。『鬼喰らい』と称すべき、恐ろしき攻撃。

 ───サンタナの拳は、壁になど打った覚えはない。目の前に居たはずのDIOは消え、代わりに身代わりとなったのは部屋の壁である。
 今度はDIOが避けた訳ではない。拳を打ったサンタナ自身が何故か位置を変え、標的を別の対象へと移された。

 やはり奴のスタンド……瞬間移動などではない。
 まるで───世界を支配するかの如く、自由自在にこの空間を捻じ曲げているみたいだ。


 パチ パチ パチ パチ パチ……


 背後から、耳に障る拍手の音が届いた。
 振り返ることすら億劫だ。だが、いつまでも無残な姿へと変貌した壁の穴など眺めていても仕方ない。
 諦めるようにしてサンタナは、音のする方向へと首を曲げる。


「いやいやいや。やはりだ……やはり君は面白い」


 余裕のままに君臨する帝王の姿。
 相も変わらず、サンタナに対し殺意を向けようとしない。


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