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魔界都市新宿 ―聖杯血譚― 第3幕

613第一回<新宿>殺人鬼王決定戦 ◇zzpohGTsas ◆zzpohGTsas:2019/01/13(日) 00:36:13 ID:7Sgx76gs0
 浮遊する二枚の黒羽に、月面のクレーターめいた穴が生じ始め、其処から、黒色のレーザーが迸り始める。
音はなく、無反動。連発しすぎによるオーバーヒートも一切なく、この上速度は超音速を凌駕する。相手を殺す為だけに特化した、遊びのない攻撃だ。
この攻撃の殺到をアレックスは、レーザー以上の速度で拳を動かして迎撃、破壊する事で対応する。砕かれ、霧散したレーザーを、吸魔と呼ばれる魔術で体内に吸収。
己の、引いては北上がアレックスを動かす為の活動魔力へと変換させる。レーザーを悉く破壊し終えた、この上に活力をも得たアレックスが、パムを一睨みする。
然したる攻撃もしてこないから、「何だ?」、と一瞬思うパムであったが、すぐに、あのアレックスの睨みが攻撃に直結したものである事に気付き、即サイドステップを刻む。
ただの睨めつけではない。あの視線自体が、攻撃なのだ。邪眼、邪視と呼ばれるものは、人間世界に広く知れ渡っている恐るべき魔術。
それをアレックスは行ったのだ。アレックスは、視界に入れられるだけで視界内の生命体の命を、鑢で削って行くかの如く磨耗させる視線をパムに送っていたのだ。
身体に舞い込む不気味で、チクチクするような不愉快な感覚から、アレックスの攻撃に気付いたパムは、直ぐにアレックスの目線から逃れたのである。

 羽の一枚を、縦幅十m、横幅二十m程の、最早一種の塀のような形状にし、アレックスの目線を遮らせるパム。邪眼の対策は単純だ。目線を、遮らせれば良いのである。
アレックスが直ぐに攻撃に移ろうとしたのも、つかの間。パムは何と、この生み出した黒壁を、先程のレーザーに勝るとも劣らぬ速度で、
魔人目掛けて飛来させたのである!! これには面食らうアレックス。しかし、驚いていて何もしなければ、重量にして数百トンを越える黒壁の衝突に見舞われるだけ。
先程ローキックを避けたパム同様、上へと跳躍し、高速でスライドする壁を回避するパム。パムは、これを読んでいた。彼女は既に上空で待機していた。
アレックスも、これを読んでいた。上に跳べば、空中での機動で自分に勝るパムが、待ち構えていない筈がない。そう考えるのも、当たり前の運びであった。

 アレックス目掛けて高速で滑空、接近するパム。魔力を練り固めて作った、無骨な形状の剣を右手に握るアレックス。
羽の一枚を、刃渡り七mを越す巨剣に変えさせたパムが、それを袈裟懸けに振り下ろす。魔力の剣でアレックスは防ぐが、質量の面ではパムのそれが圧倒的に勝る。
パムが振り下ろしたその方向へと、稲妻めいた勢いでアレックスが急降下。しかし、この魔人も然るもの。
空中で即座に体勢を整えていた彼は、両手両足で地面に着地。立ち込める、砂と土煙。アレックスが衝突した地点を中心として、すり鉢上のクレーターが直径五十mにも渡り生じていた。

 この機をパムは逃さない。
両手両足は、超高速度での急降下、その勢いを殺すのに用いた為、今すぐ攻撃に使う事は出来ない。
攻め時は今。パムは、先程黒い壁に変形させた黒羽を遠隔操作で霧散させる。次の攻撃に、利用する為だ。
変化させる物は、『冷気』。それを、アレックスの回りへと雲霞の如く収束させる。
自然界どころか、人為的に気温を操作出来る空間であろうともあり得ない程の、急激な温度低下。アレックスは即座に感じ取ったが、感じた頃にはもう遅い。
ゼロカンマ数秒で、アレックスの回りの気温はマイナス二五〇度を割り始めた。サーヴァントの魔力の循環にすら、影響が出る程の極低温。

「シャアッ!!」

 だが、両手両足が塞がっている程度で、次手が封殺される程悪魔の身体はチープじゃない。
己のクラスを宝具でキャスターに変化させたアレックスが、裂帛の気迫と同時に、キャスタークラスの影響で補正の掛かった魔術を発動させる。
魔術の形は、炎の塊だった。心臓の脈拍めいて搏動する、橙色どころか血液の塊のような紅色の炎が、アレックスの頭上に展開された。
悪魔が持つ強大な呪力と魔力。それを以って、西洋に語られるところのゲヘナ或いはインフェルノ。東洋においては、所の焦熱地獄。
地の底に設けられた、度し難い罪人共を苛む為の場所である地獄の火炎を再現、暴走させると言う魔術である。
悪魔達の間では『地獄の業火(ヘルファイア)』と呼ばれる強力な術だ。


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